シナリオクエスト

クロスワールド(2)

(D-区画の一番奥、その中心付近でホログラムの画面を眺めている少女の姿が見える。)
【プレイヤー】
あの…
サラスヴァティ
お待ちしておりました。
少しそこでお待ちください。
サラスヴァティ
超時空ネットワーク開放中…H-E-L-L-O。いらっしゃいませ。
サラスヴァティ
私はサラスヴァティ…あなたが【プレイヤー】さんですね。
【プレイヤー】
はい。よくご存じですね。
サラスヴァティ
時空ネットワークはあなたの活躍をずっと注視していました。
【プレイヤー】
え?私を見ていたのですか…?
サラスヴァティ
ジエンディア限定ではありますが。
【プレイヤー】
アスガルドの科学力はすごいですね。
サラスヴァティ
貴方の考える科学力とは少し違うかもしれません。
サラスヴァティ
私の存在は<超時空ネットワーク>そのもの…
【プレイヤー】
サラスヴァティさんは人間ではないということですか?
サラスヴァティ
人として生まれたのは間違いありません。
ですが、私たち一族は肉体を捨て、電子の世界に住むことを宿命づけられた一族なのです。
サラスヴァティ
人でありながら…人としての肉体の意味を見出せなかった…
【プレイヤー】
…難しいですね。
ですが、ここまで高度な文明を見ると、アトランティスの科学力が封印されたのも理解できますね。
サラスヴァティ
はい…高度な科学の普及は多くの悲劇を生みました。
サラスヴァティ
【プレイヤー】さんは、イリスさんを訪ねてきたとおっしゃいましたよね?
ではイリス様についても…
サラスヴァティ
…………
サラスヴァティ
まずは、手に入れたものを私にいただけますか?
【プレイヤー】
これです…
(サラスヴァティにロキから手に入れたものを渡す。)
サラスヴァティ
これはイリス様のような方だけが手に入れることができるものです。
【プレイヤー】
どういう意味ですか?
サラスヴァティ
それについては私からは申し上げられません。
システムで許可されていないのです。
プロトコルオープン…
(サラスヴァティの手にあった物がスクリーンに吸い込まれる。)
【プレイヤー】
(すごい技術力だ…)
サラスヴァティ
これは…【プレイヤー】様、もしかしてD-区画でロキ以外のものを見ませんでしたか?
【プレイヤー】
おかしな子供たちが走り回っていました。
サラスヴァティ
次元の歪みが現われたようですね。
サラスヴァティ
【プレイヤー】さん、今私たちのいる空間にいる純粋な人間は、【プレイヤー】さんとイシュタルさんだけです。
【プレイヤー】
すると…あの子達は…
サラスヴァティ
別次元のジエンディア…あるいは別次元のアスガルドの人間でしょう。
今彼らと話ができるのは…
サラスヴァティ
恐らく【プレイヤー】さんだけでしょう。
【プレイヤー】
私が?
サラスヴァティ
イリス様を追ってここまで来たあなたならできるはずです。
【プレイヤー】
…………
サラスヴァティ
彼らにもう一度会ってみてください。
サラスヴァティ
精神共感器を持って彼らのもとに向かってください。
D-区画の機械たちが持っているはずです。
【プレイヤー】
本当に会ってくれるのでしょうか?
サラスヴァティ
言葉が通じれば大丈夫なはずです。
サラスヴァティ
彼らにあった後にもう一度お話をしましょう。
【プレイヤー】
はい、やってみます。

(少年と少女が近づいてくる【プレイヤー】の姿を見て警戒する。)
凍った老友は少女
カイト…気をつけて。
凍った老友は少年
あの人は戦う意思はなさそうだよ。
【プレイヤー】
近づくことで言葉が聞きわけられるようになるらしい…精神共感器をわたしてみよう。
(少年が【プレイヤー】の行動を見てうなずく。【プレイヤー】の手にあった精神共感器が少年の手に伝わった瞬間、鮮明に彼らの声が聞こえてくる。)
【プレイヤー】
あーあー…私の言葉がわかりますか?
凍った老友は少年
うん、聞こえるよ。
【プレイヤー】
ああ…言葉が通じた!
凍った老友は少女
本当だ!聞こえる!不思議ね!
【プレイヤー】
私は【プレイヤー】、あなたたちと話がしたいのです。
凍った老友は少年
やっぱりあの人はドッペルゲンガーじゃなかったよ!
【プレイヤー】
ドッペルゲンガー?
凍った老友は少女
おっと…自己紹介をするね。私はルビー!
凍った老友は少年
僕はカイトだよ。
ルビー
それで何の話をするの?今日のデザートの話?
カイト
ルビー…それは違うと思うよ。
【プレイヤー】…君の話したいことって何だい?
【プレイヤー】
君たちもイリスを探してここに来たのですか?
ルビー
イリス?
カイト
イリスって誰?ルビーは知ってる?
ルビー
ごめん…知らない名前ね。
【プレイヤー】
2年前に魔王を追い払ったデル族の少女…私はその人を探しに来たのですが…本当に知らないのですか?
カイト
リンさんの仲間にそんな人はいなかったと思うよ。
ルビー
霜の大公女トリスタ、呪術師サティ、海龍王アラ、アガシュラハンターオーエン、そして竜騎士リン。
私たちが知ってるのはこの人たちだけよ。
【プレイヤー】
(どれも知らない名前だ…)
ルビー
首都パランギスの子供だったら誰でも知ってる話よ。
【プレイヤー】
パランギス?
ルビー
パランギスを知らないの?
カイト
何だかさっきから話が変だな。
ルビー
私たちが知っていることを話してあげるね。
ルビー
ある日、私たちは夢を見たの。オーエンという人が魔王と戦う夢だったわ。
ルビー
魔王はやっつけることができたんだけど、リーダーだったリンがひどいけがをしてアガシュラに捕まってしまったの。
ルビー
他の仲間もアガシュラにやられそうになってたんだけど…その時!魔王が最後の力でリン以外の人を助けたの!
ルビー
実は魔王はリンと同化していたのよ。
【プレイヤー】
…………
ルビー
魔王が消滅して光と闇のバランスが崩れ、世界が滅亡の危機に瀕すると私たちが召喚されたわ。
ルビー
リンを助けてジエンディアを救うために、ペルロス村で数多くの冒険者と一緒に冒険を始めた記憶が今でも思い出されるわ!
【プレイヤー】
(ペルロス…私の知っているベロスに似ているな…)
ルビー
これはみんなが知っている話だと思うんだけど…【プレイヤー】は知らなかったの?
【プレイヤー】
はい。知りませんでした。
カイト
そうか…。
ルビー
やっぱりそうだよ。サラの言った通り…
【プレイヤー】
私たちはお互いに違う世界の存在なんじゃないですか?
カイト
違う世界?
【プレイヤー】
魔王やアガシュラは知っていますが、それ以外、ルビーが言ったことは全くわかりません。
【プレイヤー】
もう一度確認させてください。イリス、カズノ、ムーウェン、ジョエ、エリアス…聞いたことがありますか?
カイト
わからない…
ルビー
サラスヴァティさんが言ったように、平行世界が重なってしまったみたいね。
異なる世界にコピーされたのうち、周波数が似た個体を通じて私たちは話しているのかもしれないね。
【プレイヤー】
サラスヴァティのことは知っているのですね。
私も今のあなたたちにはun knownということなのでしょう。
カイト
うーん…複雑だ。
ルビー
理解するのは難しいね。
カイト
とにかくアガシュラを倒すために旅をしているんだね。
君はイリスという子のためにここにいるわけだし。
【プレイヤー】
はい、そうです。私はイリスをさがして…
(【プレイヤー】の目の前にサラスヴァティのホログラムが現れる。)
サラスヴァティ
【プレイヤー】様…応答をお願いいたします。聞こえますか?
もしそこに異世界の存在がいる場合は、私が話しかけたことを言わないでください。
【プレイヤー】
え?はい。わかりました。
ルビー
【プレイヤー】、どうしたの?
【プレイヤー】
ちょっと待って…
サラスヴァティ
すぐにお戻りください。現在いらっしゃる場所の次元の安定度が急激に低くなっています。
【プレイヤー】
何の話ですか?
サラスヴァティ
下手すると次元の狭間に閉じ込められてしまうかもしれません。
とても危険な状況です。すぐに戻ってきてください。
【プレイヤー】
そんな…
カイト
…何か用事ができたようだね。
【プレイヤー】
すいません、もう行かなければならないようです。
この場所が…
カイト
僕たちもその程度の空気は読めるさ。
僕たちも移動しなければならないしね…。
ルビー
じゃあね。あなたも気をつけるのよ。
【プレイヤー】
では、いつかまた会えるといいですね。
ルビー
バイバイ、また会おうね!
カイト
さようなら。
(あいさつの瞬間、ルビーとカイトの姿がunknownという姿から無邪気な少年と少女の姿に変わった。)
【プレイヤー】
これは…子どもたちの本来の姿?あちらの世界の…
【プレイヤー】
とにかく早くサラスヴァティのところに行こう。
行けばきっと何かがわかるはず…