シナリオクエスト

黒月姫

(龍京のように華麗で古風な建物がいっぱい建っている。)
(街の雰囲気はとても静かだ…)
(突然、背後から騒がしい声が聞こえてきた。)
???
どいてどいてー!!
【プレイヤー】
何だ?
【プレイヤー】
(少し移動しながら様子を見る。)
???
こら!レイン!逃げるな!
(レインと呼ばれた女性が、隠れる場所を探してきょろきょろとあたりを見回す。)
レイン
もうっ!しょうがないわね。
ハヤトにこのまま捕まるわけにもいかないわ。
(レインは道路のそばに流れる川を目がけて身を投じた。)
【プレイヤー】
…………
(水中からレインが顔を出した。何事もなかったかのように、巧みな動きでどこかへと向かっていく。)
???
ふう…逃がしたか。こんなことをしている場合ではないのだが…。
(人ごみの中からひとりの男が出てきて、心配そうな表情で川を眺める。人々の様子から察するに、彼がハヤトという人物らしい。)
ハヤト
無理に城に侵入して捕まっては皆が大変になるというのに…。
まったく仕方のないやつだ。
【プレイヤー】
何かあったみたいだな。
???
ハヤトはどこかに行った?もういないよね?
【プレイヤー】
あなたはさっき水の中に…
レイン
ふう…お気に入りの服が汚れちゃうから水には入りたくなかったんだけどね。
レイン
って、ちょっと私の話を聞いてよ。
レイン
私とあそこの黒月城に住むお姫様、黒月姫は友達なんだ。
最近、黒月城の雰囲気がおかしいと思って、心配で見に行ったんだ。
レイン
そしたら追い出されたんだよ!!
ムカついて忍び込んでやろうと思ったんだけどなかなかうまくいかないね。
さっきもバレて追われていたところなんだ。
【プレイヤー】
…すごいですね。
レイン
特にあのハヤトってやつは普通じゃないね。
普通の忍者達より全然強い。でも…それでも私は必ず忍び込んでやるんだから!
(レインはもう一度忍び込む気らしい。)
【プレイヤー】
さっき見たハヤトという人が…
【プレイヤー】
(レインにハヤトが言った独り言の内容を話した。)
レイン
へぇ…そうなんだ。うーん、どうしようかなー。
レイン
…………
レイン
ねえ、あなた。
その服装から察するに、冒険家よね?
【プレイヤー】
はい。
レイン
冒険者は依頼を受けて動くって話だけど、あなたもそうなの?
私が正式に依頼したら、私を助けてくれるの?
【プレイヤー】
(…うーん。どうしようかな。)
レイン
ねぇ…ダメ?ダメなの?
(レインが【プレイヤー】の顔を悲しそうな目で見てくる。)
【プレイヤー】
仕方ありませんね。それで、私は何をすればよいのですか?
レイン
大した事じゃないわ!城に忍び込んで黒月姫に会ってほしいの!
お姫様に会えたら、この手紙を渡してちょうだい!
レイン
レインがとっても心配しているって伝えてね。
報酬はちゃんと準備するからさ。
(レインから半ば強制的に【プレイヤー】に手紙を握らされる。)
【プレイヤー】
(やれやれ…引き受けたには行ってみるしかないな。)
レイン
黒月城はこのまままっすぐ行けばいいわ。
それじゃ、お願いね!
【プレイヤー】
では行ってきます。

???
侵入者ごときにわらわの攻撃が避けられるなんて…信じられん。
(会った途端にいきなり攻撃をしてきた少女が一歩下がってそう呟いた。)
【プレイヤー】
あの…私の話を聞いてください。あなたが黒月姫ですよね?
黒月姫
そうじゃ。だが…侵入者の話など聞く耳持たぬわ。
黒月姫
さあ、侵入者よ。覚悟するがよい!城が壊れるまでわらわはこの手を止めぬぞ。
【プレイヤー】
ちょ…ちょっと待ってください!
黒月姫
言い訳なら後で聞く。
(黒月姫の目つきが変わる。)
黒月姫
覚悟ッ!!
【プレイヤー】
(これは…さっきまで相手にしていた人ではないみたいだ。この恐ろしい力はいったい…)
黒月姫
戦闘中に考え事とはずいぶん余裕があるようじゃな!
【プレイヤー】
……!!
(黒月姫が放った矢が目の前に迫る…だが、どこからか飛んできた小さな扇子が矢を撃ち落とした。)
【プレイヤー】
な…何だ?
???
はぁ…まったく我が娘はみんなせっかちでいかんな。
黒月姫
お父様…ここは危険です!
あの侵入者は普通ではありません!
???
大丈夫だ…姫よ。あの侵入者には敵意がないようだ。
(顔色はよくないが、落ち着いた雰囲気を漂わせた青年が黒月姫とともに【プレイヤー】の顔を眺める。)
【プレイヤー】
お姫様のお父様ってことは…
黒月城主
そうだ。私がこの城の主、黒月城主だよ。
兄のように若く見えるかもしれないが、これでもこの娘の父親をやっている。
黒月姫
お父様…そんな冗談はいりません。
黒月城主
おっと…これは失礼。
この黒月城を狙う者がいるとはいえ、可愛い娘に武器を持たせてしまうとはね。
黒月城主
持病のせいとはいえ、まったく情けない限りだよ。
黒月姫
お父様…大丈夫です。何も心配いりません。
黒月城主
ふふ…こう見えても優しい娘でね。
黒月姫
お父様…無理はなさらないでください。
ところで…そこのお前。ここには何しに来たのじゃ?
【プレイヤー】
私は最初からそれを話そうとしていたのですが…
黒月城主
おやおや…それはすまなかった。
それで、何の用でここに来たんじゃ?
【プレイヤー】
はい。それでは手短にお話しますね。
【プレイヤー】
(レインから頼まれた手紙を黒月姫に渡す。)
黒月姫
…レイン。
黒月城主
君も災難だったね。
この手紙を渡すためだけにここまで来てくれたのか。
黒月姫
すまぬ…わらわはてっきり侵入者だと…。
そしてレインの手紙を持ってきてくれてたこと感謝するぞ。
レインにはすぐに連絡しよう。
【プレイヤー】
依頼は完了したので私は帰りますね。ん?お姫様?
(黒月姫が【プレイヤー】の袖を掴む。どうやら何か話があるようだ。)
黒月姫
…………
黒月姫
え…えーっと…そこで待っているのじゃ。すぐに行くのでな。
黒月城主
お前…まさか…
【プレイヤー】
(…いったい何の用だろう?)