シナリオクエスト

玄武洞での出会い

チェン老師
戻ってきたようだな。
ユンファ
思ったよりも早く戻ってきたようですね。もう少し手間取るかと思っていましたが…。
チェン老師
しっ…とりあえず私たちにできることをしてやろうじゃないか。
ユンファ
はい、そうですね。
【プレイヤー】
戻りました。思ったよりも簡単に手に入りましたよ。
ユンファ
では、それをこちらに。
あとは秘薬を作るだけですから、その間、少し老師の話し相手をしていてください。
【プレイヤー】
あの…シャオの状況は?
チェン老師
心配しなくてもいい。
ちょうど寝たところだ。さて、何から話そうか。君…アイドルは好きかい?
【プレイヤー】
…………
【プレイヤー】
アイドル…ですか?
チェン老師
そう、アイドルだ。
最近、私がハマってるアイドルがいてな…
ユンファ
秘薬の製造が完了しました。
チェン老師
おう…残念だったな。これからがいいところだったというのに。
ユンファ
…秘薬の製造が早く終わったことに感謝してくださいね。
そうでなければ、老師が好きなアイドルの話が朝まで続いたはずですので。
【プレイヤー】
…そ…そうなんですね。
ユンファ
さあ、これを飲んでください。
きっとあなたの力になってくれることでしょう…ん?どうしました?もしかして私を疑っているのですか?
【プレイヤー】
…いえ、そんなことはありませんが…。
ユンファ
…では簡単に説明して差し上げましょう。
老師と私を含めた八人の仙人が八仙と呼ばれています。
この薬は、私たち八仙の精神をあなたと繋げることができるものなのです。
【プレイヤー】
…なる…ほど?
チェン老師
言葉では理解が難しいかもしれないな。
簡単に言えば、我々の力を君に少し貸してやろうという話だ。
人間の世界の問題は人間たちが自ら解決すべきだが、それが困難な場合に使う手段なんだ。
【プレイヤー】
神仙の力が使える薬ですか…本当に飲んでも大丈夫なんだろうか。
ユンファ
ふふ…ですが、そのリスクを取らなければ何も始まらないのではないですか?
【プレイヤー】
…………
ユンファ
少し脅かし過ぎてしまいましたね。心配はありませんので、そのまま飲んでみてください。
【プレイヤー】
はい、わかりました。
【プレイヤー】
(…ごくり)
【プレイヤー】
…何か不思議な力が沸いてきた気がします。
それで、これから私はどうすればよいですか?
チェン老師
行って玄武を倒せ。今なら八仙の力と繋がっているはずだから、さほど難しくはないだろう。
【プレイヤー】
シャオが怪我をしたのは私のせいです。
ですから、私が何としてでも解決してみせます。
ユンファ
私を信じることです。
その信じる心が、あなたに力を与えることでしょう。
【プレイヤー】
はい、わかりました。玄武を退治しに行ってきます。
ユンファ
お気をつけて。
チェン老師
…………
チェン老師
あの冒険者をどう思う?
ユンファ
うまくやれるでしょう。
八仙の秘薬を飲んでも生きていられた人間なのですから。
チェン老師
そうだが…まあ、信じて見守ってやることにするか。
ユンファ
はい。ああ、そろそろシャオが目覚める頃ですね。

(玄武が倒れ、不思議な気運が空間を満たしてゆく。)
【プレイヤー】
玄武を倒した…私が勝ったんだ。
【プレイヤー】
やったぞ!!
【プレイヤー】
…………
【プレイヤー】
今まで気づかなかった玄武の宝物が目に入った。
【プレイヤー】
これは持っていってもいいのかな?
玄武を倒したのは私だし…
【プレイヤー】
…………
【プレイヤー】
(不思議な感情が沸いてくる…なんだろう?さっきまでは何ともなかったのに…)
【プレイヤー】
…………
(遠くから笑顔のシャオが【プレイヤー】に近づいてくる。)
シャオ
すごいです!本当に玄武を倒したのですね!
シャオ
あとは玄武の邪悪な気運で満ちた宝物を破壊し、シャングリラを浄化すればよいでしょう。
そして玄武のような者が今後も近寄れない結界を張れば完璧です。
シャオ
ふう…冒険者さん、お疲れ様でした。
【プレイヤー】
(シャオが何か言っているが、私の耳には聞こえてこない…。)
【プレイヤー】
…嫌だ。
【プレイヤー】
これは全部私のものだ!!
これを破壊するって?そんなことはさせない!
シャオ
…冒険者さん?まさか…
【プレイヤー】
消えろ!これは全部私の物だ!
シャオ
…………
シャオ
落ち着いてください!
今のあなたは玄武の邪悪な術に惑わされているだけです。
【プレイヤー】
そこをどけ!さもなければ…
シャオ
…………
シャオ
(今の私にできるかしら…でも…放っておいたら、冒険者さんが別の玄武になってしまう。)
シャオ
(危険だと知りながら、立ち向かってくれた人をそのままにしておくわけにはいかない。)
シャオ
…どきません。私が…あなたを助け出して見せます。
【プレイヤー】
(武器を持って近づいてくる…ここにある宝物を奪うつもりだ!そんなことはさせない…)
【プレイヤー】
(何だ?…笑っている?何だ…何をするつもりだ?)
シャオ
大丈夫です…【プレイヤー】…
シャオ
必ず私が助け出してあげます。
ですから、少しだけじっとしていてくださいね。

(先ほどの衝撃でシャオが遠くへはじき飛ばされた。)
【プレイヤー】
私の宝物をどこに持って行く気だ?
シャオ
…ごめんなさい。私が…助けてあげなければならなかったのに…
(シャオはその場に座り込み、立ち上がることができない。)
【プレイヤー】
この宝物は私のものだ。
お前には渡さない!だから…
(シャオに向かって武器を振り上げた時、強い力が玄武洞を揺るがした。その瞬間、【プレイヤー】の持っていた武器が手から落ちた。)
???
そこまでだ。
(見知らぬ男の声が聞こえてきて、視線が自然とそちらに向かう。)
シャオ
あなたは…
???
シャオ。こういうのは俺に任せろと言っただろう。
シャオ
はい…
???
そこのお前。
【プレイヤー】
私?
(謎の男が小声でこちらを向いてつぶやく。)
???
そうだ、お前だ。
お前が今まさに殺そうとしている相手が誰なのかよく見ろ。
【プレイヤー】
??それは…私の宝物を手に入れようとする…
【プレイヤー】
ぐっ…
【プレイヤー】
(頭が混乱する…男はただ私の前にいるだけなのに、不思議な力が伝わってくる。)
【プレイヤー】
(闇の中で…何かが…燃えているようだ。)
【プレイヤー】
…………
【プレイヤー】
あ…ああっ!
【プレイヤー】
私はいったい…
(【プレイヤー】の意識が戻ったとき、そこにはスーツを着た青年が立っていた。青年は【プレイヤー】の状態を見て、シャオを抱き起こした。)
???
意識を取り戻したようだな。
玄武の術はかなり強力なものだったはずだが…強靭な精神力を持っているようだな。
【プレイヤー】
私はいったい…あ、シャオ!大丈夫ですか?
シャオ
私は…大丈夫です。それより、彼を助けてくれてありがとう、カズノ。
カズノ
ああ…無事でよかった。
シャオ
はい…うっ…
【プレイヤー】
カズノ…?
【プレイヤー】
(どこかで聞いたことのある名前だ…どこだろう?)
カズノ
この怪我じゃ演奏もできんだろう。
(カズノと呼ばれた男がシャオの傷にそっと手を触れた。不思議な光がシャオの傷を癒していく。)
シャオ
ありがとうございます。以前にも同じことを感じましたが、何度見ても不思議な力ですね。
カズノ
…………
ユンファ
シャオ!大丈夫ですか?
(ユンファとチェン老師が小走りに近づいてくる。)
シャオ
私は大丈夫です。チョン老師、ユンファさん。
チェン老師
お前の気が小さくなったことに気付いて来てみたが、幸いにも無事だったようだな。
ん?君は確か…
ユンファ
カズノ?
カズノ
神仙が俺を知っているなんて意外だな。
ユンファ
あなたのような有名人を知らないわけがないでしょう。
【プレイヤー】
あのカズノという方は有名な人なのですか?
チェン老師
(…いい加減に話さなければならないようだな。ユンファ、頼んだ。)
ユンファ
(わかりました。)
ユンファ
エリアスの闘技場を制覇した達人でありながら、エリアス王室の危機をも救った…
ユンファ
浮気者です。
【プレイヤー】
え?浮気者?
カズノ
やれやれ…浮気者とはよく言ったもんだ。
俺にいくら人気があるからって、それはないんじゃないか?
シャオ
否定はできないような…
カズノ
…まあいい。
【プレイヤー】
あの…カズノさん。お聞きしたいことが…
カズノ
おっと、もうこんな時間か。シャオ、しばらくは無理をするんじゃないぞ。
カズノ
そしてお前もな…。
(カズノはそう言って私の前から消えていった。)
チェン老師
…………
チェン老師
(どうやら彼は気がついていたようだな。)
ユンファ
…………
ユンファ
(やはり、ここで制圧すべきだったのでしょうか?それが可能だったかは疑問ですが…)
チェン老師
(レイレイが現れたとすれば、わからなかったがね。)
ユンファ
(レイレイは自分がかかわること以外はあまり関心がありませんから。でも…あ、今はこの辺にいたしましょう。そろそろ気づかれてしまいます。)
【プレイヤー】
お二人はどうして何も言わずに立っているのですか?
チェン老師
ああ…なんでもないよ。
(チェン老師とユンファが互いを見て笑った。)
【プレイヤー】
(何か変だな…)
ユンファ
(もしかすると、この冒険者が…)
チェン老師
さて、そろそろおいとまするとしようか。私はシャオを送って行くから、シャングリラの結界は頼んだぞ。
ユンファ
わかりました。シャオをよろしくお願いします。
チェン老師
【プレイヤー】、君ももう行きなさい。
【プレイヤー】
あ…はい。
【プレイヤー】
(何か私の知らない何かがあるようだが…)
シャオ
【プレイヤー】さん。
【プレイヤー】
はい。
シャオ
今日はありがとうございました。大きな借りができましたね。
また龍京に来たら、ぜひ私を訪ねてください。
【プレイヤー】
いえ…私のせいでシャオが…
シャオ
それはあまり気にしないでください。
では私たちは先に行きますね。
チェン老師
この雲ならば無事に龍京にたどり着けるだろう。
ああ…君はアオイチに行ってみるといい。
【プレイヤー】
アオイチ…?
ユンファ
あそこも面白い所ですよ。
それでは、また会いましょう。あなたの冒険が無事に進むことを祈っています。
(その言葉が終わると、先人たちは雲に乗って空高く昇って行った。しばらくすると、雲はそれぞれの目的地の方向に消えていった。)
【プレイヤー】
不思議な人たちだったな…。
【プレイヤー】
ふう…
【プレイヤー】
…………
【プレイヤー】
よし、そのアオイチというところに行ってみようか。