シナリオクエスト

さよならムーウェン

インヴォーグ
ククク…私の負けだ…認めよう。
【プレイヤー】
(なんとか倒せた…なかなかの強敵だった…)
インヴォーグ
…………
ジョエ
よくやったね~。あのインヴォーグを倒すなんてすごいよ~。
【プレイヤー】
そうなのですか?
ジョエ
昔の話だけど、イリスとムーウェンと戦った時は大変な目にあったんだよ~。
ジョエ
インヴォーグの親分が出てきて、全滅するところだったんだ~。カズノのおかげで助かったんだけどね~。
ジョエ
(ティアマトが出てこなくて本当に良かった…さすがに【プレイヤー】でも勝てないだろうからね~。)
ジョエ
インヴォーグも、これでモンスターを使って村を襲うこともないだろう。
もちろん警戒は必要だろうけどね~。
【プレイヤー】
本当にそうだといいんですけどね…。
ジョエ
心配いらない~。
あれ?あの奥に何かあるみたいだよ。ちょっと行ってみようよ。
【プレイヤー】
ちょっと待って!ジョエ。私もいっしょに行きます。
(二人が巣の奥に消えた時、インヴォーグが静かにその眼を開いた。)
インヴォーグ
…………
インヴォーグ
行ったようだな。
インヴォーグ
…………
インヴォーグ
ふう…やれやれ。
(インヴォーグが深いため息をついて立ち上がった。)
インヴォーグ
生きとし生ける者、すべてに絶望を抱かせる大地と空の征服者…炎の支配者…
インヴォーグ
私もかつてはそう呼ばれていたものだが…。
インヴォーグ
ふん…あちこち痛みよるわ。
突然現れておいて、あやつらは何を言っていたのだ…まったく。
インヴォーグ
これからは子供たちに花の精霊には絶対触れるなと言わなければならんな。
ところで…あの人間は何者だ?
インヴォーグ
私がモンスターを使って村を襲わせるだの言っていたようだが…それにイリスの弓…一体何を言っているのだ?
インヴォーグ
さてと…わざとやられてやるというのもなかなか骨が折れる…。
インヴォーグ
…………

(ジョエを追いかけた巣の先に、ひとりの少年が立っている。少年がジョエに気づいたのか、明るい笑顔で迎えた。)
???
あ!ジョエだ!
【プレイヤー】
(ジョエのことをよく知っているようだが、もしかしてジョエの言っていたあの子だろうか?)
ジョエ
ムーウェン!
【プレイヤー】
(ジョエの顔が明るくなるのを見ると、恐らくそのようだ。)
ジョエ
ムーウェン!今までどこで何をしていたの?
ムーウェン
よいしょっと…とりあえずここに置いておいてっと…。
(ジョエがムーウェンのボールをつかんで引っ張っている。)
【プレイヤー】
ジョエ、まずは今の状況を話すのはどうですか?
ジョエ
おっと…ついいつもの癖が出ちゃったみたいだ。ごめんよ、ムーウェン。
ムーウェン
ボクは大丈夫だよ。それよりジョエの方こそ無事でよかった。
ジョエ
良かった良かった~♪
(ムーウェンは笑いながらジョエの手を握ると、クルクルと回り始める。ジョエもこういう状況に慣れているのか、ため息をつきながら一緒に回っている。)
しばらくして、やっとムーウェンと【プレイヤー】の目が合った。
ムーウェン
あ!もしかして、あなたが【プレイヤー】さん?話は聞いてるよ。
【プレイヤー】
え?私を知っているのですか?
ジョエ
【プレイヤー】、もっと気楽に話すといいよ。
【プレイヤー】
は…はい。
ジョエ
ムーウェン、【プレイヤー】の話を聞いてるの?
ムーウェン
うん。アネスさんから聞いたんだ。
あの恐ろしい大王ゴブリンを倒したって聞いたよ。
【プレイヤー】
あ、それは…
ジョエ
それはそうと、何をしにここに来たの?
ムーウェン
ジョエがここに来ると思ったからだよ。
ジョエ
ふう…やれやれ。
ムーウェン
まあ、とにかく会えてよかったよ!
ジョエ
会えてよかったよ…じゃないよ、このバカ!
もういいから今までどこで何をしていたのか全部話すんだ。
ムーウェン
わかったよ。そんな心配しなくてもいいのに。
ところで【プレイヤー】さん、ちょっと聞いてもいいかな?
【プレイヤー】
はい、どうぞ。
ジョエ
あ!【プレイヤー】、ごめん。
先に私がムーウェンに話したいことがあるんだ。ちょっと向こうで話してくるから待ってて。
【プレイヤー】
はい、わかりました。

(話を終えたジョエとムーウェンがゆっくりと歩いてくる。)
【プレイヤー】
話は終わりましたか?
ジョエ
うん、終わったよ~。ただ…
【プレイヤー】
ただ?どうしたんですか?
ムーウェン
ボクもイリスを探しに行きたいんだけど、今はここを離れるわけにはいかないんだ。
ムーウェン
最近、このあたりで何かすごく不吉な気配が感じられていてね。
ムーウェン
ジョエも感じないかい?
ジョエ
…………
ムーウェン
インヴォーグみたいに単純な脅威じゃない。
これは…そう、魔王に出会った時のような恐怖…。
ジョエ
ムーウェン…それって…
【プレイヤー】
(恐怖…。)
ジョエ
邪竜の巣にそんな脅威があるっていうの?
ムーウェン
…【プレイヤー】さん、あなたはイリスを探すって言ってたよね?
【プレイヤー】
はい。私はイリスを…
(話をし終わってもいないのに、ジョエが言った。)
ジョエ
あの…【プレイヤー】…?イリスの捜索は君に頼んでいいかな?
ムーウェン
ボクからも頼むよ、【プレイヤー】さん。ボクたちもイリスを探しに行きたいんだけど、今のボクたちでは役に立ちそうもないからね。
ジョエ
ムーウェン…。
ムーウェン
イリスを探すにはどうしても…
ジョエが【プレイヤー】の顔をじっと見つめる。
ムーウェン
どうしても【プレイヤー】さんの力が必要だと思うんだ。
ジョエ
それは私も同じ考えだよ~。
【プレイヤー】
よくわかりませんが、私自身も私が探さなければならないような気がしています。
ムーウェン
ボクたちもできることをここでやるつもりさ。
ジョエ
…。
ムーウェン
きっとまたいつか会える日が来るはずだよ。
【プレイヤー】
いつか…
(ムーウェンの言葉には、なんとなく信頼というものが感じられた。)
ジョエ
エリアスに行ったらイグト、龍京に行ったらシャオに私たちの安否を伝えてよ。
イグトとはさっき会ったばかりだけどね。
【プレイヤー】
じゃあ私は引き続きイリスを探してみます。
ジョエ
ありがとう。【プレイヤー】…私たち…いつか必ずまた会えるよね?
ムーウェン
じゃあね、【プレイヤー】さん。
ムーウェン
離れるのはちょっと寂しいけど…。
ムーウェン
…………
ジョエ
ムーウェン、君のことだ。きっとイリスを…あ…いやなんでもない。
ムーウェン
そうかもしれないね…
ジョエ
余計な心配はやめよう。
ムーウェン
わかったよ、ジョエ。じゃあ行こうか。
(ジョエとムーウェンが外に出ると、どこかでこの光景を見ていた誰かがゆっくり歩いてくる。)
???
ふん…いつも思うことだけど、あのチビは勘がいいったらありゃしない。
まあ、その勘のおかげで生き残ったともいえるのかもしれないけど…。
???
あのチビ共が生きていることを知ったら、アイツはどんな表情をするだろうね。
???
気になって仕方ないよ。
何も知らなかったアイツがこの真実を知って苦しむ表情は一見の価値があるだろうからね。
???
…………
???
そんな目で見るんじゃない。
???
おい…やめろと言っている!
???
…………
???
…………
???
どうせ何もできない存在のくせに…私を軽蔑の目で見るとはな。
???
ふん…どうせお前の思い通りになどならないだろう。
さあ、さっさと私の頭の中から消えろ!
???
このままでは済まさん。あのジジイが言う「それ」もすべてな…。
???
この世界から消してやるとするか!!
???
アハッ…アハハッ…アハハハハハハハ!!
???
…………