シナリオクエスト

遠ざかる運命

エリ
はあ、はあ…
 
(レーラズを消そうとする他の世界の存在がエリの剣によって倒される。)
エリ
多すぎる…あれ?
 
(今までエリを苦しめていて敵達の動きが止まる。そしてエリの目の前で煙のように消えて空に散らばる。)
エリ
 
(エリが静かに空を見上げると、遠くの空のどこかにかかっている虹を見つける。)
【プレイヤー】
エリ、ただいま。
 
(まるで虹の乗ってきているような【プレイヤー】の姿にエリの目が赤くなる。)
エリ
終わったのね…
 
(エリがゆっくり【プレイヤー】に近づく。そして両腕を広げて軽く抱きしめる。)
【プレイヤー】
え、エリ?
エリ
お疲れ様…
エリ
君のおかげで禍々しい死の霧も、熱い炎の川もこれ以上近づかなくなった。おかげでヴィーグリーズが暖かくなった。
エリ
こういうぬくもりを感じたのはいつぶりだろう?
エリ
あまり覚えてないけど、みんなが幸せだったあの時のエリアスが、子供達の笑顔が溢れるルミナスがそうだったね…
【プレイヤー】
(エリアス…?)
エリ
あ、ごめん…
 
(エリがにっこり笑いながら後ろに下がる。)
エリ
嬉しくてつい…
【プレイヤー】
いいえ。
エリ
もしオーディンに渡すものはある?少し見せてもらえる?
【プレイヤー】
これです。
 
(エリがスルトの固い顔が描かれているバッジを見た瞬間爆笑する。)
エリ
フ、フフ…ハハハハ、ハハハハ!
【プレイヤー】
エリ?
エリ
ハハハハ、これ面白いね…はあ、はあ。ハハハ!
 
(しばらく笑っていたエリが涙を拭いて深呼吸をする。)
エリ
はあ…本当に面白いね。ムスペルヘイムの主がこんな風に自分を証明するなんて。
エリ
ああ見えて物凄い力があるみたい。
【プレイヤー】
エリ、大丈夫ですか?
エリ
うん、大丈夫。緊張が解けたせいかな…ふぅ…
エリ
行こ?オーディンとニイが待ってるよ。

 
(吹いて来る風にレーラズの青い葉っぱが踊るように動く。そしてその下にオーディンとニイアが空にかかった虹を見つめている。)
エリ
オーディン…
 
(オーディンとニイがレーラズに近づくエリと冒険者を見つけてほほ笑む。)
オーディン
ご苦労様、みんな…そしてすまない…これは全部俺のせいだ…
【プレイヤー】
いいえ、オーディン。ただ悪いことが起きただけ…
ニイ
オーディン、そうよ。悪いことが起きたの。そう思う。私達が生きている以上、いつもいいことばかりではないから。
ニイ
だから私達はすぐ乗り越えられるよ。
エリ
そうですよ、オーディン。そう信じましょう。今までそう信じて来たそ、これからもそうだって。
オーディン
ああ。
ニイ
エリはいつも正しいことしか言わないからね。
【プレイヤー】
ニイもお疲れさまでした。おかげさまでムスペルトンネルも無事入ることができました。
ニイ
よかった。昔みたいな感じじゃないから心配したの。
オーディン
昔は世界を滅亡させられるくらい活発してたからね。
ニイ
オーディン!ひどいよ!
オーディン
事実だから…あっ、ニイ!殴らないで!
【プレイヤー】
ふぅ、オーディン…スルトから預かったものがあります。
 
(オーディンがヘルとスルトの証を手に握って軽く笑顔になる。)
オーディン
はあ…
オーディン
これでしばらくヴィーグリーズには何もおきない。ニブルヘイムも、ムスペルヘイムも大丈夫だ。
オーディン
そしてウロボロスも動いてないみたいだし。
ニイ
オーディン…
【プレイヤー】
大丈夫ですか?オーディン…
オーディン
俺は大丈夫だ。
オーディン
【プレイヤー】、君の仕事は終わったみたいだ。ここでできることは全て…
オーディン
この世界の主神として君の時間と空間が完全にする方法を見つけた。
【プレイヤー】
ありがとうございます、オーディン。
オーディン
【プレイヤー】、君が見つけたんだ。俺はそれを手伝っただけ…
ニイ
ありがとう、【プレイヤー】。
オーディン
エリ。
エリ
オーディン。どうしました?あれ、これは…
 
(ニイが青色に光るレーラズの葉っぱをエリに渡す。)
ニイ
何してるの、エリ。早く受け取って。枯れる前に…
オーディン
“あの存在”を呼び出して。
エリ
ああ…その方法がありましたね。
【プレイヤー】
“あの存在”?
ニイ
“あの存在”が君を基準に、時間と空間の正面へ戻れるように助けてくれる。気を付けてね、【プレイヤー】…
オーディン
時間がない、【プレイヤー】。ここを照らす虹の時間は永遠じゃない。
ニイ
“あの存在”に会えたらまた私達に会えるよ。だから今は急いで。
【プレイヤー】
オーディン、ニイ。ありがとうございました。そして、お元気で…
エリ
オーディン、ニイ。行ってきます。
 
(エリがオーディンとニイに挨拶をして道を戻る。)
オーディン
ニイ
オーディン、どうしたの?
オーディン
こんなに早く会えると思わなかった…その分俺達の時間も、世界の時間もあまり残ってないことになる…
オーディン
ニイ…?
 
(オーディンの唇にニイが人差し指を当てて晴れやかに笑う。)
ニイ
オーディン、あなたは心配性すぎるのよ。
ニイ
ニイ
私達はこれまで過ごしてきた時間のように、これからの時間を過ごせばいいのよ。それがあなたと私が生きている理由だから。
オーディン
わかった、ニイ。
オーディン
エリが戻って来たら私達も戻ろう。俺達が愛する光の都市、ルミナスへ…