(強い波のような溶岩が吹き終わってから2人の動きも止まる。)
【プレイヤー】
(今回はし、しっかり止めないと…)
(もう一度2人の攻撃がぶつかり合い大きな爆発を起こす。その衝撃で冒険者が遠くに飛ばされて地面に落ちる。)
スルト
【プレイヤー】、君が君の世界のために動いているように私も私の世界のために…
(スルトがゆっくり【プレイヤー】に近づこうとした瞬間、ムスペルトンネルが揺れ始める。)
(ひどい目眩を起こして、何も見えない状況。何かを掴もうとするも何もないようだ。)
【プレイヤー】
頭がくらくらする…つ、冷たくて…熱い…うう、うう…
【プレイヤー】
(…あ、もう大丈夫だ…目眩もしない…)
【プレイヤー】
(寒いのも、熱いのも消えた…暖かい…)
???
【プレイヤー】、しっかりして。起きて、起きてよ!
【プレイヤー】
(シンモラ?これはシンモラの声…)
シンモラの声
いつまでスルトの膝枕で寝てるつもりなのよ!
(【プレイヤー】の周りを遮っていた暗闇が散らかって少しずつ素朴なトンネルの姿が視野に入る。そして下に流れる炎の川まで…)
(そして自分を見ているスルトとシンモラの幻影と目が合う。)
【プレイヤー】
スルト?う、うああああ。ご、ごめんなさい。
(冒険者が驚いて後ずさりすると、スルトが平然と服に付いた溶岩を払って立ち上がる。)
【プレイヤー】
いいえ、ご、ごめんなさい。ところでスルト…今私達がいる場所って…
スルト
数時間前、新しい世界がヴィーグリーズと繋がろうとしてたのが遮られて、ムスペルヘイムまで大きく揺れた。
スルト
それで疲れて君が気を失って倒れて炎の川が流れる道に落ちた。
シンモラの幻影
スルトがびっくりして炎の川に落ちたあんたを救い出したのよ。
スルト
黒い龍の鱗があったとしてもこの熱気に耐えられる生命はいない。普通は溶けて流れてしまうはずが…君は…
スルト
そこに落ちたのにも関わらず、こうして生きている。
(冒険者が周りを見渡す。炎の川の浅い場所にスルトと一緒に立っている。)
【プレイヤー】
も、もしかしてスルトが私の胸に入れた炎、それのおかげですか?
スルト
その炎は君が私を倒したら自然と消えるものだった。そしてシンモラが私の代わりにムスペルヘイムの主に…
シンモラの幻影
スルト、そんなこと言わないで!それはあたしが望んでることじゃないでしょ?
シンモラの幻影
もういいわ。とにかく、そうはならなかった…
スルト
異界の旅人が炎の川に落ちた瞬間、川の熱気が下がった。私の中にあった熱気も消えている…
スルト
このままなら浄化された水を他の世界にも送れるだろう。
【プレイヤー】
どういうことですか?川の熱気が下がるなんて…
スルト
時間と空間を超えて、君にたくさんの祝福が降り注いだ。
スルト
世界樹の守護者、飽食する黒い龍の鱗、死のオーラを押し出す紫の霧、花を咲かせる土のオーラ、幸せを夢見る少女の意志まで…
スルト
【プレイヤー】、君は何者だ?どうしてここまで愛されているんだ?
【プレイヤー】
私は普通の冒険者です。他の何者でもありません。やるべきことをやっていたらそうなっただけです。
(ぼうっと炎の川が流れているのを見ていたスルトが立ち上がって手を伸ばす。そうすると、周りをぐるぐる回っていたシンモラの幻影が近づいて座る。)
スルト
一旦はな。私の運命の流れも止まってきている。そして【プレイヤー】…
スルト
君が炎の川に落ちる時、頭の中にとある記憶が流れてきた…
スルト
その星の主の思いとは異なり、そこは他の世界を呼んでいる…
【プレイヤー】
(きっと良くない内容の記憶なのに、なんだか安心してしまう…それはイリスのせいじゃないことを知っているからだろうか…)
スルト
…悪い。一瞬の記憶だから読み間違えていることもある…
スルト
それと、戻ったらオーディンにこれを渡してくれ。
(スルトがポケットから何かを出して【プレイヤー】に渡す。真顔なスルトの顔が適当に描かれている小さなバッジだ。)
【プレイヤー】
ありがとうございます、スルト。ではまた会いましょう。
スルト
もう会わないことを祈るよ。その時には良くないことが起きた時だろうからな。
シンモラの幻影
【プレイヤー】、気を付けてね。あっちが出口よ。
(シンモラの幻影が離れる【プレイヤー】の後ろ姿に手を振って、その姿をスルトがじっと見つめる。)
シンモラの幻影
スルト、もう戻って休もうよ。今まで1日も休めてないじゃん…
スルト
シンモラも知ってるだろう。きっとイミルの世界ははるか昔…