(霧が溢れている世界に足を運んだ瞬間、恐ろしい寒気が近づいて二人を包む。)
オーディン
ニブルヘイムの寒さはすぐ慣れる。それより…
オーディン
ここは俺の知るニブルヘイムじゃないな。
【プレイヤー】
ニブルヘイムはいくつかあるんですか?
オーディン
世界樹は一つだが、世界樹を知る世界は数えきれないほどある…
オーディン
そういう世界はお互い触れてはいけない。触れた瞬間、力を持った世界だけが生き残って、残りは消えてしまうからだ。
オーディン
それがラグナロク…世界樹を中心に生き残るための彼らだけの戦争…そしてその戦争が起きる場所がヴィーグリーズ…
オーディン
こういう世界はお互い自分の世界を保つためにたくさんの力を使ってしまった。私の世界がエトワールとぶつからないように頑張っていたのと同じようにな。
(オーディンが周りを見渡しながら確認していると、奥の濃霧の間から女性と思われるシルエットが動く。)
(冒険者が武器を持ち上げて警戒すると、オーディンが腕を伸ばして止める。しばらくすると、シルエットの主が霧の中から現れる。)
(黒い世界の唯一な光のような紫色に包まれた女性がヒールの音を鳴らしながら近づく。)
(余裕のある姿で腕を組んだヘルがオーディンと冒険者を見つめる。)
ヘル
私も、ニブルヘイムも、あなた達が知っている存在ではないようですね。
…あなたも私をここに送ってくれたオーディンじゃない…
ヘル
そこの冒険者。私が直接会ったことはありませんが、ニブルヘイムに落ちた時空間の虫を倒す時に見た幻想の中にいました。
ヘル
いえ、ここまでにしましょう。ここに来た目的は何ですか?
オーディン
この場所を破壊しないといけない。正確には…
オーディン
言葉通りだ。ニブルヘイムの主よ、お前もラグナロクが起きるのは求めてないのだろう。
ヘル
喜びの日を待ちながら!お客さんを迎えようとこれまで懸命に作ってきた場所です。それを破壊しろと?それをあなた達が…?
ヘル
ここを壊すとするのは許せません。ここは…、ここは!
オーディン
ヴィーグリーズに他の扉が一つ二つ増えてしまうとニブルヘイムが崩れるのは一瞬だ、ヘル。
オーディン
ニブルヘイムの主も他に方法がないことはわかっている。
(ヘルが閉じた目を開けた瞬間、赤い瞳が光り始める。)
(ヘルが片手をあげて眼帯を外した瞬間、後ろにあった黒い霧が飛び上がってオーディンと冒険者に物凄いスピードで近づく。)
(黒い霧は二人を束縛するように縛ったまま入ってきた通路に飛ばしてしまう。)
ヘル
この世界にあふれる私の力を止めることさえできないあなた達の要求を受け入れることはできません…
(散らばった黒い霧が再び集まって、その間に飛んで行ってしまったと思われた存在一人がゆっくり歩いてくる。)
(ヘルが驚いた顔で近づこうとしている者の姿を見つめる。)
【プレイヤー】
耐えないといけないと思ったら霧が散らばりました。あ、オーディン…
ヘル
オーディンだけが飛ばされて、あなたがここに残っているなんて信じられませんね。
ヘル
ここにいるあなたを幻想の中のあなただと勘違いしていました。謝りましょう。あの時のあなたと今のあなたはとても違う…
ヘル
ではあなたの話を聞いてあげましょう。あなたがここに来た理由を知りたいです。それで私も納得できるのなら…
ですが、場所を変えましょう。
ヘル
ニブルヘイムシティーに向かう道の前でお待ちしています。
ヘル
あなたの意志が強ければ、再びそこで会えることでしょう。
(手を伸ばしてヘルを掴もうとするが、ヘルは自分が言いたいことだけを言ってその場から蒸発する。)
(それに遠くからニブルヘイムの住民だと思われる存在達が、侵入した外部者を捕まえるために物凄いスピードで近づいている。)
【プレイヤー】
ふぅ、私の意志をこんな形で確認しようとしてるなんて…仕方ない。
【プレイヤー】
お待ちください、ヘル。ちゃんと話を聞かせますから。