シナリオクエスト

ヘレナとカイナ

ヘレナ
【プレイヤー】、ゆっくり休んでいますか?
(ヘレナが【プレイヤー】の前に置かれたカップに茶を淹れる。)
ヘレナ
どうぞ。疲れに効きますから。
【プレイヤー】
ありがとうございます、ヘレナさん。そういえば、カップがもう一つありますね。
ヘレナ
時が来たら陛下の話がお伝えさせられると言いましたよね?それが今日のようです。
ヘレナ
その前にまず、空に見えるあの遺跡について話してください。
ヘレナ
全てを話してほしいわけではありません。私に理解できる程度で大丈夫ですよ。
【プレイヤー】
わかりました。では…
【プレイヤー】
(ヘレナに、魔女に関する話を除いて、黄昏時代と神、そして庭園に関する話をする。)
(【プレイヤー】の話を聞いていたヘレナが理解したように頷く。)
ヘレナ
本当にこの世界は謎だらけですね。ふぅ…
ヘレナ
あの、【プレイヤー】…
【プレイヤー】
どうしました、ヘレナさん?
ヘレナ
陛下に影響があるのですか?
【プレイヤー】
正直なところ、それはよくわかりません。今のところ問題になりそうなものはなさそうですが…
ヘレナ
なるほど…
(ヘレナが静かにカップを持ち上げてお茶を啜る。)
【プレイヤー】
ところで、アトラス庭園はどうしてヘレナさんに見えているんですか?
ヘレナ
確かではありませんが…シルバリアの血を受け継いだ子供達には、祝福を受けたような特別な能力があります。
ヘレナ
暗記能力が優れているとか、魔法使いの素質があるとか、精霊と交感するとか…
ヘレナ
能力というのもあれですが、私はたまに既視感を覚えると、新たな遺物を見つけたりしていました。
ヘレナ
古代時代、神達がとどまっていた遺跡といえば神秘的な力がある…長い時間そういう遺物に触れていたことで、影響を受けたこともあるのでしょう。
ヘレナ
とにかく【プレイヤー】の説明を聞いていると、私にだけ見えているのも理解はできます。あれを遺跡や遺物と考えれば…
【プレイヤー】
(この話、どこかで聞いた気がするけど…)
ヘレナ
では、陛下のお話をお伝えしましょう…
(ヘレナが他のカップに茶を淹れると同時に誰かが二人に近づいて来る。)
カイナ
おばあ様、カイナです。お久しぶりです、【プレイヤー】。
【プレイヤー】
陛下?
(カイナがヘレナを抱きしめる。ヘレナが面倒くさいと離れようとするも、なかなか放してくれない。)
ヘレナ
苦しいです、陛下。全く、ゴホッゴホッ。私にこれ以上会えなくなってもいいんですか?
カイナ
なんでそんな冗談を言うんですか?
ヘレナ
つまらない冗談で申し訳ありません。ふふ。
【プレイヤー】
アハハ…
ヘレナ
陛下、アロンが…
カイナ
おばあ様、'それ'は気にしないでください。
ヘレナ
ヘレナ
陛下がそうおっしゃるのなら…わかりました。
ヘレナ
では2人でお話できるように、私が席を外しましょう。
カイナ
いいえ。【プレイヤー】、おばあ様のお家の裏で少しお待ちください。すぐ行きますので。
【プレイヤー】
はい、陛下。
カイナ
ありがとうございます。
(カイナが扉を開けて出て行く【プレイヤー】の後ろ姿を見つめる。)
ヘレナ
陛下。いや、カイナ…
ヘレナ
カイナ
どうぞ。
ヘレナ
いつもとは違う空気が流れているな。普段手紙を送ってきていたあなたがここまで来たってことは…
カイナ
大変なことがあったのです…
(ヘレナが近づいてカイナを抱きしめる。)
ヘレナ
そうか…
カイナ
ごめんなさい。久しぶりにお会いできたのにすぐ戻らなければならなくて…
ヘレナ
仕方ないさ。次は暇な私が行こう。そして…
ヘレナ
ヘレナ
全て一人で抱え込まなくてもいいんだよ…

(静かに流れる川を見詰めていた赤髪の騎士が、人の気配を感じたのか顔を向ける。)
アージェント
【プレイヤー】さんですね。お久しぶりです。
【プレイヤー】
あれ、アージェント…久しぶりです。
(アージェントが静かに視線をヘレナの家に移す。)
【プレイヤー】
陛下はヘレナさんとお話があるようで、ここで待つように言われました。
アージェント
わかりました。では陛下がいらっしゃるまでこちらにどうぞ。
【プレイヤー】
元気でしたか、アージェント?
アージェント
大したことはありませんでしたよ。もうご存じですか?ナーシャの他に大きなマッドゴーレムを扱う少年…
【プレイヤー】
ノーネームとリカリア…
アージェント
ナーシャという子と共にオルカリウムという場所へ向かったという話は聞いていますので、そこでお会いになったのですね。
アージェント
僕はその少年を探していましたが、【プレイヤー】さんに会ってから行方をくらましています。一体どこにいるのか…
アージェント
もしその少年を見かけましたら教えてください。
【プレイヤー】
はい、わかりました。
アージェント
陛下がいらっしゃいます。
(アージェントが急いでヘレナの家に走って行く。そして、外に出ているカイナを護衛しながら元の場所に戻る。)
カイナ
ありがとうございます、アージェント。すみませんが、少し席を外してもらえますか?【プレイヤー】に話があるのです。
アージェント
はい、陛下。
(アージェントがカイナに言われた通りに、話が聞こえないくらいの距離に離れる。)
カイナ
お待たせしてごめんなさい。
【プレイヤー】
いいえ、陛下。ところで、お話は…
カイナ
アーロンが魔女から何かを求めるために、魔女を探していると話していました。
カイナ
魔女は他の魔女を殺すとその力を持つことになります。アーロンはその力を求めています。
【プレイヤー】
アーロンは何がしたいんですか?
カイナ
権力は十分あるが、それ以上を求めんがため魔女の力が必要になったのでしょう。
カイナ
最初は私の地位かと思いましたが、それも違いました。それ以上のものを求めているようです。
カイナ
一般的な人間は、魔女の能力を使うことができません。それでも方法はあります。
カイナ
それは、特別な能力がある魔女と協力したり、魔女の能力を人間に使わせる権能の存在に出会うことです。
【プレイヤー】
お待ちください、陛下。ということは、予知の内容が、アーロンが魔女に会いに行くということですか?
カイナ
ええ、もうすぐアーロンと魔女が会う時間になります。
カイナ
ごめんなさい、【プレイヤー】。こうして話している時間の全てが、【プレイヤー】には大きな荷物になるようで…
(カイナが悲しい目つきで、村の後ろに流れているアイサル川を見つめる。)
【プレイヤー】
大丈夫ですよ、陛下…教えていただいた情報を追いかければ、イリスにも役にたつと思います。
【プレイヤー】
(今も陛下がどういう方なのかよくわからない…)
カイナ
元々は以前みたく手紙でメッセージを伝えたいと思っていましたが、とある理由で【プレイヤー】に届けることができませんでした。
カイナ
それでオルカリウムから帰った時に、私が直接お伝えしたいと思ったのです。
【プレイヤー】
(とある理由って。何があったんだ…?)
カイナ
あまり心配する必要はありません…では日時と場所をお伝えします。
カイナ
まず女神様に会ってから、オルカリウムに向かってください。そうすれば、いつかノーネームに出会った場所にアーロンが現れるはずです。
カイナ
アーロンが誰に会い、何を話しているのかだけを確認して戻ってきてください。
【プレイヤー】
それだけですか?
カイナ
はい…
【プレイヤー】
(陛下の顔が固い気がするな…)
【プレイヤー】
陛下、その後に何が起きるのかもご存じなのですか?
カイナ
アーロンは普通の人ではありません。ですので絶対にバレてはなりません。他のことが起きてはいけませんから。
【プレイヤー】
(他のこと…?)
【プレイヤー】
陛下、他のこととはどういう…
カイナ
それは…
(カイナは何かを話そうと口を開けるも、すぐに閉ざす。)
カイナ
カイナ
【プレイヤー】、ごめんなさい。私はもう戻らなければなりません…確認でき次第、デイナに伝えてください。
【プレイヤー】
わかりました、陛下。
カイナ
ありがとうございます…ではまた会いましょう。
(カイナがなんだか寂しそうな笑顔と共に後ろに下がる。すると待っていたアージェントがカイナに近づく。)
アージェント
…お帰りになられますか、陛下?
カイナ
はい…
(カイナの答えと共にアージェントは、目が合った【プレイヤー】に会釈をする。そしてララン街道とは別の方向へ導く。)
アージェント
こちらです、陛下。
(そうしてカイナとアージェントは消え、彼らの後ろ姿を見詰めていた【プレイヤー】にヘレナが近づく。)
【プレイヤー】
ヘレナさん…
ヘレナ
【プレイヤー】、話しは終わりましたか?
【プレイヤー】
はい、一応。まだ起きてないことですので…
ヘレナ
起きてないことを今から心配してもしょうがないですが…
【プレイヤー】
それでも不安です。とりあえず行ってみるしかありません。
ヘレナ
そうですね、【プレイヤー】…もう向かうのですか?
【プレイヤー】
はい…
ヘレナ
無事であることを祈っております。
【プレイヤー】
ありがとうございます、ヘレナさん…では行ってきます。
【プレイヤー】
(イリスに会うのが先だから、信託の部屋に向かおう。ところで、他のことが起きたらどうなるんだろう?)
【プレイヤー】
(…)
【プレイヤー】
(…心配しなくていいよね。なんとかなるだろうから…)