シナリオクエスト

エピローグ~箱が開いて

イルパン
ヘカテ様、おかえりなさい。
ヘカテ
ああ。
ヘカテ
 
(ヘカテが顔をあげて遠くを見つめる。)
ヘカテ
ここからも庭園がよく見えるのね。よくやってくれた、イルパン。
イルパン
おっしゃる通り庭園の扉を開けておきました。
ヘカテ
扉を開ける過程は大変だったのだろう。君の身体が耐えられなかったかも…
イルパン
僕は大丈夫です。
ヘカテ
大丈夫だったならもっと難しいことをさせるべきだったのな。
イルパン
他の命令も喜んで遂行します。
ヘカテ
わかった。
ヘカテ
ヘカテ
イルパン。
イルパン
はい、ヘカテ様。
ヘカテ
今頃君は私に聞くべきだ。私がどうしてこういうことをしているのか…
イルパン
僕なんかに神様の意中を問うことはできません。僕はあなたの人、ただ命令を遂行するだけです。
ヘカテ
ありがとう、イルパン。やはり君はあの子の人とは違うんだな。
 
(ヘカテがイルパンの答えに満足した顔になる。)
ヘカテ
ふぅ…
ヘカテ
ダフネももう知っているのだろう。まず私が庭園を開けることを許可したのも、君が私の意思に従って庭園を開けてあげたのも。
ヘカテ
…パンドラという獣が賢いあまり獰悪なダフネに騙されたのだ。
ヘカテ
まあ、私でさえ腹の中を全然知らないのだから、獣が騙されたのも無理ではないだろう。
イルパン
ヘカテ様、ダフネが気になるのでしたら僕が処断…
ヘカテ
いいや、君はいつものようにエリシアで時間を過ごせばいい。
イルパン
かしこまりました。失言をお許しください。
ヘカテ
大丈夫。まだ時が訪ねてないだけだ。
ヘカテ
 
(ヘカテが虚しい顔でイルパンの肩を叩く。そして背を向けてどこかにゆっくり歩いて行く。)
ヘカテ
ふぅ、待っていれば月は自ら道て傾けるのだ…

カルロネ
団長、団長は一体なんですか?
ファルミラ
うん?カルロネ、僕?
カルロネ
ここに団長以外誰がいますか?
ファルミラ
カルロネ、知ってるじゃないか。僕はオスキュラス傭兵団の団長、ファルミラ。
カルロネ
そういう答えを求めているわけではありません。
カルロネ
団長と共にプレイオスのあちこちを歩き回っていることが決して単純なことではないことは知っています。
ファルミラ
今日は断固だね、カルロネ…
ファルミラ
ファルミラ
ごめん、カルロネ。バカにしたわけじゃないよ。
カルロネ
カルロネ
仕方ないという顔しないでください…僕の方が悪くなるじゃないですか…
ファルミラ
確信が必要だったんだ。
カルロネ
それで今はどうですか?僕への確信…
ファルミラ
確認は十分だ。既にカルロネは僕の好きな人だから。
カルロネ
ファルミラ
誤解しないで。僕の好きな人の中の一人という意味だから。
カルロネ
わかりました。もう慣れてるので誤解する必要すらありません。
ファルミラ
えーつまらないな。とにかく僕には任務があるんだ。君が魔法庁の研究所の事で僕達の団員になった後から…
ファルミラ
君も助けないといけないけど、過去の事で僕も、僕のボスも守らないといけない。
カルロネ
ボス…?
ファルミラ
悪い貴族家に養子になった後、養子の縁を断った時、死にそうになった日がある。そういう僕を助けてくれた傭兵団長だ。
カルロネ
そういう方がいるとは知りませんでした。
ファルミラ
皆の記憶から消えた人だから…まったく。僕にしか覚えてないなんてあまりだ…
ファルミラ
ボスは僕にとって恩人のような人だ。養子の縁を断った僕が死にかけていた状況で助けてくれた…団長よりボスの方が親しみがあっていいよね?
ファルミラ
ファルミラ
とにかくボスはある瞬間消えてしまった。魔法庁と関わる任務を確認しに行くって行ったきり戻って来なかった。
カルロネ
そうなんですね。
ファルミラ
え…なんだ、その曖昧な反応は…?
カルロネ
魔法庁を調べることの他に知っておくことってありますか?魔法庁のキャンプがここに来た理由も説明できるのですが…
ファルミラ
魔法学園ジェレニスに行った時、僕がシエナと友達だったことに慌ててたじゃん。それは気にならないの?
カルロネ
それは僕と関係ないことだと思いまして…
ファルミラ
酷いよ、カルロネ。もう少し気になってくれてるのかなと思ったのに。シエナは僕が養子の縁を断ったことを自分のせいだと思っているみたい…
ファルミラ
実は僕が養子の縁を断ったのは他の人達が見れないのを見て、感じないことを感じたから…
ファルミラ
魔女だった仔猫を見つけたのも…
カルロネ
魔女?どういうことですか?魔女を見つけたって?
ファルミラ
まって、カルロネ。君の後ろに魔族がいる…気を付けて!
カルロネ
…!
 
(驚いたカルロネが短剣を取り出して後ろの存在に投げる。)
???
うああああ!助けてくださいム!
 
(幸いなのかカルロネの短剣はファルミラが話していた魔族の隣を掠っていく。)
???
イ、インタビューは許可を得るべきでしたが、ごめんなさいム!と、特ダネを見つけないといけないという使命だけでここまで来たのに、死にたくないですン!
カルロネ
…オウム?
???
助けてくださいム!しゃべるオウムだと思ってくださいム!あなたの真似できますン!こ、ここに団長以外誰がいますかム!!!
カルロネ
ファルミラ
魔族だからって身を隠すこともできるのね?さあ、オウムさん。自己紹介をしてくれたら助けてあげるよ。
カルロネ
…団長?
ダニエル
僕は特ダネを求めてローゼンカルテンの外に出て戻る場所がなくてフリーランスになった一介記者ダニエルですン。
ダニエル
助けてくれますかム?
ファルミラ
オウム記者ダニエルさん。
ダニエル
はい!どうぞン!
ファルミラ
もし魔女に関する記事、書いたことある?
 
(ファルミラの質問にダニエルが目を光らせる。)
ダニエル
ありますム!
ダニエル
魔女が魔女を殺して、魔女を集めているというホットなニュースですン!
ダニエル
そしてシルバリア帝国議会のアーロン議長が魔女と手を握ったそうですン!