シナリオクエスト

庭園を守る者

パンドラ
(パンドラの前に大きな水玉が浮き上がって激しく揺れている。)
【プレイヤー】
パンドラ、ここにいたんですね。まさかこれが…
パンドラ
そう。アトラス庭園に向かう扉。アイサル川がものすごい魔力を抱いていたのは庭園のおかげだったみたいだね。
パンドラ
他の疑問はまた後にしよう。
パンドラ
心臓のように動いているこの水玉に入ると庭園に行くことができるはず。
【プレイヤー】
はい…
パンドラ
さあ、行こう。神達の庭園へ…
(パンドラが手を伸ばすとまるで待っていたかのように水玉が広がる。そして招待されていない場所へ向かう2人をそのまま飲み込んでしまう。)

パンドラ
着いたか。
(2人を包んでいた水玉が散って珍しい風景が目の前に広がる。)
(古いとは思えない建物に風車のような構造物が付いて動いている。その下には大きな水槽が全てを支えている。)
【プレイヤー】
すごいですね。こういう場所があるなんて…
パンドラ
こんなことで驚くなんて…まだまだだな。世界は君が知らないところがもっと多くて、大きくて、深い。
パンドラ
涼しいのを超えて冷たい場所…神達はここに何を置いたんだ。
【プレイヤー】
あれ、パンドラ…あそこに誰かがいます。
(周りを見ていた【プレイヤー】の視野に遠くから誰かが走って来る姿が見える。)
(顔と足に包帯を巻いた少年が嬉しそうな顔で【プレイヤー】に走って来る。)
パンドラ
普通の人間じゃない。気を付けろ。
???
会えて嬉しいよ。ちょうど待ってたんだよ。ここはアトラス庭園。神達の真理がある場所さ。
???
ふむ、実は知っている人のみが知っている場所なんだ。あ、人じゃなくて神だけが知っている場所だけど。
???
良くも悪くもここは神に関わる者だけが来られる場所。
???
神の加護を受けた君のような人とか、神のいたずらで余計な運命をもらった魔女とか…
???
まあ、言ってしまえば神達を飲み込んだビーストの食べ残しでしょ?
【プレイヤー】
あなた誰?
???
あっちゃ、僕は君たちを知っているけど、君たちは僕のことが知らないから教えないとね。
???
魔女、君の頭に浮かぶ僕の名前を言ってみて。
パンドラ
……?
パンドラ
メノエティ?
【プレイヤー】
(ま、まって。これは…ヘカテに会った時と似ている。でも、あの時みたいに大きな力は感じない。)
メノエティ
僕の名前はメノエティ。簡単にメノって呼んで。エティって呼んだら怒るよ。
パンドラ
…浮かんだ名前を呼ばせたということは君は神なんだな。
(メノエティが落ち着いているパンドラを見て晴れやかに笑う。)
メノエティ
ああ。はるか昔僕は神という名前で呼ばれていた。なんだかんだ捩れた者って呼ばれるようになったけどね。
メノエティ
神も人間もすべてのことが気に入ったりすることはないからさ。何回かいやだって言っただけなのに…はあ。
メノエティ
世の中にはかわいい名前もたくさんあるのに、何が捩れたって言うんだ?見て。こんなにかわいい僕が捩れたように見えるの?
【プレイヤー】
メノ、それで私達をどうするつもりだ?
メノエティ
僕が捩れた者だからなんでもやると思ったの?ふふ、正解。
パンドラ
好き勝手にしてるな。
メノエティ
友達が食べられたり逃げた世界から久しぶりに目が覚めたんだから、できることは全部してみないとね?
メノエティ
ヘカテの呪いで生まれたビーストの食べ残し。あ、こう呼んでるの長すぎるね。魔女って呼ぶね。魔女パンドラ。
メノエティ
君が探しているものはここいるっちゃいるよ。でもどうしよう?アトラス庭園が目を覚まして、庭師も目を覚ましてしまったんだよ。
パンドラ
庭師?
メノエティ
庭師メテウスは世界の真理と魂を貪るのはそれが誰であっても斬ってしまう。それが自分に鋭い部分をプレゼントしてくれた神だとしてもね。
メノエティ
神さえも殺してしまうぐらい隠したかった真理とは一体なんだろう?気にならない?
メノエティ
あの時僕は命をかけてそれを見つけて魔界に行こうとしていた。ビーストに殺されるよりは魔界の方が安全だったから。
メノエティ
僕一人を殺すために戦闘戦士とセイントバルキリーまで全部連れて来たんだよ?それに庭師も暴れてたし。
メノエティ
まあ…今は全部失敗したんだから真理も何も全部やめて楽しく生きることにしたの。止めたのを庭師も気付いたのか僕に何も言わなかったよ。
メノエティ
ビーストもいないし、僕を殺す存在もいないのに頑張って足掻いて生きる必要もないじゃん。僕欲張ることもないからさ。
メノエティ
その代わり君たちがいる間、庭師の隣でいたずらはするよ。それは許してね。
(メノエティが独り言を終えて聖杯だと思われる杯を掲げる。そうするとさっきまで空いていた杯に綺麗な水が溜まる。)
メノエティ
捩れた運命の星よ。
メノエティ
皆が愛して褒め称えた破滅の運命を抱いた星よ。
メノエティ
君を愛したメノエティが言おう…
(メノエティの言葉が続くと杯に入っている水が激しく揺れながら龍の形に変わっていく。)
【プレイヤー】
な、なんだ…この気分は…
パンドラ
神が授ける…
(パンドラと【プレイヤー】に身体が固まるような恐怖が近づいていたがすぐに消える。)
メノエティ
あ…その次ってなんだっけ?いやあ、わからないな。
(メノエティが笑いながらさっきまで激しく揺れていた水をそのまま飲み込んでしまう。)
【プレイヤー】
メノエティ
今日のいたずらはここまで。だから僕をあまり嫌わないでね。
(メノエティが飲み残りの水を地面に流す。そうすると、地面から跳ね上がった水玉がそのままメノエティを包んで消えてしまう。)
パンドラ
邪魔するつもりなんだな。レビ…、レビ?
【プレイヤー】
パンドラ?
パンドラ
あそこからレビのオーラを感じる。あっちだ。
(パンドラが遠くを見つめていると、遠くからレビのような声が聞こえてくる。)
レビの声
「パンドラ様、僕のためと信じ込んで悪い選択はしないでください…」
【プレイヤー】
これはレビの声?
パンドラ
間違いない。レビの声だ。どうしてここまで聞こえて来るんだ?まさか、ダフネが…
(パンドラが揺れる瞳で急いで走って行く。話をかける隙もなく進んでいくパンドラの後ろ姿を【プレイヤー】も追いかける。)
【プレイヤー】
パンドラ…

(アトラス庭園にあるすべての道と構造物を確認する間、捩れた者を含んだ庭園の中にいる存在に追われ続けている。)
(しばらく敵から逃げて水しぶきをかき分けてからついに確認できなかった最後の奥の空間いたどり着く。)
【プレイヤー】
パンドラ、残りはここだけみたいですけど…何もないですね。
パンドラ
…隠れた壁がある。壁の向こうからレビを感じる。
(パンドラが手を伸ばすとさっきまで見えなかった壁が姿を現せる。壁は姿を現せた瞬間そのまま崩れる。)
パンドラ
レビが、レビが…ここにいるはずなのに…どうして君がいるんだ?
テーション
う…
【プレイヤー】
大丈夫ですか?
テーション
僕は大丈夫ですが、あの方…あの方がパンドラという方ですか?
テーション
聞いたことがあります。離れた邸宅に住んでいて、願い事を餌として人々を殺した魔女…
パンドラ
どう考えたってかまわない。
テーション
今ここはどこですか?陛下からいつか聞いていた魔女達の戦い…その戦いに僕を利用しているのですか?
パンドラ
パンドラ
陛下という者から知ってはいけないことを知っているな。それでダフネが君をここに連れてきたのかもしれない。
テーション
それでエリアスのレビさんは見つかりましたか?
【プレイヤー】
まだ見つかって…
(いきなり【プレイヤー】の前に強く水しぶきが起きてテーションをそのまま空に浮かばせる。)
パンドラ
ダフネ…
ダフネ
私は元々再度勧誘する人ではありませんが、もう一度話した方がいいかなと思いまして。
ダフネ
私に来てください。一緒に夜を迎えましょう。
パンドラ
【プレイヤー】
パンドラ、ダフネの話は無視…
パンドラ
条件をかけてもいいか?
ダフネ
あなたがよければ。
パンドラ
レビの魂が完全になる時まで協力するということで…
【プレイヤー】
パンドラ?今何を言ってるんですか?いきなりダフネと協力だなんて。
パンドラ
パンドラ
【プレイヤー】、君は私を信じているか?アガシュラと魔女である私の話を…私が…
キイ、キイ。
(パンドラの話が終わる前にどこかから機械装置のようなものが不規則な感じで回る音が聞こえてくる。)
ダフネ
(同じ空間にいた人達がその音が聞こえてくる方向に自然と首を動かす。)
(アトランティスをぐるぐる回っている水玉をかき分けて鳥でも人間でも機械でもない存在がみんなの前に飛んで来る。)
(美しい銀灰色の身体を鋭い棘で埋めている奇怪な存在が周りをきょろきょろ見渡す。)
ダフネ
庭師メテウス…
【プレイヤー】
メテウス…?
(表情のない神の被造物が手を伸ばすとさっきまでなかった鋭い刃を抱いた扇が出て来る。)
メテウス
「?界の?理と…たま?をむさ?る者よ。」
(メテウスの音声が奇怪な音と混ざってアトラス庭園に鳴り響く。)
【プレイヤー】
も、物凄い力だ…ちゃ、ちゃんと立つことさえできない。
メテウス
「?の?わりに君たちを審?しよう。?ト?ス庭?の?理を開か?ように…」
(メテウスが扇を振り回すと【プレイヤー】の隣に鋭い風が渡っていく。)
くくくかあああん。
(風に当たった庭園の構造物が破壊されそのまま地面に落ちる。構造物が床に落ちる度に大きな水の竜巻が起きて庭園まで届く。)
パンドラ
世界の真理と魂を貪る者よ、神の変わりに君たちを試そう。アトラス庭園の真理を開かないように…
パンドラ
作られた存在が誰に審判の云々を話しているのか…
【プレイヤー】
パンドラ…
(メテウスが2人を見て扇を広げる。)
パンドラ
【プレイヤー】、君は私を信じているか?
【プレイヤー】
信じているから…ここまで来れました。
(【プレイヤー】の答えが曖昧だったが、それでもパンドラは満足したのが小さな笑顔を見せる。)
パンドラ
わかった。それでは今は一緒に庭師を倒そう。
【プレイヤー】
庭が破壊されたら村に落ちる可能性もあるので危ないです。
パンドラ
やはり君は私とは違うんだな。とにかくその次はダフネを倒して…
【プレイヤー】
ダフネはもうレビ、いやテーションと共に姿を隠しました。
パンドラ
本当に気に入らないやつだ。まあ、それで生き残ったわけだから。
パンドラ
ふぅ、仕方ないな。【プレイヤー】…
パンドラ
私も君を信じて何かをするつもりだ。だから最後まで信じてくれ…少し理解できないところもあるかもしれないが…
(パンドラの視線がメテウスに向かった瞬間、メテウスの足元から紫色に光る魔法陣が広がる。)
パンドラ
君がイリスを信じるように…私がレビを大切に思っているように…
(その瞬間、マテウスの扇から鋭い竜巻が起こってパンドラと【プレイヤー】に向かう。)

パンドラ
メテウスの動きが遅くなった、【プレイヤー】。
(メテウスの攻撃で破壊された庭園の残骸が川に落ちないようにパンドラが引き続き庭園の周りに魔法陣を広げている。)
(メテウスが大きく回転して再び大きな風を引き起こそうとする。その時、隙を狙っていた【プレイヤー】の攻撃がメテウスの扇に届く。)
ドーン!
パンドラ
…?
(2人の強力な力がぶつかり合った瞬間、川から大きな水柱が逆流するように浮き上がって庭園を包んでしまう。)
パンドラ
【プレイヤー】!!
(パンドラが急いで庭園の残骸を空き地に投げる。そして庭園を襲う波にバランスを崩してしまった【プレイヤー】に飛んで行く。)
パンドラ
私の手を握って!
(パンドラが早いスピードで【プレイヤー】の手を握って空に浮き上がると、さっきまで激しく動いていた水の動きが止まる。)
【プレイヤー】
ありがとうございます。おかげさまで生きられました。
パンドラ
メテウスが動きを止めた…見てみよう…
(パンドラが空からメテウスを確認して、冒険者と共に降りて来る。)
(倒れたメテウスが自分に近づく二人を見ても動かない。まるで言いたいことがあって待っているように見える。)
パンドラ
ここまで庭を守りたい神の被造物が止まるわけがないことはわかっているよ。だから言いたいことを言って。
メテウス
「…ここの真理を貪っていた者がいないことに気付いた。」
パンドラ
真理なんかはここにないんだな。
【プレイヤー】
パンドラ、どういう?
パンドラ
メテウスの話を聞いてみて。
メテウス
「…私が知っていた神達の世界じゃないことに気付いた…神に従う者よ。私の判断が誤っていた。ここの真理は…」
メテウス
「…」
(何かを話そうとしていたメテウスの腕と足と翼がとある力によって折れてしまう。その衝撃のせいか、動きが止まったまま倒れてしまう。)
パンドラ
真理の行方を知っている者は君なんだな。ダ。フ。ネ!!!
(パンドラの叫びと共に【プレイヤー】の後ろで魔法陣が広がり、その中で強力な魔力の爆発が起きる。)
(しばらくすると、二人の前にゆっくりとダフネの姿が現れる。)
【プレイヤー】
ダフネ!
(冒険者が近づくダフネに向かって武器を持ち上げるも、ダフネの杖が先に彼の肩を叩く。)
ダフネ
止まってください。
(ダフネの一言と共に逃げようとした【プレイヤー】の動きが止まる。)
【プレイヤー】
(…!)
【プレイヤー】
(か、身体が動かない。)
ダフネ
全てが止まると思いましたが、よくも精神だげが残りましたね…メディアあの子がここまであなたを生きらせるなんて。
ダフネ
今パンドラはあなたを助けることができません。あなたの存在を少し裏面に閉じ込めていますので。
ダフネ
あなたに何もできなかったようにパンドラにも何もできないことをよくわかっています。フフ。
パンドラ
ダフネ…どれだけの魔女を殺してこういう能力を揃えたんですか?
ダフネ
さあ、パンドラ。未だに決められていないようなので少し手助けします。
(ダフネの笑顔と共にどこかから聞きなれている声が聞こえてくる。)
レビの声
「パンドラ様…僕はパンドラ様が…」
【プレイヤー】
(レビ…、レビはどこにいるんだ?)
パンドラ
…レビ、私を信じて。わかった、ダフネ。
ダフネ
ええ、パンドラ。心を決めたようですね。さあ、条件を話してください。
パンドラ
絶対レビに手を付けないという内容で契約しよう。
ダフネ
ダフネ
アガシュラとの契約…レビですが、それは条件の場合が違うと思いますが。
パンドラ
願い事で得られるのが私なら、その代わり君の命をかけて。レビに手を付けるなら死んでも構わないという条件を付けて。
パンドラ
そして私が君と共にするのはレビの魂が完全になる時までだ。
ダフネ
ふふ、考えてなかった条件が多いとは思いますが、良い取引ですね。
(ダフネが満足した笑顔で杖で地面を叩く。しばらくすると、大きな水玉が浮き上がって爆発してその中にいたテーションを地面に落とす。)
パンドラ
(パンドラがアガシュラの術式のように見える魔法陣を作る。そして手に傷を作って血を魔法陣に落とす。)
(血を飲んだ魔法陣が熱く燃え上がっているのを見ていたダフネが近づく。)
ダフネ
パンドラ、一つだけ聞かせてください。アガシュラの契約は絶対ですよね?
パンドラ
超越者の呪いのようなものだからエトワールの神は絶対手を付けることができな…
(その瞬間ダフネの顔が変わる。驚いたパンドラがダフネを止めようとするも、既にダフネがテーションの後ろから姿を現せる。)
ダフネ
素晴らしいですね、パンドラ。
(その言葉と共にテーションの腹部からダフネの杖から出て来た太い枝が飛び出る。そして、テーションが切られた枝と共にそのまま庭園の下に落ちる。)
パンドラ
だ、だめ…う、ううっ…うああああ!
(血の色に赤く染まった魔法陣の中から血が浮き上がってパンドラの顔に落ちる。)
パンドラ
きゃああああ!
【プレイヤー】
(パンドラ!パンドラ!一体どうなってるんだ?ここから出ないと!)
(ダフネが苦しむパンドラと【プレイヤー】の姿を見渡す。)
ダフネ
パンドラ、アガシュラの契約は絶対です。それが今の姿…
パンドラ
だめ。ここで獣の姿に戻ることは…
ダフネ
パンドラ、落ち着いてください。
(ダフネが杖でパンドラの肩を叩く。苦しんで悲鳴をあげていたパンドラがそのまま座り込む。)
ダフネ
これであなたは私と共にすることができますね。そして【プレイヤー】、終わりましたので戻ってきてください。
【プレイヤー】
(ダフネ!一体パンドラに何をしたんだ?う、あ…)
【プレイヤー】
か、身体が動く。パ、パンドラさん大丈夫ですか?
(パンドラが再び現れた【プレイヤー】の顔を見て悲しい顔をする。)
【プレイヤー】
パンドラ?
パンドラ
ごめん、私を信じてくれたのにミスをしてしまった…
ダフネ
パンドラはこれから私と共にします。
【プレイヤー】
どういういことだ?!
ダフネ
寿命を担保にして賭けるのはアガシュラの特徴みたいですね。ふふ。その短い時間に契約条件をもう一つ入れるなんて。
ダフネ
パンドラ自分がレビと同じ色の魂を持つ者に手を付けた場合、契約で結んでいる魔女も死にますようにと…
ダフネ
パンドラは自ら契約してレビの魂が完全になるまで私と共にするという条件をかけました。
ダフネ
それで私が再度契約内容を確認したのです。アガシュラの契約は絶対だから。ですので私はとりあえずレビをそのままにしておきます。パンドラが離れないように…
【プレイヤー】
そんなありえない…
ダフネ
そういうあり得ないことが神にも起きているのに、アガシュラに起きないなんてこともないでしょう。
【プレイヤー】
(ヘカテが話していたのをそのまま…)
ダフネ
パンドラ…テーションの魂は私が知っている安全な場所に返しました。どういう意味なのかわかりますか?
ダフネ
いつでもレビが不完全な状態で死を迎えることができるという話です。
パンドラ
や、やめて…わ、わかったから…
ダフネ
静かに付いて来てください。それがあなたとレビが生きられる唯一の方法ですから。
ダフネ
それより、レビの音声を適当に作っただけなのに、それに騙されるなんて。パンドラあなたって人はまったく…
ダフネ
お、ちょうどあそこに本物のレビが来ていますね。
(ダフネが指差している方向から旅人の服装をしている本物のレビがこっちに向かって走ってきている。)
レビ
今すぐパンドラ様を返して!
【プレイヤー】
レビ?
(レビが握ったビロンタの槍がダフネの首を届こうとした瞬間、ダフネが薄い笑顔になる。)
ダフネ
止めてください。
パンドラ
だめ、レビ!!!!!!!

ドン。
(大きな音と共にレビがその場で倒れる。【プレイヤー】も同じく強い衝撃で後ろに押されてしまう。)
レビ
うっ…
【プレイヤー】
くうっ。またこうやって…
レビ
パンドラ様はどこだ?あの魔女は一体どこへ…
(レビがぼうっとした瞳で周りを見渡すも、彼の前には何もない。)
レビ
【プレイヤー】さん、これが魔女の能力ですか?
【プレイヤー】
そうです。ダフネが持つ能力の一部は他の魔女を殺して得たもの…
レビ
わかりました。急いでパンドラ様を見つけないと…
(レビが足を止めてある場所を見つめる。)
キイ、キイ。
(不規則に回る機械装置の音が聞こえる。)
【プレイヤー】
メテウス…?
レビ
あれは…
メテウス
「…」
(倒れていたメテウスの腕と足、翼が謎の過程で捩れて再び元の姿に戻る。)
レビ
普通のモンスターではありませんね。【プレイヤー】さん、あれをどう相手すればいいですか?
メテウス
「…」
メテウス
「庭園にいる者達は聞け…魔女は消えた。」
メテウス
「魔女は君たちから記憶を消して消えた…」
【プレイヤー】
そうだと思っていた。ところで君はどうやってそれを覚えているの?
メテウス
「私は偉大な壁から神達が創造した存在…星が抱いている記憶を借りただけだ…」
メテウス
「そして今の意識を持っている私はこれ以上は戦わない。」
(メテウスが立ち上がってぼうっと空を見つめる。)
メテウス
「神達が二つに分かれて戦ったのも、生きている者達が戦う理由も、どう考えてみると違わない気がした…」
メテウス
「存在する者達は自分を証明するべきだから…」
メテウス
「神に従う者よ。」
メテウス
「私はこれ以上守るものがない。守るものがないから存在する意味もない。」
メテウス
「愚かな真理さえも消えた世界では…」
メテウス
「神に従う者よ。黒い月が世界の真理になることを望むのか?」
レビ
黒い月…、黒月?
メテウス
「…」
メテウス
「庭園はこれからここに残って下を見下ろす。ここに再度訪ねる時は今のようにこの体を破壊する覚悟をして来い。」
メテウス
「世界を愛していない者の意志通りに動きたくなければ…」
(メテウスが話を終えてゆっくり空に浮かぶ。)
【プレイヤー】
ま、まって!まだ行かないで。聞きたいことがある。
メテウス
「…」
(浮き上がっていたメテウスが【プレイヤー】の顔を見つめる。)
メテウス
「知っているものだけ答えよう。」
【プレイヤー】
庭園はどうして消えてまた現れた?
メテウス
「??????…」
(メテウスが口を開けた瞬間、レビが苦しむ。)
レビ
うううううああああ…
【プレイヤー】
レビ、早く耳を防いでください!
メテウス
「????????……」
(その言葉を最後にメテウスが振り向くこともなく空に飛びあがって姿を消す。)
レビ
レビ
【プレイヤー】さん、あのモンスターがなんて言ってましたか?
【プレイヤー】
神の言葉は許されないと聞くことができません。
レビ
神の言葉…ということはあれは…
【プレイヤー】
ここの真理を守るために神達が作った被造物です…そして…
【プレイヤー】
(レビにイリスの頼みでララン街道に来て、パンドラに会えたことを全て話す。)
レビ
…そうだったんですね。
レビ
パンドラ様は僕のために…だとしてそういう選択は…
(話を全て聞いたレビが顔を下げる。)
【プレイヤー】
ところで、レビはどうやってここに来れたんですか?ここは神と関わる者だけが来れる場所みたいでしたが…
(レビが【プレイヤー】の質問にポケットから真っ白な羽を取り出す。)
レビ
ダフネという魔女がパンドラ様を殺そうとしていると僕を騙してエーギル遺跡の裏面に閉じ込めました。
レビ
天使さんがどう気付いたのかはわかりません、僕をすぐ出してくれました…【プレイヤー】さんが探していたレビで合っているのか確認しながら…
レビ
そしてこれを渡して庭園に行ってみるようにと言われました。
【プレイヤー】
なるほど…
【プレイヤー】
(これからどうしたらいいんだ…)
レビ
【プレイヤー】さん…パ、パンドラ様の魔力を近くから感じます。
【プレイヤー】
はい?
(レビが顔をあげて周りを見渡す。)
レビ
外に出ましょう。
(話を終えたレビが上がってきた方面に急いで走って行く。)
【プレイヤー】
レビがパンドラの魔力と繋がっているということだから合ってると思うんだけど…
【プレイヤー】
わからない…とりあえず向かってみよう。そしたら何かがわかるかも。