パンドラ
メテウスの動きが遅くなった、【プレイヤー】。
(メテウスの攻撃で破壊された庭園の残骸が川に落ちないようにパンドラが引き続き庭園の周りに魔法陣を広げている。)
(メテウスが大きく回転して再び大きな風を引き起こそうとする。その時、隙を狙っていた【プレイヤー】の攻撃がメテウスの扇に届く。)
(2人の強力な力がぶつかり合った瞬間、川から大きな水柱が逆流するように浮き上がって庭園を包んでしまう。)
(パンドラが急いで庭園の残骸を空き地に投げる。そして庭園を襲う波にバランスを崩してしまった【プレイヤー】に飛んで行く。)
(パンドラが早いスピードで【プレイヤー】の手を握って空に浮き上がると、さっきまで激しく動いていた水の動きが止まる。)
【プレイヤー】
ありがとうございます。おかげさまで生きられました。
(パンドラが空からメテウスを確認して、冒険者と共に降りて来る。)
(倒れたメテウスが自分に近づく二人を見ても動かない。まるで言いたいことがあって待っているように見える。)
パンドラ
ここまで庭を守りたい神の被造物が止まるわけがないことはわかっているよ。だから言いたいことを言って。
メテウス
「…ここの真理を貪っていた者がいないことに気付いた。」
メテウス
「…私が知っていた神達の世界じゃないことに気付いた…神に従う者よ。私の判断が誤っていた。ここの真理は…」
(何かを話そうとしていたメテウスの腕と足と翼がとある力によって折れてしまう。その衝撃のせいか、動きが止まったまま倒れてしまう。)
パンドラ
真理の行方を知っている者は君なんだな。ダ。フ。ネ!!!
(パンドラの叫びと共に【プレイヤー】の後ろで魔法陣が広がり、その中で強力な魔力の爆発が起きる。)
(しばらくすると、二人の前にゆっくりとダフネの姿が現れる。)
(冒険者が近づくダフネに向かって武器を持ち上げるも、ダフネの杖が先に彼の肩を叩く。)
(ダフネの一言と共に逃げようとした【プレイヤー】の動きが止まる。)
ダフネ
全てが止まると思いましたが、よくも精神だげが残りましたね…メディアあの子がここまであなたを生きらせるなんて。
ダフネ
今パンドラはあなたを助けることができません。あなたの存在を少し裏面に閉じ込めていますので。
ダフネ
あなたに何もできなかったようにパンドラにも何もできないことをよくわかっています。フフ。
パンドラ
ダフネ…どれだけの魔女を殺してこういう能力を揃えたんですか?
ダフネ
さあ、パンドラ。未だに決められていないようなので少し手助けします。
(ダフネの笑顔と共にどこかから聞きなれている声が聞こえてくる。)
【プレイヤー】
(レビ…、レビはどこにいるんだ?)
ダフネ
ええ、パンドラ。心を決めたようですね。さあ、条件を話してください。
パンドラ
絶対レビに手を付けないという内容で契約しよう。
ダフネ
アガシュラとの契約…レビですが、それは条件の場合が違うと思いますが。
パンドラ
願い事で得られるのが私なら、その代わり君の命をかけて。レビに手を付けるなら死んでも構わないという条件を付けて。
パンドラ
そして私が君と共にするのはレビの魂が完全になる時までだ。
ダフネ
ふふ、考えてなかった条件が多いとは思いますが、良い取引ですね。
(ダフネが満足した笑顔で杖で地面を叩く。しばらくすると、大きな水玉が浮き上がって爆発してその中にいたテーションを地面に落とす。)
(パンドラがアガシュラの術式のように見える魔法陣を作る。そして手に傷を作って血を魔法陣に落とす。)
(血を飲んだ魔法陣が熱く燃え上がっているのを見ていたダフネが近づく。)
ダフネ
パンドラ、一つだけ聞かせてください。アガシュラの契約は絶対ですよね?
パンドラ
超越者の呪いのようなものだからエトワールの神は絶対手を付けることができな…
(その瞬間ダフネの顔が変わる。驚いたパンドラがダフネを止めようとするも、既にダフネがテーションの後ろから姿を現せる。)
(その言葉と共にテーションの腹部からダフネの杖から出て来た太い枝が飛び出る。そして、テーションが切られた枝と共にそのまま庭園の下に落ちる。)
(血の色に赤く染まった魔法陣の中から血が浮き上がってパンドラの顔に落ちる。)
【プレイヤー】
(パンドラ!パンドラ!一体どうなってるんだ?ここから出ないと!)
(ダフネが苦しむパンドラと【プレイヤー】の姿を見渡す。)
ダフネ
パンドラ、アガシュラの契約は絶対です。それが今の姿…
(ダフネが杖でパンドラの肩を叩く。苦しんで悲鳴をあげていたパンドラがそのまま座り込む。)
ダフネ
これであなたは私と共にすることができますね。そして【プレイヤー】、終わりましたので戻ってきてください。
【プレイヤー】
(ダフネ!一体パンドラに何をしたんだ?う、あ…)
【プレイヤー】
か、身体が動く。パ、パンドラさん大丈夫ですか?
(パンドラが再び現れた【プレイヤー】の顔を見て悲しい顔をする。)
パンドラ
ごめん、私を信じてくれたのにミスをしてしまった…
ダフネ
寿命を担保にして賭けるのはアガシュラの特徴みたいですね。ふふ。その短い時間に契約条件をもう一つ入れるなんて。
ダフネ
パンドラ自分がレビと同じ色の魂を持つ者に手を付けた場合、契約で結んでいる魔女も死にますようにと…
ダフネ
パンドラは自ら契約してレビの魂が完全になるまで私と共にするという条件をかけました。
ダフネ
それで私が再度契約内容を確認したのです。アガシュラの契約は絶対だから。ですので私はとりあえずレビをそのままにしておきます。パンドラが離れないように…
ダフネ
そういうあり得ないことが神にも起きているのに、アガシュラに起きないなんてこともないでしょう。
【プレイヤー】
(ヘカテが話していたのをそのまま…)
ダフネ
パンドラ…テーションの魂は私が知っている安全な場所に返しました。どういう意味なのかわかりますか?
ダフネ
いつでもレビが不完全な状態で死を迎えることができるという話です。
ダフネ
静かに付いて来てください。それがあなたとレビが生きられる唯一の方法ですから。
ダフネ
それより、レビの音声を適当に作っただけなのに、それに騙されるなんて。パンドラあなたって人はまったく…
ダフネ
お、ちょうどあそこに本物のレビが来ていますね。
(ダフネが指差している方向から旅人の服装をしている本物のレビがこっちに向かって走ってきている。)
(レビが握ったビロンタの槍がダフネの首を届こうとした瞬間、ダフネが薄い笑顔になる。)