シナリオクエスト

彼の行方

(筋肉質のたくましい体格の男が自分を訪ねた見慣れない旅人を見つめる。)
???
初めて見かける人だが、旅人ですか?
【プレイヤー】
ルリアには初めて来た旅人です。マティアスさんですか?
マティアス
俺はこの村の村長、いや…代表マティアスですが、どういうご用ですか?
【プレイヤー】
あ、私の紹介をさせてください。私は【プレイヤー】…
マティアス
【プレイヤー】、【プレイヤー】…どこかで聞いたことがある気がするが…
マティアス
とにかく、何かを探しているようだが、手伝ってあげますよ。一人?
【プレイヤー】
いや、連れが…
パンドラ
前を向いて。
(目が合ったパンドラが前を向けと顔を傾ける。)
マティアス
どうしたんだ?
【プレイヤー】
連れがいるわけではなく、誰かを探しています、村長。
マティアス
村長、いや…代表…代表?いいや。まあ、なんでもいいか。
【プレイヤー】
ええと、では、マティアスさんでも?
マティアス
はは、村長って呼ばれ方は好きなんだが、うちの娘が嫌がっててな。マティアスさんとても呼んでくれ。
マティアス
それで何を探しているんだ?
【プレイヤー】
友達を探しています。レビという…
マティアス
ふむ…名前だけでは難しいんだ。人相と着衣を教えてくれ。
【プレイヤー】
金髪に青い瞳の青年です。あらゆる女性が一目惚れして告白してくるような見た目をしています。
マティアス
はあ…それならジュンには会わせてはいけない人だな。あ、ジュンは俺の愛おしい娘だ。元々はジュエンという名前だが、みんなジュンと呼んでいる。
【プレイヤー】
(レオンが話していた人はマティアスさんの娘さんだったのか。)
マティアス
あ!思い出した!そういう人が村にいた気がするな。
マティアス
数日前村の熟女達が嬉しい悲鳴と共に走り出した。どこに行きますか、こっち向いてくださいなんてね。
【プレイヤー】
やはり…
マティアス
今はどこにいるのかわからないのだが。今日も村の巡察はしていたが、いつも見かける顔しかいなくてな。
マティアス
お客さんがどこの宿にいるのかまで把握するのは難しいんだ。すまない。
マティアス
ジュンが子供達におやつを分けて探偵遊びをしたらすぐ探せるのだが、ジュンも今ララン街道に出かけていて…
【プレイヤー】
いいえ、言葉だけでも嬉しいです。ではもう少し歩いてみます。
【プレイヤー】
ふむ…それじゃ誰に聞けばいいんだ?
【プレイヤー】
とりあえず村を歩いてみよう。

レオン
ごめんね、僕のせいで転んだよね。眼鏡も割れちゃって。
(レオンが自分とぶつかって倒れたラーナへ手を伸ばす。)
ラーナ
大丈夫ですよ。眼鏡はまだありますから。
(ラーナが晴れやかに笑いながら前にいる人を掴もうとする。)
パンドラ
…?!
(驚いたパンドラが下がると何も掴めなかったラーナがそのまま転んでしまう。)
パンドラ
【プレイヤー】
ラーナさん、大丈夫ですか?
ラーナ
あれ、【プレイヤー】さんの声…
(ラーナが目を擦りながら【プレイヤー】に話をかけているようだが、視線はレオンに向かっている。)
【プレイヤー】
私こっちです。
ラーナ
眼鏡をかけてなくてあまり見えなくて。
レオン
冒険者って僕と似ているのかな…とにかく、ごめんね。眼鏡。補償するよ。
ラーナ
私は本当に大丈夫ですが、補償していただけるなら。
今割れた物はシルバリア帝国の魔法庁で特殊制作したものですので30Elyぐらい…
レオン
【プレイヤー】
レオン
僕そんなお金ないんだ…ごめんね。
ラーナ
冗談ですよ。実は3億Ely…
レオン
助けて…それも高いんだ。しくしく。
ラーナ
前を見てなかった私の責任でもありますので気にしないでください。
(ラーナが新しい眼鏡を取り出して付ける。)
ラーナ
ふあ、やっと見えました。眼鏡をかけないと何も見えなくて…あの、名前を教えてもらえますか?
レオン
レオンだよ。
ラーナ
レオン、レオン…いいお名前ですね。
レオン、気にかけてくれてありがとうございます。私はジエンディア大陸、エリアスから来たラーナです。
レオン
冒険者と知り合いのようだけど、だから僕を見ても驚かないんだね。
レオン
村を訪ねたお客さんだから気になったり必要な物があればいつでも呼んでくれ。
ちゃんとおもてなしするよ。
レオン
夕方にお魚を食べるけど、どう?
ラーナ
ふふ、それはお断りできませんね。
レオン
よし、ではしっかりしたやつを取って来るよ!お腹が空いたらここで呼んでね。わかった?ではまた!
(レオンが手を振りながらそのまま村の川に向かって走って行く。)
ラーナ
ここのお魚料理はどんなものがあるのか楽しみですね。フフ。
【プレイヤー】
【プレイヤー】
あ、ラーナさん。元気でしたか?
ラーナ
私はいつだって元気ですよ。今回は道にも迷わなかったですし。
首都に行ったついでにルリアの話を聞いてすぐ向かいましたが、やはりよかったです。
ラーナ
ところで、【プレイヤー】さんはどうしました?
【プレイヤー】
あ、そうだ。ラーナさんはレビを知ってますよね?レビ・アレンス…
ラーナ
もちろんです。エリアスでレビさんを知らないなんてイイタコより下ですよ。ところでレビさんに何かありましたか?
【プレイヤー】
そうじゃなくて…個人的に探していて、数日前に村に来たという話を聞きました。
【プレイヤー】
それでラーナさんが何か知ってるかなと思いまして。
ラーナ
私も昨日の夜遅くに着いたのでレビさんには会えませんでした。
【プレイヤー】
そうだったんですね。
ラーナ
レビさんに会えたら【プレイヤー】さんが探しているとお伝えします。
【プレイヤー】
私もレビに会えたら伝えておきます。
ラーナ
早く見つかるといいですね。悪い事ではないですよね?
【プレイヤー】
あはは、はい。違います。
ラーナ
よかったです。あ、あっちにお年寄りの方が一人いましたが、その方には聞いてみましたか?
【プレイヤー】
いいえ。
ラーナ
とても親切な方でしたので村を観光するのに助かったんです。
【プレイヤー】
ありがとうございます、ラーナさん。
ラーナ
いいえ。
【プレイヤー】
楽しんでくださいね。また会いましょう、ラーナさん。
(ラーナが手を振りながら【プレイヤー】を見送る。そして小さな布で眼鏡を拭いている時、何かを見つけたのか遠い場所を見つめる。)
ラーナ
パンドラ
(あの女、今私に気付いたわけじゃないよね?)
ラーナ
やっと風景が綺麗に見えるね。たくさん書かないと。ふふ。
(眼鏡をかけたラーナがあちこちを見回りながら村の姿に関心する。)
パンドラ
(パンドラが釣り場に向かうラーナの後ろ姿を確認してから、急いで【プレイヤー】の後ろを追う。)

(老年の女性が遠くから見慣れない人の姿が見えると、お茶を楽しみながら読んでいた本を閉じる。)
???
あの人なのか…
(老年の女性に気付かれていることを知らないまま【プレイヤー】は足を運ぶ。そんな中、パンドラが前を歩いている【プレイヤー】の服を掴む。)
パンドラ
まって。
【プレイヤー】
はい?どうしました?
パンドラ
あの人、普通の人じゃないな。
【プレイヤー】
問題なさそうですけど。
パンドラ
パンドラ
わかった。そしたら君が聞いてくれ。どうせあの人の目に私は見えないだろうが…
【プレイヤー】
はい…
(老年の女性がティーカップをテーブルに置いて近づく【プレイヤー】の顔をじっと見つめる。)
???
こんにちは、【プレイヤー】。
【プレイヤー】
こんにちは。あれ…?私を知ってますか?
???
私を知っていると思いましたが、違いましたか。
【プレイヤー】
どういうことでしょうか?私は村人に聞きたいことがあって…
???
そうでしたか。では私の紹介をさせていただきます。私はヘレナ・シルバリア。
【プレイヤー】
そうですね…はい?!
(ヘレナと自分を紹介した老年の女性が【プレイヤー】の反応が面白かったのか薄い笑顔を見せる。)
ヘレナ
何をそんなに驚いているんですか。私が陛下とデイナ、シエナの叔祖母です。
【プレイヤー】
あ、皇族だったのですね。なんだか雰囲気が似ていました。
ヘレナ
皇族…私は半分だけの人間ですので言いにくいですが。正妻の皇妃から生まれたわけではないので…それでもお兄さんに可愛がってもらいました。
ヘレナ
余計な話をしてしまいましたね。【プレイヤー】の話は聞いています。それですぐ気付くことができました。
【プレイヤー】
私がヘレナさんについて何かを聞いて来たと思ったのですね…
ヘレナ
それでどういう用件ですか?【プレイヤー】…個人的に帝国と関わらないことだといいのですが。
【プレイヤー】
帝国のことではなく、個人的に人を探しています。
ヘレナ
大事なことのようですね。私が役に立つかはわかりませんが…
【プレイヤー】
ジエンディアから来た青年です、金髪に青い瞳…
ヘレナ
レビ・アレンスと言いましたか?美しくて気品あふれる。人の目を惹いていた魅力的な青年…
【プレイヤー】
ご存じですか?
ヘレナ
最近見かけないかっこいい青年だったので覚えています。
生きているうちにそこまでの顔はあまり出会えてないのです。
ヘレナ
私が引退した考古学者と知っていたのか、遺跡についていろいろ聞いてくれました。
【プレイヤー】
考古学者だったんですね。あ、あっちにあるのも遺物のようでした…
ヘレナ
わかりますか?歴史と遺物が好きで若い頃から努めていました。
ヘレナ
村の近くにあるエーギル遺跡を見つけたり、遺物を研究してテオドール、あの子が好きそうな話を明かしたり。
【プレイヤー】
すごいですね。ところで、教授とも知り合いなんですね。
ヘレナ
テオは甥っ子のような子です。
【プレイヤー】
そうなんですね…あ、その後はレビを見かけたりしていませんか?
ヘレナ
あの時以来その青年に会うことはできませんでした。
ヘレナ
村に戻っているなら女の子達が幸せな悲鳴をあげているのでしょう。
ジュエンも食事の時にあの男についてずっと話していただろうし…
【プレイヤー】
ふむ…
【プレイヤー】
ヘレナさん、私が遺跡に入ってもいいですか?確認したいものがありまして。
ヘレナ
許可は取らなくても大丈夫ですよ。ただ、入るなら気を付けてくださいね。
【プレイヤー】
遺跡に何かありますか?
ヘレナ
私が引退したあと、他の考古学者達が遺跡地を調査している時怪我をしたことがあります。
いくら調査をしても答えが見つからなかった遺物と機械装置が急に動いてしまって…
パンドラ
…!
ヘレナ
私が確認しようとしましたが、陛下に止められてしまったのです。予知を見たのでしょう。
ヘレナ
それで騎士団を派遣して調査して、あの物達が特殊な状況でのみ動くという結論に至ったのです。
ヘレナ
それでも少し不安なのです。
【プレイヤー】
(そういうことがあったんだ…)
ヘレナ
子供達にあなたが強い人なのは聞いてわかっていますが、気を付けて悪いことはありませんから。
【プレイヤー】
気を付けます。きっと大丈夫です。
ヘレナ
それなら…
ヘレナ
村の遠くに大きな岩のようなのが建てられていますが見えますか?あれがエーギル遺跡です。
ヘレナ
では【プレイヤー】、求める物が見つかることを祈ります。そしてジュエンという子が遺跡地の前にいたら、夕が暮れる前に戻るように伝えてください。
【プレイヤー】
ヘレナさん、ありがとうございます。
ヘレナ
いいえ。
【プレイヤー】
ジュエンにも伝えておきます。
ヘレナ
ありがとうございます。あ、もうこんな時間に…私は少し休みます。
【プレイヤー】
あ、私のせいで…
ヘレナ
いいえ。この年齢になると自然とこうなるようなものですから。ふふ、ではまた会いましょう、【プレイヤー】。
【プレイヤー】
はい、おやすみなさい、ヘレナさん。
(ヘレナが席を外すと、パンドラが静かに【プレイヤー】の肩を叩く。)
【プレイヤー】
パンドラ…?
パンドラ
君の言う通りだ。ヘレナという人、普通の人じゃないけど、問題はなさそうだ。
パンドラ
行こう…遺跡の中を見たい。少しずつレビを感じるんだ。
【プレイヤー】
(お互いの魔力を感じるのか?)
パンドラ
パンドラ
どうした?
【プレイヤー】
あ、行きましょうか?
パンドラ
うん。
パンドラ