シナリオクエスト

再びの不安

レオン
ふあ、到着!あうううう!
(村に入ると風に乗って風車と水車が回る姿が目に入る。)
【プレイヤー】
ここも美しいですね。今すぐ散歩に出掛けたいぐらい…
レオン
だよね?このルリア村には1回も来なかった人はいるけど、1回だけ来る人はいないんだよ。ふふ。
レオン
それより冒険者。かっこいいじゃないか。あんなにたくさんいたモンスター達をそんなに簡単に相手するなんて。
【プレイヤー】
レオンもすごいです。いろんな動物を脅かして追い出して、モンスター達も倒して。
レオン
いやいやそんな言うなよ。冒険者に比べたら普通の村人さ。あ、普通の村獣人か?
レオン
ところで冒険者、僕たちの村で何をするの?
【プレイヤー】
友達を探しています。
レオン
友達?冒険者の友達ならきっとすごい人なんだろうな?
【プレイヤー】
はい、すごい人です。
レオン
僕も探してみようかな?
【プレイヤー】
ありがとうございます、レオン。あれ、レオン?
(急にレオンの動きが遅くなってそのまま止まってしまう。まるで誰かがいたずらをしたかのように【プレイヤー】の視野が歪み始める。)
【プレイヤー】
これは…
【プレイヤー】
(【プレイヤー】の周りにいた人達の足も遅くなりはじめ止まってしまう。その時、人々の周りに見慣れている存在の姿が浮き上がる。)
【プレイヤー】
ダフネ。
(名前を呼ばれた存在がゆっくり【プレイヤー】の隣に近づく。)
ダフネ
静かに立ち去ろうとしたのですが、私に気付いたのですね。
【プレイヤー】
どうしてここにいるの?
ダフネ
前回もそうですが、今日もあなたには用がありません。あ、もしこの話を覚えていますか?
【プレイヤー】
ダフネ
顔を見ると覚えているようですね…
【プレイヤー】
余計な話は要らないよ。ここで何をしていたのか話してくれ…
ダフネ
ダフネ
そんなに私の話が聞きたいのですか?では村から離れた場所でお話します。
【プレイヤー】
ここで話して。
ダフネ
疑い深いですね…私があなたの要求のせいで、予定にもなかった村を人質にしないといけないのですか?
【プレイヤー】
【プレイヤー】
わかった。
ダフネ
ララン街道のどこかに人達の足が届かない場所があります。あなたが感じる異質的な力を追えば私にたどり着くのでしょう…
(ダフネが笑顔で背中を向ける。そして人々の間に歩き出す。ダフネの姿が幻影のように消えた頃、止まっていた人々の時間が元に戻る。)
【プレイヤー】
【プレイヤー】
急がないと。
(気を取り直して周りを見ていた【プレイヤー】の目に心配しているレオンの顔が入る。)
レオン
冒険者、どうして一人でしゃべってるんだ?疲れてる?
【プレイヤー】
あ、いいえ。あ、レオン、一つだけ聞かせてください。ララン街道に人達が行かなそうな場所ってありますか?
レオン
うん、あるっちゃある。本当に何もない空き地が一つあるんだ。元々そこに魔法庁の倉庫を立てる予定だったんだけど…
【プレイヤー】
魔法庁ですか?
レオン
うん。あ…これを説明するのはマティアスおじさんの役割だけど…もしかして説明が必要なの?
【プレイヤー】
あ、説明はまた聞きます。急いでて…
レオン
案内したい気持ちはいっぱいだけど、村でやることがあって…
【プレイヤー】
大丈夫です。どうやって行けばいいのかだけ教えてもらえませんか?

(レオンがくねくね描いてくれたララン街道の案内図のおかげで、迷わなくてもよかった道を迷ってしまう。そしてララン街道の一番奥だと思われる場所で自然と足が止まる。)
【プレイヤー】
ここだな。レオンが言う通りなのもない空き地…
【プレイヤー】
【プレイヤー】
ダフネ、もう出てきて。どこにいるの?
(遠くに川とダムが見えるだけで何もない場所だと確認した時、周りの空気が少しずつ変わる。)
【プレイヤー】
【プレイヤー】
ダフネ、早く出てきて。約束を守って。
???
【プレイヤー】….
(周りを見ていた【プレイヤー】の後ろからダフネじゃない女性の声が聞こえてくる。)
(赤色のリボンと薔薇で装飾されたブラックゴシックドレス姿の金髪の女性がゆっくりと【プレイヤー】の隣を通り過ぎる。)
???
うさぎ魔女は最初から君に約束なんてしてないのさ。ちゃんと約束をしてしまうと抗うことができないから…
???
魔女は魔女に会うしかないのか?
???
ダフネ、私パンドラに用があるならいたずらはしないで姿を現せろ…
【プレイヤー】
パンドラ…?パンドラ?!
(自分をパンドラだと明かした女性の話が終わると、周りを包んでいた帳が一つずつ消える。そしてその間から長い耳をぴくぴくさせている女性の姿が現れる。)

ダフネ
こんにちは、パンドラ。
ダフネ
こうやって会うのは初めてですね?どういうのが好きなのかわからなかったのでたくさん悩んだのですよ。気に入りましたか、パンドラ?
パンドラ
パンドラ
【プレイヤー】にいたずらをしたのはあまりだったが、私に会うためだったのなら褒めてやろう。
【プレイヤー】
ダフネ…
パンドラ
【プレイヤー】、ダフネに言いたいことがたくさんあるのはわかるが少し下がっていてくれないか?あのうさぎ魔女が君を利用したのは私のせいだから。
【プレイヤー】
はい…
ダフネ
【プレイヤー】、パンドラには優しいのですね。私にもそういう姿を見せていただきたかったのに。
パンドラ
余計な話はそこまでに…ダフネ、君は夜にどれだけ近づいているんだ?
ダフネ
深い夜になるにはまだかかりますが、あなたが力を貸してくれるならきっと大丈夫でしょう。
パンドラ
君が求めている夜と私の夜は違うはずだが、どうして私の力を求めているんだ?
ダフネ
そりゃあなたはレビの主ですから。
【プレイヤー】
…!
パンドラ
パンドラ
今なんて言った?
ダフネ
パンドラ、あなたが力を貸してくれるなら何も起きませんよ。誰も怪我もしません。もちろん、レビも…
ダフネ
うっ…
(ダフネがレビを言及した瞬間、ダフネの頬っぺたにあった怪我から血があふれ出る。)
パンドラ
もう一度行ってみろ。
ダフネ
ふふ、想像通りですね。彼はあなたにとって大切な人だから。
(ダフネが平然と血を拭く。)
パンドラ
私がここで君を殺しても構わないという話なのか?
ダフネ
パンドラ、本当に私を殺せますか?
パンドラ
ダフネ
あなたは知っているはずです。私を殺したら永遠にレビには会えないということを。そしてあなたが望んでいる目標にも届かないということも。
パンドラ
今レビはどこにいるんだ?!
ダフネ
ダフネ
これからのあなたにかかっていますよ。
ダフネ
パンドラ…
(いつの間にか近づいた濃い闇がダフネの前に壁を作る。そしてその壁の裏から見える魔女の笑顔がパンドラと【プレイヤー】の足を止めてしまう。)
ダフネ
箱を開ける準備はできましたか?
(その言葉と共に闇がカラスが割れるように粉々になる。そして裏に立っていたダフネの姿も粉になって消えてしまう。)

(少しとどまっていた闇が消えて冷たいララン街道の空気を感じる。)
【プレイヤー】
パンドラ
(パンドラが虚し顔で空を見つめている。)
パンドラ
邸宅から出た瞬間から覚悟はしていた。けれど、レビの名前を聞いただけで何もできないなんて…
【プレイヤー】
パンドラ、大丈夫ですか?
パンドラ
(パンドラが【プレイヤー】の顔をじっと見つめる。)
パンドラ
最初から思っていたが、君はいつも他の人の心配をしているな。
パンドラ
そういうところが君を今まで生かせて、強い人にさせたんだろう。
【プレイヤー】
褒めてるんですか?
パンドラ
ええ。
パンドラ
レビがいいところがある人は褒めてあげるといいって言っていたんだ。
【プレイヤー】
何だか…結構変わりましたね。
パンドラ
そうか?力を少しずつ取り戻しながらこの姿になってはいる。私の元の姿に戻るのは難しいだろうけど…
パンドラ
それでもプレイオス大陸に来るぐらいにはなった。
【プレイヤー】
(そういう意味の変わりじゃないけど…)
パンドラ
【プレイヤー】、君は戻った方がいい。相変わらず魔女の夜に近づくのは危ないんだ。
【プレイヤー】
魔女の運命を知っています。
パンドラ
どこからどこまで知ってるんだ?まさか…
パンドラ
パンドラ
夜を追う者の運命を与えた者に会えたのか。そして夜を追う者達がお互いを殺していることも…
パンドラ
神の使いとは知っていたが、ここまで知っているとは。
【プレイヤー】
ところでパンドラ…
パンドラ
何を言いたいのか知っている。私が魔女を殺したかって?
パンドラ
私は魔女を殺さないさ。魔女を殺したこともないし。
【プレイヤー】
パンドラ
アガシュラである私が魔女の運命を受けているのにも関わらずそういうことをしてないなんて信じがたいのだろう。
【プレイヤー】
信じます。
パンドラ
パンドラ
わかった。
【プレイヤー】
そしてレビも一緒に探しましょう。私はレビを説得するためにここに来ました。
パンドラ
詳しく話してくれ。
【プレイヤー】
レビがパンドラを探すためにプレイオス大陸にいるのなら、他の魔女のターゲットになる可能性があります。
【プレイヤー】
それでイリスにレビを説得してジエンディアに帰らせてほしいと頼まれたんです。
【プレイヤー】
レビがルリア村に向かっていると聞いたので来たんですけど、パンドラに会えるとは思いませんでした。
【プレイヤー】
どうしてここにいるんですか?
パンドラ
パンドラ
レビにあげたいものがあるのに、それがララン街道のどこかにあるんだ。それのためにここに来た。何を心配しているのかもわかっている。
パンドラ
私がレビのためにやっていることは、絶対にレビが嫌がる手段と方法になることはない。
【プレイヤー】
わかりました。
パンドラ
パンドラ
一緒にレビを探そう。うさぎ魔女がまたいたずらをしているかもしれないから。
【プレイヤー】
では一緒に村に行きましょう。
パンドラ
あ…
【プレイヤー】
どうしました?
パンドラ
人が多いのは慣れてないから村人たちには君が話してほしいんだ。私はそういうのが苦手で…
【プレイヤー】
ああ、わかりました。私が先に行きます。
パンドラ
パンドラ
やはり君はよくわからない人だね…
【プレイヤー】
(それより村の誰に話をかければいいんだ。)
【プレイヤー】
(あ、レオンがマティアスおじさんという人の話をしていたよね。誰なのか話してくれるって言ってたのに…)
【プレイヤー】
(とりあえずその人に行ってみよう。聞いたら何かわかるかもしれない。)