(イルファンがエリシアの空を見詰めていると、自分を訪ねた客がいることに気が付く。)
イルファン
長い時間誰も訪れていないエリシアがここまで混むなんて…
ヘカテー様が閉じ込められる前はどれだけの人が来たのか予想もつかないぐらいだ。
イルファン
ヘカテー様が彼のための試練の場所を作って、他の世界の神を呼び込んだのもそうだし。
(ダフネが植物の葉っぱで淹れたお茶をイルファンに渡す。)
イルファン
あ、これはイーストランドの香りだな。生前アズナ温泉に身体を浸かって時間を過ごしていた頃を思い出すなんて…
イルファン
生前の記憶を基に茶を楽しめることも、ヘカテー様に感謝しないとだな…
ダフネ
一族の子を助けてくださったあの時は本当に感謝しています。私にできるお礼がお茶しかなかった頃でしたね。ふふ。
イルファン
あの頃のあの茶もよかったのだが。それを未だに気にしてるのか?俺も力を貸してもらった時があるんだ。そんなに気にすることじゃない。
イルファン
さて、本題に入ろうか。ヘカテー様の目を避けてエリシアに来たのは知っているんだ。
イルファン
黒い月を隠すくらいの力を使っているのであれば君にも大事なことなのだろう。
ダフネ
アガシュラは契約で自分を失くしますが、私は違います。
ダフネ
もう一度お願いします。エリシアに縛られている不完全な生き方ではなく、完全な生き方を差し上げます。
イルファン
力を貸してやろう。ただ、報酬はいらない。俺はここの生活に満足しているんだ。その代わり、いつかヘカテー様を助けてくれ。
イルファン
それはその時考えることにして。さて、話してみてくれ。お願いってなんだ?
ダフネ
準神に近いイルファン様なら庭園を開けてくださると思っていました。
やはりその通りだったのですね。ふふ。
ダフネ
他の意志のため夜を追う子を再び迎えます。ヘカテー様の力になることです…
イルファン
わかった。俺に付いて来てくれ。ところで、この子…君の連れなのか?
ダフネ
はい、私を助けてくれる子です。
おそらく逃げるばかりだった子よりははるかに力になるはずです。
キルケ
ダフネ、ダフネ。その庭園という場所、楽しい?
ダフネ
もちろんですよ。キルケに新しいお友達ができると思います。
ダフネ
あの子が求めているのは笑顔と愛ですから。ふふ…