シナリオクエスト

2番目の試練

イルファン
(目を閉じて何かを考えていたイルファンが近づく【プレイヤー】の気配に目を開ける。)
【プレイヤー】
言われた通り休んできました。
イルファン
神の加護のおかげなのかエリシアでの回復が早いようだな。
【プレイヤー】
(体が軽いのはあるけど、早いのは違う気がするな…)
イルファン
イルファン
さて、右側を見てくれ。
イルファン
黒い月の試練に入ったように月の形の岩の前に立って手を伸ばしてみてくれ。
イルファン
試練の場所が君を導くはずだ。
【プレイヤー】
今回も乗り越えて来ます。
イルファン
自信満々だな。では行ってきてくれ。
【プレイヤー】
あの…、イルファンさん。
イルファン
どうしたんだ?
【プレイヤー】
この試練をすべて解決するとエリシアで私にできることは全部終わりますか?
イルファン
ふむ。
イルファン
俺の試練じゃないので確答はできないが、ヘカテー様は約束を守るはずだ。
イルファン
もちろん、急に心が変わるかもしれないが…
【プレイヤー】
【プレイヤー】
なんだ、ただの気まぐれか。
イルファン
ハハ、君のように神を扱う者は初めてだな。警告したはずなのに…
【プレイヤー】
独り言ですから聞かなかったことにしてください。では行ってきます。
イルファン
試練が楽しいわけではないだろうけど、では幸運は祈ってあげるよ。
【プレイヤー】
【プレイヤー】
(あまり聞きたくない応援だな。)

(月の形の岩に手を伸ばした瞬間、どこかから浮き上がった影が再び新しい場所へ連れて行く。)
(寂寞とした坂の上の巨大な岩に刻まれた人の顔が下を見下ろしていて、坂と坂の間に鋭い棘の蔓がたくさん置いてある。)
【プレイヤー】
息が詰まりそうだ…
【プレイヤー】
【プレイヤー】
しっかりするんだ、【プレイヤー】。ここは普通な場所じゃない…というか、道はどうした?
(鋭い石の欠片を集めて作られた道の上に、とげとげしい植物の茎がおいてある。)
【プレイヤー】
試練だからってこういうのを置くなんて…
【プレイヤー】
【プレイヤー】
気持ち悪いあの岩の顔と目が合ってしまったな。
もしかして聞いてるのか?ふぅ、そしたら一言言わせてもらいます。
【プレイヤー】
約束は守ると言われたので信じてみます。では…

(望んでいない試練だったが、受け入れて他の方法を探してしばらく道に迷っていると、行き止まりの道にたどり着く。)
(遠くにアグニの火花のように赤く燃え上がっている篝火が立っている。)
【プレイヤー】
ここで何をしたらいいんだ?
【プレイヤー】
【プレイヤー】
あれは…
(足を踏み出した瞬間、女性の姿の石像を一つ見つける。)
(血の涙を流しているような印象の女性の3人が一つの状態で篝火と鍵、短剣を持っている姿に奇怪を超えた感情を覚えてしまう。)
【プレイヤー】
なんだこれ…
(石像に近づいた瞬間、石像が風に揺れるようにガタガタする。)
【プレイヤー】
(石像の瞳が大きくなって、閉じていた口が広がる。口から流れる音は【プレイヤー】の耳元に流れて頭の中をかき回し始める。)
???
……!
【プレイヤー】
うううう…
???
…………!!
【プレイヤー】
うううっ、やめて…まって、なんだと?今なんて言った?
(アンシャラに会えた時のように、石像のメッセージが自然と【プレイヤー】の頭の中に広がり始める。)
???
「お前も私を殺しに来たのか。」
???
「キシャラを殺さないで。」
???
「死から戻るのがどれだけ難しいのかわかってるのか!」
(キシャラと言った石像が話す度に謎の苦痛と恐怖が【プレイヤー】を襲う。)
【プレイヤー】
(耳を塞がないと。何かいいものが…あ、これは…)
(冒険者がポケットから出たオレンジ色に驚くも、急いでリボンを切って耳を塞ぐ。)
【プレイヤー】
…少しマシになった気がするな。ふぅ…
(キシャラが引き続き謎の言葉を喚き散らす中、少しずつ動き始める。)
キシャラ
「二度と死にたくない。」
キシャラ
「ヘカテーがキシャラを助けてくれるのかな?」
キシャラ
「神の前で膝を折らないなんて傲慢だな。」
(まるでお互い違う人格を持っているようにそれぞれ話していたキシャラがいきなり鍵と篝火、そして短剣を持ち上げる。)
【プレイヤー】
まさか…
(それぞれのキシャラが決めた目標は同じだったのか、皆で叫ぶ。)
キシャラ
『この場でお前を殺す!』

(大きな衝撃と共にキシャラの体から破片が跳ね上がって床に刺さる。)
ドン!
【プレイヤー】
はあ、はあ…
キシャラ
「…」
(石像の頭の部分が少しずつ割れてそのままバランスを崩して床に倒れる。)
【プレイヤー】
(バランスを崩した石像が全体的に割れ始めると、静かだったキシャラが口を開けてしゃべり始める。)
キシャラ
「また生きられるチャンスをもらったのに…」
キシャラ
「最初からこの体では生きられなかった。」
キシャラ
「ヘカテーがキシャラを利用したんだよ。」
キシャラ
『もう終わりだ。』
【プレイヤー】
【プレイヤー】
あなた達に文句はない。でも私は試練を終わらせる必要があるんだ。
キシャラ
「既にわかっていた。逃げた神の最後を…」
キシャラ
「戻る場所はなかったのよ。」
キシャラ
「誰か歌ってたのが消えたのも…」
キシャラ
『ヘカテーの手を握るんじゃなかった。ヘカテーを閉じ込めたのは…、ヘカテーが閉じ込めたのは…』
キシャラ
『くああああっ…』
(謎の言葉をしゃべっていたキシャラが奇怪な鳴き声を発しながらまた起き上がる。)
キシャラ
『私達は、キシャラはこのまま倒れられないわ。死ね!!』
(キシャラの攻撃が届く前に【プレイヤー】の攻撃が先に壊れた隙に入ってしまう。)
キシャラ
『…』
キシャラ
『ヘカテー、お前の言う通り永劫の時間の中に閉じ込められた魂を取ればいけると思っていたのに…』
キシャラ
『くああああ…、くああああ!』
(奇怪な悲鳴と共にキシャラの口が止まって、破壊された場所にひびが入る。)
(そして大きな轟音と共にさっきまでキシャラだった石像は粉になって試練だった空間から飛び散る。)
【プレイヤー】
【プレイヤー】
暗くなっていくってことはそろそろ登場するのか…まあ…
【プレイヤー】
ヘカテー、試練は終わった。今すぐ出て約束を守れ!
(試練の中から沸き上がった影が全てを染めている頃、どこかからヘカテーがゆっくり歩いて来る。)
ヘカテー
ヘカテー
今回もよくやった。キシャラの力もエリシアのための養分になったのだろう。
ヘカテー
入れる場所がなくて私に似てる石像に入れたのだが、それがキシャラの足を止めたみたいだ。
ヘカテー
相応しくもない希望を抱いたようだな。
ヘカテー
試練を乗り越えたことについては誉めてやろう。よくやった、必滅者よ。
【プレイヤー】
褒められたくないから早くアルケーとヒルダ、プネウマから手を放せ。
ヘカテー
ヘカテー
あの子達に大切にしてもらってる君という人間は本当に気に障るな。
ヘカテー
神の声が決して軽くないことはわかっているはずなのだが。ああ、返してやろう。
(ヘカテーの言葉と共に周りにあった影が少しずつ引いて、その下に倒れているヒルダが見える。)
【プレイヤー】
ヒルダ!!
(急いでヒルダを支える【プレイヤー】の姿を見ていたヘカテーが嘲笑を見せる。)
ヘカテー
おかげさまで楽しかったよ、必滅者よ。ヒルダを連れて帰れ。
ヘカテー
ヒルダが目を覚ました瞬間から君は選ばなければならないのだろう。
ヒルダを魂を破壊してそのまま取るのか。それとも君の魂が崩れてヒルダに殺されるのか。
【プレイヤー】
…どういうことだ?
ヘカテー
君も、ヒルダも求めていなかっただろうが、既に魂がそういう運命で生まれたのだ。
老人が触れた君の魂を死へ導くこと以外、私にできることはない。
【プレイヤー】
【プレイヤー】
そんな。そんなはずがない。私は私…
ヘカテー
そんな起きるはずのないことが神である私にも起きているというのに、
君だけが例外でいられるとでも?既に君の魂は君一人のものではないのだ。
ヘカテー
君もわかっているのだろう。
ヘカテー
いくつかの時間の中で君は他の姿で現れたこともあって、死んだこともあった。
ヘカテー
ふふ。
ヘカテー
イリス、あの子が君の呪いを解けるのも限界があるのだろう。
そのまま呪いを受けて罪人になるのも悪くはない。
ヘカテー
死なないように足掻いても結果は同じだ。必滅者よ。
若干の差があるのなら、誰に殺されるのかぐらいだろう。
【プレイヤー】
ヘカテー
エトワールと関わった神さえも死んでいる…
ヘカテー
ふふ、恐れる必要はない。未だ、愉しみは数多く残ってるのだ。
ヘカテー
私の力で夜を追う魔女になった子達、彼らがやることを見守ってやれ、必滅者よ。ここまで話してしまうなんて、眠っているガイアに悪いね。
【プレイヤー】
ヘカテー!!
(自分の名前が呼ばれたのが気に入らないのかヘカテーがおでこにしわを寄せる。)
ヘカテー
君の無礼を許すのも今日が最後だ。では、必滅者よ。
また逢う日までせいぜい生きていてくれ。
ヘカテー
そしてイリスも…
(挨拶を最後にヘカテーが濃い影の中に身体を隠す。そして、漂っていた影も物凄いスピードで消えて行く。)
【プレイヤー】
ヘカテー、待て!!
【プレイヤー】
【プレイヤー】
クソ…
【プレイヤー】
どうして私が…
ヒルダ
う…、う…
【プレイヤー】
あ、ヒルダ。気が付きましたか?
ヒルダ
【プレイヤー】….
ヒルダ
(目を開けられていないヒルダが【プレイヤー】の名前を呼んでそのまま再び気を失う。)
【プレイヤー】
ヒルダ?しっかりしてください、ヒルダ…
【プレイヤー】
【プレイヤー】
カズノ?あ、そうだ。ジェリルが…
カズノ
ジェリルの心配はしなくていい。お前はすぐ精霊世界を確認してみろ。この魔女は俺が…
【プレイヤー】
まって。ヒルダがウロボロスを呼ぶ餌というのはわかってるんだ。それで連れて行くつもりだろ?
カズノ
今はそういうつもりがない。とりあえず、イリスに行くとこの魔女は生きられる。
【プレイヤー】
それならなおさら私が連れて行くべきだ。
カズノ
【プレイヤー】!しっかりしろ!今は俺の話を聞け!
カズノ
お前のためにも、イリスのためにも、俺の話を聞け!
カズノ
ここを離れてヒルダが目を開けてお前を見詰めた瞬間、一人は死ぬんだ。だから…
【プレイヤー】
カズノ
お前の手で最悪の瞬間を迎えたいわけじゃないなら、今は俺に任せろ。
【プレイヤー】
わかった…
(カズノが諦めたように答える【プレイヤー】の顔を見詰めながら、ヒルダを支える。)
カズノ
またイリスに相談してくれ。この魔女の居場所をどうするのか。そして、しばらくはヒルダに手を付けないようにしよう…

(カズノがヒルダを支えた瞬間、その場で姿を消す。)
【プレイヤー】
消えた…どうやって…
【プレイヤー】
ヒルダが戻って来たのはいいけど、それでも…プネウマは大丈夫なのか?アルケーは…
【プレイヤー】
イルファンさんに聞かなきゃ…
【プレイヤー】