モルガナ
ここまで耐えられるとは思いませんでした。でもこれが最期…
【プレイヤー】
(隙があるかわからないけど、それを狙うしかない…)
(モルガナがペンダントから光を出して攻撃しようとした瞬間、その光が徐々に暗くなっていく。)
(モルガナが慌ててペンダントを振るが、光は元に戻らない。)
【プレイヤー】
…何があったのかはわからないが、もう終わりだ。
(先ほどまで多くの攻撃を放っていたモルガナだが、無力にペンダントを奪われる。)
【プレイヤー】
これが能力を増幅させる道具みたいだな。お前の話通りしっかり片付けるよ。
(モルガナの叫びにも拘わらず地面に落ちたペンダントは【プレイヤー】によって破壊される。そしてモルガナとペンダントの周りをぐるぐる回っていた黒い光が薄くなっていく。)
(しばらくすると、どこかからガラスの割れる音が聞こえ始める。)
モルガナ
モードレッド!こっちに来てください!ここに来てあなたの遊び相手を殺してください!
【プレイヤー】
モルガナ、全部終わったんだ。諦めろ…
(モルガナが興奮していると、背後から大きな影の帳が湧き上がる。そしてその隙間から植物の蔓で包まれた大きな杖が浮き上がりモルガナの肩を叩く。)
モルガナ
モードレッド!早く来て。この、この女を殺して!どうして答えてくれないの?
???
あなたの力を借りました。記憶を操作して、空間を歪曲させるあなたの能力で…
???
あの子が遊びたがる永遠の時間へ行かせてあげました。
???
誰かの記憶を基に作られた命…生まれ変わったわけではありませんがまるで…
(モルガナが地面に落ちた兜を抱きしめて座り込む。そして、モルガナの後ろから杖を持つ女性がゆっくり歩いて来る。)
???
こうやってお会いするのは初めてですか?
私と挨拶なんてしたくないかもしれませんが、自己紹介はさせてください。
(姿を現した女性が名前を明かした瞬間、聖堂が再び大きく揺れる。)
ダフネ
今はあなたも知っての通り一介の魔女の一人です。
(ダフネが微笑むとその周囲に謎の力の障壁が張られ、ダフネに向かって走っていた冒険者が弾かれる。)
ダフネ
気が早いですね。ですが、私を試そうとしたことについては良い点数をあげますよ。
(ダフネが言い終わると同時に、目に見える全てが歪み始める。)
ダフネ
怖がらないでください、【プレイヤー】。束縛のようなものではありませんから。
(ダフネが未だに座り込んだまま兜を抱きしめているモルガナを見つめる。)
ダフネ
ええ。私もいつか最期を迎えるでしょう。ですが、今ではありません。今は…
モルガナ
た、助けて。わ…、私は…ここに来たくて来たわけじゃない。目を覚ましたらここにいたの。なのに、なのに!
モルガナ
あのクソみたいな黒い月が私をこうさせたの!強制的に魔女にされてしまった…
モルガナ
異なる時間ではあるけど、アーサーは成功して帰れたのよ…
今回も成功して帰れると思ったのに…
ダフネ
それでここの生命を利用したのですね。
アヴァロンに残滓のように残されていた力さえも全部持ってきて。
平凡に生きようとしていた青年の記憶を操作して高位魔族に覚醒させて…
ダフネ
モルガナ…あなたが手を付けた私達の一族の数は多いです。その数だけ、あなたはもう…
(ダフネが自分を見つめるモルガナの顔を見る。そして持っていた杖で彼女の肩を叩く。)
(障壁に遮られたモルガナの姿が鏡が割れるようにいくつかの破片に分かれていく。)
(そしてその破片は轟音と共に舞い上がり、床に落ちる。)
(ダフネは先ほどまでモルガナだったガラス片を見つめる。破片が粉になって散らばるのを見届け、満足したように微笑む。)
(ダフネが張られた障壁を消し、ゆっくりと【プレイヤー】に近づく。)
ダフネ
好きに考えてください。あなたにとっては記憶が消されるのは酷だと思いますが。
【プレイヤー】
ダフネ、何のためにこんなことをしてるの?
(その瞬間、ダフネと【プレイヤー】の周りに闇が近づき始める。燦爛としていた光を抱いていた聖堂がそもそも存在しなかったように闇は全てを飲み込んでしまう。)
ダフネ
動さなければいけない運命の魔女。それが私です。そして夜が来る前にこの星の運命を変えることが私の望み…
(暗闇の中で見える魔女の微笑みを最後に、【プレイヤー】の記憶が止まる。)