シナリオクエスト

魔女モルガナ

クロリス
…そんなことがあったのですね。
(クロリスは気を失っていた間に起きたことを聞くと、悲しい顔をする。)
クロリス
クロリス
なんて言えばいいのか…ふぅ…
クロリス
あれ?
【プレイヤー】
どうしました?
クロリス
中からゼフィロスの魔力を感じます。
【プレイヤー】
モルガナに聞いた話を基に推測すると…
【プレイヤー】
確かなものではないのですが…
クロリス
大丈夫ですよ、お話しください。
【プレイヤー】
バイスの力は時間の精霊が住む場所を揺らしました。
そこで生まれた隙間から、その中の時間の流れが漏れてウィンディシードに影響を与えました。
【プレイヤー】
その結果、ウィンディシードが二人を別の姿にしたんです。
クロリス
私にその影響の余波が残っています。おそらくゼフィロスもそうでしょう。
私とは違って時間の能力の一部が…
【プレイヤー】
あ!モルガナが彼の時間が自分を早く送ってくれると言っていました。
クロリス
…!
(【プレイヤー】の話を聞いたクロリスの顔が真っ青になる。)
クロリス
ゼフィロスの時間で早く帰れるモルガナ…ゼフィ、だめ…
クロリス
モルガナはゼフィロスを触媒として使おうとしています。その過程で彼は魔力を失くしてしまうかもしれません。
クロリス
ゼフィ、ゼフィ…
(クロリスが急いで聖堂の中に入ろうとした瞬間、中から吹きつける優しくて暖かい風がクロリスを外に押し出す。)
クロリス
ゼフィロス、お願い…やめて…
(クロリスが再度聖堂に入ろうとするが、またも押し出されてしまう。吹きつける風がクロリスを邪魔する。)
【プレイヤー】
クロリスさん。
クロリス
【プレイヤー】
ここで待っててください。
クロリス
ですが…
【プレイヤー】
私がモルガナを止めて、ゼフィロスさんと一緒に出て来ますから待っててください。
【プレイヤー】
もし万が一、時間が経っても私が出て来ない場合は…
クロリス
そんなこと言わないでください、【プレイヤー】さん。
【プレイヤー】
わかりました。では、信じて待っていてください。
クロリス
クロリス
はい…なんとかやってみます。
【プレイヤー】
では、行ってきます。
【プレイヤー】
【プレイヤー】
(さて…こんなに大きな聖堂でどうやって探そうか。ひとまず中に入ってみよう。)

(聖堂の中に入ると、視界を遮るほど巨大で雄大な構造物が建てられている。)
【プレイヤー】
すごいな…森の奥にこんな建物を作るなんて…あ、こうしてる場合じゃない。急がなきゃ。
(急いで走る【プレイヤー】の隣にモードレッドが現れて一緒に走り始める。)
モードレッド
錠鍵、どこ行くの?
【プレイヤー】
モードレッド
遊ぼうよ!一緒に遊ぼう~
【プレイヤー】
私は遊びに来たわけじゃない。
モードレッド
ふん、アーサーとは遊んでたくせに!
(アーサーという言葉に【プレイヤー】の足が自然と止まる。)
【プレイヤー】
アーサー…それはバイスのことだよね?
モードレッド
うん!
【プレイヤー】
君はバイスから私のことを聞いたの?いつから知ってたの?
モードレッド
いつ…?あれっていつ…だっけ。
モードレッド
あ!アーサーがエトワールに来た瞬間からだ!
【プレイヤー】
あの時からバイスと一緒にいたってことか…
モードレッド
ちがうちがう。あたしはこの間産まれたんだよ。
【プレイヤー】
【プレイヤー】
君の正体はなに?
モードレッド
あたし?答えたら遊んでくれるの?
【プレイヤー】
わ、わかった…
モードレッド
ヘヘ、あたしはアーサーの記憶を因子として構成したものでモルガナが作ったホムンクルス。
【プレイヤー】
…!
(モードレッドは警戒態勢を取る【プレイヤー】の姿を見ても構わず遊んでほしいと駄々をこねる。そんな中、どこかからモルガナの声が聞こえて来る。)
モルガナの声
モードレッド、勝手にそんな話をしてしまうなんて…ダメって言いましたよね?
モードレッド
アーサーの友達だから、【プレイヤー】、あたしの友達だよ!
モルガナの声
意図した結果ではありませんが、うちのモードレッドはこんな感じです…
モードレッド
うん、あたしはこんな感じなの。錠鍵。ヘヘ。
モルガナの声
モードレッド、ここでは遊び禁止です。その代わり奥で鬼ごっこしましょう。
モードレッド
いいよ!いいよ!ところで鬼ごっこってなに?
モルガナの声
あ…アーサーの記憶の中に鬼ごっこはないみたいですね…私が教えます。
モルガナの声
隠れる人がモードレッド、見つける人が【プレイヤー】、見つける人を鬼と呼びます。
モルガナの声
モードレッドは適当に隠れていて、鬼を見つけたら殺してください。楽しそうですよね?
モードレッド
うんうん!楽しそう!じゃあ錠鍵が鬼!あたし隠れるね!
(ありえない鬼ごっこのルールを聞いたモードレッドが喜びながら遠くに消える。)
【プレイヤー】
面倒くさくなったな…
モルガナの声
【プレイヤー】、これから私が歪んだ記憶を植え付けた存在達があなたの前に現れます。
モルガナの声
リーヴスラシルにある全てのモノが消えることにさえ気づかないまま。
モルガナの声
私はあなたを待ちません。あなたが着く前に私は帰りますから。
(モルガナの声が消え、その代わりに魔女の呪いで歪んだ記憶を持ったモノ達が集まってくる。)
【プレイヤー】
【プレイヤー】
魔女モルガナ…
【プレイヤー】
あなたの思い通りにはいかないよ。

(聖なる光が眩しいほど溢れている空間で異質な存在が歩いている。)
(そして、水晶月の森の風景が見える窓際に近づく。)
モルガナ
この世界に来て一度も美しいと思ったことがないのに…アズラエルだけは美しいのね。
モルガナ
可哀想なアーサーはこの世界の美しさに気付かないまま消えてしまったけど、フフッ。私は嬉しいです。
モルガナ
…もうあまり時間がありませんから…
モルガナ
漆黒より暗い者の血も手に入れたし、触媒として使う時間の力もある。もう聖なる力が残っているこの場所で待つだけ…
(その時、礼拝堂の扉を開けて誰かが歩いて来る。その存在に気付いたモルガナの顔に影が差す。)
【プレイヤー】
魔女モルガナ、待っていたのね。
モルガナ
思ったより早く着きましたね、【プレイヤー】…
(【プレイヤー】の言葉にモルガナの顔が微細に震える。)
【プレイヤー】
聖堂で一番大事な場所が最上階にあるとは。
モルガナ
よくここまで来れましたね。モードレッドほど諦めない子もなかなかいないのに…
【プレイヤー】
こんな鬼ごっこは初めてだったけど、悪くなかったよ。避けるのに苦労はしたけど…
モルガナ
モードレッドはアーサーが最も強かった時の記憶から作った子ですから。アーサーが作ったレクイエムより強いと思います。
モルガナ
アーサーが罪人に会うために他の時間帯に干渉してくれてとても助かりました。キマイラでしたっけ…
【プレイヤー】
なんだって?
【プレイヤー】
ってことは…
モルガナ
ふふ、驚いたみたいですね。私は知ってると思って…
モルガナ
慈悲深いマーリンの意思を尊重してもう一度提案しますが、いかがでしょう。
【プレイヤー】
命ごいをしろと?
モルガナ
そう理解したのなら、どうぞ。
【プレイヤー】
…私はあなたを信じないよ。もうすでに見てしまったから…
モルガナ
モルガナ
マーリンにやったことですか?
【プレイヤー】
そう。
モルガナ
マーリンは分かっていて受け入れたのです。何か問題でもありますか?世の中はそうやって回っています。
モルガナ
あなたが信じていたものが一気に壊れることもありますし、立ち直ることもあります。紙一重の差。
モルガナ
私はあなたが今ここまで来たのも同じことだと思っていますよ。あなたなりの目的と意志があるから。
【プレイヤー】
モルガナ…バイスみたいに矛盾したことしか言わないのね。
モルガナ
モルガナ
アーサーをそう言うのはやめてください。
モルガナ
あなたが鍵の役割をしっかりしてくれたら私とアーサーはもう戻っていたはずなのに…
【プレイヤー】
…まあ、ちゃんと考えていたらそんなことはしなかっただろうな。
モルガナ
ふぅ…
モルガナ
待ち時間暇していたので…ちょうどよかったです。
【プレイヤー】
私は私なりに、あなたを最後にバイスに関わる全てのものを断ち切る。
モルガナ
モルガナ
もう是非は大事じゃありませんから。
モルガナ
愚かなあなたを誰も覚えていないように、どの時間にも痕跡すら残らないようにしてあげますよ。

モルガナ
ここまで耐えられるとは思いませんでした。でもこれが最期…
【プレイヤー】
(隙があるかわからないけど、それを狙うしかない…)
モルガナ
最期に…
モルガナ
(モルガナがペンダントから光を出して攻撃しようとした瞬間、その光が徐々に暗くなっていく。)
モルガナ
なんで?どうして…
モルガナ
モルガナ
そん…な…
(モルガナが慌ててペンダントを振るが、光は元に戻らない。)
モルガナ
モルガナ
黒い力…
【プレイヤー】
…何があったのかはわからないが、もう終わりだ。
(先ほどまで多くの攻撃を放っていたモルガナだが、無力にペンダントを奪われる。)
モルガナ
あっ…
【プレイヤー】
これが能力を増幅させる道具みたいだな。お前の話通りしっかり片付けるよ。
モルガナ
や、やめて!!
(モルガナの叫びにも拘わらず地面に落ちたペンダントは【プレイヤー】によって破壊される。そしてモルガナとペンダントの周りをぐるぐる回っていた黒い光が薄くなっていく。)
(しばらくすると、どこかからガラスの割れる音が聞こえ始める。)
【プレイヤー】
こ、この音はなんだ…
モルガナ
モードレッド!こっちに来てください!ここに来てあなたの遊び相手を殺してください!
【プレイヤー】
モルガナ、全部終わったんだ。諦めろ…
モルガナ
モードレッドがあなたを殺し…
(モルガナが興奮していると、背後から大きな影の帳が湧き上がる。そしてその隙間から植物の蔓で包まれた大きな杖が浮き上がりモルガナの肩を叩く。)
モルガナ
【プレイヤー】
(あの杖は…)
モルガナ
モードレッド!早く来て。この、この女を殺して!どうして答えてくれないの?
???
あなたの力を借りました。記憶を操作して、空間を歪曲させるあなたの能力で…
【プレイヤー】
(どこかで聞いた声…、まさか…)
???
あの子が遊びたがる永遠の時間へ行かせてあげました。
とん
モルガナ
モード…レッド?
(モルガナの前に紫色の兜が落ちる。)
【プレイヤー】
???
誰かの記憶を基に作られた命…生まれ変わったわけではありませんがまるで…
???
(モルガナが地面に落ちた兜を抱きしめて座り込む。そして、モルガナの後ろから杖を持つ女性がゆっくり歩いて来る。)
【プレイヤー】
あなたは…
???
こうやってお会いするのは初めてですか?
私と挨拶なんてしたくないかもしれませんが、自己紹介はさせてください。
ダフネ
私はダフネ。
(姿を現した女性が名前を明かした瞬間、聖堂が再び大きく揺れる。)
ダフネ
はるか昔、カーリー一族の指導者でしたが…
ダフネ
今はあなたも知っての通り一介の魔女の一人です。
(ダフネが微笑むとその周囲に謎の力の障壁が張られ、ダフネに向かって走っていた冒険者が弾かれる。)
【プレイヤー】
うっ…
ダフネ
気が早いですね。ですが、私を試そうとしたことについては良い点数をあげますよ。
ダフネ
今日はあなたには用がありません。
【プレイヤー】
…モルガナをどうするつもりだ。
ダフネ
ダフネ
魔女という運命を背負った者の末路です。
(ダフネが言い終わると同時に、目に見える全てが歪み始める。)
【プレイヤー】
…こ、これは…
【プレイヤー】
うっ、う…う、動けない。
ダフネ
怖がらないでください、【プレイヤー】。束縛のようなものではありませんから。
(ダフネが未だに座り込んだまま兜を抱きしめているモルガナを見つめる。)
ダフネ
モルガナ。
モルガナ
ダフネ
あなたもご存じですよね?
ダフネ
生命に触れた者の最期がどうなるのか…
モルガナ
あなた、あなたも…
ダフネ
ええ。私もいつか最期を迎えるでしょう。ですが、今ではありません。今は…
モルガナ
た、助けて。わ…、私は…ここに来たくて来たわけじゃない。目を覚ましたらここにいたの。なのに、なのに!
モルガナ
あのクソみたいな黒い月が私をこうさせたの!強制的に魔女にされてしまった…
モルガナ
異なる時間ではあるけど、アーサーは成功して帰れたのよ…
今回も成功して帰れると思ったのに…
ダフネ
それでここの生命を利用したのですね。
アヴァロンに残滓のように残されていた力さえも全部持ってきて。
平凡に生きようとしていた青年の記憶を操作して高位魔族に覚醒させて…
モルガナ
ダフネ
モルガナ…あなたが手を付けた私達の一族の数は多いです。その数だけ、あなたはもう…
(ダフネが自分を見つめるモルガナの顔を見る。そして持っていた杖で彼女の肩を叩く。)
モルガナ
ダフネ…、ダフネ!
(障壁に遮られたモルガナの姿が鏡が割れるようにいくつかの破片に分かれていく。)
バン!
(そしてその破片は轟音と共に舞い上がり、床に落ちる。)
ダフネ
これでいいでしょう…
【プレイヤー】
ダフネ、今何を…
ダフネ
魔女ですから、仕方のないことです。
(ダフネは先ほどまでモルガナだったガラス片を見つめる。破片が粉になって散らばるのを見届け、満足したように微笑む。)
ダフネ
…モルガナの力、試してみないとですね。
(ダフネが張られた障壁を消し、ゆっくりと【プレイヤー】に近づく。)
【プレイヤー】
き、記憶を消すつもり?
ダフネ
好きに考えてください。あなたにとっては記憶が消されるのは酷だと思いますが。
【プレイヤー】
ダフネ、何のためにこんなことをしてるの?
ダフネ
正直にお話しましょうか?
ダフネ
(その瞬間、ダフネと【プレイヤー】の周りに闇が近づき始める。燦爛としていた光を抱いていた聖堂がそもそも存在しなかったように闇は全てを飲み込んでしまう。)
ダフネ
動さなければいけない運命の魔女。それが私です。そして夜が来る前にこの星の運命を変えることが私の望み…
ダフネ
【プレイヤー】
ダフネ!
(暗闇の中で見える魔女の微笑みを最後に、【プレイヤー】の記憶が止まる。)

(闇で溢れていた世界が突如明るい光を取り戻し、冒険者がその場で座り込む。)
【プレイヤー】
う…頭痛い…
【プレイヤー】
たしか私はモルガナと戦って、ペンダントを奪って割って…そしてダフネが…
【プレイヤー】
ダフネ?!
【プレイヤー】
あ!記憶が、記憶が消されてない。
【プレイヤー】
ダフネがモルガナの力を試してみるとか言ってたような…
【プレイヤー】
ドークアルプドの司祭達
リーフ所長に言われた人か…
【プレイヤー】
はい?
(いつ来たかわからない不滅の司祭団の司祭たちが【プレイヤー】の隣に近づく。)
【プレイヤー】
あれ?
【プレイヤー】
(さっきまで私を攻撃していた司祭達が…)
【プレイヤー】
あ、はい。人を探していて…
ドークアルプドの司祭達
あ、その魔法使いなら…既に所長と共に村に戻りました。
【プレイヤー】
【プレイヤー】
もう?
ドークアルプドの司祭達
もう?戻って来られなくて所長と共に何時間も探していたのです。こんなところにいるなんて…
【プレイヤー】
ドークアルプドの司祭達
外にハーフエルフ…いや、一行が待っているので行ってみてください。
【プレイヤー】
あ、はい…
ドークアルプドの司祭達
そしてありがとうございます。聖堂に入った泥棒を追い出してくださって。おかげさまで聖堂のモノを守ることができました。
【プレイヤー】
アハハ…
【プレイヤー】
(私を攻撃していたあの人達は泥棒だったのか…)
【プレイヤー】
ふぅ…聖堂は司祭達が片付けるはずだから、私はクロリスさんのところへ向かってみよう。
【プレイヤー】
(それより夜が来るというのはヴァルプルギスの夜ということだよね…)
【プレイヤー】
ダフネ…