(マーリンの攻撃を受けて魔力を使い果たしたクロリスが気を失ってしまう。)
(【プレイヤー】の頭の上に冷たい金属の感覚が伝わる。)
マーリン
お前はオレが止められると思ってるのか?止められるならとっくに止まってる。
マーリン
それより死を前に他の偽善者と同じように命ごいをしろ。そっちの方がマシだ。
マーリン
キミが愛する神の名前を呼んで憎んで呪え。そして助けてくれと泣きながら願え。
【プレイヤー】
そんな風にイリスを呼びたくはない…
【プレイヤー】
少なくとも今ここで私の未来は終わらないよ。
マーリン
キミは既に救われたのだな。救済が救済だとわかってないバカのくせに…クハハハ…
(マーリンが手で顔の火傷の傷を隠しながら狂ったように笑う。)
マーリン
たくさんの命が不幸を前にして神に救済を求めた。
死にながら神の名前を叫んで願った。
マーリン
偽善者であるほど神の名前を何度も叫んでいた。
お願いします、助けてください、お金も祭物も全部差し上げます、と!
マーリン
オレの手で裁いた者も、無念の死を遂げた者も、神の前では皆が平等だった。
その皆が死んでいったのだから。
マーリン
オレに忠告をする資格があるとでも思っているのか?
傲慢な人間だ…それなら、キミが持つその力はなんだ?
マーリン
神の加護とはいえ、今のお前の力は誰かの死を代償に得た力じゃないのか?
マーリン
モルガナの話は本当だったんだな。偽善者め…
マーリン
よく覚えておけ、【プレイヤー】…キミの言葉がどれほど虚しくてどれほど呪われるモノなのか…
(そうしてマーリンが銃を握る指に力を入れた瞬間、後ろから誰かがぴょんと現れる。)
(遊ぼうと顔を近づけるモードレッドの登場にマーリンの姿勢が崩れる。)
モードレッド
マーリン、マーリン!あたしがやってもいい?モルガンに面白いことって言われたんだよ。
(モードレッドは頷き、笑顔でマーリンを通り過ぎる。)
(何かが爆発する音と共に【プレイヤー】の視野が全て黒色に滲んでいく。)
(マーリンは血を吐きながら辛うじて姿勢を保っているが、今にも倒れそうだ。)
モードレッド
ごめんね、マーリン。モルガンに必要なモノがあるって言われたんだ。
それはそれは!憤怒と復讐に餓えた魔族の血!
(モードレッドは自らも理解してないように頭を掻く。そしていつの間にか持っていたポーションの瓶を開けてその中を確認する。)
モードレッド
ふむ。いい血!マーリンの血がここに入ったらいいよって言われた!
(モードレッドの槍の先を流れる黒い血が、ポーション瓶に滴り落ちる。)
マーリン
ただオレの血が必要なだけだったのか…くっ…
モードレッド
え…ちょっと足りないじゃん。モルガン、錠の血も採っていい?
(モードレッドが【プレイヤー】を見つめながら誰かに質問を投げる。するとモルガナの声がまるで隣にいるかのように聞こえて来る。)
モルガナの声
他の血は要りませんよ、モードレッド。
そしてその人は鍵でした。錠ではなくて。とにかくマーリンの血を持って戻ってください。
モードレッド
あ、そうだ。鍵って言ってたよね?
イヒッ。でも錠の方がかわいいじゃん!あんた、錠!あたし今からモルガンのところに行くの!あとで一緒に遊ぼうね!わかった?!
【プレイヤー】
(緊張を緩めることはできない。まだクロリスさんが…)
(モードレッドが手を振って挨拶をすると、背中から黒い影が一つ浮かび上がる。そしてモードレッドを包んでどこかに連れて行く。)
モルガナの声
マーリン、どうしたの?私はあなたの夢を叶えてあげたのよ。私はあなたの復讐を手伝うって言ったわよね。
(モルガナの声に合わせて黒い影が広がっては縮む。)
モルガナの声
あなたの血が私とあなたの願いを叶えてくれるのよ。
私を信じて。あなたの復讐はもうすぐ完遂するの。私を信じて…
モルガナの声
不安な感情の記憶を信仰で覆い隠し、
アーサーが残した力まで与えてあげたのに、まだ足りなかったみたいね?
モルガナの声
思い出さなくていいのよ、マーリン。そして返してもらうわ。あなたはもういらないの…
(モルガナの声が消えて、マーリンの動きが止まる。そして、星の歌がマーリンの悲鳴で溢れ始める。)
【プレイヤー】
(いつか感じたことのある恐ろしさ…これは…)
(マーリンが苦しめば苦しむほどモードレッドの攻撃で受けた傷から黒い血が流れ出してていく。)
(地面に落ちた黒い血が次第にキラキラと輝く空間の光を消していく。)
【プレイヤー】
こ、これは…そ、束縛だ…あの時とは違う…
モルガナの声
【プレイヤー】、もうあなたが何を言っても私を止めることはできませんよ。
全ての準備を終えた私は戻ります。彼の時間が私を早く送ってくれるでしょう。
マーリン
オレの手で復讐したかっただけなのに…こんな結末を望んでいたわけでは…なかったのに…
モルガナの声
アーサーの計画通りリーヴスラシルの全ての生命は蒸発し、聖堂にある力も全て消えるでしょう。
リーフ
黙れ魔女!
この場所はお前なんかが壊して良い場所じゃない!お前の計画通りにはいかないよ、魔女。
モルガナの声
魔族の血で汚れた勇者の棺、その力が再び戻ることはない…
(リーフがウィンクをすると棺の周りに流れていた黒い液体が痕跡もなく消える。)
モルガナの声
面白いエルフですね。もうここには残っている力もありませんので、私は去ります。どうせあなたも今夜蒸発しますから。
(話を終えたモルガナの声が消えて、空間の一部を埋めていた黒い影も消えていく。)
リーフ
ふぅ…一息つけるわ。しっかりしてください、【プレイヤー】。
リーフ
マーリンは私が見ますので、クロリス学園長とここから出て聖堂に向かってください。
リーフ
不滅の司祭団が聖堂に向かいました。おそらく魔女の力を感じたのでしょう。
リーフ
私達にはあなたの力が必要です。お願いします。
リーフ
そして女神様。力不足なこのエルフを導いてください…お前なんかが二度と過ちを繰り返さないように努力しますから…
(リーフの小さな声と共に星の歌の中にあった星の構造物が明るく輝き始める。そして周りにいる全てのモノを消していく。)