シナリオクエスト

水晶月の森の制限区域

(二人の活躍に動物を始め、人々を威嚇していた存在が消える。)
【プレイヤー】
ふぅ、一息付けますね。
ルートン
【プレイヤー】
ルートン、大丈夫ですか?
ルートン
私は大丈夫です。皆さんのおかげで森にいた観光客が無事村に戻ることができました。
クロリス
よかったです。
(クロリスがルートンを見つめると、魔力で生まれた美しい花や蔓が消えていく。)
ルートン
…美しい魔法です。こうやって花や木、風の魔法を美しく扱う方がいるなんて知りませんでした…
クロリス
自慢できるほどの力ではありません。私固有の力でもありませんし…
ルートン
いいえ、素晴らしい実力です。
【プレイヤー】
クロリスさん。ルートンさんに確認しないといけないですよね?
クロリス
そうですね。ルートンさん、ゼフィロスを覚えていますか?
ルートン
はい、覚えて…います。リーフ所長にあの方を見つけないといけないと聞いた瞬間、何かがおかしくなりました。
ルートン
そしていきなり記憶が蘇りました。
クロリス
やっぱり…
【プレイヤー】
手紙を手に握ってからそうなったみたいですね。
クロリス
ルートン、続けてください。
ルートン
まるで暗幕で隠れていた僕の記憶が光に当たって浮かび出したようです。
私がその男性の魔法使いさんを森に案内しました。たしかゼフィロスという名前で…
ルートン
その方はこんな顔ですよね?
(ルートンが座り込んで落ちた枝を使って人の顔を描く。クロリスが絵を見て噴き出してしまう。)
【プレイヤー】
不満そうな顔の眼鏡の青い長髪の魔法使い…
クロリス
キャハハ、ゼフィロスです。そっくりですね。それでゼフィロスをどこへ案内しましたか?
ルートン
森に月の精気があふれる場所があります。
リーフ所長の許可がある時のみ行けるように制限を設けているのですが、
ちょうど許可が下りたのでその方をそちらへ案内しました。
ルートン
ルートン
そういえばそこで僕の記憶とその方が消えたようです…それがもう数日前…
【プレイヤー】
ルートン、その場所を教えてもらえますか?地図には書いてないですよね?
ルートン
ここ、こちらです。
(ルートンがポケットからペンを取り出して【プレイヤー】の手にあった地図にX印を書く。)
ルートン
僕が案内します。
クロリス
いいえ。ルートンはリーフ所長の指示に従ってください。
ルートン
僕は水晶月の森の森番です。ここの仕事が僕の任務であり、使命です。ここで起きたことは…
クロリス
今ルートンにできる最善のことを考えてみてください。一般のエルフにできることはありません。
ルートン
あ…
(クロリスの言葉に何かを気づいたようにルートンが頷く。)
ルートン
わかりました。
クロリス
ごめんなさい、気持ちだけはお受け取りします。それか…
クロリス
今度2倍で助けてください。
ルートン
はい?
クロリス
元々ハーフエルフは助けてもらえたら二倍に返します。
そのぐらい助けてもらえる機会がないから…
クロリス
そういうハーフエルフを助けてくれるということですよね?
だから2倍で助けないと次も助ける気にならないですよね?
【プレイヤー】
辻褄の合わない変な話ですが、クロリスさんに言われると納得できる気もしますね。
ルートン
そう…ですか?
ルートン
ルートン
ではお気を付けください。
クロリス
ありがとうございます、ルートン。
【プレイヤー】
では、ルートン、またあとで。
【プレイヤー】
クロリスさん?
(クロリスが目を閉じたまま謎の言葉を呟いている。)
クロリス
急いで呪文を唱えておきました。役に立つかわかりませんが…
【プレイヤー】
え?
クロリス
念のためです。村や森にいる人達の記憶を消すなんて、きっと普通の人間ではありませんから。
【プレイヤー】
あ…もう大丈夫ですか?
クロリス
一旦は。ふぅ…行きましょうか?
【プレイヤー】
はい。

(地図を見て到着した水晶月の森の奥。他の場所より濃い紫色の林道が見える。)
(かき分けてある程度進むと、前にいたクロリスの足が止まる。)
クロリス
【プレイヤー】
クロリスさん、どうしました?
クロリス
私達は今捩れた時空間の中にいます。関門ゲートとは少し違います。
クロリス
あまりにも自然で今気が付きました…はあ…
【プレイヤー】
あ…
【プレイヤー】
ここは誰が作ったんですかね…?どうやって出るんだ?ふむ…どう考えても裏側じゃないよね…
クロリス
あそこ…見えますか?
(クロリスが指差した場所に先ほどまでは見えなかった壁がある。)
【プレイヤー】
緑色に光る壁…この壁、以前見たことあります。これは…
(壁に近づくと、後ろから見慣れた人が姿を現せる。)
【プレイヤー】
ヒルダ?
【プレイヤー】
(陛下に言われたまもなく現れる魔女ってヒルダなのかな…?)
ヒルダ
ヒルダ
私の名前、覚えてる?いや、違う。どうしてあなたがここにいるの。
ヒルダ
どうして何度も私の前に現れるの…
【プレイヤー】
それは私が聞きたいです。
ヒルダ
ち、近づかないで!近づいちゃだめ…
(ヒルダが手を伸ばすと【プレイヤー】の前に新たな緑の壁が湧き上がる。)
ヒルダ
目眩が…。全部あなたのせい…
クロリス
【プレイヤー】、誰と話しているんですか?そしてこの壁は…
【プレイヤー】
クロリスさんはこの人が見えないんですか?
クロリス
声は聞こえますが、姿は見えませんでした…この女性は一体…
ヒルダ
(苦しそうなヒルダが壁に手をつけたまま頭を上げてクロリスを見つめる。)
ヒルダ
学園長、お願いだから【プレイヤー】に後ろに下がるように言ってくれない?
クロリス
【プレイヤー】さん、後ろに下がってください。そこから話しましょう。
【プレイヤー】
わかりました、クロリスさん。ヒルダ、その通りにしますから。
(目眩を訴えていたヒルダがその場で座り込む。)
クロリス
ヒルダって言いましたよね?私のことを知っていますか?
ヒルダ
学園本館に身を隠した時、見た…
クロリス
私達先生と職員は皆実力のある魔法使いです。全員が学校に隠れていたあなたに気づかないなんて…まあ、私もそうでしたが。
【プレイヤー】
ヒルダ、今も隠れていたんですか?
(ヒルダが困った顔で頷く。)
クロリス
あなたはどうして隠れているんですか?
ヒルダ
言えないの、ごめん…静かに出て行って…このまま背を向けて歩き続けたら出られるよ。だからお願い…
【プレイヤー】
ヒルダがここに隠れ続けていて、私達が人を探し続けている限り、また会うことになります。
ヒルダ
ヒルダ
理事長?
クロリス
ゼフィロスを知っていますか?
ヒルダ
強力な魔力が現れてから消えた。それが誰なのかはわからなかったけど…まさか…
ヒルダ
ヒルダ
他の魔女が連れて行ったみたい。どうして…
(ヒルダの話が終わる前に緑の壁を始め、目に見えるすべてが歪曲されたように揺れる。)
【プレイヤー】
な、なんだ?
ヒルダ
これは…
(目に見える全てがまるでガラスが割れるようにゆっくりと裂けていく。その中心にいたヒルダさえも。)
ヒルダ
記憶は時間の羅列…今ここに入ろうとしているのは記憶の魔女…おそらく時間の力を抱いている者が必要だったんだろうね。
ヒルダ
私が教えてあげられるのはここまでよ。もうさようならね。
【プレイヤー】
ヒルダ…
ヒルダ
【プレイヤー】、私は生きなければならないの。魔女に殺されるわけにはいかない!
(ヒルダが奥に建つ緑色の壁に走っていく。そして扉はヒルダを隠してその場で蒸発する。)
(ヒルダが消えた瞬間、揺れて割れていた風景の間から隠れていた誰かがゆっくり現れる。)
怪しい女性

(女性の周囲に影が現れては消える。女性は気にもせず手に握るペンダントを触っている。)
【プレイヤー】
あなたは…
怪しい女性
箱の中に探していた猫がいると思ったのに、逃げたみたいですね…
怪しい女性
怪しい女性
意味なく死を選ぶより消えたのはいい選択です。褒めてあげたいぐらい…
(謎の言葉を呟いている女性と【プレイヤー】の目が合う。)
怪しい女性
あなたは私を止めに来たのですか?
【プレイヤー】
どういうことですか?
怪しい女性
あなたがアーサーを止めてアズラエルに行かせなかったように私を止めるのか聞いています。
【プレイヤー】
アーサー?
怪しい女性
アーサーは私が呼ぶ彼の異名…
怪しい女性
鍵になれなかったあなたを憎んではいません。アーサーの方法じゃなくても他の方法はたくさんありますから…
【プレイヤー】
バイス?
怪しい女性
ええ。私のアーサーはあなたが知っている、もうこの世界から消えたバイス。
怪しい女性
ところで、どうしてあなたは動いているのですか?あの女のように止まるべきなのに…
【プレイヤー】
クロリスさん?!
(怪しい女性が指差す方向を向くと、クロリスが手を伸ばしたまま止まっている。)
【プレイヤー】
クロリスさん?!
クロリス
体が動きません…これは…うっ…
(クロリスが苦しそうな顔で口を開く。)
怪しい女性
エルフの魔法使いさんがこの捩れた時空間でどのぐらい耐えられるのか見物ですね…
【プレイヤー】
どうやったんだ…束縛…?
怪しい女性
いいえ。ただいろんな世界の時間と空間の一部を分けてこの場所に上書きしました。
ここにあるはずのないものが存在する瞬間…
怪しい女性
怪しい女性
こんな説明をする必要はないのに、つい話してしまっていますね。
怪しい女性
モードレッドが余計なことをしなかったらもう終わっていたはずなのに…まったく、疲れちゃいます。
【プレイヤー】
今すぐクロリスさんを放して!
怪しい女性
複雑な話はしたくないのでもう帰ってください。すべてを忘れてください。
私が全部忘れさせてあげます。その方がいいでしょう。
怪しい女性
どうせあなたに他の選択肢はありません。
【プレイヤー】
早くクロリスさんを放してよ!
(武器を握る【プレイヤー】の手に力が入ると真顔だった女性が軽く笑顔を見せる。)
???
モルガナ、やめろ。
(黒い服の男性が女性の名前を呼びながら現れる。)
モルガナ
ふぅ…
(モルガナがため息とともに握っていたペンダントを揺らす。すると止まっていたクロリスがその場に座り込む。)
【プレイヤー】
クロリスさん!
クロリス
ゴホッゴホッ、私は大丈夫です。う…支えてもらえますか?
(二人の姿を見つめていたモルガナが静かに後ろに下がる。)
マーリン
あの女も半分…
マーリン
モルガナ
準備は終わった?
マーリン
終わったが、星の歌が始まるまで少し時間がある。
(マーリンの答えを聞いたモルガナが満足げに微笑む。そして隣にいるマーリンに小さな声で伝える。)
モルガナ
誰か来ているよ、マーリン。
マーリン
気にするな、モルガナ。
(マーリンが笑いながらモルガナの前へ踏み出す。そして、頭を下げた彼の背中から赤黒い何かが生えてくる。)
【プレイヤー】
翼…?
(マーリンの赤黒い翼がモルガナを包むと、彼を始めとした周りにあったすべてのものが蒸発したかのように消える。)

(周囲にとどまっていた怪しい影も消えて、元通りのきれいな紫色の森に戻る。)
【プレイヤー】
【プレイヤー】
一瞬で消えた…
クロリス
何かを企んでいるようですね。
【プレイヤー】
クロリスさん、大丈夫ですか?
クロリス
一時的だったのですぐに治りました…またこんな気分になるとは。ウィンディシードと融合したときもこんな感じでした…
クロリス
クロリス
モルガナという名前、生徒たちから聞いたことがあります。
悪い記憶で苦しんでいる人達を慰めて癒してくれるみたいです。
クロリス
こういう形の癒しならお断りです。記憶を消したり歪曲させる方法だなんて…
ただでさえ消された記憶が一つあったんです。
クロリス
それより、モルガナがバイスに言及していましたが…
もしや、イーストランドにいる時に見かけたことがありますか?
【プレイヤー】
いいえ、見ていません。ですが、バイスと一緒にいたのは間違いないと思います。
【プレイヤー】
モルガナと一緒にいた女の子がバイスが被っていた兜と同じものを被っていました。
大きさは小さいように見えましたが…
クロリス
なるほど。そして…
クロリス
ヒルダという人が逃げながら魔女に殺されたくないと言ったのは、
きっとモルガナが魔女ということですよね?ヒルダという人もそうですし…
【プレイヤー】
クロリスさん、それをどうやって…
クロリス
陛下にまもなく魔女が現れると聞きましたし…
クロリス
学園祭の事故で治療のため滞在していたグラスタンから戻った時、学園長室で待っていた人がいました。
クロリス
さっき話しましたよね?消された記憶があると…それは魔女ダフネが…
(クロリスは話を続けようとするが、遠くから急いで走って来ているルートンの姿が見える。)
ルートン
お二方、大丈夫ですか?!
クロリス
…【プレイヤー】さん、話はまたあとにしましょう。
【プレイヤー】
はい。
クロリス
ルートン、私達は大丈夫です。
ルートン
ご無事でなによりです。
まだ森を出てない人がいないか再度捜索していましたが、知り合いがいまして。
【プレイヤー】
黒い髪に青色と赤色のオッドアイのエルフですよね?
ルートン
あいつを見かけましたか?あいつは僕と幼馴染の…だから…
(ルートンが冷や汗をかきながら苦しむ。)
【プレイヤー】
ルートン、どうしました?
クロリス
……
ルートン
名前を思い出せません。名前が…彼の名前は、だから…
そしてどうやって遊んだのかも…どのように村にいたのかも…
ルートン
間違いなく知っているのに…どうして思い出せないんだ…
クロリス
無理しないでください、ルートン。
【プレイヤー】
またモルガナの仕業みたいですね。
クロリス
モルガナが村人の記憶からゼフィロスだけじゃなく、
その人に関することも消したり歪めたりしているみたいです。
【プレイヤー】
村人達の記憶をまるっと…
【プレイヤー】
クロリスさん、村に確認しに行きましょう。
クロリス
はい、【プレイヤー】さん。そしてルートン?
ルートン
ルートン
はい…?
クロリス
今の状態は不安定に見えますので、いったん戻って休んでください。
ルートン
僕にはやるべきことが…
クロリス
…他の森番も、リーフ所長もルートンが戻って来るのを待っていると思います。
クロリス
ここで心身を安定させる魔法でも使いましょうか?
そしたらルートンに助けてもらうのは2倍じゃなくて4倍になりますが…
【プレイヤー】
(クロリスさん、それは脅迫だよね…)
(ルートンがクロリスの話に納得したように静かに頷いて背を向ける。)
ルートン
わかりました。僕に付いてきてください。