シナリオクエスト

記憶のエラー

(小さなエルフの少女が慌ただしく走り回っている中、自分に近づく【プレイヤー】一行に気が付く。)
???
リーヴスラシルへようこそ!質問はいつだって歓迎ですよ!気になることがあればリーフに聞いてください。あ…
(自分をリーフだと紹介したエルフの少女がクロリスを見て動きを止める。)
【プレイヤー】
(やはりクロリスさんを…)
クロリス
こんにちは、リーフ村長。
【プレイヤー】
村長?
リーフ
村長と言われて思わずはい、と答えそうになりました。こんにちは、クロリス学園長。
クロリス
はい、所長。お久しぶりですね。学園祭以来ではありませんか?
リーフ
そうですね。2年前、学園祭に招待していただきありがとうございました。
リーフ
そして住民達の無礼について、代わりに謝罪します。
クロリス
大丈夫ですよ。私には慣れていることですので、お気になさらないでください。
リーフ
皆いい子ですが…昔のことでトラウマがあるのです。
クロリス
ちらっと聞いたのですが、村に何かがあったみたいですね。
リーフ
昔のことですので、お気になさらないでください。学園長、隣にいる方の紹介をお願いしてもいいですか?
クロリス
こちらは【プレイヤー】さんです。ご存じかもしれませんが、ジェレニス学園のことも助けていただきましたし、他の大陸のことも解決した英雄です。
【プレイヤー】
いや、そこまでじゃないですよ。
リーフ
あ!あの方ですね。噂は聞いています。
(いきなりリーフが目を光らせる。)
リーフ
老後はリーヴスラシルで暮らすのはどうですか?伝説の中の勇者と共に新たな英雄がリーヴスラシルに眠る、素敵ですよね?
【プレイヤー】
私はまだまだ元気ですよ。
リーフ
一度考えてみてください。
【プレイヤー】
今からあまりに先のことを考えたくないです。
リーフ
残念ですね、ふふ。
【プレイヤー】
【プレイヤー】
(まず稼ぐことから考えてるなんて、普通の人ではないな。)
リーフ
学園長、どういった御用ですか?シルバリア帝国から協力要請の公文書が届いたのですが、もしやそれと関連していますか?
クロリス
はい、そうです。
リーフ
さて。
(リーフがポケットから紙を取り出して読み上げる。)
リーフ
リーヴスラシル管理所へご協力をお願いいたします。村の訪問者1人に関する情報を訪問者クラリスと【プレイヤー】に提供していただき…
リーフ
帝国建国の初期にもこういうことはありませんでしたが、どうしたんですかね?
【プレイヤー】
建国初期ですか?
リーフ
リーフ
アハハ、言ってみただけですよ。冗談はここまでにして、お探しの方について教えてください。
【プレイヤー】
ゼフィロスさんです。説明はクロリスさんからお願いします。
クロリス
彼は人間で、身長は私より大きいです。
ペリドットのような緑の瞳で、黒い眼鏡をかけています。
クロリス
いつも冷たい顔をしていますが、たまに優しい笑顔になる時があります。
帝国の柄が描かれた魔法使いの服装をしています。
リーフ
全然優しくなかったですよ?笑顔があんなに苦手な人間もいるんだなって思ったのに…
【プレイヤー】
あれ、ゼフィロスさんに会ったのですか?
クロリス
本当ですか?
リーフ
身分を明かして、魔法の道具の材料を探しているとのことでした。極小量だけと言われたので許可しています。
リーフ
どのぐらい採ったのか報告を待っていたのですが、戻って来ていません。
リーフ
念のためルートンには森の捜索を、コーレンには宿の確認をお願いしています。
ですが、見かけないので、そのまま帰ったと思っていました。
リーフ
そうじゃないなんて…
リーフ
ではお二人には水晶月の森の一般区域のほかにも制限区域への出入りを許可します。
リーフ
森番であるルートンにも話しておきますので、
森で迷いそうだったら中央の休憩所のルートンをお訪ねください。
【プレイヤー】
ありがとうございます。
クロリス
ありがとうございます、所長。
リーフ
助けたら2倍で返してもらえると聞きました。楽しみにしてますね。
クロリス
もちろんです。
リーフ
私は仕事が溜まっているので、皆さんと共に行くことはできません。
ここに地図と、あと外に標識もあるので道に迷うことはないと思います。
クロリス
これだけで十分です。ありがとうございます。
リーフ
私もここで情報を集めてみますので、あまり心配しないでください。
【プレイヤー】
では私達は森に行ってみます、村長…
(その瞬間目が合ったリーフがウィンクをする。)
【プレイヤー】
いや、リーフ所長。
クロリス
またお会いしましょう、所長。
リーフ
ええ…
リーフ
リーフ
あ、待って…な、なんだ?村の空気がおかしい…

クロリス
確かに村の中と外は違いますね。
【プレイヤー】
ここが水晶月の森ですね。
【プレイヤー】
村の外が紫色に染まっていたので直接見てみたいとは思っていましたが、想像以上に美しいですね。
クロリス
いい精気を感じる森ですが…何か変な感じですね。
【プレイヤー】
何がですか?
クロリス
古代からあったエルフの森が公園になったのが…
村が発展して森が変わってしまったとは聞いていますが、少し変な感じですね。
クロリス
あ、私がここにいることもそうですね。
クロリス
【プレイヤー】
あまり気にしないでください。
クロリス
そうですね。水晶月の森に来ることなんてありませんから。すべてゼフィのおかげですよ。
(クロリスの自嘲的な冗談が終わると、横を森の観光客が通り過ぎる。)
クロリス
少し早いですが、森を散策する人達がいますね。
【プレイヤー】
そうですね。湖の反対側にも人がいます。
(一般的な観光客とは違う雰囲気の一行が湖の向かい側で辺りを見回している。)
怪しい男性
怪しい女性
【プレイヤー】
(忘れ物でもしたのかな?)
クロリス
【プレイヤー】さん、お願いがあります。
【プレイヤー】
はい?何ですか?
クロリス
この風景を目に焼き付けておきたいです。少しだけでいいので。
【プレイヤー】
あ、そういうのなら全然大丈夫ですよ。一緒に見ておきましょう。
(クロリスが頷く。そして水晶月の森の風景をしばらく見つめる。)
クロリス
ふぅ、さて、行きますか?
【プレイヤー】
地図だとこちらに聖堂があります。
クロリス
聖堂は少し遠いので最後に行きましょう。ところで、【プレイヤー】さん、この子知ってますか?
【プレイヤー】
誰ですか?
(クロリスが手で【プレイヤー】の服を引っ張っている一人の女の子を指差す。)
女の子
うわん!錠、こんにちは!こんにちは!
【プレイヤー】
えっ、いつからいたの?
(どこかで見たことある気がする兜をかぶった女の子がにっこりと笑う。)
女の子
錠!会いたかったよ!錠は会いたくなかった?
【プレイヤー】
何を言ってるの…私のこと知ってるの?
女の子
うん!知ってる!知ってる!
【プレイヤー】
クロリス
この子は【プレイヤー】さんのことを知ってるみたいですね。
【プレイヤー】
初めて見る子です。
女の子
あたしも錠初めて見る!ヘヘ…
クロリス
…?
クロリス
あなたの名前はなに?
女の子
モードレッド!
(自分をモードレッドと紹介した女の子がぴょんぴょん跳ねる。誰もモードレッドのポケットから何かが落ちていることに気が付かない。)
【プレイヤー】
どうして私を錠って呼んでるの?
(モードレッドが口を尖らせながら頭を掻く。)
モードレッド
うーん、錠じゃなかったらなんだ?鍵?
クロリス
鍵…?
(モードレッドが鍵と呼んだ瞬間、紫色に光っていた水晶月の森が闇に包まれる。そして凄いスピードで揺れ始める。)
【プレイヤー】
うっ、目眩がする…クロリス…さん?
(クロリスがまるで時間の境界に立っているように動きを止めている。その隙に他の存在が現れて動こうとするモードレッドを止める。)
怪しい女性
…あなた、どうして起きているのですか?皆が止まった空間であなただけどうして…
【プレイヤー】
誰…?
怪しい女性
モードレッド、隣にいてくださいと言ったはずです。
モードレッド
ごめん。ヘヘ。
怪しい女性
ふぅ…計画を修正する必要がありそうね、マーリン。
怪しい男性
了解…
(マーリンと呼ばれた男が頷いて、モードレッドを肩に乗せる。そして、怪しい女性が目眩で苦しんでいる【プレイヤー】に近づく。)
怪しい女性
あなたが誰なのかはわかりませんが…あなたは私達を覚えてはいけません。
なので、見なかったことにしてあげましょう。これは皆のため。
【プレイヤー】
う、うう…
(女性が手に握るペンダントを【プレイヤー】の目の前に近づける。手の甲を傾けるとペンダントがゆっくり左右に揺れる。)
怪しい女性
怪しい女性
生命の想念よ。記憶になる前の太初の空気に戻れ…
(女性の言葉と共にペンダントから濃い影が流れてくる。そして【プレイヤー】の周りに残っていた光をそのまま飲み込んでしまう。)

クロリス
聖堂は少し遠いので最後に行きましょう。
【プレイヤー】
…?
【プレイヤー】
(なんだ?既視感がある…)
クロリス
【プレイヤー】さん、どうしました?
【プレイヤー】
私達はここで森の風景を見ていましたよね?
クロリス
ええ。他のことでも考えていましたか?
【プレイヤー】
そういうわけではありませんが…ここに何かがいた気がします。あれ?これはなんだ?
(【プレイヤー】の足元に落ちていたものをクロリスが拾う。)
クロリス
手紙…
【プレイヤー】
名前が書かれています。
クロリス
友達であり兄弟であるノトスより…ノトスからゼフィへの手紙ですね。
【プレイヤー】
ということはゼフィロスがここにいたってことですよね…あれ?え!
【プレイヤー】
なにかおかしなことに気づきませんか?
クロリス
何がですか?
【プレイヤー】
ルートンとコーレンはゼフィロスさんを覚えていませんでした。何か知っているような雰囲気でしたが、思い出せないと話していました。
クロリス
そうですね。あれ?
クロリス
クロリス
私今の今まで気づいていませんでした。それと、ここに小さな女の子がいましたよね?
【プレイヤー】
女の子ですか?
(頭の中で謎の人が浮かんで一瞬で消える。)
【プレイヤー】
モード…レッド?モードレッドと言ってました。
あ、わかりました。急に現れて私を錠…、鍵…って呼んでて…
【プレイヤー】
そしてモードレッドが被っていたのは間違いなくバイスの兜…
クロリス
落ち着いてください…何があったのか覚えていますか?
【プレイヤー】
はい、思い出せました。女の子を探しに来た一行がいたんですが…
【プレイヤー】
(クロリスに思い出した記憶をすべて伝える。)
クロリス
やっとわかりました。ペンダントを持っている女性は私達が自分たちに会った記憶を消しました。
クロリス
同じように、村人たちにもゼフィを思い出せないようにしたのでしょう。
クロリス
クロリス
モードレッドという子がこの手紙を落としたのがわざとなのかどうかはわかりませんが…
これを見つけて私達が消された記憶を思い出せるようになったのです。
クロリス
この手紙に魔力が残っていてよかったです…
【プレイヤー】
急いであの人達を探してみましょう。他の人に危険が及ぶかもしれません。
クロリス
はい。あそこ、あそこから行きましょうか。あそこから強力な魔力を感じます。
(クロリスが指をさすと、森の奥から湿っぽい風が吹いてくる。)
【プレイヤー】
あそこに私達を歓迎しない一行がいるみたいですね。
クロリス
はい…覚悟して行きましょう。
【プレイヤー】
そうですね、行きましょう。