シナリオクエスト

アルフヘイムに向かって

(再び訪ねたネレイス関門、プレイオス大陸の西部と東部を行き来するたくさんの人で混み合っている。)
(大きな建物の前に近づくと何かに悩んでいるクロリスの後ろ姿が見える。)
【プレイヤー】
学園長?
クロリス
お待ちしていました、【プレイヤー】さん。
【プレイヤー】
早かったですね。
クロリス
私もついさっき着きました。あ、クロリスと呼んでください。
クロリス
外で学園長や校長のような呼称で呼ばれると少し恥ずかしくて。
【プレイヤー】
呼び捨てはできないのでクロリスさんと呼びますね。
クロリス
わかりました、私もそう呼ばせていただきますね。
【プレイヤー】
中に待合室があるのに、どうしてここにいるんですか?
クロリス
中にノトスがいるんです…
【プレイヤー】
それがどうかしたんですか?
クロリス
…昔、ノトスにやらかしてしまって…
【プレイヤー】
まさかノトスさんをゼフィロスさんと間違えて告白したり、後ろから抱きついたり、プレゼントを渡したりしたことですか?
クロリス
なぜそれを…
【プレイヤー】
クロリス
(クロリスは焦っていたが、すぐに平常心を取り戻す。)
クロリス
いえ、何でもないです!あ、誰かが出るみたいです。
(関門センターの扉が開き、中から誰かが歩いて来る。そして、【プレイヤー】に気付き声をかけてくる。)
ノトス
【プレイヤー】さん、お久しぶりです。あれ?クロリス?
【プレイヤー】
ノトスさん、こんにちは。
クロリス
ノトス…久しぶりです。
ノトス
何年かぶりですね。
クロリス
そうですね。
ノトス
元気でしたか?魔法学園の学園長になったという話は聞いています。
クロリス
おかげさまで元気です。
ノトス
学園祭でのことは大丈夫でしたか?
クロリス
はい、まあ…あの、リーヴスラシルに行きたくて来たのですが。
ノトス
陛下の命令でゲートのメンテナンスを終えました。奥側のゲートウェイを利用してください。
クロリス
ありがとうございます。
ノトス
いいえ。いつも弟がお世話になっています。
クロリス
ごめんなさい、ノトス。
ノトス
はい?
【プレイヤー】
(あ、ノトスさんはまだゼフィロスさんとのことは知らないのかな。)
ノトス
…?
クロリス
あ、そうだ…
ノトス
ゼフィロスと別れたことについては謝らなくても大丈夫ですよ。きっとゼフィロスが悪いんです、ハハハ。
クロリス
そうです、ゼフィがわる…ごめんなさい、愚痴を言うつもりはなかったのに…
ノトス
大丈夫ですよ。ゼフィロスを大事に思ってくれてるからですし。
クロリス
クロリス
ノトス、もう行きます。あまり時間がなくて…
(クロリスが急いでゲートウェイに走る。)
【プレイヤー】
クロリスさん…
ノトス
【プレイヤー】さん、僕のことは気にせず早くクロリスを追いかけてください。
【プレイヤー】
ありがとうございます。また来ますね。

クロリス
(クロリスが強力な魔力で動いているゲートを見つめている。)
【プレイヤー】
クロリスさん、ここにいたのですね。
クロリス
心の準備をしていました。
クロリス
クロリス
アルフヘイムに行くのは本当に久しぶりでして。
【プレイヤー】
失礼かもしれませんが、少し不安そうに見えます。
クロリス
そうです。少し不安なのです。私はアルフヘイムで歓迎されませんでした。
もちろん、シルバリア帝国で大して歓迎されたわけでもありませんが。
【プレイヤー】
あれ、どうしてですか?
クロリス
人間とエルフのハーフ。その理由で私を受け入れてくれる場所はあまりありませんでした。
クロリス
今は大丈夫です。学校にいればそういう事実を忘れて過ごせます。
クロリス
生徒に教える仲間の魔法使い達もあまり気にしていないようですし、信頼してくれる生徒達もいますし。
(クロリスが晴れやかに笑う。先ほどまで不安そうだった顔はもうどこにもない。)
【プレイヤー】
クロリスさんは学校が大好きなんですね。
クロリス
もちろんです。
クロリス
入学できなくて残念ですが、こうして通えているので嬉しいです。
クロリス
でも、仕事が多い日に出勤するのはいやですね。
【プレイヤー】
ハハ、それはみんな同じですね。
【プレイヤー】
あれ?
(ゲートの前に近づいた瞬間、周囲が急に暗くなる。)
【プレイヤー】
クロリス
【プレイヤー】さんも気付きましたか?
【プレイヤー】
この辺りが暗くなってますよね?
クロリス
そうです。誰かがここに近づかないように無言の警告をしています。
クロリス
クロリス
ちょっとした仕掛けがあるみたいですが…、相手を間違えましたね。
(クロリスが目を閉じたまま手を伸ばすと虚空海から流れていた冷たい風が流れ込む。そしてその風の間から植物の茎が生えて来る。)
【プレイヤー】
これは…
(クロリスの手の動きで、茎から落ちた葉が風に乗ってゲートの周りを回る。)
(そうすると暗かった周りの風景がゆっくりと綺麗な元のネレイス関門に戻る。)
クロリス
一旦これで。
(クロリスがにっこり笑うと手に流れ込んでいた風も、植物の茎もゆっくり消えていく。)
クロリス
これもウィンディシードの影響です…杖や魔法書がなくても魔法が使えるようになりました。それなりにいいプレゼントがもらえたと思います。
クロリス
ここは時空間が少し捩れていますね。
【プレイヤー】
そうですか?
クロリス
学園祭の後、言葉では説明できない不思議な気分になりました。
クロリス
その原因を見つけたくて古い魔法書を読みましたが、特に答えはありませんでした。経験して感じて確認していくしかありません…
【プレイヤー】
そうですか?
【プレイヤー】
いつか出会った時の精霊が、自分と同じように変わったゼフィロスを覚えていました。
クロリス
精霊の話ですと…ゼフィロスが時間の影響を受けたのは間違いありませんね。
クロリス
クロリス
【プレイヤー】さん、行きますか?ここで話しても答えは出て来ないと思います。
【プレイヤー】
はい…
(クロリスがかたずを飲んでゆっくりとリーヴスラシル方向のゲートの中に入る。そして、その後ろに【プレイヤー】が付いて行く。)
???
うわ!
(虚空海の空の上から2人がゲートの間に消えたのを見届けた誰かの声が響く。)
???
うわ、うわ、うわ!錠だ、錠!
???
記憶の中にあった本物の錠だ!うわ、うわ!!

クロリス
ここがリーヴスラシル…
(クロリスの言葉と共に綺麗で青い空の下に紫に染まった村の姿が広がる。)
【プレイヤー】
わあ…
(エルフの村特有の雰囲気が溢れている建物の間に空に剣を向けている大きなエルフの石像が立てられている。)
クロリス
あれは伝説のエルフの勇者の石像です。勇者の名前は知られていませんが、プレイオス大陸に現れた魔族に立ち向かったようです。
クロリス
詳しく知りたいのでしたら、テオドール教授の講義をおすすめします。
【プレイヤー】
機会があれば聞きたいですね。
クロリス
それか村人に聞いてもいいと思います。
【プレイヤー】
そうですか、ふむ…あれ、ここ…
クロリス
どうしました?
【プレイヤー】
人間の村とは少し違う感じがします。空気が綺麗というか清いというか…
クロリス
近くにある森のおかげです。水晶月の森が精霊の影響を受けて…ところで、手首にあるオレンジのリボンはなんですか?
【プレイヤー】
あれ…これいつからあったんだろう?
クロリス
ゲートに入る時、誰かの服から落ちたものがついたみたいですね。あまり気にしないでください。まず、私達は…
(クロリスが話を続けようとしていると、リーヴスラシルの住民だと思われる金髪のエルフの少年が現れる。)
エルフ少年
ようこそ、リーヴスラシルへ!
【プレイヤー】
村人ですか?
エルフ少年
ボクはコーレンだよ!会えて嬉しいよ!ガイドしてあげるよ!ボク達の村は伝説のエルフの勇者の故郷で…
(自分をコーレンと紹介したエルフの少年とクロリスの目が合う。)
コーレン
コーレン
エルフの勇者の故郷で…うあああ…
(クロリスと目が合ったコーレンがそそくさと後ろへ下がる。そしてあたふたしながら逃げてしまう。)
【プレイヤー】
あれ、急にどうしたんだろう?
クロリス
私のせいです。
【プレイヤー】
え?まさか…
クロリス
プレイオスのエルフは本能的に違う血が混ざった存在に気が付きます。そして、それを不浄なものだと認識します。
クロリス
あの子もそうなんだと思います。古代からそう刻まれていますから。
クロリス
普通は変な目で見られるだけですが…ああやって逃げたってことは過去に何かがあったのかもしれませんね。
【プレイヤー】
それでも人を見てああやって逃げるのはちょっと違いますよね。
クロリス
人間とエルフの考えは違います。
【プレイヤー】
だから差別するんですか?
クロリス
【プレイヤー】
まあ、エルフだけの話じゃないと思いますけど…
クロリス
【プレイヤー】さん、この話はここまでにしましょう。今はそれより大事なことがありますから。
【プレイヤー】
あ、ごめんなさい。
クロリス
いいえ。リーヴスラシルの人達と話をするなら、こういうことが起き続けると思います。
クロリス
【プレイヤー】さんは元々やろうとしていたことに集中してください。
【プレイヤー】
わかりました。
クロリス
ありがとうございます。では、他の人に聞いてみますか?