(パーツと思われる破片が地面に落ち、リカリアの動きが明らかに遅くなる。)
【プレイヤー】
(何回かゴーレムと戦ったことはあるけど、リカリアはレベルが違う。でも、このまま倒れるわけにはいかない…)
ノーネーム
しつこいやつだ。リカリア!さっさととどめを刺せ!
【プレイヤー】
(ん?ゴーレムの動きがおかしい…)
(ノーネームがリカリアの状態を確認しようと近づいた瞬間、大きな爆発を起こしてノーネームと冒険者が吹き飛ばされる。)
(目を覚ました冒険者とノーネームがリカリアを見ると、大きな柱と後ろにあった壁がリカリアの上へと積み重なった状態だった。)
【プレイヤー】
まさか…ノーネームを助けるために…
【プレイヤー】
(ナーシャを助けようとしたマッドリンの動きを考えると、リカリアが同じ行動をとったとしてもおかしくはないだろう。)
(倒れた瓦礫の間から、リカリアがゆっくりと浮き上がる。)
(ノーネームの叫びに合わせてリカリアが持っていた斧を遠くの壁へと投げつける。)
(壁にぶつかると思ったリカリアの斧がピタリと虚空に止まる。そして、斧を止めていた存在達がゆっくりと見え始める。)
ノーネーム
あの女のせいで眠っていたゴーレムと精霊の卵が目覚める瞬間を見なければならないなんてな…
(いつの間にか現れたナーシャが【プレイヤー】の隣へと近づく。)
【プレイヤー】
私は大丈夫ですが…それよりもナーシャは今までどこにいたんですか?
いくら探しても見当たらなかったのに…
ナーシャ
この中に導いた風がこれがある場所へと私を連れて行ってくれたんです。
なんだか嫌な感じがしたのですが、なぜか私を呼んでいるようで…
ノーネーム
エンテレケの力が刻まれた破片…本来なら僕が手に入れるべきものだったのに…。
どうやらここの精霊達は僕よりお前の方を選んだらしい。
ノーネーム
だから二度とここには来るなと脅したのに…懲りずに人間を連れて来るとは…
これで全部終わりだ。
ナーシャ
ノーネーム…この力は何なの?あなたはこれを知ってるのよね?
ノーネーム
…ああ、こうなった以上話してやろう…
それはエル・ラルサの領域に残っている精霊の力。それがあれば死にかけた精霊を助けることができるんだ。
【プレイヤー】
エル・ラルサはオルカリウムを守る光の精霊です。
ナーシャ
まってください!その力を私がもらったということですか?
ノーネーム
ああ、そうだ。最高のプレゼントだろう?
今まさにその光の精霊が僕たちを必死に探してやがるのさ。殺すためにな!
ノーネーム
エル・ラルサの機嫌は最悪だろうな。
なにせ、眠っている間に魔法庁の人間達がオルカリウムをめちゃくちゃにしたんだからな。
ノーネーム
それなのに、その力を手に入れたのが魔法庁で
ゴーレムを目覚めさせたお前だと知ったらどうなるんだろうな?ハハハハ。
ノーネーム
…お前は知るべきだ。マッドゴーレムを目覚めさせて主になったことが、
決して祝福なんかじゃないってことをな。
(そう言ってノーネームが待機していたリカリアに乗りこむ。)
ノーネーム
ああ…その前に光の精霊様が気になっているだろう情報をひとつ教えてやろう。
ノーネーム
オルカは死んだ。古代神に殺されたのさ。
そしてその力の一部は人間達に…クハッ…
(突然巨大な光の矢が飛んできてノーネームの胸部を貫き、そのまま壁へと縫い留める。)
(主を失くして動きを止めたリカリアが動きを停止する。)
(その姿を見ていたかのように、生命のエンテレケを揺らすエル・ラルサの声が聞こえて来る。)
(声が消えると、倒れたノーネームの前に光の精霊エル・ラルサが姿を現した。)
ナーシャ
精霊達が言ってました。オルカリウムを守る光の精霊…エル・ラルサ…
【プレイヤー】
…ナーシャ、後ろに下がってください。エル・ラルサは他の精霊とは違います…
(エル・ラルサが警戒する冒険者とナーシャを虚しい顔で見つめる。)
【プレイヤー】
(ヘイデンのように自分の力に酔ってるのか?)
エル・ラルサ
私はこの場所を守る精霊。やるべきことをやっただけ…
精霊が生まれし場所を破壊したことに対する光の審判を下しただけ。
エル・ラルサ
お前が受け取ったその力が何なのかわかってるのか?
死にゆく精霊達に再び生命の息吹を吹き込む力だ。
ナーシャ
私はもらったわけじゃありません。ここにいる精霊達が私に任せると言ったのです。
ここは汚染されてしまったから、安全な場所にもっていってほしいと…
エル・ラルサ
不快だ…神ですらなく、たかが人間風情の言葉でこの私を謀ろうとするとは…
死にゆく精霊の生命を助けるなど容易くできることではないのだ!
エル・ラルサ
ここが汚染されようがされまいが、その力はこの場所にこそふさわしい。
もうよい…管理者であるエル・ラルサの名の下にその力を返してもらおう。
エル・ラルサ
神の恩寵を受ける者とエンテレケの力を奪った者をこの場所に永遠に封印してやろう。
神さえも近づけないようにしてな…
(冒険者とナーシャが何かを言う間もなく、嘲笑するエル・ラルサの姿が消えた。そしてその直後、地面が揺れて少しずつ割れ始める。)
(割れた地面から黒い影が現れ、目の前にあるものをゆっくりと飲み込み始める。)
【プレイヤー】
地震じゃありません!ナーシャ、急いでここから離れましょう。
ナーシャ
ノーネームを連れて行かないと…すぐに治療をしなければ。
【プレイヤー】
急がないと永遠にここに閉じ込められてしまいます!このままでは…
(ナーシャが黒い影に飲み込まれれるノーネームとリカリアを見つめている。)
ナーシャ
…わかりました。私について来てください。精霊達があそこに行けば出口があると教えてくれたんです。
(ナーシャが【プレイヤー】の手を握る。そして飲み込むように追いかけて来る黒い影から逃げながら、微かな光が見える場所へと走って行く。)