シナリオクエスト

精霊の声

ナーシャ
さっきの魔法使いさんがついてきてるみたいですけど…
【プレイヤー】
まいたので大丈夫ですよ。さて、もう一度キャンプに戻りましょうか。
ナーシャ
あれ…?
【プレイヤー】
ん?
(ナーシャが振り向きながら耳を動かす。どこかから聞こえて来る音が気になっているようだ。)
ナーシャ
変な音が聞こえます。
ナーシャ
ナーシャ
冒険者さんにも聞こえますか?
【プレイヤー】
いえ、私には聞こえないです。
【プレイヤー】
(ナーシャは私には聞こえないような音も聞き取れるのかな。)
【プレイヤー】
…ナーシャ、説明してもらえますか?
ナーシャ
どこかでおしゃべりをしている声が聞こえます。
ナーシャ
ナーシャ
マッドリンもわかるみたいです。
私達が通った道にいた精霊の方を見ている気がしますが…
【プレイヤー】
あ、確かミノス様がゴーレムは精霊と同じようなオーラだって…
ナーシャ
ここオルカリウムは、「精霊を目覚めさせる光の場所」って言ってましたよね?
ナーシャ
ナーシャ
もしかしたら精霊の声が聞こえているのかもしれません。
ナーシャ
冒険者さん、もしかして精霊と話すことができますか?
【プレイヤー】
あ…
【プレイヤー】
気にしてもいなかったんですけど…実は最初から話すことができていました。
【プレイヤー】
イリスと共にいたジョエも、ゲルダのイーオー様と一緒にいたナリンも…
人々と長く暮らしている精霊とは問題なく話が通じていました。
ナーシャ
なるほど…
ナーシャ
実体化して現れた精霊だけってことなのかな…
ナーシャ
あれ?なんだろう?
【プレイヤー】
また何か聞こえたんですか?
ナーシャ
いえ、そうじゃなくて…
ナーシャ
ナーシャ
マッドリンのオーラと似ている力を感じます。
マッドリンよりはるかに強い力ですけど…ということは…
【プレイヤー】
ノーネーム…
ナーシャ
冒険者さん。
【プレイヤー】
ナーシャ、私に付いて来てください。十分気をつけてくださいね。
ナーシャ
はい…

???
ない!
???
どうしてないんだ?どうして…どうして!?
(静寂に包まれたオルカリウムの奥、その中心でひとりの少年が耳を動かしながら何かを探している。)
???
何度も探してるのに…絶対にあるはずなんだ…
???
???
この音は…精霊?
(少年が怪しい音が聞こえて来る方向を振り向く。)
???
ゴーレム?
???
???
お前は…
ナーシャ
そこで何をしていたの?
???
一回会っただけなのに、ずいぶんと馴れ馴れしいじゃないか。
【プレイヤー】
(あの子がノーネーム…)
???
逃げたと思ってたけど、また戻ってくるとはな…人間まで連れて。
(そう言って少年が冒険者を指差す。)
【プレイヤー】
酷い言われようだね…ノーネーム。
(ノーネームと呼ばれた瞬間、少年が鼻で笑う。)
ノーネーム
まぁ好きに呼べばいいさ。
どうせ僕はその程度の存在なのだから。
ノーネーム
…人間と話すなんて面倒極まりないな。
【プレイヤー】
(相当人間を嫌っているようだな…)
ノーネーム
どうやってオルカリウムに入った?ここに来る通路は僕が全部塞いだはずだが。
ノーネーム
大きな魔法書を持った魔法使いは来られるようだが、
邪魔にもならないんで放っておいたというのに。
ノーネーム
そうか…お前が道を作ったんだな。
お前もあの魔法使いみたいに魔法庁の人間なんだろう?
【プレイヤー】
ノーネーム
違うのか?まあいい。用がないならどこかに行ってくれ。
ノーネーム
…それがお互いのためだと思うしね。
ナーシャ
あなたに聞きたいことがあるの。
ノーネーム
ナーシャ
…どうして?
ノーネーム
何がだ?
ナーシャ
どうしてあの人達を…
ノーネーム
それは答えなきゃいけないのか?
ナーシャ
ノーネーム
今さら何を聞きたいって言うんだ?僕が何か言ったところで理解できないだろう?
ナーシャ
私はあなたと同じ…
ノーネーム
やめろ…人間たちと生きて来た奴と僕の何が同じだっていうんだ?
ノーネーム
うせろ…これはお前には関係ないことだ。
(ノーネームがゆっくりとナーシャと冒険者の間を通り過ぎて行くと、彼の足元に大きな魔法陣が展開された。)
(ノーネームの動きが止まる。)
ノーネーム
魔法庁の固有術式で作られた魔法陣…いや魔法罠か。
【プレイヤー】
まさか、フェタ?
(その瞬間、ナーシャと【プレイヤー】の後ろからフェタが姿を現した。)
フェタ
冒険者さん、ありがとうございます。おかげでノーネームを捕まえることができました。
【プレイヤー】
フェタ、ちょっと待ってください!
フェタ
冒険者さん、いえ、外部の方には関係のないことです。
これは魔法庁の仕事、皇室で保証されている身分とは言え、魔法庁の仕事に口出しは…
(その瞬間、ノーネームが笑いながらゆっくりとフェタの前へと歩きだす。)
フェタ
な…なんで動けるんだ?!
ノーネーム
このレベルの魔法陣で僕を止められるとでも思ったのか?あらゆる呪いと魔法のモルモットにされたこの僕を!
ノーネーム
チッ…余計なことを言っちまった。
ノーネーム
…リカリア。
ノーネーム
コイツを殺せ…
(彼の頭上に何かが現れ、ものすごいスピードでフェタへと迫る。)

(手を出す間もなく、金属がぶつかったような大きな衝撃が砂嵐を起こしながら空間を揺らす。)
ノーネーム
(砂嵐が消えると、ノーネームの大きなマッドゴーレムが姿を現わした。)
【プレイヤー】
あれは…マッドゴーレム?
(フェタを攻撃しようとした金色のマッドゴーレムの腕が何かに止められてるように見える。)
【プレイヤー】
マッドリン…?!
ナーシャ
魔法使いさん、逃げてください!
フェタ
え?あ…はい!
ノーネーム
逃がすかよ!
(ノーネームの声に呼応するかのように、マッドゴーレムがマッドリンを払いのける。そして腕に付いたガトリングガンで逃げるフェタの背後を狙う。)
【プレイヤー】
やめろ!!!
(冒険者がマッドゴーレムを攻撃し、ナーシャの指示を受けたマッドリンが盾の役割をしてガトリングの弾丸を止める。)
(フェタが逃げたことを確認したノーネームの表情が固まる。マッドゴーレムも、ノーネームの表情の変化と共に行動を停止し、後ろに下がった。)
ノーネーム
ノーネーム
おいたはここまでだ。これ以上僕の邪魔をするつもりならお前らも殺す。
【プレイヤー】
…そうはさせないよ。
ナーシャ
あなたは人を殺してまで何を求めているの?
ノーネーム
ノーネーム
僕の受けた苦痛をそっくり返してやるのさ。
ノーネーム
魔法使い、議会の貴族…帝国と関わる全てのやつらにな。
【プレイヤー】
(こいつは危険だ…ここで止めなければ…イリスの予知もこれが理由だったのか。)
(ノーネームの怒りに満ちた声に耐え切れなくなったナーシャが叫んだ。)
ナーシャ
やめて!!!
ノーネーム
人間と幸せに育ったやつが…ナーシャなんて名までもらったやつが…
ノーネーム
お前はなぜそのゴーレムを連れてる?
魔法庁の人間達が、なぜお前を魔法庁に「再び」呼び戻したのかわかってるのか?
ノーネーム
お前がソイツの適任者じゃなかったらどうなってたと思う?きっと僕のように…
【プレイヤー】
【プレイヤー】
その話って…ナーシャ?
ナーシャ
感づいてはいたわ…
ノーネーム
もう十分だろう?わかったなら、これ以上僕の邪魔をするな。
ナーシャ
だとしても…誰かを殺す理由にはならないよ。
ノーネーム
…それがお前の答えか。ならばここで…
(ノーネームが耳を動かしてどこかを見つめる。)
ノーネーム
ノーネーム
やっと現れたか…感じるぞ…今まで隠れて状況を見ていやがったんだな。
ノーネーム
観念したってことか…
(謎の言葉を言い残してノーネームがマッドゴーレムに乗りこむ。)
ノーネーム
リカリア、僕達が探していたものはあそこにある。行こう…
(冒険者とナーシャへの興味はなくなってしまったかのようにノーネームが去っていく。)
【プレイヤー】
ノーネーム!
(【プレイヤー】の叫びも空しく、リカリアは空へと飛んでゆき、そのまま姿を消した。)

ナーシャ
【プレイヤー】
どこに行ったんだろう。
(冒険者と共に空を見詰めていたナーシャの耳が動く。)
ナーシャ
あ…
【プレイヤー】
ナーシャ?
ナーシャ
また騒がしい音が聞こえます。あそこから…
【プレイヤー】
私達が通ってきた道ですね。あの…ナーシャ…
ナーシャ
…私は大丈夫ですよ。
ナーシャ
ちょっと考え事をしてただけですよ。
(ナーシャが軽く笑いながら背伸びをする。)
【プレイヤー】
ノーネームが何を探しているのかはわかりませんが、
どうにかして私達で先に見つけましょう。そうすれば、きっと何かわかりますよ。
ナーシャ
そうですね。