シナリオクエスト

怪しいデータ

サラスヴァティ
(サラスヴァティが目を閉じたまま考え事をしている。
人の気配に気付いたのか、目を開けて前を見つめた。)
サラスヴァティ
おかえりなさい。
【プレイヤー】
こんにちは、サラスヴァティ。
サラスヴァティ
いつもご足労いただいて申し訳ありません。隔室から出るのが難しい状態でして…
【プレイヤー】
大丈夫ですよ、サラスヴァティがホログラムで現れたということは、きっと何かあったんですよね?
サラスヴァティ
サラスヴァティ
ご理解が早くて助かります。では、早速本題に入りましょう。
サラスヴァティ
超時空ネットワークに関連したことで、冒険者さんに力を貸していただきたいのです。
【プレイヤー】
超時空ネットワーク…私に何かできることがあるのでしょうか?
サラスヴァティ
色々な世界での記憶を持つ冒険者さんの痕跡が
この中に入っていることはご存じですよね。
サラスヴァティ
先程、それらのデータを整理していたのですが…
(サラスヴァティが手を伸ばすと、隔室の中の全てのモニターがブラックアウトした。)
【プレイヤー】
サラスヴァティ
このデータにアクセスした時のみこういう状態になるのです。私がアクセスを試す度にエラーになります。
サラスヴァティ
もちろん、このデータ以外には何の問題もありません。今はいったんシステムをリブートして話を続けることにしましょう。
サラスヴァティ
(サラスヴァティの手が忙しそうに動く。しばらくすると、隔室の中のモニターが元に戻った。)
【プレイヤー】
それで、私は何をすれば良いのですか?
サラスヴァティ
アクセス権限をいただきたいのです。その方法は難しくありません。
ここに手をのせていただけるだけで良いのです。
【プレイヤー】
難しいことじゃなくてよかったです。
サラスヴァティ
…ありがとうございます。これで進めることができるはずです。
(サラスヴァティの説明通りに、手をホログラムウィンドウの上にのせる。)
サラスヴァティ
サラスヴァティ
これは…
【プレイヤー】
何かありましたか?
サラスヴァティ
少々お待ちください。
サラスヴァティ
(サラスヴァティの手の動きに呼応するように、
ホログラムの中にあるフォルダとデータが消える。)
サラスヴァティ
以前、新たなデータが現れたら、自由に確認しても良いという話をしたと思います。
サラスヴァティ
このデータも冒険者さんに関するものです。ただし…
サラスヴァティ
閲覧はお勧めできません。
【プレイヤー】
いったいどんな内容だったのですか?お勧めできないって…
サラスヴァティ
冒険者さんが閲覧することで何かが起きるわけではありません。
ですが…それでも…
【プレイヤー】
閲覧権限が私にあるデータならいつかは見ることになるのですよね?
サラスヴァティ
はい、ですがそれが今でなくても問題はありません。あ…
(その時、サラスヴァティの前に、今まで見たことのないホログラムが登場した。)
サラスヴァティ
レコード様…クエリ様…
レコード
おっと、急にお邪魔してすみません。
クエリ
ハッ、謝ることなんてないよ兄貴。
俺たちはやるべきことをやるだけだ。
レコード
クエリ…少し静かにしていなさい。
クエリ
なんでだよ。俺がしゃべったっていいだろ?
【プレイヤー】
お久しぶりです。
クエリ
早速だが本題に入ろう。実は…
レコード
すぐにデータを確認してほしいのです。
クエリ
…おい、どうして俺の台詞を奪うんだよ?
レコード
誰が言ったって変わりませんよ。
【プレイヤー】
相変わらずですね。そのデータを今すぐ確認しなければならない理由があるのですか?
レコード
簡単に説明しましょう。
そちらでは何と言ったか…偉大な壁の構築と言えばよいだろうか。
それを手助けをしなければいけないのではありませんか?
クエリ
あのデータが邪魔していると考えていい。
転送ノイズが発生している…とでもいえばわかるか?
レコード
そのノイズを消さなければいけません。
今すぐ確認すれば、転送ノイズを除去できるはずです。
クエリ
兄貴…それは俺の台詞だってばよ。
レコード
どちらでも良いでしょう。とにかく、今すぐにこのデータを確認してください。
【プレイヤー】
教えていただきありがとうございます。すぐに確認してみます。
レコード
ありがとうございます。
さて、我々の用事は以上です。これで失礼します。
クエリ
なんだよ、もう帰るのか?
…俺だけ残ったって仕方ないしな…それじゃまたな!
(レコードとクエリのホログラムが消え、サラスヴァティが扉があった場所を見つめる。)
サラスヴァティ
サラスヴァティ
【プレイヤー】様…
【プレイヤー】
サラスヴァティ、どうしました?
サラスヴァティ
本当に大丈夫なのでしょうか。
【プレイヤー】
私は大丈夫ですよ。そんなに心配しないでください。
サラスヴァティ
サラスヴァティ
では、データの閲覧ができるようにセットします。
【プレイヤー】
ありがとうございます、サラスヴァティ。
サラスヴァティ
これで完了です。さあ、ここに手をのせてください。
(サラスヴァティが作り出した新しいウィンドウに冒険者の手がのった瞬間、隔室の姿が他の場所へと変わり始めた。)
【プレイヤー】
【プレイヤー】
(いったいどんな内容なんだろう。サラスヴァティが止めるほどなんて…)

(美しい風景越しに見える奇妙な雰囲気の見慣れない空間、その前で誰かの怒声が聞こえる。)
誰かの声
不快だ!
誰かの声
神でもない、たかが人間風情の言葉で私を説得しようというのか?
誰かの声
長き間、守ってきたこの世界がどうしてここまで変わってしまったのか…
私は何のために今まで…
誰かの声
生命を守り続けた結果がこれだとは…
誰かの声
お前はきっと違うと言うのだろう。セレス様の跡を継いで星の主となったあの方のそばにいたのだから…
誰かの声
だとしても許されるわけではない。
誰かの声
私は…すべての生命とあの方々のために働いた!
まるで機械のように…ああ、機械だと言われても構わなかったさ。
誰かの声
本当に機械のような終末を迎えたがな…はっ…まったく笑えん。
誰かの声
そんな機械でさえも、正しく扱えない主に何の意味があるというんだ!
誰かの声
私は神を恨んでいるわけではない。
神の意志に従って行動しているだけだ。ああ…誰だろうとかまわない。
誰かの声
邪魔をする者がいれば、喜々としてここの養分として使わせてもらう。私がここにいる理由はそれだけなのだからな。
誰かの声
生命のために存在する者達がそれで喜ぶのかはわからんが…
(声の主に見える者が手を伸ばすと、指先に光が集まり始める。
そして光の隙間から誰かの姿が少しずつ現れ始めた。)
???
■■■の光よ…
(慈愛に満ちた声でその名が呼ばれた瞬間、光が巨大な槍へと変わり、恐ろしい速さで飛んでいく。)
(巨大な光の槍に貫かれた者が、胸に手を当ててその場で倒れた。)
【プレイヤー】
あれは…
(その瞬間、光を失いつつある瞳と目が合う。)
【プレイヤー】
【プレイヤー】
あれは…私?
【プレイヤー】
私が死んだのか…?いったいどういうことなんだ?
(光を失った瞳で瞬きをする。手を伸ばしてその存在を確認しようとした瞬間、瞳に映る何かが高速で大きくなっていく。)
(まるで沼地にはまってしまったかのように【プレイヤー】は動くことができない。)
【プレイヤー】
…お、お願い、や、やめて…
【プレイヤー】
お、お願い…
(そして【プレイヤー】の姿は何かに飲み込まれて消えてしまった。)