シナリオクエスト

配達の冒険者(4)

タロス
【プレイヤー】
こんにちは、タロス。
タロス
今日も俺から何か聞きたいことがあるのか?ゴミ拾いでは終わらない…
(タロスが【プレイヤー】の周りで浮かんでいるレプトンに気付いて驚く。)
【プレイヤー】
タロス?
タロス
プネウマ産の新鮮な精霊だな。
【プレイヤー】
気付きました?いや…
【プレイヤー】
精霊は市場の魚じゃないですから…
タロス
事実をそのまま言っただけなんだが、何か問題でもあるのか?
【プレイヤー】
いいえ。そういうわけではないんですけど…
(レプトンがタロスの上に乗ってクノッソスの周りをきょろきょろ見始める。)
タロス
その精霊をどうしてここに連れて来たんだ?精霊は自分で自分の仕事を探すはずなんだが…君が連れて来たということは…
タロス
タロス
潰されたプリリンみたいな顔をしているってことは何も知らないんだな。
【プレイヤー】
元々他の目的地があったんですけど、その後私に付いて来ただけです。
【プレイヤー】
それよりプリリンみたいな顔はなんですか?
タロス
まあ、いい。君も知らなくて俺も知らないある偉大な存在の意志が発現されたのかもしれないな。
タロス
【プレイヤー】
レプトン、どうする?
(飛んでいたレプトンがクノッソスの空を見上げて、翼だと思われるものでどこかを指差す。そして、急いでクノッソスの奥に飛んでいく。)
タロス
タロス
あの精霊、獣人王に向かったな。まあ、閉じ込められていると誰かの助けが必要にもなるから。
タロス
とにかく、あのまま帰ることはないだろう。いる間にはクノッソスの生命達の役に立ちそうだ。他は知らないが精霊には感謝してるぞ。
タロス
さて、用はこれだけか?俺はもう寝る時間…
【プレイヤー】
聞きたいことがあります。
タロス
タロス
タダでは無理だ。
【プレイヤー】
クノッソスに登りながら雑草もとって、ゴミも拾いました。
タロス
それでは足りない。
【プレイヤー】
魔法学園にあった魔法の箒とかがいいのかな…
(魔法の箒というワードを聞いたタロスの瞳が大きくなる。)
タロス
魔法の箒だと?まさか箒が自分で動いて、掃除とかをしてくれるのか?
【プレイヤー】
そうですね。そのせいで苦労した覚えがあって…
タロス
ああいうやつを使っていたのか?クソ、羨ましいな…
タロス
【プレイヤー】
(そんなに掃除が好きなのか…)
【プレイヤー】
今度魔法学園ジェレニスに一つもらえないか話してみます。
タロス
ありがたいが、それでは足りないんだよ。
【プレイヤー】
ふぅ、私はできる限りの誠意を見せたのにひどくないですか?
タロス
仕方ない。それが今俺の手に入ったわけでもないから。そういや君、神と関わる人物に会って来たようだな。
タロス
自分で何かをする勇気もなかったのか現体なんか作っておいて…
【プレイヤー】
(現体については一言も話してないのに、タロスはどうして知ってるんだ?)
【プレイヤー】
タロス
余計なことは考えないで、あの現体に行ってダイダロスが好きそうなものをもらって来い。
【プレイヤー】
(ダイダロス…)
タロス
ふっ、何を考えてるのか知ってるよ。だから余計なことはするな。ただ彼が生きているとだけ言ったら大丈夫だ。
【プレイヤー】
タロス
何してんだ?早く行け。気を付けろ、みたいなことでも言ってほしいのか?
【プレイヤー】
いいですよ。それより、もし私が来なかったら魔法の箒なんかは手に入らないと思いますよ。
タロス
掃除はあそこのバカ遊撃兵と一緒にすればいいんだ。君は君が信じる神のための仕事もやらないつもりなのか?
【プレイヤー】
【プレイヤー】
はい、行きます。行けばいいじゃないですか。
タロス
君はまだまださ。言葉で俺に勝ちたいなら…なんだ?もう行っちゃったのか?なんでだ?まだ話は終わってないんだぞ。
タロス
タロス
俺の方がもっとイライラさせた気がするから勝ちなのか…?

グラウコス
お、君か。よく来てくれた。
(劇場に入るとグラウコスが【プレイヤー】手と足の一つをあげて挨拶をする。)
【プレイヤー】
こんにちは、グラウコス様。激しい挨拶ですね。
グラウコス
嬉しくてつい驚かせてしまったようだな。すまない。
【プレイヤー】
アハハ、私は大丈夫です。ところで何をしてたんですか?
グラウコス
劇場の整備をしていた。いろいろあったせいであちこち壊れたことがあってね。
【プレイヤー】
私も手伝います。劇場が壊れたのは私のせいでもありますから。
グラウコス
いいや。ヘイデンとスキュレーも手伝ってくれていて、精霊達もいるから大丈夫だ。
グラウコス
島や皆を助けてくれた恩人にこういうことを任せるにはいかない。
(グラウコスが笑顔でハンマーを持っている足をあげて見せる。)
グラウコス
おっと…この姿に慣れすぎていたようだな。舞台を修理するのにあまりにも自然と行動していた…
グラウコス
修理をしているとまた人達がここに来て俺の劇を見てほしいと思ってしまうんだ。
【プレイヤー】
そうなると思います。絶対。
グラウコス
ありがとう。しっかりと舞台が整備されたら団長の権限で君を招待するよ。
【プレイヤー】
お言葉だけでも嬉しいです。
グラウコス
それより、君がここに来たということは俺に用があるということなのだろう…
グラウコス
気にせず話してくれ。再び生きるチャンスを与えてくれた恩人に恩返しができると嬉しいよ。
【プレイヤー】
では…
【プレイヤー】
(グラウコスにタロスの話を伝える。)
グラウコス
ダイダロス…?
グラウコス
久しぶりにその名前を聞くな。
【プレイヤー】
ダイダロスを知ってますか?
グラウコス
もちろんだ。神を従う優しくて善良な人だった。
【プレイヤー】
【プレイヤー】
(前は今みたいな性格じゃなかったんだ…?今はどうしてああなってしまった?)
グラウコス
ダイダロスが好きそうなものか…あ、あるっちゃあるんだが…いいか。
グラウコス
それでなんだが…君、少し時間大丈夫か?
【プレイヤー】
大丈夫です。どうしました?
グラウコス
彼にあげようとしているのは僕が持っている武器だ。ただ、僕がいつも使っているのとは違うものをあげようとしている。
グラウコス
今も使えそうなのかテストをしてみたいんだが、君が相手をしてくれないか?
【プレイヤー】
ということは…
グラウコス
前回俺と演技を合わせたように今回も練習に付き合ってほしいんだ。君には戦いとなってしまうが…あまり心配しないでくれ。軽く楽しむという考えで大丈夫だ。
【プレイヤー】
【プレイヤー】
グラウコス様との闘い…簡単ではありませんね。
グラウコス
ダイダロスについては戦いが終わったら話そう。
グラウコス
俺が劇場の倉庫から探している間、君は最後の舞台に来てほしいんだ。倉庫があの舞台の裏にあってね。
グラウコス
君、海が見える舞台を覚えているか?
【プレイヤー】
はい、覚えています。そちらに向かいます。
グラウコス
ありがとう。ではまた会おう。
(グラウコスが舞台の裏に入って姿を隠す。)
【プレイヤー】
あの武器に何か特別なものでもあるのかな…
【プレイヤー】
とりあえずグラウコス様との戦いが終わったら話を聞いてみよう。

(グラウコスの顔に満足したような笑顔が見える。)
グラウコス
この程度で十分だ。さあ、武器を下げてくれ。
【プレイヤー】
ふぅ、いつまでやるのか悩みました。
グラウコス
さあ、これをもらってくれ。
(グラウコスが持っていた武器を【プレイヤー】に渡す。)
グラウコス
元々は演劇の小道具として作ったものだが、思ったよりきれいにできたんだ。
【プレイヤー】
かなり鋭くて丈夫な武器ですね。
グラウコス
だな。いつかこの島に来てくれた旅人が持っていたものからモチーフを得た。
【プレイヤー】
それはいつですか?
グラウコス
プレイオス大陸が分かれる前だったから…ふむ…
【プレイヤー】
物凄く昔の話ですね。あ、戦いが終わったら教えてもらえるんですよね?
グラウコス
話そう。ダイダロスとの縁について…
グラウコス
俺は神の現体として生まれた存在だが、命をもらってから少しずつ気付いたんだ。できることよりできないことの方が多いまだまだ足りない存在ということを。
グラウコス
そういう足りなさを埋めたいと思って色んなことをしようとした。その経験が他の生命の役に立つと思っていたから。
グラウコス
たくさんの人々が来てくれるように、たくさんの人々にこの島の全てを楽しんでもらえるように。うまく行かないこともあったが、それはそれで悪くなかった。
グラウコス
ミスを基に前に進めばいいから…人生というのはそういうものだから。それは大丈夫だったんだが…
グラウコス
傍にいた生命が死んでいく姿を見るのはいつも辛かった。隣で見守る以外できることがなかったから…
グラウコス
俺の傍から消えてしまった精霊と動物の数は、もう覚えてもいないくらいだ。
グラウコス
スキュレーが気を失くしたまま島に漂流した時、すぐ目を覚ますと思った。だが、スキュレーはいきなり熱が上がって目を覚ませなかった。
グラウコス
長い時間の経験を基に死んでいくスキュレーを助けたかったが、俺にできることはなにもなかった。死の前で無力な生き物になっていたから。
【プレイヤー】
(神の現体がああいう感情で生命を見ていたなんて…)
グラウコス
そんな中、魔力の竜巻の間に隠れて見えていなかったこの島にある兄弟が訪ねて来た。
グラウコス
タロスとダイダロス。二人は魔力の竜巻を越えてここに来た。俺のアドバイスが必要だと…
グラウコス
大陸の覇権を握ろうとしているシルバリア王国と獣人達の領域であるクリードとの共存のために頑張っていた人物だったからか未だに覚えているんだ。
【プレイヤー】
(メディア様の話によると今のタロスがダイダロスで、弟であるタロスを殺してあの姿になったということだけど…ところで王国?帝国全身が王国だったのか?)
グラウコス
古代獣人達がどういった理由で俺とオセリノの名前を書いたかはわからないが、兄弟は俺から答えを得ようとした。
グラウコス
彼らは切実に見えた…
【プレイヤー】
オセリノ…
グラウコス
彼は昔亡くなったと聞いた。もし君は彼についても知っているか?
【プレイヤー】
それが…いつか機会があればお話しします。
グラウコス
頼む。俺は兄弟を侵入者だと誤解したが、彼らに敵意がないことに気が付いて話をした。
グラウコス
彼らは神を従っていて、神の名前で自分達の一族を助けられることを悲しんでいた。
グラウコス
俺から兄弟にできることは多くなかった。神の話が役に立つと思って彼らが知らない黄昏時代の話をしてあげたら…
グラウコス
意外と満足したようだった。そして兄弟はスキュレーの病気が落ち着くようにクノッソスから持ってきた材料で薬を作ってくれた。
グラウコス
スキュレーの熱が下がって目を覚ませる希望が生まれた。嬉しかった俺は兄弟に贈り物でもと思っていたが、弟であるタロスが大丈夫だと兄が欲しがっていたものまで断っていた。
【プレイヤー】
それが私にくれた武器ですね。
グラウコス
ああ。どうしてタロスが拒否したのかはわからないが…陽が暖かったある日、彼らはお礼を言って急いで帰っていった。
グラウコス
何か解決されたかどうかはわからないが…それが彼らの最後の姿だった。
グラウコス
数日後、幸いのことにスキュレーが目を覚まして、ヘイデンの説明を受けてから島で一緒に過ごすようになった。
グラウコス
グラウコス
ダイダロスにはあの時お返しができてよかったが、どうして今になってこれが必要なのかよくわからないな…
グラウコス
君が知っている今のダイダロスは昔とはだいぶ違うようだが…彼について話してもらえないか?
【プレイヤー】
私が知ってるのだけ話ますね。
(【プレイヤー】からダイダロス、今のタロスについての話を聞いたグラウコスが驚く。)
グラウコス
俺が渡した武器を一度返してもらえるか?またすぐ返すから。
【プレイヤー】
はい、どうぞ…
(グラウコスが他の手に持っていた武器と受け取った武器を一緒に握る。そうすると、武器から聖なる光が現れて消える。)
グラウコス
さあ、これを受け取ってくれ。悪い事には使われないように島の精気を吹き込んだ。これで神に背中を向けることになると、きっと後悔するのだろう…
【プレイヤー】
よかった、安心しました。
グラウコス
…力になれてよかったな。
【プレイヤー】
ではもう戻ります。時間ありがとうございました。
グラウコス
いつでも武器が必要なら俺を訪ねてくれ。埃だらけの倉庫を片付けたら何か君に必要そうな物が出るかもしれないな。
【プレイヤー】
(ハハ…いっぱい来ないとだな…)
【プレイヤー】
タロスに向かおうか…何も起きないよね?

タロス
(何も反応していないようだが、タロスの耳にいつもより力が入っている。)
タロス
約束通り持ってきたんだな。よこせ。
【プレイヤー】
苦労して持って来たら…もう隠すこともないですね。
タロス
何を?
【プレイヤー】
ダイダロス。
タロス
それが何。もういない人だよ。ほお、これ思ったよりいい物じゃないか。
【プレイヤー】
グラウコス様があの時のお礼ができてよかったと話していました。
タロス
わかった。現体が…いや、最初会った頃からただ長生きの爺だったからな。
タロス
ふふ、ダイダロスが欲しがる分あるな。あの現体は大した物じゃないと言っていたが、実はな…
【プレイヤー】
実は?
タロス
続きが気になるのか?タダで?
【プレイヤー】
【プレイヤー】
どうしてそうなるんですか?
タロス
これで俺みたいな人気者の情報が手に入っただろ?無駄に怒るなよ。
【プレイヤー】
怒るって言ったらどうしますか?
タロス
今すぐにでもシルバリア帝国の村一つを…あっ、痛っ!!
【プレイヤー】
村一つを痛い?あ!レプトン!
(いつ戻ってきたのか、エレキレプトンが飛んできてタロスに全身をこすりつけている。)
タロス
うわあっ、離して!
【プレイヤー】
いやです。
タロス
離してよ!
【プレイヤー】
離してください、って言ってください。
タロス
あっ、離して。離せよ!
【プレイヤー】
レプトン、もう少し感情を乗せて擦り付けられる?
(【プレイヤー】の言葉にレプトンの顔がビックリマークに変わる。それに気づいたレプトンが頭を下げる。)
タロス
離して!君が聞きたい話一つ言ってあげるから!
【プレイヤー】
いいですよ、タロス。レプトン、聞いたよね?今は離れて、また人々を威嚇したらタロスを痛めつけてね?
タロス
はあ…
タロス
とんでもない精霊だな。ふぅ、仕方ない。クノッソスの役に立つ精霊だから今回だけ許してやるよ。
【プレイヤー】
…相変わらず口は生きてますね。
タロス
口だけで長生きしようとしてるんでな。う…
(レプトンがタロスの顔の前に飛んできて周りをぐるぐる回り始める。)
タロス
わかったわかった。落ち着いて。せめてレプトンの前では静かにするから。じゃあ、何か一つあげようか。ヒントだ、ヒント。
【プレイヤー】
ヒントですか?
タロス
エルアノールに残っているオルカの部下のうるさい声を覚えてるか?
【プレイヤー】
うーん…その声なら…
タロス
オルカはやつに約束した。いつかまた戻ってくると。だが、二度と戻ることはなかった。逃げた古代神のように。
タロス
タロス
ではまたな。
【プレイヤー】
タロス、どういうこと…
(自分の話を終えるとタロスが木の登って走って行く。追いかけようとするが、クノッソスの地理に詳しい彼に追いつきそうにない。)
【プレイヤー】
【プレイヤー】
オルカの部下?…名前を思い出せない…探してみないと。その存在がなんだって?
【プレイヤー】
ふぅ、一応戻らないと。タロスもこれ以上は話さなそうだし。
(そうやって冒険者がエルアノールの山道に戻る頃、消えていたタロスがゆっくり木から降りて来る。)
タロス
タロス
脅迫内容通り餌をやったんだからもう来ないでくれ。この「魔女達」め。