シナリオクエスト

感情の色(11)

ノトス
【プレイヤー】さん、おかえりなさい。
(ノトスが遠くから歩いて来る【プレイヤー】の姿を見て急いで走って来る。)
ノトス
いや、これを全て持ってきていただくとは。
【プレイヤー】
手紙が思ったより多かったんですよね。50通もあるなんて…私が一瞬で郵便屋さんになった感じでした。
(ノトスの目から涙がぽろぽろ落ちる。)
【プレイヤー】
【プレイヤー】
ごめんなさい、私が変な冗談を言ってしまったようです。悪い意味ではないですよ。
ノトス
ハハ、いいえ。大丈夫ですよ。弟としっかし話していない僕のせいです。
ノトス
手紙さえ受け取ってもらえないくらい嫌われていますから。
ノトス
【プレイヤー】
あ、手紙受け取ってください。
ノトス
本当にありがとうございます。恩返しをどうすればいいのか。
(ノトスが【プレイヤー】から無くした手紙を受け取って笑顔になる。)
【プレイヤー】
大丈夫ですよ、何かを求めてやったわけじゃないですから。
ノトス
個人的なことは終わりましたか?
【プレイヤー】
まだです。島に行ってきたら手がかりがあると思ったんですけど…
【プレイヤー】
(砂時計がアイエ島にあったならヘイデンが教えてくれたはずだし…)
ノトス
少しお時間よろしければ、僕の話を聞いてもらえませんか?
【プレイヤー】
あ、いいですよ。
ノトス
僕がゼフィロスに手紙を書き続けたのは仲直りをしたかったからです。お互い目指している魔法の道が異なるのも、家族としても…
ノトス
ノトス
10年前、お父さんが事故で亡くなりました。二人だけ残るようになって、僕達は金銭的に苦労をしていました。
ノトス
よくある英雄話の主人公のようにすぐ立ち直って世界の中心になる幸運を願っていました。
ノトス
神様に少年の願いが届いたのか、たくさんの方々のおかげで僕達は幸いのことに首都の小さな学校に通えるようになりました。
ノトス
弟は人気があるので、少女達と色んな噂がありました。とある少女が僕に眼鏡をかけたら折ってやるって言ってきたのを覚えています。名前がクロリス…あ、あの方が…
【プレイヤー】
アハハ…ゼフィロスさんもクロリスさんも…学校で働いています。
ノトス
その話を聞いて驚きました。ハハハ。今の二人の仲はよくわかりませんが…
ノトス
僕達は学校を卒業して自然と魔法庁で働くことになりました。そして偶然、一つの事実に気付きました。
ノトス
10年前の事件に魔法庁の介入があったこと…
【プレイヤー】
正確にどういうことがあったんですか?
(【プレイヤー】の質問にノトスが慌てる。)
ノトス
あ…僕はあの事件について詳しいと思っていました。陛下と関わる仕事をしていたので…
ノトス
【プレイヤー】
正確にはわかりません…ただよくないことがあったという程度で感じています。
ノトス
なるほど。いつか聞く日が来るかもしれませんね。今は話さないでおきます。ごめんなさい。
【プレイヤー】
いいえ…
ノトス
ハハ、他にもたくあんありますよ。あの時、弟と僕はお互い考えが合わないせいで大きく喧嘩をしてしまって…
ノトス
僕は魔法庁を出て賢者の塔に行くことになりました…
ノトス
ノトス
いつか弟と顔を合わせてしっかり話し合いたいです。あんなことを言ってはいけなかったのに…
【プレイヤー】
いいお兄さんですね。いつかその日が来ると思います。
ノトス
ありがとうございます、【プレイヤー】さん。兄弟や友達、同じ魂を持つ存在としてもう少し正直になる必要があったんですけどね。
ノトス
双子ですから。
(ノトスがすっきりした顔で背伸びをする。)
ノトス
もうこんな時間ですね。僕は戻って残りの業務をしますが、【プレイヤー】さんの日程はどうですか?
【プレイヤー】
あ、私…行きたい場所が思い浮かびました!
ノトス
どこですか?
【プレイヤー】
内緒です。アハハ、誰かの真似をしているようだな…
ノトス
それならお見送りします。ギルド連合の方面ですよね?
【プレイヤー】
はい。はい?ふぅ…はい。バレちゃったので仕方ないですね。
ノトス
ハハ、ご無事で。またお会いしましょう。
【プレイヤー】
はい、ノトスさん。
【プレイヤー】
(…弟のための心が伝わって来る。思い浮かぶ場所なら魔法学園…修練館から探してみようかな?)

(魔法学戦生徒会の協力を得てあちこちを見ていると、一方で黄色の輝いている何かが見つかる。)
【プレイヤー】
…ここにあったんだ。思ったより早く見つけてよかった。
【プレイヤー】
【プレイヤー】
見てるだけで幸せな気分になるな…誰かが幸せになることを願う心だけでも…あ、そうだ。黄色い砂時計には幸せの感情が入っているのか…
【プレイヤー】
幸せになりたいな…
【プレイヤー】
…!
【プレイヤー】
砂時計のせいなのか、何を言ってるんだ。急いでヘイデンに行ってみよう。

ヘイデン
冒険者さん、おかえりなさい。
(今回もヘイデンが人形マリーの手を振りながら迎えてくれている。)
ヘイデン
冒険者さんが島に足を運んだ瞬間から、幸せの感情を感じました。
ヘイデン
たくさんの生命が持つ感情の一部が入ったこの砂時計がここまで強い力を放つとは思いませんでした。精霊である私がそれを感じるくらいでしたら…
【プレイヤー】
ヘイデンのおかげですぐ見つけることができました。
ヘイデン
いいえ。
ヘイデン
感謝しているのは私です。精霊は生命のために働く存在ですが、こういう感情を簡単に覚えることはできないのです。
ヘイデン
私がこの感情を覚えるのはとても幸運なことですよ。冒険者に出会えてよかったです。
ヘイデン
マリー、あなたもよね。
(ヘイデンが人形マリーもそうだと言っているかのように頷いて見せる。)
【プレイヤー】
ありがとうございます、ヘイデン。
ヘイデン
では砂時計をもらってもいいですか?
【プレイヤー】
はい。この砂時計を消えさせるには精霊の力が必要ですよね?ヘイデンも特別な呪文を唱えたり特別な行動をしますか?
ヘイデン
私はそういうのは特になくて…呪文を唱える精霊がいるとは聞いています。ですが、私は違います。
ヘイデン
さあ、マリー。行くわよ?
(ヘイデンが近くにある岩の上に人形マリーを置く。マリーが理解したかのように頷く。)
【プレイヤー】
【プレイヤー】
今マリーが動いたんですよね?私の見間違いじゃないですよね?
ヘイデン
さ、さあ?ふふ…
【プレイヤー】
(何もわからないという顔と笑顔で誤魔化そうとしている…とりあえず見てみよう。)
(マリーがヘイデンから黄色い砂時計を受け取ってぐるぐる回り始める。その後、砂時計の中から黄色の光が流れて島のあちこちに向かって飛んでいく。)
(そうやってしばらく回っていたマリーが目が回ったのかそのまま座り込む。)
ヘイデン
マリー、お疲れさま。少し休んでね。
【プレイヤー】
終わったみたいですね。
ヘイデン
感情の砂は行くべき場所へ戻りました。
ヘイデン
あ、ごめんなさい。砂を入れていた入れ物が消えずに残ってしますね。仕方ありません。
ヘイデン
これも元の場所に戻した方がいいですよね?
(ヘイデンが軽く笑いながら空の砂時計を空に飛ばす。砂時計は魔力の竜巻に乗ってどこかに流れるようだったが、すぐに消えてしまう。)
ホーホー!
(どこかから何かに殴られて痛そうなミミズクの鳴き声が聞こえて来る。)
【プレイヤー】
【プレイヤー】
気のせいかな?何かに殴られたミミズクの鳴き声を聞いたような気がする…
ヘイデン
空の砂時計はプネウマに戻りましたのであまり心配しないでくださいね。
ヘイデン
では残りは二つですね?熱情と愛に関する感情、希望と平和を願う感情…
【プレイヤー】
そうだと思います。
ヘイデン
冒険者さんが残りの砂時計にどこでどうやって出会えるのかはわかりませんが…
ヘイデン
まだ現れていないようです。どこかで現れたのなら精霊達は感じていると思います。
ヘイデン
さあ、マリー。こっちにおいで?
(ヘイデンが倒れたマリーを抱っこする。)
【プレイヤー】
改めてありがとうございます、ヘイデン。ではまた来ますね。
ヘイデン
いいえ、冒険者さん。これからも何かありましたら遠慮なく教えてください。精霊は生命のために働く存在ですから。
(ヘイデンが倒れたマリーを持ち上げると、さっきまで動いていたマリーが本物のぬいぐるみのように動かなくなる。)
【プレイヤー】
…やっぱり世界は私の知らないことだらけだ。あの人形もそうだし…いつか残りの砂時計も見つかるかな…
(その瞬間、マリーがピクッとするのが冒険者の目に入る。)
【プレイヤー】
【プレイヤー】
(今もちょっと動いた気がするけど…いや、何も見てない、何も見てない。)