シナリオクエスト

羽の記憶

(カーリー村の奥、メディアが慣れたオーラを感じたのか入り口の方を見つめる。そして晴れやかな笑顔になる。)
メディア
こんにちは、【プレイヤー】…
【プレイヤー】
こんにちは、メディア様。
【プレイヤー】
メディア
顔色を見るとゆっくり眠れていないようですね。
【プレイヤー】
夢を見ました。
……内容はあまり覚えていません。ただ、一つのワードがずっと頭に残っていて……
メディア
――「魔女」、ですね。
【プレイヤー】
はい…
メディア
魔女の一部が【プレイヤー】の存在を認知したようです。大きな事件がありましたから。
メディア
イリス様にもある影響があったと思いますが…お会いして話すのはどうでしょうか?
【プレイヤー】
…それが一番いいかもしれませんね。
メディア
暖かい風が吹きますね。こんにちは、イリス様。
【プレイヤー】
あ…
(傍にカーリーの風に乗ったような紫のハナアヤメが落ちる。)
【プレイヤー】
イリス…
(地面に落ちた花びらが消えた場所にイリスの姿がまるで一凛の花のように咲く。)
イリス
こんにちは、メディア様。
【プレイヤー】
こんにちは、イリス。
(【プレイヤー】の挨拶にイリスが笑顔で答えて二人の手を握る。)
イリス
会えて嬉しいです。
イリス
元々は私がいる場所に二人を招待しようと思いましたができませんでした。二人には危険な場所かもしれなくて。
【プレイヤー】
どうしたの?
イリス
魔界からとある経路を通してこの世界と繋ごうとする試しがありました。
イリス
イーストランドにあった痕跡が消えてよかったと思いましたが、逆に小さな力や大きな力が様々な形で近づいています。
イリス
恐らくそれは魔界の各領域を守る君主級の存在だと思います。その中にはルクスもいるのでしょう…
イリス
また違う力も感じました。魔界とこの星を繋ごうとする…
イリス
魔女…
イリス
【プレイヤー】の夢は実は夢ではないかもしれません。無言の警告なのでしょう。
【プレイヤー】
邪魔するなという…?
イリス
はい…
【プレイヤー】
魔女を探さないと。
イリス
そういう目的を持つ魔女が誰なのか、どこにいるのか、どういう姿なのかはわかりません。それで…
メディア
大丈夫ですよ、イリス様…私が力になりますのであまり心配しないでください。
イリス
ありがとうございます、メディア様。
【プレイヤー】
それなら魔女を探すのが先だね…何をするとしても探してからだから。
イリス
今は私も【プレイヤー】も知っているのはあまりありませんが、それでも無理はしないでください。
【プレイヤー】
うん、ありがとう。
イリス
では、戻ります。すぐ戻らないといけないのです。
【プレイヤー】
イリス、気を付けて。
メディア
ではまたお会いしましょう、イリス様…
(再び暖かいお花の香りを乗せた風が吹いてイリスの姿が消える。)
メディア
メディア
あ、そうだ。ノエルが送ってくれた美味しい茶葉があるのですが、お茶を出すのを忘れていましたね。イリス様は仕方ありませんが…【プレイヤー】、お話があるので少しお待ちいただけますか?
【プレイヤー】
あ、はい。ところでどういう話を…
メディア
少しお待ちください。
(しばらくすると、メディアがお茶を用意して【プレイヤー】の前に出す。)
【プレイヤー】
香りがいいですね。
メディア
ノエルが選んだものですので当然のことでしょう、ふふ…
メディア
【プレイヤー】…少し曖昧ですが、魔女を見つける方法を思い出しました。
【プレイヤー】
本当ですか?
メディア
子供の頃、私はあの人とかくれんぼをしながら遊んだ覚えがあります。私はあの人を見つけることができませんでしたが…
メディア
あの人はいつも私を見つけたのです。どうやって見つけたのか聞いても答えてくれませんでした。
メディア
私を見つける度に持っていた何かがあったのを思い出しました。
【プレイヤー】
道具ってことですか?
メディア
はい、正確には覚えていませんが、羽が付いていました。白くて聖なる羽はいつも私を向いていました。
【プレイヤー】
白くて聖なる羽。
メディア
それだけではないと思いますが、まずはそれが始まりかもしれません。
【プレイヤー】
天使であるミカエラ様に聞いたらわかりますよね?まず聖域に行ってみます。
メディア
私はその間記憶を辿ってみます。何かがあるかもしれませんから…
【プレイヤー】
メディア様、大丈夫ですか?
メディア
大丈夫ですよ。あまり心配しないでください…もう私は昔の私ではありませんから。
メディア
いってらっしゃい。お待ちしています。
【プレイヤー】
できる限り早く戻ります。
(メディアが笑顔で送り出す。)
【プレイヤー】
メディア様の笑顔が前より楽になった気がするな。では、ヒュレーに行ってみよう。

(相変わらず赤い光で満ちているヒュレー、中に入ると天使ミカエラが赤色に染まらない純白の翼を広げながら近づく。)
ミカエラ
【プレイヤー】、久しぶり…
【プレイヤー】
こんにちは、ミカエラ様。
(ミカエラが近づいて軽くほっぺにキスをする。)
ミカエラ
ミカの挨拶。
【プレイヤー】
うああああ、あ、ミカエラ様の挨拶。ご、ごめんなさい。慣れなくて…
(慌てる【プレイヤー】の顔を見ていたミカエラが微笑む。)
ミカエラ
遠くにあった悪いオーラを追い出してくれてありがとう。
【プレイヤー】
元気でしたか?
ミカエラ
ミカは元気だよ。今日はどうしたの…?もしかして、バトスが現れた?
【プレイヤー】
バトス、いや、バルバトスの件ではありません。ミカエラ様の力がほしくて…
【プレイヤー】
それが…
【プレイヤー】
(ミカエラにメディアの話を簡単に伝える。)
ミカエラ
ミカ理解した。
ミカエラ
天使の羽は祝福だよ。だから他の存在達は願い事が叶うと信じている。
ミカエラ
恐らくあの子を見つけたものに付いてあったのは…あの子を見つけるための力が宿っていたみたい。
ミカエラ
そしてミカの羽ではない。天使はミカじゃなくてもまたいるから。
【プレイヤー】
他の天使ですか?
ミカエラ
そう…
【プレイヤー】
(他の天使に会うこともできるってこと?ふむ…)
ミカエラ
ミカは天使だよ。ミカの羽にあの子の力を籠めたら作りたい道具の素材になると思う。
ミカエラ
ミカの翼の羽をあげるよ。その代わりミカと戦ってほしい。
【プレイヤー】
ありがとうございます、ミカエラ様。
ミカエラ
ミカは奥で待っているよ。
(ミカエラが話を終えると背中の翼を広げる。戦闘を待望していた天使は白く羽ばたいてヒュレーのどこかに飛んでいく。)
【プレイヤー】
今回もミカエラ様との闘いか…仕方ないよな。
【プレイヤー】
行くか。

(ミカエラが力強く羽ばたくと近づけないほどの強い風が起こる。)
ミカエラ
ミカとの闘いは終わったよ。ちょっとまってね、【プレイヤー】。
【プレイヤー】
はい、ミカエラ様。
(ミカエラが頷いた後、床に落ちた翼の羽を拾って手にする。しばらくすると、羽の先から白い光が流れて手を包む。)
(時間が止まったような赤い世界、その中から広がる光は見ているだけで聖なるオーラを感じる。)
【プレイヤー】
わぁ…
ミカエラ
ミカの羽をあの子に渡して。女神様の力になるなら惜しまずミカの力を分けるよ。
ミカエラ
役に立てるといいな。ミカも嬉しいよ。
【プレイヤー】
ありがとうございます、ミカエラ様。
ミカエラ
それなら今度ミカにクッキーを持ってきて。
【プレイヤー】
クッキーですか?デザートで有名なお店を知ってんです。今度持ってきますね。
ミカエラ
アージャントからお礼でもらったグラスタンクッキーも美味しかったよ。
【プレイヤー】
アージェントがクッキーを持ってきたんですか?
ミカエラ
アウルムがクッキーをくれるって言うから行ったんだけど、アージェントがいたの。妹のプレゼントを悩んでいるって聞いてミカがプレゼントをあげたんだよ。
【プレイヤー】
【プレイヤー】
まさかクッキーをもらったお礼で羽をあげたんですか?
ミカエラ
うん。
(ミカエラが悪意のない顔で答える。)
【プレイヤー】
【プレイヤー】
…クッキーを用意しておくべきでしたね。
ミカエラ
でも用途が違うんだよ。今ミカがあげた羽は誕生日プレゼントの羽よりもっと特別な羽。
ミカエラ
女神様を助けることだから。
【プレイヤー】
そうですね、ミカエラ様。この羽はみんなを助けると思います。
ミカエラ
あ、ちょっと待って。
(ミカエラがどこかからクッキーが描かれたボックスを二つ持ち出す。そのうち一つを【プレイヤー】の手に渡して、もう一つのボックスからクッキーを二つ取り出す。)
(そしてクッキー一つを自分の口に、もう一つは【プレイヤー】の口の前に差し出す。)
ミカエラ
【プレイヤー】、これ美味しいよ。帰り食べて。これはあの子にあげて。ミカはもう一つあるの。(もぐもぐ)
【プレイヤー】
いただきます、ミカエラ様。ではまた来ますね。
ミカエラ
うん。また何かあったらミカに言ってね。(もぐもぐ)
(ミカエラが他の味のクッキーを口に咥えて赤い月がある空の上に力強く飛び上がる。)
【プレイヤー】
赤い月と白い翼の天使か…なんだか似合ってるな。それより今回はかなり長い旅になりそうだな…
【プレイヤー】
【プレイヤー】
あ、何を言ってるんだ?いや、まさか何もないよね。余計なことは忘れて帰ろう。
【プレイヤー】
お、このクッキー美味しいじゃん。(もぐもぐ)