シナリオクエスト

エピローグ~かくれんぼ

シエナ
お姉ちゃん…?
(シエナが自分を訪ねた人を見て驚くも、明るい笑顔と共に走っていく。)
シエナ
お姉ちゃん!
デイナ
シエナ、元気だった?
(デイナが抱き着いて来たシエナの頭を撫でる。そしてこけそうになったので少し押し出す。)
シエナ
ごめんなさい、私のせいでこけそうになりましたよね?
デイナ
こけたらエルアノール平原まで転んで行くのよ。
シエナ
まったく。ところで連絡もなく、どうしました?理事長が風を起こしたわけでもないのに…
デイナ
クロリス校長とゼフィロス理事長に話があって来たの。ついでに愛らしい妹にも会えるし。
シエナ
その話、私も聞いちゃだめですか?
デイナ
デイナ
シエナ、お姉さんは…
シエナ
お姉ちゃん、私も皇家の一員です。お姉ちゃんのことは私のこと、何も迷いません。
デイナ
そう言われても今日はだめよ。でも約束するわ。いつか絶対話すから。
シエナ
待ちます。その代わり…
デイナ
代わり?
シエナ
食堂で一緒に食事をしませんか?今日はそれで満足しますから。
デイナ
ええ。
(デイナがシエナの肩に手を置こうとした瞬間、急いで杖を持ってシエナの前に歩いて行く。)
デイナ
シエナ、私の後ろに来て。
シエナ
お姉ちゃん?
デイナ
シエナ
消えましたよ。
デイナ
ええ、大丈夫そうね。消えた…
(シエナの言葉にデイナが驚いて振り向く。)
デイナ
シエナ?今なんて言ったの?消えるなんて…シエナ…
シエナ
デイナ
いつから感じたの?
シエナ
魔法を勉強してたら…
デイナ
魔法で感じられるものではないのよ。これは…
シエナ
シエナ
ごめんなさい、お姉ちゃん。そして…、お姉ちゃん?
(デイナがが静かにシエナを抱きしめる。)
デイナ
謝る必要ないわ。シエナは何も悪くないから。これは…
シエナ
お姉ちゃん、陛下…いや、お姉ちゃんを憎まないでください。
デイナ
デイナ
ええ、わかったわ。
(デイナがシエナの手を握って軽く笑う。)
デイナ
今回は特別に話してあげるわ。
シエナ
お姉ちゃん?
デイナ
ゼフィロス理事長とクロリス校長に案内してちょうだい。そして終わったらすぐ食事をしよう。
シエナ
はい、お姉ちゃん。今日の食堂のメニューはとてもいいですよ。
(そうやってデイナとシエナの姿が消えて、二人の姿を長く見つめていたような一人の少女が姿を現せる。)
少女
少女
魔力が溢れるここなら隠れられると思ったのに、ここもだめね。
少女
あの二人、何を経験したんだろう…
少女
少女
私が気にすることじゃないわね…あ、急がないと。
(少女がそのまま振り向くと、誰かとぶつかってしまう。ぶつかった対象がそのまま転ぶと少女が急いで手を差し出す。)
少女
あ、ごめんなさい。少し…
ファルミラ
見つけた、子猫ちゃん。
少女
あんた誰?それよりどうして私が猫に…?
ファルミラ
私?私は通りすがりの傭兵団長。
少女
どうして私に気付いたの?
私はたしか普通の人間には見えないはずなんだけど…
ファルミラ
私は猫を探していることに慣れてるんだよ、子猫ちゃん。さあ、行こう。私に君を探してほしいと依頼した人がいるんでね。一緒に行く?
ファルミラ
行くかどうかは君の選択だよ。もちろん、その人が気になるのなら私に付いてきてね。

(とある空間に、焚き火の音だけが響く。その前に、誰かが座って歌い始めた。)
待ちに待った約束の夜…、希望の呪いを唄う♪
願いが叶うためにはいやなこともしないといけない♪
ラララ、ララララ…
生き残らないと。
死なずに、できる限り絶えないと♪
血の歌を絶え間なく唄う者達がいるから…
ラララ、ララララ…
こうやって続く私達の物語…
神様よ、逃げてしまった私達の神よ。
あなた達が作った呪いが唄う歌を聞いてください。私達を放っておいてください。
この夜が過ぎる前に残りの歌が唄えるように…
魔女の夜、その夜の供え物にならないことを…
(歌が終わる前に焚き火が消えて、周りが暗闇に沈む。)
――!
(歌っていた誰かが倒れ、新たな人物がそこに座り、再び焚き火を付ける。)
(そして歌の続きを唄い出した。)
少女よ、新たな神になった少女よ。
どうか!私達を許してくださいね♪
……………………
[ Chapter 4 : 魔女の夜 ]