(シエナが自分を訪ねた人を見て驚くも、明るい笑顔と共に走っていく。)
(デイナが抱き着いて来たシエナの頭を撫でる。そしてこけそうになったので少し押し出す。)
シエナ
ごめんなさい、私のせいでこけそうになりましたよね?
デイナ
こけたらエルアノール平原まで転んで行くのよ。
シエナ
まったく。ところで連絡もなく、どうしました?理事長が風を起こしたわけでもないのに…
デイナ
クロリス校長とゼフィロス理事長に話があって来たの。ついでに愛らしい妹にも会えるし。
シエナ
お姉ちゃん、私も皇家の一員です。お姉ちゃんのことは私のこと、何も迷いません。
デイナ
そう言われても今日はだめよ。でも約束するわ。いつか絶対話すから。
シエナ
食堂で一緒に食事をしませんか?今日はそれで満足しますから。
(デイナがシエナの肩に手を置こうとした瞬間、急いで杖を持ってシエナの前に歩いて行く。)
デイナ
シエナ?今なんて言ったの?消えるなんて…シエナ…
デイナ
魔法で感じられるものではないのよ。これは…
シエナ
ごめんなさい、お姉ちゃん。そして…、お姉ちゃん?
デイナ
謝る必要ないわ。シエナは何も悪くないから。これは…
シエナ
お姉ちゃん、陛下…いや、お姉ちゃんを憎まないでください。
デイナ
ゼフィロス理事長とクロリス校長に案内してちょうだい。そして終わったらすぐ食事をしよう。
シエナ
はい、お姉ちゃん。今日の食堂のメニューはとてもいいですよ。
(そうやってデイナとシエナの姿が消えて、二人の姿を長く見つめていたような一人の少女が姿を現せる。)
少女
魔力が溢れるここなら隠れられると思ったのに、ここもだめね。
少女
私が気にすることじゃないわね…あ、急がないと。
(少女がそのまま振り向くと、誰かとぶつかってしまう。ぶつかった対象がそのまま転ぶと少女が急いで手を差し出す。)
少女
どうして私に気付いたの?
私はたしか普通の人間には見えないはずなんだけど…
ファルミラ
私は猫を探していることに慣れてるんだよ、子猫ちゃん。さあ、行こう。私に君を探してほしいと依頼した人がいるんでね。一緒に行く?
ファルミラ
行くかどうかは君の選択だよ。もちろん、その人が気になるのなら私に付いてきてね。