シナリオクエスト

汚れた童話(3)

ナーシャ
…!
ナーシャ
冒険者さん、おかえりなさい!
【プレイヤー】
元気でしたか、ナーシャ?無事ですよね?
ナーシャ
はい、無事です。先生、いや冒険者さんのおかげで最近は悪いことも起きてないようです。
【プレイヤー】
先生と呼ぶのはもうやめたんですか?
ナーシャ
あ、それが…怒られました。
【プレイヤー】
誰にですか?
ナーシャ
ん…総長です。
ナーシャ
ちゃんと教わったときだけ先生と呼びなさいと言われました。ごめんなさい。
【プレイヤー】
いいえ、大丈夫です。今お話し大丈夫ですか?
ナーシャ
私はおしゃべり大好きです。ところでどうしました?
【プレイヤー】
最近失くしたり、探してるモノはないですか?
ナーシャ
失くしたのはなくて、探してるのはあります。本ですが…
【プレイヤー】
本?
ナーシャ
子供の頃、シスターだったお母さんから聞いた話が書いてある本です。
【プレイヤー】
どういう話ですか?
(ナーシャが目を閉じて記憶を遡る。)
ナーシャ
正確ではありませんが、こういう内容でした。子供が森を彷徨っていました。そんな中、ゴーレムに会って一緒に遊びました。
ナーシャ
そうやって数日遊んでいると、子供の前に悪い妖精が現れました。
ナーシャ
妖精はゴーレムと遊ばないで元の場所に戻ろうと言いました。ゴーレムは子供がここにいるより妖精と行ったほうがいいと思って子供を見送って…
ナーシャ
それでゴーレムが一人で残されてしまったという話だったと思います。
【プレイヤー】
(…子供とゴーレム…)
ナーシャ
最近私の状況をみるとなんだかその話を思い出して…
【プレイヤー】
(ナーシャとマッドゴールドの話を思い出したり、オネイロ森のベルゲルミルとエッダの話を思い出したり…)
ナーシャ
この話はここを始め、シルバリア帝国の人なら誰でも知っている口伝です。
【プレイヤー】
あ、そうですか?
ナーシャ
ベルパ図書館に問い合わせてみましたが、ベルパ図書館にはない本だそうです。発刊されたとしてもかなり昔の本の上に何冊しかないので手に入れるのは難しいと…
【プレイヤー】
(あの本かな…?)
ナーシャ
冒険者さん?
【プレイヤー】
あ、私も探してみます。最近いろいろあって…ですが、あまり期待はしないでください。
ナーシャ
お話だけでもありがたいです、先生。いや…冒険者さん!
ナーシャ
もし本が見つかったらテオおじさんに渡してください。おじさんが一度確認したほうがいいと思いまして。
【プレイヤー】
わかりました。また会いましょう。
ナーシャ
忙しい時に来てくれてありがとうございます。
(ナーシャが喜ぶと肩にいたマッドゴーレムのマッドリンも喜んでいるようだ。)
【プレイヤー】
カイロスに行けば本が見つかるかな…ふむ、行ってみるしか。

カイロス
ふあああ…眠い。
(すぐ前にある木の前で寝ていたカイロスが起きて目を擦る。)
カイロス
来たにょ?
【プレイヤー】
ここに流れてきたモノがわかった気がする。
カイロス
アルケーから聞いたけど、面倒くさいにぇ。それで、にゃに?
【プレイヤー】
ゴーレムと子供が友情を交わす話の本みたい。
カイロス
童話みたいにゃもんなにょ?
【プレイヤー】
恐らくそうだと思う。
カイロス
クロノスがいる場所ではどうやって見つけたにょ?
【プレイヤー】
深い領域まで流れたようで「許可」が必要って言われた。
カイロス
なるほど?
カイロス
カイロス
これ?
(カイロスが本を一冊取り出して見せる。)
カイロス
何も考えずに寝てたら、木の上から本が落ちて来たよ。
【プレイヤー】
お、よかった。私にくれる?持っていくよ。
カイロス
カイロス
でもどうしよう~?
【プレイヤー】
いや、まさか…
カイロス
許可が必要だよ。もともと深い領域まで流れないといけにゃいんだけど、ここにいるってことは何かにょ間違いだと思うわ。
【プレイヤー】
ふぅ…
カイロス
説明はいいよにぇ?楽でいいわ、面倒くさいから…あたしも嫌だけど戦うしかにゃいよ。わかった?
カイロス
道迷わにゃいでね、じゃね。
(カイロスがあくびをしながら木の上に上る。)
【プレイヤー】
私もにゃんだか眠いな…寝たい…
【プレイヤー】
い、いや。気を取り直して行ってみようかな。

カイロス
終わり。
【プレイヤー】
もう大丈夫?
カイロス
本だよ。
(カイロスが本を取り出して【プレイヤー】に渡す。)
カイロス
あたしはミミズクの時計とは違うからクールにあげちゃうよ。これももしかしたらあんたの大事にゃ選択にょ瞬間かもしれないにぇ。
【プレイヤー】
本をもらうだけなのに、どうして大事なの?
カイロス
それは…
カイロス
カイロス
実はあたしもよくわからにゃい。あたしはここを担当する精霊だからにぇ。
【プレイヤー】
職業柄ね。
カイロス
そういうこと。ところでどういう内容にゃの?持っていたけど読んではないにょよ…
カイロス
人間の言語で書かれているよにぇ?読んでくれる?
【プレイヤー】
うん、私も内容が気になってた。あまり分厚くないからすぐ読めると思うよ。
【プレイヤー】
さあ、本のタイトルは…
【プレイヤー】
【プレイヤー】
「魔女とゴーレム」、魔女とゴーレム?
カイロス
…!
カイロス
まって、【プレイヤー】!ここで本を読んじゃだめ!
(カイロスが驚きながら【プレイヤー】の手から本を奪う。)
カイロス
複雑ににゃるかもしれにゃい…ガイア様も望んでにゃいし、「許可」した存在も望んでにゃい。
カイロス
読みたいにゃらどうか人間達がいる場所で読んでちょうだい。
【プレイヤー】
わかった…
カイロス
これからも気を付けて。にゃにが起きるかわからにゃいから。はい。
(カイロスが心配そうな顔で本を渡す。)
【プレイヤー】
カイロス、この本。
【プレイヤー】
カイロス
にゃに?
【プレイヤー】
この本がここに来たのは誰かが意図的に企んだからってこと?
カイロス
そこまではわからにゃい。とにかく、気を付けて。これからにゃにが起きるかわからにゃい。
カイロス
…運命にょ瞬間がめちゃくちゃになったらいやじゃにゃい?そして、大事だと思う瞬間を逃さにゃいでね。
【プレイヤー】
うん…
【プレイヤー】
カイロス、私は戻るね。心配してくれてありがとう。
カイロス
うん…気を付けて。
カイロス
(時間の領域から冒険者の痕跡が消えてからカイロスがゆっくりと足を運ぶ。そして何かを思い出したように寂しそうな目つきで時間の空を見つめる。)
カイロス
ガイア様が心配していたあにょ時間が隙に入り込んで来てるみたい…

テオドール
【プレイヤー】
こんにちは、テオ。
テオドール
テオドール
あ!キミか。すまない、他に考えていることがあって…
テオドール
とろこで、ここにはどうしたんだ?
【プレイヤー】
ナーシャに頼まれた本を見つけました。ナーシャがテオに渡してほしいと…
テオドール
あ、そうか?その本をもらってもいいか?
【プレイヤー】
はい、どうぞ…
(テオドールが本を手に取って言葉を詰まらせる。)
テオドール
テオドール
これは私を含めてたくさんの人が知っている昔話だ。あ、キミは外部の人だからよくわからないかもしれないが…
【プレイヤー】
ナーシャから簡単に聞きました。
【プレイヤー】
森で道に迷った子供の前にゴーレムが現れて、仲良く遊んでたら悪い妖精が現れて遊ばないで帰ろうと…
テオドール
そこまで聞いたらほぼ正解だ。この話はたくさんの人の口にわたって少しずつ内容が変わっているはずだ。
テオドール
ナーシャの期待とは違ってこの本は元の内容が書いているようだな…童話と偽装された…
テオドール
内容が長くはないので、私のほうで簡単に解釈してあげよう。
テオドール
テオドール
混沌の空の前と後、プレイオスは結構変わってしまった。戦争により覇権の争いをして、たくさんの勢力が浮き沈みを繰り返した。
テオドール
その中には人間だけがいるわけではなかった。人間の欲でほかの存在も利用してしまった。
テオドール
あ、この話はほかの場所ではしてはいけない。ある意味の禁忌のようなものなんでね…
【プレイヤー】
テオドール
子供は道に迷ったわけではない。逃げたんだ。ゴーレムに会って遊んだわけではない。自分を攻撃するゴーレムからできる限り逃げたんだ。
テオドール
童話はそれを一緒に遊んでいると表現したんだ…
【プレイヤー】
悪い妖精はなんですか?
テオドール
魔女…
テオドール
プレイオスには魔女という存在がいる。魔界の魔族女性とは違う。なかなか姿を表せないが、表したモノは自分だけの仕事をして生きていくのだろう。
テオドール
私が見るからにこの童話の子供は、魔女達から村を助けるためのプレゼント…、いや供え物なのだろう。
テオドール
ゴーレムは魔女が作ったはずだ。子供が逃げないように門番のようなものだ。ぱっと見、子供とゴーレムの友情を描いた童話のようだが…
テオドール
これは魔女の話…もしかしたら魔女が子供に求めた何かがあるのかもしれないな。
テオドール
例えばこの子が魔女になってほしかったとか、もうすでに魔女だった子供に気付いたとか…
【プレイヤー】
そういう解釈もあるのですね…
【プレイヤー】
…ナーシャはどうしてこの本が気になったんですかね?
テオドール
ただ純粋に知りたかったのだろう。自分が連れているマッドゴーレムを始めてアイデンティティまで…
【プレイヤー】
悩んでいたのですね…
テオドール
最近たくさんのことが起きていたからなおさら。ふぅ…この本は私が保管しよう。ナーシャには適当に答えておくよ。
【プレイヤー】
わかりました。そしてナーシャに、いやここにいる方々に何か起きたらすぐお知らせください。
テオドール
キミの仕事だけでも忙しいと思うが、大丈夫なのか?
【プレイヤー】
私は大丈夫です。
テオドール
ありがとう…キミも私の力が必要な時はいつでも来てくれ。
【プレイヤー】
ありがとうございます、では私は戻ります。また会いましょう、テオ。
テオドール
気を付けてくれ。
(冒険者が離れて本を確認していたテオドールが最後のページで止まる。
テオドール
ふむ、この文字はなんだ?
テオドール
昔帝国で使っていた暗号文なのか?とりあえず、解釈してみよう。
テオドール
ヒルダへ…?ヒルダ…、人の名前なのか?