シナリオクエスト

日常の維持のため

アルケー
お疲れ様でした。今回も精霊達は満足したようです。
アルケー
少し大変そうですが…
【プレイヤー】
…今回は少し大変でした。
アルケー
少しここに座って休んでください。休んでいる間、息の空間であるプネウマが【プレイヤー】様を迎える準備をしますので。
(アルケーが静かに空に向けて手を伸ばす。海に向かって落ちる星の動きが止まって、消えてしまう。)
【プレイヤー】
(美しい空だ…)
アルケー
では話を始めます。
アルケー
【プレイヤー】様のご存知の通り、ガイア様は愛する星のため、愛する者達のため、力を消尽しました。
アルケー
ですので眠って目を覚めることを繰り返しながら回復していたのです。目を覚ます時期は必要な場所にだけ力を使っています。
アルケー
ですが、今回はガイア様にいろんなことが起きました。聖所が侵犯され、イリス様を狙う者達と遭遇し続けました。
【プレイヤー】
それでガイア様に何が起きたんですか?
アルケー
星は時間が流れれば流れるほどガイア様を少しずつ忘れていきます。
【プレイヤー】
忘れる?
アルケー
内緒ですが、【プレイヤー】様だけに教えますね。
アルケー
全ては永遠ではありません。全ての物と生命には決まった時間があります。愛する星「エトワール」も…
アルケー
星は消えないとはいえ、自分と共にした古代神を忘れて行きます。もう残っている古代神は手で数えるくらい…
アルケー
星が古代神の記憶をなくす度に悪い存在が現れます。
アルケー
ガイア様が現体でメヌエットの姿になった時、もし【プレイヤー】様がそこにいなかったら…
アルケー
そしてエイドスでバルバトスからガイア様を助けてくれなかったらそうなってしまったのでしょう。
【プレイヤー】
(星が神を忘れる…、そうなると神も星を忘れて行くのかな?あ…?)
【プレイヤー】
(バルバトスが記憶を失くしたって言ってたよな。)
アルケー
…?
アルケー
どうしました?
【プレイヤー】
な、なんでもありません。
【プレイヤー】
アルケーは内緒と言いつつ全部話してくれますよね。どこまで知ってるんですか?
アルケー
内緒でもある程度までは話せるので大丈夫ですよ。時間の流れ、その間で長い時間影響を受けたのです。
アルケー
プネウマはそういう場所ですから。
【プレイヤー】
アルケー、そしたらもうガイア様にお会いできますか?
アルケー
いいえ。
【プレイヤー】
はい?
アルケー
生命に流れる時間の領域、二つの空間を担当する精霊の許可が必要です。
アルケー
そうすると二つの空間の間にいらっしゃるガイア様にお会いできます。
【プレイヤー】
ふむ…
アルケー
クロノスとカイロスという時間の精霊が二人で空間を分けて守っています。あの二人に会ってお話してみてください。
アルケー
2人の精霊も恐らくガイア様の祝福を受けた【プレイヤー】様を認識しているはずですので…私が言えるのはここまでです。
【プレイヤー】
はい、わかりました。
アルケー
先にクロノスを訪ねてみてください。クロノスは自分の名前が付いた「クロノスの時間」という空間の中にいます。
アルケー
あの下に天幕が見えますよね?そこに行ってみてください。
【プレイヤー】
すぐにクロノスに会って来ます。
アルケー
はい、ここでお待ちしています。
アルケー
アルケー
(…ガイア様、果たして【プレイヤー】様は時間を止められるのでしょうか?)

(アルケーが教えてくれた方向にある天幕に入ると、プネウマとは違う姿の風景が現れる。)
【プレイヤー】
ここは一体なんだ…?
(森を成す木より巨大な動物のぬいぐるみの後ろに見える空が紫色に染まっている。そしてその前には怪しい観覧車が回っている。)
【プレイヤー】
いや…時間の空間、って言われたのに一体…テーマパーク?
【プレイヤー】
あの観覧車は誰も乗ってないみたいだし。24時間回ってるのかな?
???
違うよ、ホウ!
【プレイヤー】
ホウ?
(変な擬声語と共に空から巨大な鳥が一匹飛んでくる。一般的な鳥とは違う形の存在が【プレイヤー】の顔をじっと見つめる。)
???
ここには神に愛される人間だと言っても来ることができなんだよ、ホー!
【プレイヤー】
ミミズク?
???
ミミズクとは似てるけど、ミミズクではないよ、ホー!私の名前はクロノス、時間の精霊だ、ホウ!
(片方の翼でお腹を包むミミズク、いやミミズク形の時計が自分を紹介する。)
【プレイヤー】
(だから時計の姿なのか…?)
チックタック。
【プレイヤー】
(時計だからか、秒針の音がするな。)
クロノス
【プレイヤー】!会えて嬉しいぞ、ホーホー!イリス様の人だから気軽に話してくれ、ホー!
【プレイヤー】
あ、うん。私が来た理由は…
クロノス
理由は知っているんだ、ホウ。ガイア様に会いに来たんだって?
クロノス
けど、ホー!
(クロノスが持っていた鎌を【プレイヤー】の前に差し出す。)
【プレイヤー】
な、なんだよ。
クロノス
私はこの空間の管理者としてやるべきことをやっているだけだ、ホウ!
【プレイヤー】
ガイア様に会うためにはクロノスの許可が必要なんだ。だから許可してほしい。ここに流れている時間を止めて。
クロノス
時間を止めてだと?ここの時間が止めるためにはイリス様がいる場所がどうなると思うんだ、ホー?
【プレイヤー】
あ、あの場所とここが…
クロノス
…だとして方法がないわけじゃないけど、ホウ…
【プレイヤー】
教えて!
クロノス
(クロノスが持っている鎌を下げて、空を指差す。)
クロノス
この空間の中にある時間を全て感じるんだ。
【プレイヤー】
時間を感じる?
クロノス
時間の流れを単純に考えてはいけない、ホー!私がここを管理しているけど、勝手にできない理由は!
クロノス
ここはエトワールの全ての生命が日常を、平凡な時間を保つことができるように助けるこういう構造になっているからだ、ホウ!
クロノス
ここで共にしている他の精霊達もまたその時間を大切にできるように働いているんだ、ホー。
【プレイヤー】
それでどうしたらいい?
クロノス
全身で感じるんだ、ホウ!その時間を感じて私がいる場所に来たら考えてみるよ。
【プレイヤー】
簡単ではないとは考えていたよ。だから頑張ってみるよ。
クロノス
そうか、ホー?この時間を止めるように決めたんでしょ?今からこの空間は、だからこの空間にいる全ての精霊を君を妨害する、ホー。
クロノス
わかったか、ホウ?
クロノス
【プレイヤー】
わかった、ホー。いや、わかった。
クロノス
真似しないでくれ、ホー。君も私をミミズクだと思っているのか、ホウ?
(クロノスの頭に付いている鈴が少しだけ鳴る。まるで怒っているような顔をするも、すぐに遠くを見つめる。)
クロノス
ミミズクでもなんでも私は忙しいのでお先に。私に来てくれ、ホー。
(クロノスが話を終えて力強く空に飛び立つ。そのまま坂を超えてどこかに飛んでいく。)
【プレイヤー】
【プレイヤー】
時間の流れか…
【プレイヤー】
とりあえず行ってみよう。ただでさえ精霊達が集まって来てるからちゃんと乗り越えるしか…

(冒険者を追いかけていた精霊達から離れて静かな場所に到着した時、どこかでチックタックという時計の音が聞こえて来る。)
チックタック。。
【プレイヤー】
クロノス?
(名前が呼ばれると空の上から巨大な影が降りて来る。大きなミミズク時計の形をした精霊クロノスが相変わらずむっつりした顔で冒険者を見つめる。)
【プレイヤー】
なんでそんな顔で見てるの?
クロノス
元々の顔がこうだよ、ホー。顔がこれなのは、仕方ない、ホウ。私を大事にしてくれた方がミミズクが好きで…よりによって…
クロノス
クロノス
フゥ、ホオオオウ。
クロノス
そういえば君が時間の流れを助けてくれたのを思い出した、ホー。
【プレイヤー】
私が?
クロノス
いつか人間の一人がとある力によって時計になったよね、ホー?
【プレイヤー】
あ…魔法学園の学園祭のことね。
クロノス
バイスのやつが使った魔石の力が私がいる「時間」に一部潜り込んだ、ホー。
【プレイヤー】
バイス?
クロノス
潜り込んであの穴ができてしまって、その中の流れが漏れてウィンディシードに影響を与えた、ホウ。それにゼフィロスとか言うやつが時計に変わってしまった、ホー。
クロノス
それで結構苦労したんだよ。アルケーにたくさん怒られたし、ホウ。
クロノス
時間に関与できるようにバイスに権限を与えた存在…、ホーホー。
クロノス
クロノス
私がその存在について話せるのはここまでだよ。女神様と話せば言えるけど、女神様と話さないとこれ以上は言えない。
クロノス
理解してくれ、ホー。
【プレイヤー】
わかった、ホー。いや、わかった。
クロノス
クロノス
ふぅ、ホウ。こんな話までするなんて。もうここまで来たら感じることがあるよね、ホー?
【プレイヤー】
変な気分…
【プレイヤー】
精霊達を追い払って、相手する度に謎の感情が浮かんだ。
クロノス
感じたらよかったよ、ホー。
クロノス
クロノス
それでも足りないよ。クロノスの時間を止めるかどうかは決められない、ホウ。
【プレイヤー】
そしたらどうしたらいい?
(【プレイヤー】の質問にクロノスの眉間に力が入る。)
クロノス
正直に言うと、私は君がガイア様に会えなくても構わない。けど、君はイリス様が苦労して送ってくれたからそのまま帰ることはできないよね、ホー。
クロノス
私が君が覚悟してここに来ているのも知っているよ。その分簡単じゃないってことも知ってるよね、ホー?
(静かに頷く【プレイヤー】の姿にクロノスが軽く笑みを見せる。)
クロノス
君の勇気を確認するよ。
(クロノスが空に向けて翼を持ち上げると、時間の領域が揺れ始める。そして精霊達を呼ぶ彼の咆哮が続く。)
クロノス
ホオオオオオオオウ!

クロノス
ホー…
(クロノスが急に動きを止めて後ろに下がる。)
【プレイヤー】
クロノス?
クロノス
もうやめるよ、ホウ。
クロノス
戦う意味がなくなった、ホー。これで終わらせるよ。
【プレイヤー】
ありがとう、クロノス!
クロノス
でも時間を止めるわけじゃないよ、ホー。
【プレイヤー】
止めるんじゃなくて?
クロノス
遅くしてあげる、ホー。止めることもできるけど、止めたらプネウマが崩れる。
クロノス
さっき話したように悪いやつらが隙を狙ってかかって来たら悪影響が起きる、ホー。
クロノス
古代神達があまりいないエトワールやこの世界はまだ不完全だから、ホーホー。
【プレイヤー】
理解したよ。
クロノス
さっき精霊達に会って色んなことを感じたって言ったよね、ホー?
【プレイヤー】
そうだよ、クロノス。
クロノス
君が感じたのは感情だよ。時間を感じる生命の全ての感情…
クロノス
たくさんの人達のたくさんの感情が流れる時間に乗ってプネウマに着く、ホー。どうやって来るのかは精霊業務の極秘事項だから内緒だ、ホー。
クロノス
アルケーのようにかわいくは言えないが、とにかく内緒だ。ホウ。
クロノス
強いけど不安で、嬉しいけど恐ろしい、幸せだけど疲れた。複雑で微妙なその感情達…
クロノス
よくある話だが、プネウマの精霊達が守ろうとするこの「時間」はエトワールの生命が持っている日常的な生活のためなんだ、ホー。
クロノス
この精霊達が生命にポジティブな感情を感じるように守っているんだよ、ホウ。
クロノス
そういうのを守るためにプネウマが存在するんだ、ホー。もしこれを止めたら…
【プレイヤー】
止めたら大変なことになるってことだよね?
クロノス
もしもの話だけど、女神様達も知らない悪いやつらがまた潜り込んで来たはずだよ、ホウ。
【プレイヤー】
クロノス
驚く必要はないんだ。君の意思は確認したから、ホーホー。ちょっと待ってくれ。
(クロノスがもう一度空に向けて翼を持ち上げる。そうすると力強く動いていた精霊達の動きが少しずつ遅くなる。)
クロノス
とりあえずここの時間を遅くしたよ。その間私はこの時間を止めているから。
クロノス
カイロスに行って君の意思を伝えてくれ。とげどげしい性格だから簡単ではないと思うぞ、ホー。
【プレイヤー】
ありがとう、クロノス!
クロノス
人間は久しぶりだからカイロスも慌てるだろうな、ホー…
【プレイヤー】
そういえばアルケーも人間に会うのは久しぶりって言ってた。
クロノス
アルケーが2回目、君が3回目だ、ホー。1回目は私も知らないよ、ホウ。
クロノス
用事が終わったのなら私は働くよ、ホー。
クロノス
いつかイリス様がここに来たら教えるけど、古代神ではないイリス様が来るためにはたくさんの準備が必要なんだ、ホー。
クロノス
私は仕事に集中する素晴らしい精霊なんだ、ホー!
(クロノスが急に空を見つめながらしわを寄せる。)
クロノス
クロノス
やることがたくさんあるからもう行くね。君はそのままアルケーに行ってみてくれ、ホー。
クロノス
では、時間は大切にするんだよ、ホーホー!
(クロノスが急いで羽ばたいて速いスピードで空を飛んでいく。)
【プレイヤー】
私のせいで忙しくなったみたいでなんだか悪いな。それじゃあ私も出ちゃおう。