シナリオクエスト

エピローグ~“束縛”のない『世界』(2)

 
(誰もいない境界の彼方の中、青い鱗を持つ巨大なドラゴンが目を閉じたまま座っている。)
アドキーナ
 
(アドキーナが目を開けると自分を愛おしく見つめる一人の存在と目が合う。)
アドキーナ
ガイア様。
ガイア
アドキーナ。
アドキーナ
あの場所に行ってきたのですか?
ガイア
はい、あの場所に行ってきました。バイスによってたくさんの時間が揺れたのであの場所を確認する必要がありました…
アドキーナ
いつもそうですが、あの場所は時間の流れが違うようですね。
ガイア
あの場所はそうするべき場所ですから。
 
(ガイアが無言でアドキーナの目を見つめる。)
ガイア
 
(アドキーナもガイアの目つきが何を意味しているのかわかっているように静かに頭を前に出す。そうすると、ガイアが静かにアドキーナの顔をなでる。)
ガイア
アドキーナ、挨拶をしに来ました。
ガイア
ごめんなさい。今回は長くとどまりたかったのに…
アドキーナ
いいえ、ガイア様…
ガイア
何もできなかった私を導いて支えてくれたアドキーナ、あなたにいつも感謝しています。
ガイア
新たな星の主になったイリスにも…イリスと共にいる【プレイヤー】にも…
ガイア
そしてあなたと共にしたバルドリック、ジスカド、シャイニック、イーオー、メディアにも…
ガイア
直接会ってお礼を言うことはできませんが、次会えたらちゃんと伝えたいです。
アドキーナ
僕の方で伝えておきます。あまり心配する必要はありません。ところで…
アドキーナ
イリス様はご存じでしょうか?ガイア様が「プネウマ」に向かうことを。
ガイア
私が戻って来ましたからイリスもわかるようになるのでしょう。ですが、今はイリスに会うことができません。あの場所に慣れている私が悪い影響を与えるかもしれなくて…
アドキーナ
そこはそういう場所ですよね。
ガイア
もう帰ります。
アドキーナ
プネウマにあるウィーバー…いやあの子にもよろしく頼みます。
ガイア
わかりました。そしてアドキーナ、ありがとうございます…
 
(ガイアが静かに目を閉じると境界の彼方の中に小さな蝶々が一匹飛んでくる。)
ガイア
 
(蝶々は周りをぐるぐるしてゆっくりガイアをどこかに連れて行く。)
アドキーナ
アドキーナ
ガイア様…
アドキーナ
また会える時をお待ちしております…
アドキーナ
…たとえ……
アドキーナ
どのような姿であろうと、俺はあなたを見つけます…

 
(闇の中でとある場所の記憶を見ている誰かの寂しそうな声が流れる。)
老人
ガイア…
老人
今回は君の運がよかったみたいだな。イリスあの子がそうやって運命を変えるとは。
老人
僕が君をセレスに会わせてあげると言ったな?その約束が守れないなんて悔しいな。
老人
老人
今回はもう少し見守ってやろう。君たちが愛する世界が消えることを望む者達はまだいるから。
???
???
独り言が長いですね。
老人
ハハ、君も俺を違約者と呼ぶつもりなのか?
???
いいえ。
老人
少しここに君の他に、他の世界に離れた設計者の被造物が落ちた。それで不快だったが、今は大丈夫だ。
老人
そういうば、君は完全な存在ではないみたいだな。
???
老人
君はどうして俺の呼びに答えたんだ?聞こえなかったふりをして通り過ぎることもできたはずだ。
老人
罪人が望んでいた「救援」を君も追及しているのはわかっている。それで確認のために呼んだんだ。全ては君が理解した創造と意志…
???
もういいですか?
老人
ああ。確認したいことがあっただけだから。ではすぐ戻ってくれ。
老人
あ、君が望む「救援」への道は決して簡単ではない。
老人
まだその地には君以外にも異質的な存在がたくさんいるんだ。悪魔と魔族、女神の人達、運命から離れた罪人達…
老人
そして夜を待つ…
???
結構です。
???
あなたに会うのは今回だけです。そして全てが終わるまで会わないことを祈ります。
老人
君もすべてが長いじゃないか、ハハハ。では君がいた場所に戻してあげよう。
 
(老人の周りで話をしていた存在が消えると、ゆっくり闇の中からどこかに視線を移す。)
老人
たかが誰かの被造物であるだけの存在が、札は見せないってことか。
老人
では近づく新しい日…、新しい夜を期待しよう。
老人
あ、忘れるところだったな。
老人
これを見ている女神の使いはもう目を開けてもいいぞ。