シナリオクエスト

麗しき宴(2)

ベレト
ふぅ、美しい城、お願いだから飛んでいかないで。井戸の中に落ちてしまったらどこに行けばいいかわからなくなるんだよ。
 
(テントの紐を引っ張って固定しているベレトの視野にバルドリックと【プレイヤー】の姿が入って来る。)
【プレイヤー】
ベレト、元気でしたか?
ベレト
【プレイヤー】、久しぶり。ちょうど数時間前、バルドリックと君の話をしたんだ。バイスを倒したと…
ベレト
そしてバイスが使った魔石がどんな用途で使われてどうやって作られたのかを…
ベレト
僕がその魔石で…
ベレト
 
(ベレトが少し言葉を詰まらせる。)
【プレイヤー】
ベレト、大丈夫ですか?
ベレト
僕は大丈夫だよ。バイスの話をすると少し気分が悪くなったんだ。ふふ、よく見て。すぐ美しくなったでしょ?
【プレイヤー】
美しさか…
ベレト
【プレイヤー】のおかげでペオニアの心配も減ったみたいだ。マルスももう少しよくなるよね?
【プレイヤー】
ですね。各村代表の方々ともうまく協議するって聞きましたから。
バルドリック
昔のように喧嘩はしないといいんだけどな。ペオニアも忙しくなりそうだ。
ベレト
フォボスも前より空気が綺麗になったようだね。悪いオーラが大陸から消えた影響もあるんじゃないかな?
ベレト
僕、空気が綺麗になったのを感じるんだ。悪いオーラが消えて魔界に行ってきた感じが全然しない。
【プレイヤー】
魔界ですか?
ベレト
うん、魔界。なんとなく行ってきたんだ。でもまた行く方法がわからないんだ。
バルドリック
そういえば兄弟、悪魔だったよな?
ベレト
バルドリック、僕悪魔だよ。いや、悪魔ではないけど、悪魔は合ってるし、悪魔のふりをするにはあまりにも美しくない?
 
(ベレトが自分を指差すも、誰も興味を持たない。)
ベレト
少し行ってきただけだから僕に大した興味は持たなかった。夢魔の領域は「ローゼンガルテン」だけじゃないし…
ベレト
何か調べることがあったんだけど、収穫はなかった。今度機会があればまた行ってみようと思う。それより持っている物はなに?
ベレト
僕、持っているモノから魔界のオーラを感じて、話してくれるまで待とうとしたけどだめだ。早くちょうだい。
【プレイヤー】
話してて忘れてました。はい、どうぞ。
【プレイヤー】
(バルドリックに会って夢の話を聞いてファンの揺り籠に行って、その中から闇の力が籠っている涙の形の宝石を見つけたと話す。)
【プレイヤー】
アヴァロンで他の世界の存在が持っていたのと似ているんです。
ベレト
夢か…
バルドリック
兄弟もよくわからないのか?
ベレト
闇が深く籠っているものなんだね…何が入っているのか調べないと。ところで、これがどうしてあそこから見つかったんだろう?間違いなくローゼンガルテンは消えた…
ベレト
ベレト
魔界の扉でも開いたのかな?開かれたら僕とバルドリックが気付かないはずないんだけど…
ベレト
【プレイヤー】…僕もう少し確認する時間が必要なんだ。だからあそこに1回いってきてくれない?
【プレイヤー】
どこですか?
ベレト
あそこの井戸。あそこから何かを感じるんだ…
バルドリック
俺も行こうかな。夢見が悪くてな。
【プレイヤー】
では行ってきます。
 
(ローゼンガルテンに繋がっていた井戸の方に二人が下りると、ベレトが静かに手の中のものを見つめる。)
ベレト
ベレト
これ、わざと置いておいた気がする…

バルドリック
これは…
【プレイヤー】
眼鏡?独特な形ですね。
バルドリック
兄弟、それ俺にくれ。
【プレイヤー】
はい、これ…
バルドリック
どうしてこれがここにあるんだ?師匠のものなんだが…
【プレイヤー】
えっ?師匠の眼鏡で間違いないですか?
バルドリック
ああ。時間が流れても、俺の頭が悪いと言っても記憶力はいいんだ。これは間違いなく師匠のものだ。
バルドリック
ふむ…女性用の眼鏡で合ってるんだが…
【プレイヤー】
バルドリックの師匠は数百年前に亡くなりましたよね。
バルドリック
…ああ、はるか昔に…
バルドリック
バルドリック
魔界の痕跡があった場所から見つかった眼鏡…夢見が悪かったのはこういう理由だったのか。
【プレイヤー】
ふむ…
バルドリック
兄弟、とにかくベレトに行ってみようぜ。
【プレイヤー】
わかりました、バルドリック。

 
(バルドリックから眼鏡を受け取ったベレトが注意深く調べる。)
ベレト
これね…僕、確実ではないけど…
バルドリック
何かわかったのか?
ベレト
僕のように美しい存在じゃなくて他の悪魔や魔族に会ったことあるよね?
バルドリック
俺を倒すって訪ねてきたやつらに会ったことはあるんだが。それがどうかしたのか?
【プレイヤー】
ベレト、もしその眼鏡に魔界の力が宿っていますか?
ベレト
違うとは言えない。普通の眼鏡ではないことは確かだ。そして言いたいことがある。さっき僕に持ってきたモノあるよね。
【プレイヤー】
はい、それがどうしました?
ベレト
よく見て。この宝石とこの眼鏡。
 
(ベレトがテーブルの代わりに使っているボックスの上に眼鏡と深い闇の涙を一緒に置く。そうすると二つの物が共鳴するように揺れる。)
【プレイヤー】
これは…
ベレト
こう反応しているってことはこのモノ達の使用者が同じか、繋がっているってことだよ。
 
(しばらくすると、深い闇の涙と呼ばれた宝石が割れて壊れる。)
バルドリック
…眼鏡の力がもっと強いようだな。
ベレト
そう。この宝石は他の世界の力が籠っていて、この眼鏡は間違いなく魔界の…
 
(バルドリックが箱の上にあった眼鏡を持ち上げるとベレトが不思議そうに見つめる。)
バルドリック
それで兄弟がわかるのはこれだけってことだよな?
ベレト
うん、そう。僕が知っているのは全部、アスモデアの記憶と経験から来るものだけだから。
バルドリック
ふむ、よし。
【プレイヤー】
バルドリック?
バルドリック
バイスのやつが消えてこれから何をすればいいのか少し悩んでいたのだが、ちょうどよかったじゃないか。この眼鏡を持って魔族奴らを探したら師匠に関するものも見つかるはずだろ。
バルドリック
気になって来た。俺は師匠について何も知らなかったなって。
【プレイヤー】
そう簡単な問題じゃないと思いますけど…
バルドリック
単純に考えようぜ。複雑なのはめんどくさいんだ。
ベレト
バルドリックなら大丈夫だよ。まさか魔界を打ち砕くはずないから。
【プレイヤー】
【プレイヤー】
そうしてしまいそうで怖いです。
ベレト
魔界が打ち砕かれたら人間界にはいいことじゃないのか?ただでさえ魔界の存在達がここを狙い続けているようだし。
【プレイヤー】
…それはそうですけど、何かが起きそうで。それで魔界にはどうやって行くんですか?
バルドリック
他の大陸を行き来しながら魔界に繋がる扉があると聞いたが、それがどこなのかはわからない。
バルドリック
だから見つけるんだ。どうせ時間はたくさんあるから。ハハハ、ありがとう。【プレイヤー】兄弟、ベレト兄弟。
 
(話が終わるとバルドリックが急いでどこかに向かって走っていく。)
【プレイヤー】
バルドリック?バルドリック?急にどこ行くんですか?
ベレト
人間になるとああいう一面もあるのか?
【プレイヤー】
ベレト、人間になる方法は見つかりましたか?
ベレト
まだ…探しているんだ。魂に関連して探すものがあってね。
ベレト
今度何かわかれば話してあげるよ。おや?
 
(ベレトが自分に近づくとある一行の姿を見かけて顔色を変える。)
ベレト
ペオニアだ!ペオニア、早く来て!
ペオニア
ベレト、あまりくっつかないで。あ、【プレイヤー】…久しぶり。
クリシエン
ふあああ……ムニャ…。冒険者さんもいましたね?
バルドリック
アハハ、兄弟達。俺もまた来たぜ。
【プレイヤー】
皆会えて嬉しいです。バルドリックはさっき会ったからおいといて、ところでみんなどうしました?
ペオニア
ベレトと一緒にご飯食べようと思って。いや、話そうと思って。
クリシエン
急にバルドリックおじさんが肉が入った皿をひったくってびっくりしました。
【プレイヤー】
だから急いで走って行ったんですね。
ベレト
ペオニア、何の話?何の話?
ペオニア
皆に嬉しいお知らせを持ってきたの。それが…
クリシエン
マルスでベレトとバルドリックおじさんの居所を用意することになりました。ペオお姉さんが頑張ったんです。
ベレト
本当?本当?ペオニア、ありがとう!僕、本当にうれしいよ!
ペオニア
ベレト、きゅ!急にち、近づかないでよ!
 
(ペオニアが近づくベレトの顔に慌てて押し出す。)
バルドリック
アハハ、兄弟、よかった!よかったぞ!だからこの肉全部焼いて食べようぜ!
【プレイヤー】
どうして結論が肉になるのかわかりませんが、とにかくよかったです!
ペオニア
…これは全部デイモス教団が消えたおかげでできたことなのよ。【プレイヤー】とバルドリックおじさんありがとうございます。そしてベレトもお疲れ様…
ペオニア
私も頑張るよ。これからマルスを復興するために今より頑張って働くよ。皆、これからもよろしくね。
 
(ペオニアが希望に溢れる笑顔になると、皆が暖かい笑顔で答える。一人、バルドリックだけが笑顔ではなく大きな声で笑う。)
バルドリック
アハハハ、そしたらみんなで肉食べようぜ!
 
(バルドリックの一言で皆笑いがこみ上げる。ペオニアとクリシエンが用意した食べ物を出しておく。)
 
(後日、バルドリックはベレトの美しい城の前での食事をこう話す。輝く未来を描く人達の美しい宴会だと。)