シナリオクエスト

盟主様へのプレゼント(2)

レン
冒険者さん。ここです。
【プレイヤー】
はい、ブルーベリーです。ところでこれらは…
 
(レンの前に大きな樽と材料と見える袋がたくさん置いてある。)
レン
師匠に渡すものなので頑張りました。それより冒険者さんが持ってきてくれたブルーベリーのおかげでいい香りがするような気がします。
【プレイヤー】
ですよね?私もこんなに香りが強いとは思いませんでした。
レン
何も残ってないアヴァロンだからでしょうか。あ、材料をください。
 
(レンがブルーベリーを受け取って大きな樽に入れる。そして一粒を取り出す。)
レン
タリエルってまだここにいますかね?今ここには何もないのに。
【プレイヤー】
タリエルですか?この前まで飽きるほど付いて来たカモ精霊じゃないですか。
レン
【プレイヤー】様もご存じのように、精霊は基本的に世の中の全てに宿っています。
レン
炎、水、土、風のような元素から石、花、木のような自然の一部を始めて、家で使う椅子や皿にも精霊がいるのです。
レン
命のために働いていますからどこにもいるのです。とにかく、そういう精霊が人や命に害を与えるということは…
【プレイヤー】
悪い力に汚染されたか、精霊より強い存在の影響を受けたのでしょう。
レン
もう悪い力も消えましたからここもまた本来の姿に戻るべきです。ちょうど冒険者さんが綺麗なオーラを抱いた実を持ってきてくれたので…
レン
あ、説明が長かったんですよね?私が教団で教わったことがあるのでついでにやってみようと思います。アヴァロンのために…
 
(レンが前もって掘った土にブルーベリーを落として祈り始める。そして、どこかでカモの鳴き声が聞こえる。)
 
グワ。グワグワ。
 
(砂の間からカモの顔が現れて消えるのを繰り返して姿を現せる。そしてレンが落とした穴に近づいてブルーベリーを揺らし始める。)
 
グァ。
【プレイヤー】
楽しそうだね。
レン
気に入ったみたいです。
 
グワ。グワグワ。
 
(タリエルがレンに向けてお礼をするように頷く。そしてブルーベリーを抱いてそのまま走ってどこかに消えてしまう。)
レン
どれだけかかるかはwかりませんが、タリエルが力を尽くしてくれたらアヴァロンにも美味しいブルーベリーが実ると思います。
レン
ではそろそろ始めましょうか。
 
(レンが持ってきた材料を樽に入れて大きなお玉で混ぜてから、大きな瓶に移す。)
レン
これで終わりです。はい、どうぞ。
【プレイヤー】
もう?
レン
これを持って、ラピアの正常で振ってください。3分くらい、踊るように。
【プレイヤー】
…それって本当ですか?
レン
メディア様のレシピにそう書いてあったので信じてください。
【プレイヤー】
わかりました。終わったらレンに持ってくればいいですか?
レン
師匠にそのままお渡しください。そしてこれはお腹が空いたときにお食べください。セレス教団式で作ったチアバターです。
【プレイヤー】
ありがとうございます、レン。では行ってみます。
【プレイヤー】
パンに入ってるのはレーズンなんだね。
【プレイヤー】
ところで、カーリーの伝統酒とは言え、こうやって造ってもいいのかな?確かにいい匂いはするけど…

 
(涼しい風を友にして上ったラピアの頂上、地上とは違う綺麗な空気を感じる。)
【プレイヤー】
ここの空気は地上とは違うんだね。そういえばここでレクイエムを相手したよね…
【プレイヤー】
もうそんなに経ったのか。
【プレイヤー】
では他のことは考えないで瓶でも振るか。レンの言う通り踊るように…
【プレイヤー】
【プレイヤー】
誰か見てる人いないよね?
 
(人はいないけど、冒険者を追いかけて来たラピアの幻獣が数匹いる。)
【プレイヤー】
ふぅ、頼むから見なかったことにくれ。3分って言ったよね?
【プレイヤー】
あれ…?!
【プレイヤー】
本当だ。色が変わった。熟成したのかな?できたような…
【プレイヤー】
おい、トラクトゥス、拍手しなくていい!踊りの真似もいいんだよ!

ジスカド
ゼナにも会えたところで、戻ろうか。あ、【プレイヤー】?ここにはどうしたんだ?
【プレイヤー】
こんにちは、ジスカド様。
ジスカド
数日経っただけだが、君にまた会えるなんて、嬉しいな。あ、そうだ。イリス様との話は大丈夫だったのか?
【プレイヤー】
はい、大丈夫です。
ジスカド
…ならよかったのだが。
ジスカド
ジスカド
これからも私達は私達なりにここに皆のために残るつもりだ。
ジスカド
まだ皆を脅かす存在が残っているせいで、これからさらに険しくなるのだろう。
ジスカド
もちろん、君にもこれから色んなことを起こるはずだ。
【プレイヤー】
私は大丈夫です。
ジスカド
そう言ってくれると安心だが…君は君を信じて、君を信じている人達を考えてほしいんだ。
ジスカド
…そして【プレイヤー】、君自身を先に考えるんだ。
【プレイヤー】
ジスカド様のお言葉肝に銘じておきます。
ジスカド
 
(【プレイヤー】の答えにジスカドが少し考え事をする。)
ジスカド
ところで、君が持っているのはなんだ?樽を見るとカーリーのもののようだが…
【プレイヤー】
わかりますか?
ジスカド
わかるとも。これはカーリーの伝統酒じゃないか。はるか昔カーリーを訪ねた時、出してもらったのを覚えているんだ。
ジスカド
これをメディアが?私が飲んだのが最後だと聞いたのだが…
【プレイヤー】
それが…
【プレイヤー】
(ジスカドに伝統酒を造った過程を話す。)
ジスカド
メディアはいろいろ計画があったのだな。レンにレシピを教えたってことは…
ジスカド
アヴァロンにも新たな希望の実が実ることを願って、レンに頼んだのだろう。
ジスカド
さあ、私がもらっていいか?
 
(カーリーの伝統酒をもらったジスカドが喜びを隠せない。)
【プレイヤー】
こんなに喜ぶとは…
ジスカド
珍しいものなんだ。大事な実と長い熟成で深い味わいになるんだ。
【プレイヤー】
熟成しないといけなかったのに、これは早すぎたんじゃないですか?
ジスカド
それで少し便法を使ったようだ。元々は村で熟成させるようだが…
ジスカド
ラピアでオーラを受けて作ったってことは、おそらくイリス様とも話しているということなのだろう。
ジスカド
香りがいいな。こんなに珍しいものを一人で呑むのももったいない…君はどうだ?
【プレイヤー】
私は大丈夫です。ジスカド様へのプレゼントですから一人で楽しんでください。
ジスカド
そうか?
 
(ジスカドが胸元からグラスを取り出して酒を注ぐ。)
【プレイヤー】
【プレイヤー】
グラスがどうしてそこから?
ジスカド
ハハ、見なかったことにしてくれ。やはりいいな。こういうのを一人で呑むのはもったいない。皆で、一緒に分かち合わないと。
【プレイヤー】
お酒ですか?
ジスカド
お酒だけでなく、私達はカーリー族とやっていくことがたくさんあるんだ。メディアも同じ考えだ。
ジスカド
カーリー族を始め、イーストランドの色んな勢力が未来のために進むためには共にしないといけないと。
【プレイヤー】
なるほど。よかったですね。
ジスカド
よかった、そう、よかったんだ。ふふ…この日が来るのをずっと待っていたんだ…あ…
ジスカド
 
(ジスカドが泣きそうな顔になる。)
ジスカド
こういう気分は久しぶりだ…久しく感じてない気分だ…君、今忙しいか?
【プレイヤー】
いいえ、大丈夫ですよ。
ジスカド
私の昔の話を聞かせてあげたいんだ。君になら私の話をしてもいい気がして…
【プレイヤー】
面白そうですね。
 
(ジスカドが【プレイヤー】の反応に感謝しながら薪を集めて火を付ける。ある程度準備が終わった頃、グラスに注いだ酒の香りが彼の過去を刺激する。)
ジスカド
私がカーリー村に行ったのはいつだっけかな…最初メディアに会った時を覚えているんだ。
ジスカド
そう、ハハハ。メディアがこの人はなんだという目で私を見て来たんだ。
 
(そうやってジスカドの話はジスク領地の夜が深くなる時まで続く。二人が抱いた信頼もその時間の中より深くなっていく。)