シナリオクエスト

メディアの記憶(4)

ゼナ
色んなことがあったのですね。
メディア
はい…
メディア
私にもゼナ様にも…
メディア
メディア
ある程度私の頭の中の整理が終わりましたのでお話します。
【プレイヤー】
大丈夫ですか?
メディア
大丈夫ですよ、【プレイヤー】。
 
(メディアが幻影の涙を床に落とす。そのまま強く打ち下ろした杖の先と触れて、ダフネの記憶が付いていた物は粉々に割れる。)
メディア
これは必要ありません。もう私の存在をわかったような気がします。今回が何回目の命なのかはわかりませんが…
メディア
カーリー一族は他の人間に比べ綺麗な魂を持っています。バイスが作った魔石のい基礎となる力になるほどの純粋な…
メディア
あの方は一族を守ろうとしながらも、一族を助けた領主様に「魔女」という事実をバレた瞬間、過ちを犯してしまいました。
メディア
一族が人間であることを強調しながら…自ら人間を捨てて「魔女」を選ぶなんて…
メディア
そうやって一族のためという美名にバイスと取引をしました。
メディア
メディア
領主様を始めとしてジスカド様とゼナ様…そして領地の全ての命に悪いことをしてしまいました。ごめんなさい。
ゼナ
それはメディア様のせいではありません。
【プレイヤー】
そうですよ。だから…
メディア
あの方がそうしてしまった理由は私にもあったようです…
【プレイヤー】
はい?メディア様にですか?
 
(メディア様が頭を上げて空を見上げる。)
メディア
私が初めて生まれた時がいつなのかはわかりませんが…私は12歳に死んでしまいました。私だけではなくカーリー族の子供たちがそうやって死んでいきました。
メディア
生まれる子達は死んでしまい、生きている人達はバイスに攻撃されながら…。あの方は最後の手段としてバイスと取引をしました。
メディア
ジスク領地の件を片付けてくれると、命の力がたくさん籠った魔石をあげると…
【プレイヤー】
メディア
それで死んでゆく子供たちの一部が生き残りました。あの方はその過程で私が「魔女」の運命になることを知ってしまったのです。
メディア
「魔女」として覚醒して隣にいてほしかったのか、それとも他の何かを望んでいたのかはわかりません。
メディア
魔石の影響で、命の力で子供たちはどんどん生きられるようになりました。ですが、私とバイノンだけは死んで生き返るを繰り返し…
メディア
私とバイノンの記憶は削除されました…当たらな命を付与される度に私はそれが全てだと信じました。あの方もそれが最善だと思っていたのでしょう…
メディア
当時、村の大人の方々はなんとなくわかっていたのです。私がどうして生きなければならないのか…あの方がどうして私を生かしているのか…
メディア
そんな中、あの方が消えてしまいました。バイスがどこかに送ったのか…
メディア
指導者が消えた一族はデイモス教団の襲撃を受け、最後の選択をすることになります。それが誤った選択だとは思わないまま…
メディア
大人達は私を助けるために、私が一族を守ってくれると信じてカーリー村を守っていたマナの竜巻に身を投げました。
メディア
 
(メディアが浮き上がる感情で泣いている。冒険者とゼナはそういうメディアを抱きしめながら待つ。)
メディア
ごめんなさい…少し横になってもいいですか?
ゼナ
はい、少し休憩を取りましょう。
【プレイヤー】
メディア様。ゼナの言う通り少し休んでください。
 
(ゼナが横になっているメディアの状態を心配そうに確認している。)
ゼナ
ゼナ
きっと落ち着かせるためにいいものがあった気がするんだけど…あ!
ゼナ
【プレイヤー】様、私達の領地でブルーベリーを探して来てくださいませんか?
【プレイヤー】
ブルーベリーですか?
ゼナ
ジスクのブルーベリーが心身を安定させてくれるのです。アルゲア達を追い出せばすぐ見つかるはずです。
【プレイヤー】
すぐ行ってきます!

ゼナ
冒険者さん、おかえりなさい。ブルーベリーはありましたか?
【プレイヤー】
はい、アルゲア達がいる場所に少し残っていました。メディア様、これで落ち着くと思いますよ。
 
(紫色のブルーベリー一粒をメディアの口元に近づける。甘い香りにメディアが目を開ける。)
メディア
これは…
メディア
 
(メディアがゆっくりブルーベリーの味見をした後、【プレイヤー】に手を伸ばす。)
メディア
もう少しいただけますか?
【プレイヤー】
あのメディア様、大丈夫ですか?
メディア
はい…この味は覚えています。
メディア
ジスク領地のブルーベリー…カーリーで収穫したブルーベリーと同じ味です。恐らく交流の一環として領地でも…
ゼナ
あ、私も覚えています。子供の頃、農夫の方々が新しい実だと喜んでいたのです。
メディア
メディア
いい関係になれたかもしれないのに崩れてしまったのが残念です…それより領地のブルーベリーの方がもっと甘いですね。
メディア
お酒にすればジスカド様が好きそうな…フフ…
ゼナ
元気になってよかったです。もう少し休みますか?
メディア
…いいえ。私がわかった事実を話さないとイリス様も、ジスカド様もわからないままになりますから。
ゼナ
メディア様、ありがとうございます。
【プレイヤー】
メディア様…
メディア
そういう顔で見ないでください。これは私がしないといけない話なのですから…
メディア
えっと、どこまで話しました?
メディア
あ、大人達…私は自ら命の力で亡くなった方々の力をもらって子供を始め、一部を守ることができました。
メディア
その過程は魔石の力を借りて若干寿命を延長してもらった私を再び死へ導きました。
メディア
あの方が犯した罪ととある者達の記憶…もしかしたら「魔女」かもしれない…
【プレイヤー】
メディア
あの時、私はまた生きることができました。死にませんでした。後から知りましたが、それは当時目を覚ましたガイア様の恩でした。
メディア
あの方を始めて私も知らなかった運命…私があの時から「魔女」と超人の道を歩むことになるのを…
メディア
メディア
話ていませんが、私は今回の件で私がガイア様からいただいた神の力をイリス様に渡しました。イリス様のために…
【プレイヤー】
お待ちください、メディア様!
メディア
とは言え、「魔女」の道を歩むことはありません。神への信頼はこれから大きくなるはずですから。イリス様も見守ってくださると思います…
メディア
これ以上この地に私を始め、似ている運命達の超人が現れてはいけませんから…
【プレイヤー】
メディア様…
メディア
大丈夫です。私にあったその死の呪いは既に終わっているのです。シャイニックが分けてくれたペルセの力で…これで私の話は終わりです。
【プレイヤー】
よかったです。
メディア
ゼナ様、ありがとうございます。
ゼナ
いいえ。おかげさまで私も少し思い出せそうです。私のために、お兄さんのために話してくれてありがとうございます。
【プレイヤー】
メディア様…
【プレイヤー】
(超人達は皆こういう運命だったのに…本当に大丈夫になるのか…?まだメディア様には…)
ゼナ
メディア様…抱きしめたいのですがこういう体で…
メディア
その代わりに歌を歌ってくださいませんか?ジスカド様にいつも言われていたので聞きたかったのです。
ゼナ
あ、お兄さんが…自慢できる実力ではありませんが…練習した曲があるので歌ってみます。
【プレイヤー】
私も聞きたいです、ゼナ。
 
(ゼナが笑顔で頷く。そして目を瞑って呼吸を整える。)
ゼナ
私の歌、君に届きますように…♪
ゼナ
願い続けている同じ空の下…?
 
(皆の幸せを願うゼナの歌が続く。メディアが抱いていた不安な気持ちもそうやって少しずつ忘却の湖に流れて消えて行く。)