(デイモスの力で覚醒したバイスの攻撃が、【プレイヤー】を襲う。
【プレイヤー】はその攻撃を耐えながら、必死に反撃の隙を狙う。)
バイス
……足掻くじゃないか。
だが、それももう限界だろう?
(バイスが【プレイヤー】に近づき、武器の切っ先を心臓に向ける。)
バイス
お前の心臓を貫き、零れた血が『鍵』となる…
バイス
この地の神に愛される存在、その存在で作られた『鍵』…
よくここまで来たな。俺の『世界』、アズラエルの礎となれ…
(バイスの手から、不吉な力が【プレイヤー】に放たれる。
瞬間、風に乗って巨大な力がバイスの元へとやってきた。)
(バイスが驚き避けるも、その力は再びバイスへと向かう。
そしてバイスの動きを妨害する。)
デイモスの分身
いかにも、我はデイモス。その分身なり。
我の力を利用しようとするアガシュラとデイモスの繋がりを断った。
デイモスの分身
我はそのような理由のためにここを訪れたくはなかった。
デイモスの分身
我々の愛した命の声に応えたいという思いで、我は最初の分身を送ったのだ。
しかし……
デイモスの分身
汝は我を欺いた。
我らを弄び、己が理想に利用しようとした。
(固い障壁をすり抜けるように、デイモスの分身達が集まって怪しい影を作る。)
デイモスの分身
“奴”は星の運命を軽んじている。
だからこそ汝のような存在を作りあげた。
デイモスの分身
この星は、神々が命を賭して守った場所だ。
我と異なる選択をした彼らのため……
デイモスの分身
汝と“奴”の結んだ『契約』を断ち切ろう。
(分身達が集まって作られた影が少しずつ割れ始める。
その度に、デイモスの力を得たバイスの体も同じく少しずつ割れて消える。)
デイモスの分身
汝がこの『世界』に与えた苦痛を返そう。
混沌と深淵の恐怖…感じよ。消滅のオーラを…
デイモスの分身
……愚かなる人の子よ。バイス…汝の望んだ『世界』はもはや存在しない。
アズラエルが戻ってくることは、ない。
デイモスの分身
ガイアよ。セレスの選択した人間から、この星の過去と未来を見た。
デイモスの分身
我はもう消える。再び現れることはない。
少なくとも、この『世界』に訪れることは……
(デイモスの分身だった影が、“扉”に触れる。
しばらくすると、“扉”は影と共に粉々に割れて、痕跡もなく消えてしまった。)
バイス
……ただ、アズラエルを取り戻したかった。
そのために“奴”の話に乗った……。
バイス
できることがあるのならば…なんだってした…
バイス
命の力を使い、魔石を作る必要があるなら…躊躇うことはなかった…。
【プレイヤー】
だから、そのためにこの『世界』を犠牲にすると?
そんなの…間違っている…
バイス
どうせ滅びる『世界』なら、アズラエルのために使ったほうがいいと思っただけだ…
バイス
何度生まれ変わろうと、俺の選択は変わらない……
シャイニック
こやつの処遇は、ワシに任せてもらえるかの?
(いつの間にか、障壁は消えていた。
【プレイヤー】とバイスの間に、シャイニックが割り込む。)
シャイニック
お主が手を汚す必要はない。
後始末は…ワシらがやろう…
シャイニック
他の超人達も同じ意見じゃ。最後にはワシに任せてくれた。
…今はもうフローズンのいる場所で待っておる。
(シャイニックが晴れやかな笑顔で【プレイヤー】の肩を叩く。
そして束縛に囚われ、苦しんでいるバイスを見つめる。)
シャイニック
……お主はここに来るべきではなかった。
シャイニック
ワシに命を奪わせるな…ワシは……もう誰も殺したくない。
だから…こんなことはお主で最後にしよう。
シャイニック
お主は犯した罪に見合うだけ、苦しまなければならない。
シャイニック
だから……ペルセがワシに残したプレゼントをやろう。
冥界にすら辿り着けなかった魂の怨望が聞こえてくるじゃろ?
(シャイニックがデスサイドを持ち上げて振り回すと、時空間が切れ目から現れた数多くの黒い球体がバイスの体に触れる。)
(黒い球体達がそのままバイスの体を貫通して、また張り付く。)
バイス
……好きにしろ。後悔は、ない……
ただ…あの場所に戻れなかったのは、残念だがな…
シャイニック
…懐かしい記憶が幸せな時間だったと思えるのなら、
それは、後悔しているということなんじゃろ。
(黒い球体が再び集まり、巨大な刃となってバイスの心臓を切り裂く。
すると残っていたバイスの体は紫色の閃光とともに燃え上がった。)
(そして…バイスの姿は、紫色の炎の中で、闇に飲み込まれ消えていった。)
シャイニック
さぁ、お主はもう帰れ。フローズンのところで皆待っておることじゃろう。
【プレイヤー】
シャイニック様はどうするんですか?
シャイニック
ワシは少しここに残る…ちょっと忘れものがあっての。
【プレイヤー】
…?はい、わかりました。
急いでくださいね。この空間がどうなるかわかりませんから…
(【プレイヤー】の姿が消えると、ひとりになったシャイニックは周りを見回す。)
シャイニック
バイス……お主は最後まで気に食わん奴じゃったよ。