シナリオクエスト

本の扉

フローズン
愚か者め。君の信頼を捨てて向かったのがやっとここだったのか。君が求めている答えはこれだったのか?!
フローズン
フローズン
君の道がそうなのなら…
 
(フローズンがなかなか興奮していると、彼の肩にいた精霊が彼を回り始める。)
フローズン
ごめん、ルウ。僕がまた興奮してしまったよね?落ち着くから。
 
(そうするとルウと呼ばれた精霊がまたフローズンの肩に戻る。)
フローズン
ふぅ…
フローズン
レンの声
フローズン様!フローズン様!どこにいらっしゃいますか?
フローズン
レン?レン!僕はここにいるよ!
フローズン
【プレイヤー】もいたのか。ここまで大丈夫だったか?
【プレイヤー】
私は大丈夫ですが、フローズン様は大丈夫ですか?
レン
ご無事でなによりです。
【プレイヤー】
あれ、あの…
フローズン
【プレイヤー】、あそこから異質的な力を感じるよね?
【プレイヤー】
はい、少し…もしあっちのその扉ってやつがあるんですか?
フローズン
二つの怪しい扉があるんだ。一つは本になっていて、もう一つはただの扉の姿だ。全部違う世界の空間に繋がっているようだ。
フローズン
僕が二つの扉を確認してみたのだが、本になっている扉にだけ入れることを確認した。
【プレイヤー】
普通の扉はだめでしたか?
フローズン
半分ほど開いていたが、そこから流れる他の世界のオーラのせいで入ることができなかったんだ。
フローズン
そこをもう少し弱くすればなんとかできそうなのだが…
フローズン
どうだ、【プレイヤー】?やってみるか?
【プレイヤー】
やります。
フローズン
よし。一緒なら解決できるのだろう。僕が提案する方法は神聖力だ。
【プレイヤー】
神聖力?
フローズン
本に見える扉の向こうに神聖力が残っている。あそこの神聖力を利用すれば、半分くらい開いている扉の中に入ることができるはずだ。
レン
お待ちください、フローズン様。神聖力なら…
フローズン
神を疑った彼が向こうにいるんだ。
レン
レン
…ベロッシュ様ですね。
フローズン
神に従っていた者が信頼を失して疑い始めると、その力はものすごく変質されるんだ。それにベロッシュは「束縛」の力に酔っていて精神まで崩れてしまった。
レン
ベロッシュ様に私の能力は通じませんでしたね。
フローズン
ベロッシュが神殿から出て行く時、自分を止める修道士達を倒した。レンをはじめとした数人だけが生き残ったんだ。
レン
【プレイヤー】
あの人に会う必要がありそうです。
フローズン
レン…
レン
はい、フローズン様。
フローズン
君は僕が指定した元の場所に戻ってくれ。そこで敵達が境界の彼方に近づかないように止めてくれ。
フローズン
ここの存在達はむやみに君を倒すことはできない。だから僕を信じて、君を信じて、皆を信じるんだ。いつものように。
フローズン
アドキーナ様を除く方々外に出るまで頼んだよ。
レン
はい、フローズン様。私は元の場所に戻ります。【プレイヤー】様、フローズン様をよろしくお願いします。
【プレイヤー】
心配しないでください、レン。
 
(レンが頷いて来た道を戻る。レンが離れて行くと、フローズンが【プレイヤー】の肩を叩く。)
フローズン
【プレイヤー】、行くか。
【プレイヤー】
ところで超人達が外に出るんですか?
フローズン
あの方々はあの方々の計画があるから後で聞いてみよう。
【プレイヤー】
はい、わかりました。行きますか?
【プレイヤー】
(ベロッシュ…、どうして彼はイリスを信じてなかったのか…、そしてどうしてここにいるんだ…)

 
(巨大な本の間から見える光に導かれて入った場所は荒涼としたアヴァロンとは違って暖かい光で溢れている。)
 
(降り注ぐ光の下にたくさんの木、外壁に設置された本棚、そしてその本棚にあるたくさんの本が目に入る。)
【プレイヤー】
眩しい…
フローズン
こんな場所があったんだな。噂では聞いていたが…。【プレイヤー】、勝手に手を付けてはいけなそうだ。気を付けて。
【プレイヤー】
はい、わかりました。ところでこの場所についてご存じですか?
フローズン
教団の中心には教理その自体である聖書がある。解釈によって違う面を見せるんだ。同じ場所からいろんな面が見えるように…
【プレイヤー】
(…裏側?)
フローズン
教団の高位級関係者達にだけ継がれている解釈があって…偉大な壁を越えて全ての世界の情報を記録した空間があると聞いた。
フローズン
こうやってその情報が本に表現されるなんて…考えもしなかった。
 
(穏やかだったフローズンの顔が少しずつ固くなる。)
フローズン
フローズン
ベロッシュがここに来たのもおかしくない話だ。
【プレイヤー】
神聖な神殿に来たような気分です。
フローズン
【プレイヤー】、ここに僕達の神はいないから気を付けないとだよ。まるで誰かがここに申請なオーラをわざと振り撒いたような気がするんだ。
誰かの声
正解!
フローズン
退いて、【プレイヤー】!
 
(フローズンが前に出てどこかから飛んでくる鉄の鉤の攻撃を受け流す。1回でもなく数回の攻撃が飛んでくるも、全ての攻撃は彼の前で無用のものになる。)
【プレイヤー】
バーラル!
バーラル
あのバカはこの攻撃を全部受けてくれたのに、さすがデミゴッドは違うのだな。
【プレイヤー】
フローズン様、大丈夫ですか?
フローズン
僕は大丈夫だ。それよりバーラルとは既に会ったことがあるみたいだな。
【プレイヤー】
フォボスのことで少し…
バーラル
この前のような気がするが、1年は経っているようだな。アヴァロンで会おうとは言ったが、こう会えるとは思わなかった。嬉しいぞ、バカ。
フローズン
バーラル、君は一体ここで何をしているんだ?
バーラル
契約に従い何かを探していただけだ。急にお前らが入って来て少し驚いた。いや、当たり前だったかな?
バーラル
バイスから神聖な加護を受けた者だけが入れる空間と聞いた。そして神聖さで偽装されているとも。
バーラル
ヴァニタス…と言ったか?まあ、ここで休憩を取るには最適だと聞いていたが…
フローズン
名前はどうでもいい。バイスは超人の力を持つ存在だからここに入れたとしよう。君はどうやって入ったんだ?
バーラル
高貴なデミゴッド様の質問だからお答えして差し上げよう。
バーラル
精霊王の薬が効果があったみたいだ。エリシオンの妹が持っていたものを飲んだら魔界にも行けて、他の世界にも行けるようになった。
【プレイヤー】
(エリシオンならエルのお兄さんの名前…そしてその薬は…)
バーラル
これでバイスから得たものもあるし。他の雇用主からもらうものもあるし…遊んでる時間はないんだ。俺はお先に。
バーラル
それよりお前らが探してるのは俺が探してると同じなのか?そしたら誰が先に見つけるか勝負だ!
バーラル
不敬なデミゴッドやつの精神が崩壊する前に!
 
(話を終えたバーラルが背中を向けると、その場から痕跡もなく消えてしまう。)
フローズン
【プレイヤー】、よく聞いてくれ。ベロッシュを終わらせるのは僕達がやらなければならない。僕達にはその力が必要だ。神の所有を僕達が取り戻さないといけない。
フローズン
バーラルが持って行くならまた変なところに使ってしまうのだろう…
【プレイヤー】
急がないといけないですね。
フローズン
道が複雑かもしれないな。バーラルが真ん中に行ったみたいだし、僕達は分けて行こう。
フローズン
どの道でもベロッシュが見つかったり何かが起きたらルウがすぐ知らせてくれるよ。今はルウも君のオーラに影響されているから。
 
(フローズンが肩の上にいる精霊を見せる。そうするとルウが挨拶をするかのように目を合わせて笑う。)
【プレイヤー】
精霊様、よろしくね。
フローズン
【プレイヤー】、あっちを頼むよ。僕はこっちに行くから。ルウ、行こう。
【プレイヤー】
はい、フローズン様。
 
(フローズンが先に精霊ルウと一緒に離れる。)
【プレイヤー】
【プレイヤー】
ベロッシュに聞きたいことがあるから急ごう。

 
(白い空間に建てられた木と本棚の間の道が続いている。そしてその道のどこかから怪しい紫の光が流れ込んでいる。)
【プレイヤー】
この光はなんだ?誰かがわざと振り撒いたかのような…
【プレイヤー】
不吉さと神聖さが混ざったこれは…
【プレイヤー】
…!
 
(強力で不吉なオーラが一瞬で爆発しながら、壁に建てられていた巨大な本棚が壊れ始める。)
【プレイヤー】
な、なんだ?
 
(その中から紫色に染まった甲冑を着た男がゆっくり歩いて来る。後ろからバーラルが追いかけながら鉄の鉤を投げるも、腕で軽く弾く。)
バーラル
クソ!また弾いた?なんで?なんで!一回も通じないのか?あのバカと他の奴らには通じてるのに!
???
そんなくだらない攻撃では俺に擦り傷さえも与えられないだろう…
バーラル
ベロッシュ、早くかかってこい!ちゃんと相手してやるよ!
ベロッシュ
俺の名前をお前のようなやつの口から聞くなんて…
 
(ベロッシュと呼ばれた者が壊れたマジックロッドを持つと周りから巨大な爆発が起きる。)
バーラル
言葉が先に出る人間だな。デミゴッドというやつがたかが…
 
(バーラルの周りにあった本棚が崩れて、その後ろから隠れていた怪しい黒い穴が現れる。)
バーラル
あ?あ?なんだ?!
ベロッシュ
さようなら。二度とこの世界に足を踏み入れるな。
 
(言葉が終わるとベロッシュが起こした爆発が再び続く。その衝撃でバーラルが黒い穴に吸い込まれて消える。)
【プレイヤー】
【プレイヤー】
(ローゼンガルテンで見たあの黒い穴だ。時空間の隙…って言ったな。)
ベロッシュ
いつからそこにいたんだ?バイスからの邪魔者なのか?
【プレイヤー】
ベロッシュ様?私は…
ベロッシュ
き、貴様!あの女と同じ感じだ。
ベロッシュ
セレス様が自分に継いで神にしようとした…不快だ…
【プレイヤー】
…?!
【プレイヤー】
あなた、今何を言ってるんだ?あなた、神に従うデミゴッドでしょ?イリスは今セレス様を跡を継いで…
ベロッシュ
黙れ!あの女が神って言うのか?!あの弱い女が?!
ベロッシュ
そういや貴様はあの女が言い続けていたやつか?一度も会ってない人を待つってありえるのか?
 
(ベロッシュがイライラしている顔で【プレイヤー】を見つめる。)
ベロッシュ
一体どうして?どうしてあの女が神になったんだ?クソ…神から選ばれた人間が神になるんだと?力なんてない無能な人間のくせに!
ベロッシュ
同じ神が作った人間だ、少し違うだけの一族の女の子だ、どうして?!
ベロッシュ
ありえるのか?神は全知全能な権能を持って目を覚ますべきなんだ。
【プレイヤー】
【プレイヤー】
(バカトス…いや、バルバトスが話してたことを思い出した。神ならそのくらいの力があるべきだとイリスとガイア様を見下した。)
ベロッシュ
ハハハ、ハハハハハ。神という存在は本当にわがままなんだな。貴様のような人間を贔屓した末、勝手に加護を下した。
ベロッシュ
セレス様とガイア様、そしてその女まで…神達が好き勝手すぎるんだよ。くああああっ!
 
(ベロッシュが憤怒したかのように叫ぶと、周りを包んでいた不吉なオーラが激しく揺れる。)
【プレイヤー】
ベロッシュ
真の神の加護を受けた者なら偉大なる俺、ベロッシュに勝てるのだろう。貴様を証明したいのなら俺を殺せ。さもなければ貴様が死ぬのだろう。
ベロッシュ
だが、簡単には殺せないだろう。俺は…
ベロッシュ
ベロッシュ
俺は!皆が仰ぐ神の使途!デミゴッドベロッシュだ!
【プレイヤー】
あなたの力が必要だ。じゃないと…
ベロッシュ
俺の神聖力…?ハハハ、ハハハハハ。どうせ俺を殺しに来たんじゃないのか?あの女にやらされたのか?!
ベロッシュ
あの女の思う通りにはさせないぞ。貴様はこの場で血を流して死ぬのだ…
 
(ベロッシュが不快な顔で壊れたマジックロッドに不正なオーラを集める。)
【プレイヤー】
もう説得できないのか。仕方ない…
ベロッシュ
この場所を貴様の血で染めてやろう。偽物の神の使途よ!

ベロッシュ
はあ、はあ…やるじゃないか。
 
(長い戦闘の末、ベロッシュが後ろに下がって【プレイヤー】の状態を確認する。)
【プレイヤー】
はあ、はあ…ベロッシュ。もう一度言うけど私はあなたを殺すために来たんじゃない。バイスに会うためには他の扉に入らなければいけない。それで神聖力が必要なんだ…だから…
ベロッシュ
まだ戦闘は終わってない。話が長いぞ…
 
(ベロッシュが壁を叩くとヴァニタスの外壁が割れる。その影響で先ほどバーラルが落ちた黒い穴がどんどん大きくなる。)
【プレイヤー】
やめて!じゃないとみんながその穴に落ちてしまうんだ!
ベロッシュ
怖いのか。
ベロッシュ
ベロッシュ
貴様が知りたいことに答えよう。
ベロッシュ
教団は俺が他の疑問を持つことを許してくれなかった。俺が束縛の力に酔っていると、精神が崩壊したと、強制的に拘束した。
ベロッシュ
クソ、俺の力で救援した世界が俺にこんな扱いをするんだと?俺が慢心したと?俺を非難した。クソ束縛にかかって解けたけど酔ってなんかない!
ベロッシュ
これは俺のせいじゃない。あの女が神という運命を飲み込んでこの世界を壊したんだ!
【プレイヤー】
やめて。やめてくれ…
ベロッシュ
やめないとどうするんだ。ハハハハハ。
ベロッシュ
俺はここで真理に気付いた。神の冒険者なんかのように矛盾した存在が知る必要もない真理を…
 
(ベロッシュが壊れたマジックロッドを持ち上げて【プレイヤー】に向けた瞬間、彼がそのまま座り込む。)
ベロッシュ
く…くああああ!あああああっ!
【プレイヤー】
(束縛…の力?)
バイス
バイス
神の使徒はあいつと同じく、禁忌に触れてしまった。
バイス
【プレイヤー】
バイス!
ベロッシュ
クソ、バイス!
バイス
せいぜい足掻いてくれ。愚かなデミゴッドよ。
バイス
その真理に気付いたらここから出れると思ったのか…このヴァニタスの神になったら生きられると思ったのだろう。
【プレイヤー】
一体どういう…
バイス
ベロッシュ
くううう…
バイス
どうせここは煉獄のために消える空間…生と死の境界に触れた時、アズラエルへと向かうのだ。
バイス
ここはアズラエルだけのヴァニタス…他の世界のヴァニタスは必要ない。アズラエルの真理がここに降りて来るのだ…
バイス
…聞いているか?
 
(バイスが奥に開いている時空間の隙に向けて叫ぶ。)
【プレイヤー】
バイス、誰に話しているんだ?一体…
バイス
俺をここに送った者よ…
バイス
あなたの誤った選択の結果を教えよう。
バイス
ヴァンに続きベロッシュまで…せっかくならルクスも処理すればよかったのに…時間が足りなかった。
 
(ヴァニタスの外壁にあった黒い穴の中から怪しい力が流れ込む。その力は黒い腕の形に変わってベロッシュの腕と足、髪を掴む。)
ベロッシュ
俺は真理に気付いた。
ベロッシュ
こういう…不吉な…オーラに…飲み込まれな…い…くああ…
 
(黒い穴から流れ込んだ黒い腕たちが大きな闇に変わり、愚かなデミゴッドの全てを痕跡もなく飲み込んでしまう。)
【プレイヤー】
(ヴァンが消えたあの時と一緒だ…)
バイス
バイス
【プレイヤー】…ここでお前がやることはない。
バイス
愚かなデミゴッドが持っていた神聖力は、お前と共に来たもう一人のデミゴッドに送った。
いまだに彼はここを彷徨っているのだな。
バイス
デミゴッドを呼んだのはただ適当に時間を稼いでほしかっただけなのだが…
【プレイヤー】
私はベロッシュにちゃんとした答えを聞いてないんだ!
 
(バイスは空笑いをしながら憤怒した【プレイヤー】の攻撃を弾く。)
【プレイヤー】
うっ…
バイス
この崩れるヴァニタスで時間を過ごすのは無意味だ…
もはや煉獄は開かれた。あの方の降臨も時間の問題……
バイス
どんな選択をしようと、お前が求めている結末は訪れない。
 
(バイスの話と共に、ヴァニタスの外兵と床が割れ始める。揺れる空間の中で少しずつお互いの姿が視野から消えて行く。)
【プレイヤー】
バイス、そこで待ってろ。私が必ず…
【プレイヤー】
【プレイヤー】
あれ、ルウ?フローズン様?フローズン様は大丈夫?あそこにいるんだね、行こう…
 
(遠くに【プレイヤー】の姿が消えるのを確認したバイスが、自分の後ろから疲れた顔で上って来る誰かに話をかける。)
バイス
ご苦労様。
バーラル
おかげで死ぬところだったよ。
バイス
今更お前の終わりに興味はない。好きにするがいい。
俺はもうメッセージを伝え終えた。
バーラル
そりゃありがたいな。頑張ったからこれからは自由だってことか?
バイス
もうダフネのために働いてもよい。
バーラル
あの「魔女」の名前をバイスの口から聞くと鳥肌が立つぜ…ところで、一つだけ聞かせてくれ。
バーラル
ここじゃなくてもう一つアヴァロンの端に扉があるだろ?その中に立っていた、おまえの姿をしていたのはなんだ?