シナリオクエスト

必要な物

タロース
ある程度追い出したから少しは静かになるだろう。だが、敏感に反応し続けるはずだ。
【プレイヤー】
タロース
さて、時間はたっぷりあるから本題に入ろうか?
【プレイヤー】
時間がありません。
タロース
わかったよ。質問でも要請でも聞いてから判断するから話してみろ。
【プレイヤー】
クノッソスは一体どういう場所ですか?
タロース
特に何もない場所さ。しいて何かがあるとすれば、それはクリードの記憶ってヤツだろうな。
【プレイヤー】
記憶?
タロース
むかしむかしの話さ。
シルバリア帝国が大陸の覇権を握るには、獣耳の生えた奴らが邪魔だったんだろう。
タロース
野蛮な“獣”を野放しにはできない、自国を保護するため、みたいな理由をつけて戦争が起きたのさ。
結果、獣人帝国クリードは、シルバリア帝国に敗北した。
タロース
ジェネシス?ジェネリス?そんな名前の魔法使いのおかげで滅びることはなかったがな。
【プレイヤー】
(ジェレニスのことだろうか?)
タロース
……帝国の人間は知らないのか?
まぁ歴史なんてのは勝者が作るものだしな。
タロース
タロース
神々が逃げたあの時も、シルバリア帝国に踏みにじられたあの時も、ただそれを眺めていた…そんな記憶を、記録を刻み続けている。
タロース
そのクノッソスを、お前の力がこの場所をこんなにも荒らしてしまった。
タロース
……さて、お前はいったい何者だ?
タロース
クノッソスに何を求めている。
【プレイヤー】
(私を帝国の人だと思っているのか。全部言う必要はないと思うけど…)
タロース
フゥン。他人には聞く癖に自分のことは話さないってか?そりゃまた素晴らしい考えだ。
【プレイヤー】
……ここにある、とある物を探しています。
タロース
ハッ、とあるもの、ね。何だ?記念の土でも拾っていくか?好きにしていいぜ。
タロース
……ん?お前、もしかして超人じゃあないよな?
【プレイヤー】
はい?
タロース
クノッソスがここまでビビっているんだ、そんな存在、他の大陸にいる超人くらいだろ。教団のデミゴッドだとか…
タロース
いや、お前は見るからに神聖なるデミゴッドとは程遠いか。臭いもする。はは。
タロース
まぁ、別にお前が何者だろうとどうでもいいんだがな。
【プレイヤー】
はい、まあ…
【プレイヤー】
(…好きに言わせよう。それより臭い?)
タロース
…必要なものがあればあっちに行ってみるといい。探してるものが何かは知らないが、[心臓の記憶]に向かってみろ。
【プレイヤー】
心臓の記憶?
タロース
頑張って探してみることだ。聞きたいことがあればまた来いよ。
タロース
俺はだいたいこの辺にいる。ちょうど草刈りの時期だしな。ああ、心臓の記憶ならあっちだぜ。
【プレイヤー】
ありがとうございます、タロース。心臓の記憶に向かってみます。
タロース
大した事ないさ。クノッソスの管理者として教えたまでだ。今は唯一の、な…
タロース
タロース
嘘が下手だねぇ、女神の使いは…果たしてそんな甘さを持って生き残れるやら。
タロース
大公がすやすや眠っていたあの二人を起こしちまったってのに…
タロース
……おっと、噂をすればってやつかな。
タロース
帝国の騎士……精霊……傭兵団のちび。これは大公の描いた舞台なのかい?
(タロースの言葉と共に、どこかから飛んできた黒い蝶々が人の形象を作り出す。)
タロース
じゃらじゃらと相変わらず耳障りな音だぜ。
バルバトス
お久しぶりです、タロース。いいえ…
タロース
おっと、そっち名前はもう名乗ってないんだ。俺はもうただのタロースだ。
バルバトス
ふ、ではタロースと呼びましょう。今は。
タロース
いつだってそう呼べ。それで目的はなんだ?
バルバトス
そういうあなたの目的はなんですか?
タロース
ははははは!質問を質問で返すんじゃねぇよ?俺はまぁ頼まれごとさ。
バルバトス
……見え見えのいたずらにひっかかるつもりですか?
タロース
俺は答えたぜ。お前の理由はなんだ?
バルバトス
先に近づく夜がどうなるかはわかりませんが、私なりに準備していることがあります。
タロース
はぁ?
(タロースが怒りながらバルバトスの胸倉を掴む。)
バルバトス
どうせあなたと私は歩む道が違います。あなたが神のための者を殺したのとは違う…
(バルバトスがにっこり笑うと彼を周りをぐるぐるしていた黒い蝶々が増殖する。タロースは驚いて後ろに下がる。)
タロース
あのクソ蝶々…相変わらずムカつく野郎だ…
(黒い蝶々が連れて来た黒い光がいつの間にかバルバトスを包んでそのまま消える。)
タロース
タロース
なぁ、大公…誰が最後に笑うのか、試してみるか?

(じめじめしていた臭いが溢れる森の中、遠くに機械と電線で繋げた大きな構造物が見える。)
【プレイヤー】
あれはなんだ?
(それにどこかから正体を知らない音が流れて耳が苦しい。)
【プレイヤー】
それにこの音は…この感じは…
【プレイヤー】
(聞きなれている…きっと私は知っている。遠くから聞こえる機械音…)
ちりん。
ちりん。ちりん。
(それに鮮明な鈴の音が響き渡る。)
【プレイヤー】
これは鈴の音?まるで何かに付いているような…
ちりん。ちりん。ちりん。
【プレイヤー】
(鈴の音が近づくように聞こえたのに、急に聞こえて来なくなる。)
【プレイヤー】
気のせいか?
???
違うよ。
(誰かが後ろで【プレイヤー】のほっぺをちょんちょんとする。)
【プレイヤー】
な、なんだ?
???
なんだってなによ。あたしよ、あたし。パーシパエー。
(自分をパーシパエーと呼ぶ少女が手を開き抱きしめようとする。だが、すぐ何かに気付いて後ろに下がる。)
パーシパエー
ひぃん、ハニーじゃないじゃない。よくわからないイイタコが来ちゃったよ。
【プレイヤー】
あの、私はイイタコじゃないですけど…
【プレイヤー】
(猫耳?ってことは獣人ではない…カーリー族?いや、何かが違う…尻尾がある。)
ちりん。
【プレイヤー】
…?
(パーシパエーが動くたびに彼女の首にある鈴の音が聞こえて来る。)
【プレイヤー】
(あ、この鈴はあの人のものなのか?それよりあの少女、気配を感じないくらい後ろから現れた。一体…)
【プレイヤー】
あなたは誰ですか?
パーシパエー
あたしはパーシパエー。クノッソスの偉大なる管理者の一人よ。
【プレイヤー】
(クノッソスの管理者はタロースだけじゃないのか…?)
パーシパエー
それで人間、あんたはだぁれ?ジェレニスが送ったの?
【プレイヤー】
ジェレニス?大魔法使いジェレニス?
パーシパエー
そうよ、ジェレニス。あたしはうちのハニーがあたしを見つけてくれたと思ったのよ。後でうちのハニーに会いに行ってみるといいよ。
パーシパエー
それよりここからどうやって出るの?毎日入って来る場所なのに出ることができないなんておかしいわね?
パーシパエー
うちのハニーがあれをくれた後からだと思うんだけどね…
パーシパエー
あんたはそういう場所にどうやって入って来たわけ?たしか管理者の許可が…
(瞬間手を舐めていたパーシパエーの目つきが変わる。そして速いスピードで手先から出て来た短剣が【プレイヤー】の首に向かう。)
パーシパエー
……?!
パーシパエー
へえ、あたしの攻撃を避けるんだ。
【プレイヤー】
(危なかった…)
パーシパエー
それで終わりだと思わないでよね…うん?これはなんだ?黒い蝶々…
(いきなりどこかから飛んできた黒い蝶々達がパーシパエーの周りを包み始める。)
【プレイヤー】
この蝶々はバルバトスの…
(深い闇に変わった蝶々はそのままパーシパエーを飲み込んだままそのまま散らかってしまう。)
ちりん。
ちりん。ちりん。
ちりん。ちりん。ちりん。
(1回ずつ鳴っていたパーシパエーの鈴の音が暴れてどんどん小さくなる。)
【プレイヤー】
【プレイヤー】
まずあの音を追っかけてみよう。

ちりん。
(心臓の記憶をしばらく彷徨っていると、端からパーシパエーの鈴の音が微かに聞こえて来る。)
【プレイヤー】
きっと近い場所にいる…
(もう少し歩くと闇を散らかす黒い蝶々の残像が見える。そして闇の中からゆっくりとバルバトスとパーシパエーの姿が視野に入る。)
【プレイヤー】
(話し中のようだが、見てみるか。)
パーシパエー
バルバトスね?難しい名前ね。
パーシパエー
つまり大公、あんたの話通りだとうちのハニーが送った部下たちがうちらを裏切ったってことね?
パーシパエー
うちらの帝国をそのままシルバリアに渡した…
パーシパエー
パーシパエー
ジェレニスはあたしたちと共にプレイオスの未来を約束したのよ。獣人と人間が共に生きる大陸…
バルバトス
偉大なる魔法使いジェレニスは殺害されましたので共にできませんでした。そして獣人族の偉大なる王と戦士であるあなたは部下によって眠ることになりました。
パーシパエー
ジェ、ジェレニスが死んだ?
バルバトス
残念ですが。
バルバトス
神を信じない者が神の力を持ってきてクノッソスの時間を止めるなんて、面白いことですね。
バルバトス
それも数百年も…他の大陸でもありましたね。時期も似ていますし…
【プレイヤー】
(まって、これはどこかで聞いた…)
バルバトス
それで神になる私が特別にあなた達を起こしたのです。ですが、あなた達をそれぞれの区域の外に連れ出すことはできませんでした。
バルバトス
あなた達の部下はかなり緻密でした。私が昔一度あなた達を起こそうとしましたが、深い眠りに入っていました。
バルバトス
いたずらがひどすぎませんか?
パーシパエー
…あんたを信じていいわけ?
バルバトス
あなたの髪にあるその蝶々の装飾。はるか昔、獣人王に友情の証票として差し上げたものです。
バルバトス
大切にしている女性がいると聞いています。
パーシパエー
あら、うちのハニーが?なら信じてみようかな?大公、そしたらあたしは何をすればいいの?
バルバトス
あちらで私達の話を盗み聞きしている女神の使いと話すのはどうでしょうか?
【プレイヤー】
バルバトス
前にも話しましたが、【プレイヤー】あなたには選択権がありません。
パーシパエー
あの、大公…
(パーシパエーがにっこり笑って二つの短剣を手に握る。そして素早く動いてバルバトスの後ろから現れる。)
パーシパエー
たかが魔族なんかが獣人最高戦士にああしろこうしろって命令するわけ?こうやって簡単に首を差し出すくせに…
(バルバトスが首に近づいた短剣を指先で押し出す。)
バルバトス
とても残念です。パーシパエーさん、あなたは本当に愚かですね。助けに参りましたが…
バルバトス
愚かな神を信じて人間と一つになれると思って信じていた獣人ですからこういう選択をするのですね。
パーシパエー
う、うっ…あたしの腕が、か、勝手に動いてる…
バルバトス
ここで私があなたを斬ることもできますが、あなたは私に相応しくない相手です。ですからあなたが愚かな獣人王の傍にいるのでしょう。
パーシパエー
殺してやる。なのに体が勝手に…
バルバトス
あなたはあなたと相応しい相手と戦ってみてはいかがでしょうか。あそこにいる女神の冒険者が良さそうですね。
(バルバトスの話と共にパーシパエーがゆっくり【プレイヤー】の前に歩いて行く。)
【プレイヤー】
バルバトス、あの時ミカエラ様をあんな風にしたのにまだ…
パーシパエー
ミカ?神々と一緒に戦っていた?
バルバトス
女神の冒険者様は私から戦闘天使も救援してくださったので、獣人族の古代戦士まで救援して欲しいですね。
バルバトス
新たな夜を準備する魔女、愚かな魔界君主ルクス、罪人が呼び込んだ恐怖の神…
バルバトス
老人は本当に気持ち悪いほどたくさん用意していたのですね。この世界を破滅させるために…
バルバトス
面倒くさいやつら…
(眼鏡をかけ直していたバルバトスの顔が歪む。だが、すぐに落ち着いた姿に戻る。)
バルバトス
ふぅ、失礼しました。やることがたくさんあるのでここまでにしましょう。雑談が長くなってしまいましたね。
バルバトス
そしてパーシパエーさん、私の話に嘘はありません。私の話の真実はあの冒険者が証明するので死ぬ瞬間まで戦ってください。
バルバトス
目を覚ました獣人王はどんな姿なのか楽しみですね。彼が憤怒すればプレイオスはきっと…
パーシパエー
パーシパエー
彼が憤怒したらいけないのよ。
バルバトス
さあ、パーシパエーさん。あなた達が大切にしている神、そしてその神が選択した冒険者を斬ってください。
バルバトス
神を殺す者、ディアサイドも悪くない生き方だと思いますよ。
(バルバトスの動きと共にパーシパエーの目つきが変わる。)
【プレイヤー】
ミカエラ様と同じような状況だ…できるかわからないけど私の力でやってみよう。
【プレイヤー】
(イリス…)

(厳しい戦闘の終わりに、渾身の力を尽きた【プレイヤー】の最後の一撃がパーシパエーに触れて通る。)
パーシパエー
【プレイヤー】
(厳しい相手だった。だからこの攻撃が最後じゃないといけない。耐えられない…)
パーシパエー
ありがとう…
(パーシパエーの足の力が抜けたのか、パーシパエーがそのまま座り込む。)
【プレイヤー】
大丈夫ですか?
パーシパエー
あたしは大丈夫だよ。おかげで基に戻ったから…大公という魔族のせいで力を使いすぎた。
(パーシパエーが武器を片付けて、【プレイヤー】の顔をじっと見つめる。)
【プレイヤー】
どうしました?
パーシパエー
いや、昔会ったことがあるような気がして…あ、違う。
パーシパエー
このリボン、うちのハニーがくれたものだからやってたけど、あの大公という魔族の力がかかっていたものだった。今は消えたけど…
パーシパエー
でもおかしいの。あたしが魔族の力に支配される理由はないのよ…あの大公はなに?
【プレイヤー】
話すと長いですが…
パーシパエー
短く話せばいいじゃん。
【プレイヤー】
それが…
パーシパエー
あたしを信じてないのね。話してくれたらできる限り協力するよ。女神の冒険者って言ったよね?普通に来たわけじゃないだろうし。
【プレイヤー】
はい、でしたら…
【プレイヤー】
(パーシパエーに新たな女神イリスとバルバトスの正体、そしてクノッソスまで来た理由を簡単に話す。)
パーシパエー
セレス女神様の後継者がいたのね。残っている神がどれくらいいるのかも知らなかったけど…そしてあの大公は自分がこの世界の神になろうとしているってことか…
パーシパエー
複雑だけど、理解したよ。
パーシパエー
捻じれた者『デイモス』に会ったことはないけど、あれが現れたらどれほど危ないかは知ってるよ。魔王ビーストほどではないと思うけど…
パーシパエー
いつかプレイオスに近づいた恐怖を感じたことがあるからね。
【プレイヤー】
それで私はここでデイモスを止める方法を探しています。
パーシパエー
ここ?ここはそういうものはないけど…あ、これ?
(パーシパエーが胸の中から何かを出して【プレイヤー】に見せる。)
【プレイヤー】
心臓の形の石?割れていますね。
パーシパエー
うちのハニーとの愛の証票とも言える憤怒の心臓よ。残りの半分はうちのハニーが持っている。
【プレイヤー】
び、びっくりした。なんですか、これ?本物の心臓みたいに動いてるじゃないですか!
パーシパエー
そうよ、心臓。あたしたちが大事にしているゴーレムの心臓でもあるの。
パーシパエー
黄金時代、神々のためにあたしたちが作ったゴーレムがここにたくさんいるじゃない。心臓で充電しているはずだけど…えっ?
パーシパエー
パーシパエー
いない…?一人もいない?!クノッソスの心臓に眠っているあたしたちのゴーレムが…いない!
【プレイヤー】
ゴーレムですか?
パーシパエー
そうよ。ゴーレム。ゴーレムがいないってことはクリードは完全に裏切られたってことね…だめだ。急いでハニーに知らせないと。一緒に行こう。あたしが手伝ってあげるから。
【プレイヤー】
はい、一緒に出ましょう。
パーシパエー
【プレイヤー】
パーシパエー、どうしました?
パーシパエー
あたしここから出られないわ…ここに広げられたとある力があたしを止めている。これもあの大公という魔族の仕業かな。
【プレイヤー】
ふむ…
パーシパエー
仕方ないわ。あんたがあたしの代わりにハニーに会いに行くのよ。あたしがこうってことは、うちのハニーもそこから出られてないってことだから。
パーシパエー
うちのハニー、今どうしてるのかな…
【プレイヤー】
あまり心配しないでください。私が会いに行きますから。
パーシパエー
それなら憤怒の心臓をあんたに任せるわね。
(パーシパエーが胸から心臓の形の石を出して【プレイヤー】の手に握らせる。)
【プレイヤー】
(これが憤怒の心臓…強い振動を感じる。まるで怒っているみたいだ。)
パーシパエー
憤怒の心臓は神様が任せたこの世界の一部よ。黄金時代のもの…一応うちのハニーが残りの半分を持っているわ。一つにしたら捻じれたものを止めるのに役に立つかもしれない。
【プレイヤー】
ありがとうございます、パーシパエー。でしたらあの方に会うためにはどこに行けばいいですか?
パーシパエー
[アクロの墓]…すぐ見つかると思うわ。後であたしも出してね。わかったよね?
パーシパエー
あたしは心配しないで。ここはあたしの地だから大丈夫よ。ちょうどあんたの女神、新の女神様も大丈夫って言ってるんだから。
【プレイヤー】
イリスがですか?
パーシパエー
ええ、だから急いで。
【プレイヤー】
はい、わかりました…ごめんなさい。すぐ方法を見つけて戻りますから。
【プレイヤー】
(まずタロースのところに向かおう。)
パーシパエー
ジェレニスのように脆い子ね。次に会ったら友達になってもらおう。
パーシパエー
ところで、大公によると、神を信じてない者が神の力を持ってきてクノッソスの時間を止めたってことよね。
パーシパエー
パーシパエー
(…タロース、ダイダロス。どっち?こんなことを起こしたのは…)