シナリオクエスト

とあるプレゼント(3)

ナリン
冒険者さん…おかえりなさい。
【プレイヤー】
エコーのものかはわかりませんが、怪しいものがあったので持ってきました。あれ、イーオー…
イーオー
話しは聞きました。ナリンの頼みで不吉な場所にまた行ってきたそうですね…
ナリン
最初は君の頼みだったじゃないか。
イーオー
あ、そうだった。ごめんなさいね。こういう面倒な人と精霊で。
【プレイヤー】
私は大丈夫ですよ。
ナリン
お礼として精霊が与える信頼のクーポンを渡すことにしたんだ。
イーオー
いいことをすれば精霊からもらえるクーポンだっけ…それでも精霊王様からもらうものだから効果はあるのよね?
【プレイヤー】
はい、思ったよりよかったです。
(ナリンが巻紙を広げて氷のネックレスと氷の鏡を一緒に置く。)
イーオー
巻紙の使い方に慣れてきたみたいですね?
ナリン
うんうん。一度慣れるといろいろ使いまわしたりできてよいんだよ。
(ナリンが手を伸ばすと鏡の氷が割れていくつかの欠片になる。)
イーオー
この氷の鏡には不吉なオーラが一切ない……。これでネックレスが、溶けなくなるの?
ナリン
そう。君がこの氷の欠片を利用してネックレスを凍らせて。
イーオー
(ナリンがイーオーの両手を集めてその中にネックレスと氷の欠片を置く。)
(ナリンが頷くとイーオーも頷く。すると、イーオーの周りから小さな吹雪が起きて手の中に流れ込む。)
イーオー
イーオー
できたみたい…
(イーオーが手の中でネックレスを少し揺らしてみる。最初見たより純粋で綺麗な感じで光っている。)
【プレイヤー】
美しいですね。
ナリン
デボラ雪原で一番きれいな氷で作られたね。
イーオー
…それより。ここにはなんて書いているの?小さくてあまり見えないわ。
ナリン
座り込んで研究ばかりで視力が落ちたんじゃない?ええっと……
ナリン
イーオー
ナリン?なんて書いてるの?
ナリン
……読んでもいいの?
イーオー
私は大丈夫、だから心配しないで…
ナリン
「北海イオニアに似た俺の娘イーオーへ…」
イーオー
お父さん…?
イーオー
ナリン
この純粋な結晶を抱いているのなら精霊ってことだよね。あの時の私は何もできない存在だったけど…
ナリン
恐らくエコーを手伝いながら君の話もしていたんだ。けどエコーが…
イーオー
【プレイヤー】
イーオー…
ナリン
…少し席を外していただけますか?しばらくしたらイーオーの邸宅の前に来てもらえると。
【プレイヤー】
はい、わかりました。
【プレイヤー】
では後ほど…
【プレイヤー】
(…)
(イーオーが何も言えず頭を下げている。ナリンがそういうイーオーに近づいて抱きしめる。)
ナリン
何を言えばいいのかわからないけど、君のためにできることがあるんだ。
ナリン
たとえ人のように温気で包むことはできないが、それでも君のそばにいるよ…
ナリン
イーオー…
イーオー
イーオー
…ナリン、ありがとう…

(ゲルダの空から水玉が一つ二つ落ちて来る。)
【プレイヤー】
雨…?
(吹雪を持ってきた雲からゆっくり細い雨が降って来る。灰色の雲のせいなのか白いゲルダが灰色に染まっていく。)
【プレイヤー】
寂しそうな感じがするな…空が泣いているようだ…
【プレイヤー】
【プレイヤー】
イーオーは大丈夫だろうか?あ、そこ…
(【プレイヤー】の視野に遠くからイーオーが呼んでいるのが入って来る。)
【プレイヤー】
まず行ってみるか。
(イーオーが【プレイヤー】の姿を見て謝る。)
イーオー
行ってほしいだの、戻ってほしいだの、気が変わりすぎてごめんなさい。
【プレイヤー】
私は大丈夫ですが、イーオーは大丈夫ですか?
イーオー
大丈夫ですよ。
ナリン
イーオー、君の目が雪だるまのようにぱんぱんに腫れているんだ。もうぱんっぱんっ。
イーオー
【プレイヤー】
あはは…
イーオー
ナリン、凍らせちゃうよ?
ナリン
私もどこかで氷を抜いて…
イーオー
ふぅ…わかった、わかった。もう終わり。とにかく…【プレイヤー】さん!ありがとうございます。
イーオー
ところで私とナリンのせいで女神様に会えなくなって、どうしましょう。
【プレイヤー】
私は大丈夫ですよ。イリスも大丈夫だと言うと思います。
イーオー
…そうですね。今頭の中にイーオー様、私は大丈夫ですよって聞こえた気がします。
【プレイヤー】
本当ですか?
イーオー
はい。私の方が女神様の声を聞くことに関してはあなたより先輩ですよ。
ナリン
イーオーのが、年寄りだしね。
イーオー
ナリンの話は無視してください。何かあったらすぐ相談しに来てくださいね。
イーオー
ね?
【プレイヤー】
はい、わかりました。
イーオー
ガレットには話しておきました。いつでもゲルダに来たら雪花を好きなだけ利用していいですよ。私が一生支援してあげます。
【プレイヤー】
…一生ですか?
イーオー
ええ、一生。どうしました?
【プレイヤー】
いいえ。ちょっと整理が追い付かないというか……
イーオー
【プレイヤー】
いえ…ありがとうございます。では少し休みます。また会いましょう。
イーオー
ええ、ゆっくり休んでください。
【プレイヤー】
(あれ、なんか忘れてるような気がするな。なんだ…?)
(イーオーとナリンが雪花に向かう【プレイヤー】に手を振る。)
イーオー
ナリン。
ナリン
うん?
イーオー
大体の話は聞いてるけど、そのクーポンを押す精霊のはんこってやつ。それがどうしてメディアさんの話から始まってあんたの手に入ることになったのかな?
ナリン
ふむ…どうしてだろうね。考えてることはあるけど…
イーオー
ふぅ、そうね。やっぱり、エコーのことは失敗だったわ。明日から急いで動かないと。
イーオー
ところでナリン。
ナリン
どうしたんだ?
イーオー
【プレイヤー】さんにはんこを押したクーポンは渡したの?
ナリン
…あ?!