シナリオクエスト

女神イリス

(【プレイヤー】の視界にガイアに出会った時と似た景色が広がる。確かに同じ場所のようだが、風と光の印象が違うので確証がない。)
【プレイヤー】
盟約の聖所のはずだけど…違う感じもする。
ガイア様がいらっしゃる時とも違うようだし…。
【プレイヤー】
あそこにイリスがいるのだろうか?
(頭の中で彼女の名前を呼ぶと、少女の姿がその中から現れた。)
(どこかあどけなく、活発な印象の少女が冒険者の登場に笑顔を見せる。)
【プレイヤー】
…イリス?
イリス
はい。よく来てくれましたね、【プレイヤー】…
(イリスが【プレイヤー】の手をつかむ。そして…そっと抱き寄せた。)
イリス
何から話せばいいのか…どんな顔をすればいいのかわかりませんね。まずはあなたに感謝を…
【プレイヤー】
そんな…私…私は…
【プレイヤー】
ただ私は…
(イリスが涙をぬぐいながら後ろに下がる。)
イリス
ありがとう。
【プレイヤー】
私の方こそ…
イリス
私はセレス様の後を継いで女神となりました。
ですが、それでも私も人としての心を持っているのです…。
イリス
私の力が及ぶ限り…その心がある限り…あなたに協力するつもりです。
私を大切に想ってくれている人々のためにも…。
イリス
ずっとあなたの傍にいましょう。
(イリスがそう言い終わると、神秘的な光が溢れ出し、空間を満たしてゆく。)
【プレイヤー】
うっ…まぶしい…
【プレイヤー】
…………

(あまりのまぶしさに目を塞いでいると…イリスの声が聞こえてきた。)
イリス
さあ、もう目を覚ましてください。
【プレイヤー】
イリス…
(光が収まりだすと、先ほどとは違う姿のイリスが立っていることに気がついた。)
イリス
何から話しましょうか…お互い顔を見て話すのは初めてですね。
イリス
毒霧沼地で私と会ったと言っていましたが、あの時は私は正気ではありませんでした。
あの時にちゃんとあいさつができていればよかったですね。
(イリスが少しおどけた顔で微笑み、そして少し悲しい表情を見せた。)
イリス
お伝えしなければならないことがあります。
イリス
…………
イリス
隠すつもりはありませんでしたが、あなたを疑ってしまいました。
【プレイヤー】
…それはどういうことですか?
イリス
【プレイヤー】…あなたはあの瞬間、自らも望まない存在となるところだったのです。
【プレイヤー】
望まない存在?
イリス
罪を犯すことしかできない存在…
【プレイヤー】
え?
【プレイヤー】
それは…どういう…?
イリス
…アガシュラ。
イリス
この世界の滅亡を願う存在が、あなたを私に会わせる前に呪いをかけたのです。
イリス
好き嫌いにかかわらず、その存在が望む滅亡の気配に接する度に、【プレイヤー】の精神は少しずつ浸蝕されてきました。
イリス
ですから、自分が自分でないように感じられたり、意図しない行動をしてしまったことがあるはずです。
イリス
…………
イリス
私はあなたを守りたかった。
この小さな力を…あなたのために使いたかったのです。
そして、【プレイヤー】が望まない存在とならないように、何度も記憶を消したのです。
【プレイヤー】
ああ…それで私は記憶が…。
それに、時々自分ではないような行動をしたことも…
イリス
それが覚醒できなかった私にできる唯一のこと…
イリス
浸蝕が進めば、あなたは望まない存在になることができたでしょう。
イリス
誰かの思惑どおりに私や人々を攻撃するような存在に。
そこで、ユランさんに私に会わせないようにお願いしたのです。
イリス
ごめんなさい…私がもっと強ければ…もっと強い心を持っていれば、こんなに【プレイヤー】が苦しむことはなかったはずなのに。
【プレイヤー】
私は大丈夫です。謝らないでください。
イリスが私を守ってくれたから…。
イリス
それにセレス様を思い出すこともできず…ですが、今なら思い出せると思います。
【プレイヤー】
ゼナディアのあの日ははっきり覚えています。
イリスのことも忘れません…約束します。
イリス
…はい。
イリス
超人たちがくれた力は古代神のものです。
その力を受けて、私は修練の森でさらに修練を重ねました。
イリス
あなたを守る力も得られました。
ですから、もう誤解することも、隠すこともしないことを約束します。
イリス
そして…すべての生命のため…私のために尽くしてくださったガイア様のために、偉大な壁を再び構築しましょう。
イリス
セレス様が教えてくださった世界の真理とガイア様の助けで…さらに真実に近づくことができています。
イリス
これまでは、精神的につながっているあなたから、デイモスの情報を手に入れていましたが、それでは足りません。
【プレイヤー】
…もっと私に頼ってください。
イリス
ですが、デイモスの事は…
【プレイヤー】
私が最後までやってみせます。
だから、イリスはイリスのやるべきことを最後までやってください。
イリス
【プレイヤー】…
【プレイヤー】
では、超人の力がもっと必要ってことですよね?
イリス
はい。
【プレイヤー】
あと残っているのは、イーオー様とメディア様の力…。
イリス
まずは、イーオー様に会ってみてください。
今、イーオー様の周囲に何かが起きているようです。
【プレイヤー】
私が行って調べてみます。
イリス
ありがとう。ここに来れば、いつでも私と会うことができるでしょう。
迷ったらいつでもいらしてくださいね。
【プレイヤー】
はい。では、行ってきます。
(イリスはにっこりと笑って手を振る。すると、イリスから暖かな光が差し込んでくる。)
【プレイヤー】
(この光…とても暖かい…)
【プレイヤー】
(イーオー様がいる所に行くにはどうすればいいのだろう。北の雪原…?マルスが近かったはずだからペオニアのところに行ってみよう。)
【プレイヤー】
(しかし、イリスの言葉どおり、もし私が望まない存在に変わっていたらどうなっていたのだろうか…)
(暖かな光が消え、聖域エイドス関門で目を覚ました冒険者は、ゆっくりと目的地に向かって歩き出した。)