シナリオクエスト

裏面の境界

(デイナが目を閉じたまま何かを考えているようだ。そして何かを感じたのか急いで手に握っていた杖を刺すように振り回す。)
【プレイヤー】
うわあっ!デイナさん!私です、【プレイヤー】…
【プレイヤー】
その杖はどいてくれませんか?刺されるところでした。
デイナ
あ、ごめん。違う人かと思ったの。
【プレイヤー】
違う人ですか?
(デイナが杖を戻して軽く笑う。だが、その顔は急に力が抜けた脚のせいで崩れてしまう。)
デイナ
うっ…
【プレイヤー】
デイナさん、大丈夫ですか?
デイナ
支えてくれてありがとう。少し休んだら大丈夫よ。
【プレイヤー】
どこか悪いんですか?
デイナ
たまにこうなるの。悪いというかちょっと不便なだけよ。力をたくさん使った後はたまに足の力が抜けるの。
デイナ
シエナが作ってくれたこの杖があったよかったわ。
じゃないと立っているのも辛いくらいだったと思うわ。
デイナ
私は生きてなきゃ。お姉ちゃんに怒って、シエナを褒めてあげないといけないのよ。
デイナ
デイナ
……どうして私はあなたに余計な話をしてしまうのかしら。
(デイナの顔が複雑になる。)
デイナ
ごめん、話が長くなってしまったわね。
【プレイヤー】
いいえ。休みの時に来てしまってごめんなさい。
デイナ
私は大丈夫よ。
それよりも、【プレイヤー】が来た理由は、聖域についての話よね?
【プレイヤー】
聖域エイドスに裏面が現れたと聞きました。
デイナ
そうね。ラクレットとゼリックが調べているけど、調査を止めるしかなかったの。聖域のえらい方が私達のような人は嫌だそうでね。
デイナ
神託が与えらえる神聖なる場所に不敬な者達が来るなんて嫌よね。全く…聖騎士もしオラクルも私達をなんだと思ってるの。
デイナ
とにかく、それでお姉ちゃんがあなたを呼んだのよ。
……もしかしたら他の存在の導きなのかもしれないけどね…
デイナ
デイナ
酒屋の聖騎士達に話をしておいたの。
セーラさんに会えば聖域エイドスに向かう方法を教えてくれるはずよ。
【プレイヤー】
ありがとうございます、デイナさん。
デイナ
そしてね…それで…
(デイナが何かを話しているが、音が聞こえない。)
【プレイヤー】
デイナさん?何ですか?
【プレイヤー】
(何かを言ってるのに、全然聞こえない…)
【プレイヤー】
うっ、これは何だ?!
(急に【プレイヤー】の背中から黒い影が波のように起きて、【プレイヤー】の体をそのまま飲み込んでしまう。)
【プレイヤー】
うっ、うっ…
【プレイヤー】
うっ…
【プレイヤー】
ううううっ…
【プレイヤー】

???
皇女様。お久しぶりです。過激な挨拶は相変わらずですね。
【プレイヤー】
あれは…
(闇の一方で聞いたことない声の主と共にデイナの姿がゆっくり現れる。)
【プレイヤー】
ここは…?
デイナ
あなたは…
【プレイヤー】
(デイナさん?そしてあれは誰だ?いや、さっきまで一緒にいたのに……私は今どこから二人を見ているんだ?)
(デイナが殺気を込めて魔族と呼ばれた者に杖を振り回す。)
???
ふふ…ここで戦うのですか?
折角他の者を遠ざけようと張った結界が壊れてしまうでしょうに。
デイナ
用はなんだ。
(デイナが杖を戻して魔族を見つめる。)
???
ふふ、人間ごときの能力で張った結界がここまでとは…
デイナ
魔族に褒められたくない。用を言え…
???
あの時のことは申し訳ありません。仕方ありませんでした。
デイナ
私の妹を祭物にして、私をこうした魔族…
デイナ
絶望の大公、バルバトス…
(デイナが魔族の名前を吐き捨てるようにつぶやいた。)
バルバトス
お、覚えてくださったのですね。僕の名前を呼んでくださるなんて、光栄です、皇女様。あの件に僕が関わったことは間違いありませんが、一部だけでした。その中心にはやはり「彼女」が…
【プレイヤー】
(彼女?)
バルバトス
ふふ、僕は挨拶で少しお訪ねしただけですのですぐ帰ります。あの時は皇女様の姉妹に用がありましたが、今は違いますから。
デイナ
私に用があるわけじゃないのか?まさか【プレイヤー】に…
バルバトス
使いよりは仕事をさせる存在にあります。僕は彼にただ何をするのか教えただけなのです。
デイナ
教える?どうやって…
(バルバトスの目つきが鋭くなり、どこかで取り出した巨大な剣で周りの空気を斬る。)
(その影響がデイナにも及んだのか、デイナが辛そうな顔で崩れ落ちる。)
デイナ
ううううっ…
バルバトス
皇女様はこの程度で崩れてはいけません。僕が主になる世界に招待する予定なのです。そして崩れた世界の器になってください。
バルバトス
光と闇の間である影を歩くあなたなら十分その資格があります。
デイナ
エイドスで見つかった裏面はやはり…やはり…
(デイナが話を終える前に気を失う。そしてバルバトスが跪いて倒れたデイナの手先に口を当てる。)
バルバトス
人間の精神力でよく耐えてくださいました、皇女様。いくら偉大なる力を持っているとは言え、人間はただの人間、惰弱な存在…
バルバトス
これから僕が皇女様を始め、全ての人間の主になってあげましょう。約束します。
バルバトス
では僕は舞台の準備があるのでここまでにします。あ、そうだ。
バルバトス
申し訳ありません。少し忘れていました。神に愛されている冒険者様。皇女様はただ気を失っただけですのであまり心配しないでください。
【プレイヤー】
お前は誰だ?ここはどこだ?
バルバトス
バルバトス
仕方ありませんね。お答えしましょう。
バルバトス
僕はあなたを愛する神を皆斬ります。ガイアはもちろん、あの少女も。イリス、と言うんでしたっけ?
【プレイヤー】
なんだと……イリスに手を出したら許さないぞ!
バルバトス
ハハ、どうせ半分だけの新人少女はこの瞬間を認知することはできません。まずこうするのはどうでしょうか?
バルバトス
どうせあなたに選択権はありません。では銀貨を出します。
バルバトス
表と裏、正面と異面。さぁ、選択の時間です…。
裏が出れば僕の意志通りに進めます…
バルバトス
表が出たら……チャンスを与えましょう。悪魔の角が描かれている面が表です。
(バルバトスが胸元から出した銀貨一つを投げる。その後、銀貨が彼の手に入って確認する瞬間を待つ。)
バルバトス
どうでしょうか?
【プレイヤー】
表…
バルバトス
運がいいですね。では何回かのチャンス…試練を与えましょう。
この試練を乗り越えることだけがあなたの神を助ける唯一の方法。
(バルバトスが倒れたデイナを起こして壁に支える。そして顔を向けて【プレイヤー】に嘲笑を見せる。)
バルバトス
では、その試練を終わらせることができるのか楽しみですね。
(バルバトスの話が終わると、不吉な闇が再び訪ねる。)
【プレイヤー】
待て…
(闇は冒険者を飲み込み、開かれた隙間のどこかに流れる。)

デイナ
【プレイヤー】さん、しっかりして!
【プレイヤー】
えっ?
デイナ
急に、気を失ったじゃない。
【プレイヤー】
それが…私が気を失ったわけじゃなくて…なんて言えばいいのか…
デイナ
いいわよ、話してみて。
【プレイヤー】
はい、だから…
【プレイヤー】
(デイナに今のをすべて説明する。)
デイナ
バルバトス…あの魔族が現れたのね……
デイナ
デイナ
気持ち悪い…一体どうして現れたわけ?
【プレイヤー】
あの、デイナさん。今私とデイナさんがバルバトスを認識して認識していない差はなんですか?
デイナ
捻じれた時空間…、それを利用しているわ。私はまだそれが気になっているの。魔族という存在にあんな能力があるなんて…
デイナ
間違いなくあの時もそうだったわ…もしかしたら…
デイナ
あ、いや。【プレイヤー】さん。聖域に行くのよね?どこか体調悪かったりする?
【プレイヤー】
いいえ、大丈夫です。今から向かいます。
デイナ
バルバトスが現れたのなら大変よ。その魔族が神託を邪魔するのならなおさら。
デイナ
【プレイヤー】
(バルバトスがデイナさんに求めているのはなんだ…?)
デイナ
一緒に行きたいのにごめんね。
デイナ
だから…
【プレイヤー】
行ってきます。あまり心配しないでください。セーラに行ってみます。
デイナ
ええ…
デイナ
デイナ
バルバトスが聖域で求めているのはもしかして…