シナリオクエスト

師匠の揺り籠

(ファンの揺り籠と思われる場所に近づいた瞬間、巨大な力が【プレイヤー】に向かって飛んでくる。)
【プレイヤー】
な、なんだ?
ものすごいスピード……。
【プレイヤー】
……。
【プレイヤー】
(感じられない。なんだ?この力は一体…このまま当たったらきっと私は死ん…)
???
やはりお前か。
【プレイヤー】
……。
(砂埃が消え、目の前に赤い髪の大男が立っている。)
【プレイヤー】
あなた…バルドリック様ですよね?
凶王……。
バルドリック
ああ、俺はバルドリック。
ガハハ、会えて嬉しいぞ!
話は聞い…いや、わかっている。まあ、細かいことはどうでもいいさ!ガハハハ!
バルドリック
それと、様はやめてくれ。堅苦しいのはあまり好きじゃねぇ、気軽に呼んでくれ。
(バルドリックがニカッと笑いながら手を差し出す。)
【プレイヤー】
会えて嬉しいです。ええと……バルドリック。
【プレイヤー】
(物凄い握力だ。少し握っただけなのにとんでもない力を感じる。)
バルドリック
ガハハ!普通の人間なら俺の力にビビッて逃げるだろうに、よく耐えたな!
バルドリック
お前さんも普通じゃないってわけだ。
苦労するだろ?
【プレイヤー】
そうですね。
バルドリック
まぁ俺はそうでもないけどな。面倒なことは聞き流すに限る!ガハハハ!
【プレイヤー】
……。
【プレイヤー】
ともかく…私はあなたに会いにきたんです。
バルドリック
どうしたんだ?
【プレイヤー】
ペオニアがあなたを心配しています。
住民達が誤解しているんだと。
バルドリック
ああ……本当に、あの子も厄介事を自分から背負うタイプだな。
いつも忙しそうにして休まない。
バルドリック
最近はめんどくさそうな悪魔に好かれていてな。
ぶっ飛ばしてやろうかと思ったら、止められちまった。
【プレイヤー】
ところで、ここで何をしてるんですか?
バルドリック
お前さんもクラウスが消えたのは知ってるよな?
【プレイヤー】
……実は、あなたが原因だと思っている人がいて……。
バルドリック
そうなのか?まあ、俺を怖がる奴なんてごまんといるからな……。
俺はクラウスを探しているんだが、いないんだよな……この辺にいそうなんだが。
【プレイヤー】
(本当に気にしてないな。)
バルドリック
それよりお前さんも感じたよな?
狂った悪魔の力がこの辺にとどまっている…おそらくフォボスに集まって来た悪魔を導く力だろう。
バルドリック
それでだが、お前さん。
俺と一緒に揺り籠に行かないか?
【プレイヤー】
揺り籠というのは……。
バルドリック
師匠の遺骸がある村だ。向こうに悪魔の力を感じるだろ?
バルドリック
なんだかわからないが!
強そうな奴がいるみたいだ!!
クラウスも見つかりそうだぞ!!!
【プレイヤー】
(楽しそうだな…)
バルドリック
お前さんならわかるよな?
力はこういう時に使うもんだぞ。
【プレイヤー】
(力…)
【プレイヤー】
バルドリック、一緒に行きます。
バルドリック
よし!
じゃあ早速ファンの揺り籠に向かおうぜ!!
(話が終わるが早いか、バルドリックがファンの揺り籠に向かって走る。物凄いスピードでどうしても追い付けない。
【プレイヤー】
……。
【プレイヤー】
一緒に行くんじゃなかったのか……。ふぅ……。
【プレイヤー】
仕方ない、一人で行こう。

(ファンの揺り籠の最深部、バルドリックがグロテスクな姿をした存在のと嬉しそうに戦っている。)
バルドリック
お前さん、なかなかやるな?
今まで会った悪魔達とは違う!ガハハハ!おいおい…楽しいなぁ!
???
戦いに執着する浅はかな人間……。
バルドリック
よくわかってるじゃないか!
さぁ、もっと楽しもうぜ!ハッ、師匠ならお前さんをどうやって倒しただろうな?
???
筋肉バカなのに神の祝福を受けた人間…考えが読めないわ!
誘惑も通じないし!もう。
【プレイヤー】
物凄い薔薇の匂い……。

リリス
あたしが、あたしが……。
負けるなんて……。デゴス様……。
リリス
……。
【プレイヤー】
……確かにお前は強かった。
リリス
あの方は、あの方は……。
【プレイヤー】
だけど、私にとってはお前もデゴスも同じ悪魔だ。
この世界に害を与える……。
リリス
同じ!?一緒にしないで!
あたしは純粋な悪魔、彼は悪魔になった元人間……。
【プレイヤー】
…デゴスを愛しているというわりに、随分と下に見ているようだな。
リリス
それは、それは……。
【プレイヤー】
愛しているっていうのは嘘なのか?
リリス
?じゃないわ。
いや、それよりあんた、おかしい……。
【プレイヤー】
私の何がおかしいんだ?
質問に答えろ。
【プレイヤー】
夢魔が語る愛は本当なのか?
自分の能力のせいで勘違いしているだけじゃないのか?
【プレイヤー】
それなら……。
【プレイヤー】
……。
【プレイヤー】
(あと一撃で終わるのに、どうして迷ってるんだ?)
【プレイヤー】
……。
(何かに気付いたリリスの姿が変わる。美しい夢魔ではなく、まるで地獄のような―怪物の姿だ。)
(だが、それも長くはもたない。どこかから熱く巨大な力がリリスに向かって飛んでくる。)
【プレイヤー】
あれは……。
バルドリック
ああ、俺だ。
(バルドリックが明るい顔で近づいて【プレイヤー】の方を叩く。)
バルドリック
何を迷ってるんだ?
【プレイヤー】
……。
バルドリック
……そういうことか。
なら任せとけ。こういう役目は……俺のが似合ってる。
バルドリック
そういやお前さん。名前を聞いていなかったな。
【プレイヤー】
【プレイヤー】…です。
バルドリック
そうか…【プレイヤー】。
(【プレイヤー】の名前を聞くとバルドリックが微笑む。その微笑みと同時にリリスが何かを感じたのか震え始める。)
リリス
た、助けて……。
バルドリック
ええと…リリ…リリスだったか?ああ、面倒くせぇ。
お前さんにひとつ質問がある。
リリス
いいわ、いくらでも…だ、だから…。
バルドリック
クラウスを見てないか?
身長は俺くらいで素敵な笑顔が印象的な男だ。
40代中盤くらいの人間。金髪に青い瞳。
リリス
あ、あの男…あそこに行ったわ。
ろ…ローゼンガルテン……。
バルドリック
それはどこだ?
リリス
ま、魔界よ。
バルドリック
魔界?
人間がどうやって魔界に行けるんだ?
リリス
ろ…ローゼンガルテンとフォボスが繋がってる場所があるのよ。
それ以上は知らない。わからないのよ。
も、もういいでしょ?た、助けて……。
バルドリック
……。
バルドリック
【プレイヤー】、ちょいと目をつぶってくれないか。
【プレイヤー】
……。
【プレイヤー】
(バルドリックから物凄い狂気を感じる……。)
【プレイヤー】
はい……。
バルドリック
よし、良い子だ。
……なぁ、悪魔のお嬢さん。どうして俺が皆から凶王なんて呼ばれてるかわかるか?
リリス
そ、そんなの知ってるわけないじゃない!
人間ごときのあだ名なんて!
バルドリック
そうかそうか…
高貴な悪魔様は、くだらない人間には興味もないよな?
バルドリック
それじゃ、教えてやるよ。
俺が凶王って呼ばれているのはな……。
バルドリック
この俺の前では、悪魔でさえ怯え傅く、世の中全ての……
【 凶 悪 】 の 王 だからだ!!!!
(バルドリックの狂気を帯びた声が消え、大な力が【プレイヤー】の両側を掠めて去っていった。)
【プレイヤー】
……。
【プレイヤー】
リリスが消えた。いや…消滅した。
悲鳴さえ上げる暇もなく……バルドリックがたった一度攻撃しただけなのに……。
【プレイヤー】
……。
【プレイヤー】
ゴホッゴホッ。
う、砂埃が……。
【プレイヤー】
あれ…どこに?
バルドリック
ここだ。
(砂埃を被ったバルドリックがどこかで飛んできて【プレイヤー】の前に着地する。)
バルドリック
とりあえず出るか。
外で話そう。
【プレイヤー】
はい、わかりました。