エル
あそこにジスカド様がいらっしゃいますね。
ここで少しお待ちください。
(向こうの方にジスカドの後ろ姿が見える。じっと立っているように見えるが、肩が僅かに揺れている。)
ジスカド
エル、ご苦労だった。
【プレイヤー】、君にも大変だっただろう。
【プレイヤー】
いえ。
それで、これなんですが……。
【プレイヤー】
(ジスカドに宝石の形の真実の炎を渡す。使い方は説明しなくても大丈夫そうだ。)
【プレイヤー】
(ジスカド様……あの後ゼナはどうなったんだろう?)
ジスカド
神の計らいで消滅しないことになった。
ジスク領地にとどまることになりそうだ……。
エル
ジスカド様、私は先に戻ります。
お二人のお話の邪魔になりそうなので…。
ジスカド
ありがとう、エル。
また後で声をかけるよ。
エル
あ、【プレイヤー】さん。
ジスカド様はユランさんに言われて禁酒中なので、誘われても断ってくださいね。
(エルがホワイトコール峡谷の方に向かって歩いていく。仕事を終えてすっきりしたようだ。)
【プレイヤー】
ジスカド様…今回のことも自然とわかったのですか?
ジスカド
何を言おうとしてるのかはわかっている。
たとえ知りたくなくても仕方ないことなんだ。命を諦めない以上。
ジスカド
最初は到底受け入れられなかったが、神がイーストランドを愛する証拠と思えばね。
ジスカド
今日という日は特別だな。
女神様にも、君にも、エルにも、感謝しなければならない日だから……。
ジスカド
妹を守れなかったという罪悪感が大きかったようだ。
そんな風に歪められた記憶として生きていたなんて……。
ジスカド
デイモス教団をジスク領地に呼んだのはダフネ…あの女のせいだったか……。
ジスカド
メディアに会いに行かなければならないな。
彼女なら何か知っているだろう。
【プレイヤー】
(メディア、ダフネ…そういえばジェレニス魔法学園の学園祭の名前もダフネだったよね……。)
ジスカド
それにしても、ゼナに会って何を話せばいいんだ…?
ジスカド
あの子が好きだった物をたくさん用意しなければならないな。
ジスカド
しかし、生きているわけではないから…大丈夫だろうか?
【プレイヤー】
(…後でゼナの所に行ってみよう。)
ジスカド
妹と話ができるようになったが…もう450年も経っている……。
ジスカド
あ、【プレイヤー】…遅くなったな。
さあ、私に背中を見せてくれ。
(慌ててジスカドに背中を見せる。しばらくすると、巨大な光に襲われるような感覚になった。)
ジスカド
…私が持つ力がイリスくんの役に立つといいのだが。
さあ、では本題に移ろう。
【プレイヤー】
ええ。それで、ジスカド様が知りたい真実は何ですか?
ジスカド
バイスとデイモス教団に関することだ…ではやってみよう。
(ジスカドの手の上で炎が大きくなり、揺れる。しばらくして炎が小さな宝石の形に戻ると、ジスカドは苦悶の表情を浮かべた)
ジスカド
ほんの少しだったが…私が見たものを話そう。
ジスカド
バイスが今まで見せていたものは全て予行演習だったんだ。
決定的な一つのことのための……。
ジスカド
私の考えだが、「デイモス」をこの地に降臨させようとしているようだ……。
ジスカド
私がもう少し調べてみる。その間、君は休息を取ってくれ。
ジスカド
いつも忙しい君が素直に休憩を取るとは思わないがな、ハハ。
そして、真実の炎は安全な場所に保管しよう。
ジスカド
私は大丈夫。そしてもう一つだけお願いだ。
ここで起きたことは口外しないで欲しい。まあ、皆に知れ渡るのは時間の問題だと思うが。
(ジスカドがホワイトコール峡谷に向かって行く【プレイヤー】の後ろ姿を見つめる。)
(ジスカドが手の中にある真実の炎をじっと見つめる。)
ジスカド
どうかこの世界では最後まで生き残り、皆と共にすることを願おう。