シャイニック
さて…どこから話すとするか。そうじゃな…
ワシの故郷は、ジュード王国の片隅の砂漠にある小さな村じゃった。ラティンス村…それが、ワシの故郷の名前じゃ。
シャイニック
当時、デイモス教団が勢力を広げるために村を襲撃したが、とある魔法使いのおかげで被害は最小限で済んだのじゃ。
シャイニック
…その魔法使いは、イクシオンと名乗った。
シャイニック
ジュード王国の大魔法使い…イクシオン。子供達は皆、奴に憧れた。
誰もが、この素晴らしい魔法使いのようになりたいと思うようになっておった。
シャイニック
イクシオンもそんな子供達に、自分が立派な魔法使いにしてあげよう、と…そう言った。
村を救った英雄の言葉じゃ…止める大人もおらんかった。
シャイニック
奴に憧れ…魔法使いを目指す子供達…ワシやエッダもその中の一人じゃ。
自分もジュード王国の魔法使いになれる…と、誰もが夢見ていた…そう、思っていた…
シャイニック
いや、最後まで語らせてくれ…話を続けるぞ。
…ワシらはイクシオンの下で魔法使いを目指すことになった。魔法の修行のため、モロスにあるシェルターに連れていかれたんじゃ…
シャイニック
そこでの生活は楽しかった。友と共に学び、励み…
かつてワシらが救われたように…いつか、あの魔法で誰かを救うことができる…そんな希望に満ちておった…
シャイニック
誰一人…奴に与えられた「力」に何の疑問も抱いていなかったのじゃ…。
シャイニック
違和感に気づいた時には、もう遅かった…
シャイニック
ワシらに与えられる「力」の量は増していき…それに耐えられなかった子供の体は、だんだんと…人間とは違う姿に変わってしまった…
シャイニック
ワシには外見の変化はなかったが…「副作用」はあった。
身体が成長しなくなったこと、そして……死ねなくなったこと…。
シャイニック
精神を支配され、戦場で他の者の命を奪うようになったこと…
シャイニック
魔法使いを目指していた子供は、気付けば数千数万の命脈を断つ…恐ろしい兵器となっていた。
シャイニック
…それも暗黒戦争が終わるまで、と思っていた。
じゃが、イクシオンは必要のなくなった子供達を…「処理」し始めた…。
シャイニック
戦争が終わったら故郷に戻れる…そう思ったワシは…イクシオンの束縛が緩んだ隙に全力で逃げた…。
シャイニック
しかし…その緩みも一時的なもの。すぐに、ワシの中の力も暴走した。
その時ようやく理解したんじゃ。
イクシオンを殺さない限り、終わりにはならないと。
シャイニック
あの時のワシは正気ではなかった…周りを気にするような余裕なぞ無かったんじゃ。
しかしそうか…エッダも生きておったのか…
シャイニック
エッダは花と木が好きな子でな。
よく、花飾りなんかを作ってくれた…。
シャイニック
もっと…もっと早く気づいてさえいれば…
もう一度…会えたかもしれんな…。
シャイニック
…大丈夫じゃ。それより、まだ話は終わっておらん。
もう少し付き合え。
シャイニック
戦争が終わっても、平穏は戻らなかったんじゃ。
とっくに、故郷はなくなっておった。
ワシは帰る場所を失った…。
シャイニック
じゃが、おかげでこんなに素敵な都市を作ることができた!
ワシを殺しに来るやつらを捕まえては奈落の間に入れてやった…
あのイクシオンも…。
シャイニック
最後はお主に任せることになったがな。
シャイニック
まったく…なぜお主がそのような顔をする?
ワシは大丈夫じゃ。…こんな話をするのも、メルビックとメディア以外には初めてじゃな。
シャイニック
とにかく…お主には感謝しておる。
礼を言うぞ。
シャイニック
もともとお主に話すつもりはなかったのじゃが…ふむ…
シャイニック
…やはりやめておこう。
知りたければ、もっとワシを楽しませることじゃ。
…ワシがお主をもっと信用できるように…な。
シャイニック
とにかく話は終わりじゃ。
これでもう死んでも思い残すこともない。
【プレイヤー】
あの、シャイニック様。
そういう冗談はやめてくださいって…
【プレイヤー】
ではもう戻ります。今日はゆっくり休んでくださいね。
シャイニック
墓をもう一つ、作らないとならんな。
…おかえり、エッダ…。ここが…“わたしたちの故郷”じゃ…。
ゴホッゴホッ…。
シャイニック
…シャイニックよ、何故…気付けなかった…。
シャイニック
…ワシやエッダを捕らえたのが…束縛の力だったということを…。