シナリオクエスト

森でやるべきこと

(奥へ向かうと聞き慣れた声が聞こえて来る。敵と対峙しているようだ。)
ヴァン
クソ、オネイロを守る者はいないと思ったんだが…
ジニー
やはりお前らが爆発を起こしたのか…!
マーラ
爆発?
ヴァン
ほお、いいぞ。予定通りだ。
なら早速…いや、それより先に滅んだ国の武人から相手してやるか。
(ヴァンがポケットから何かを出してジニーに向けて投げる。ジニーの足元に落とされたものから謎の力が流れて来る。)
ジニー
うっ、ゴホッゴホッ。これはなんだ…?
…お前ら、何を企んで…くっ!体が動かない…!
ヴァン
邪魔者はここで死んでおけ。
この魔石はまだ試験段階だが、貴様程度なら…
(ジニーが暴れるも、動くことはできない。魔石から流れた力がゆっくり上がってくる。)
ジニー
これは…束縛…
(ヴァンが満足した顔をしてマーラと共に急いでオネイロの森に入る。)
ジニー
ここで…何も成し遂げられぬまま…復讐を遂げることなく終わるのか…?
【プレイヤー】
まだですよ。諦めないでください。
【プレイヤー】
(武器をあげてジニーを縛っている束縛のオーラを破壊する。)
ジニー
ゴホッゴホッ…
ジニー
ふぅ…ありがとう。感謝する。ところでどうやってあの力を…
ジニー
(…以前とは感じる力が違う…)
【プレイヤー】
束縛の力…あなたもご存じですね。
ジニー
……。
ジニー
その話は後で。それより森で危険なことが起きている。
【プレイヤー】
これが私がやるべきことですね。早く教えてください。
ジニー
この森の名前はオネイロ。モス王国が不吉だと接近を制限した森だ。
守護神という存在がいて、邪な心を抱く者から森を守っているらしい…
ジニー
偵察兵が何度も入っているが、道に迷い森から追い出されてしまうのだ。
ジニー
そんな中、巨大な爆発が起きた…偵察兵はすぐに森に入り…中で村を見つけた。
ジニー
…いや、村の痕跡を…だな。爆発により村は崩壊しており、人々は…呪われた姿に変わっていたそうだ…
ジニー
私も確認しようとしたが、既にとある力のせいで入ることができなかった。
ジニー
モス王国軍の痕跡と謎の力が混ざった結界だ。
そのため連合軍の方に人を送って様子を見ていたら…
ジニー
奴らが来た。おそらくこの事態の元凶…赤い髪の兄妹が…
【プレイヤー】
確かに森から不思議なオーラを感じますね…まるで呪いのような…
私が入ってみます。私なら解決できるはずですから。
ジニー
どうしてそう確信できるんだ?
【プレイヤー】
……そうやって信じてみないと、何もできませんから。
ジニー
なるほど…
ジニー
……。
ジニー
納得した。君にできることをしてくれ。私はここで私にできることをしていよう。
ジニー
解決できたら、中の状況がわかるモノを一つ持って来てくれないか?
【プレイヤー】
わかりました。これが落ち着いたら、お茶でも飲みながらゆっくり話しましょう。
ジニー
ああ…待っているよ。

(オネイロの森の一番奥、隠れていたヴァンとマーラを見つけた。)
【プレイヤー】
やっと見つけた…
【プレイヤー】
石に変えられた人達…おかしくなってしまった少女…!
この悲惨な光景は、全部お前らの仕業なんだな!
ヴァン
半分はその通りだが、半分は違うな。
まあ、確かなことは、貴様はこの森にやって来たことを後悔するということだ。
ヴァン
だがもう遅い。ここで…貴様の旅も終わりだ。
【プレイヤー】
どういうことだ?
マーラ
……。
(物凄い轟音と共に何かが落ちてきた。巨大な影が視界を遮る…それ程に大きな存在…)
【プレイヤー】
ゴホッゴホッ…なんだ?ゴーレム?
【プレイヤー】
(石や機械…そして植物が混ざった怪物…)
???
「キイ…キイ…リブート…」
???
「活性化…」
???
「コードネーム、ベルゲルミル…」
(人為的に造られたような声が森にこだまする。ベルゲルミルと名乗るあのゴーレムの声のようだ。)
ベルゲルミル
「エクスプロージョンモード解放。」
ベルゲルミル
「システムアクセス。」
ベルゲルミル
「プラネット“エトワール”の初期化を準備…本過程は管理者の許可なく任意にキャンセルできない…」
マーラ
初期化ってなに?
ヴァン
知らんな、どうせ俺達には関係ないことだ。
守護者は俺達と俺達が作った魔石には手を出せないからな。
ヴァン
そう説明されただろ?少なくとも、これまで間違った情報はなかった。
マーラ
そう…ね。
…でも、だからって言われた通りやるのも…
(ヴァンとマーラがベルゲルミルがいる場所をじっと見ている。)
【プレイヤー】
どうしたんだ…?いや、なんだ…二人の動きが…?
(急に時間が止まったような気がする。視界の端にとらえていた遠くに隠れたヴァンとマーラの動きも全てが止まった。)
サラスヴァティ
…【プレイヤー】様、ベルゲルミルとの戦闘の前に話すことができてよかったです…ここは、私が接続できる領域の一部…
【プレイヤー】
それは…
サラスヴァティ
申し訳ありませんが詳しい説明をする時間はありません…
…オネイロは違う時空間の領域…僅かな時間ですが割り込むことができました…
サラスヴァティ
他の多くの次元が、ベルゲルミルのような兵器によって破壊されました…
サラスヴァティ
ベルゲルミルの心臓を止めてください…そうすれば動かなくなるでしょう…
サラスヴァティ
詳しい話は、彼を止めた後…私の部屋を訪ねてください…
サラスヴァティ
どうか気を付け…
【プレイヤー】
サラスヴァティ…
(サラスヴァティの姿が消えて見えなくなった。時間が動き出したのかベルゲルミルも動きだす。)
【プレイヤー】
…あれがバッドエンドを生み出した怪物ってことか…?
ベルゲルミル
「ベルゲルミルがプラネット“エトワール”の初期化を開始する。」
【プレイヤー】
ベルゲルミルって言ったよな?とりあえず…ここでお前を倒す。それが今の私がやるべきことらしい。
ベルゲルミル
「邪魔者…邪魔者も初期化に含まれる。同意したとみなして進行する…ぐおおおお!」

ベルゲルミル
「…………」
(ベルゲルミルの心臓にひびが入り動きを止めた。破壊に執着していた瞳が少しずつ変わり…どこか善良さすら感じる。)
【プレイヤー】
やったか…?…あ、こういうことを言うとまた起きるんだよな…
(ベルゲルミルが再度動き始める。しかし、今までとはどこか雰囲気が違う。)
【プレイヤー】
まだ生きてるみたいだな…
ベルゲルミル
「…警戒を解けていい。この星の守護者。
……。
初期化は不具合である。不具合はデバッグされ、現状はFIXしたVerだ。」
【プレイヤー】
…いまいちわからないが…戦闘の意思はないと?
ベルゲルミル
「…そうだ。」
【プレイヤー】
それをどう信じろと?
ベルゲルミル
「私はもうすぐ稼働を止める。その前に真実を伝える必要がある。」
【プレイヤー】
…聞こう。
ベルゲルミル
「感謝する。守護者よ。では話そう。私はベルゲルミル。悪が多く存在するここを破壊するために派遣された兵器。」
ベルゲルミル
「…だが、エトワールは善良な星だった。そのため、ベルゲルミルはこの星を破壊しようとするために訪ねた他の悪と戦った。」
ベルゲルミル
「しかし負傷し、記憶を失った。そのまま目覚めなければよかった。」
ベルゲルミル
「…村人に出会い、エッダに会えた私のまま終わりたかった。」
【プレイヤー】
エッダ…?背中に変な怪物の腕を生やした少女か?
あの子は私を攻撃して…しばらくすると消えてしまった。
ベルゲルミル
「…あの子はすでに死んでいる。守護者に感謝していた。シャイニックを救ったこと、イクシオンを消滅したこと…呪いから解放してくれたこと…」
【プレイヤー】
シャイニック?イクシオン?それはどういうことだ?呪いとは何のことだ?
ベルゲルミル
「エッダは死によって呪いから解放された。そして、その呪いはこの森の日常を破壊した人間達へと移った…」
ベルゲルミル
「あの人間達もあの魔法使いのように力を与えられた者…エッダと同じように。エッダの呪いは先ほどの人間の下へと移された。」
【プレイヤー】
待ってくれ…理解が追い付かない…
ベルゲルミル
「…あの者はこれを束縛と呼んでいた…」
【プレイヤー】
…束縛の力…?
ベルゲルミル
「巨大なエネルギーストーンにより爆発を起こした。人々を始め多くの命が結晶化した。そして、その力は他の空間へと転移した…」
ベルゲルミル
「全ての不幸はアズラエルに…」
【プレイヤー】
アズラエル?アズラエルってなんだ?いったいどうしてこんなことになっているんだ…!
ベルゲルミル
「キイイ…キイイイイ…」
(ベルゲルミルの声に雑音が混ざって聞こえない。)
ベルゲルミル
「ありがとう。星の守護者。そして…」
(急にベルゲルミルが起きて【プレイヤー】を突き飛ばした。どこかから飛んできた不吉な力がベルゲルミルの心臓を刺した。)
【プレイヤー】
……。
【プレイヤー】
これは…この力は…
【プレイヤー】
(【プレイヤー】の足元に破壊されたベルゲルミルの心臓が転がって来る。)
【プレイヤー】
……。
(ベルゲルミルは完全に沈黙した。)
【プレイヤー】
(不吉な気配…いつか感じたあの気配だ。)
【プレイヤー】
これは…
【プレイヤー】
……。
【プレイヤー】
落ち着け、【プレイヤー】…複雑に考える必要ない…
私はここでやるべきことをやっただけだ…
【プレイヤー】
ジニーに話して後は連合軍に任せよう…
【プレイヤー】
…まずは、ここから出よう。余計なことは考えなくていい…
まずベルゲルミルの心臓の破片を持って…
【プレイヤー】
……。

ジニー
シー、静かに…
【プレイヤー】
はい?あ、あれは…

バイス
……。
【プレイヤー】
ここはどこだ、モロス…なのか…?お前は、ヴァンを一体どこにやった!

ジニー
しっかりしろ、【プレイヤー】!
【プレイヤー】
(ぼんやりする視野にジニーの姿が入って来る。)
【プレイヤー】
ジニー…ここは…うっ…!
【プレイヤー】
……!
【プレイヤー】
(バイスに与えられた痛みが再発する。)
【プレイヤー】
ゴホッ、ゴホッ…う……。
ジニー
もう一度回復魔法を!急げ!
(ジニーが叫ぶと、倒れている【プレイヤー】に回復魔法がかけられる。)
【プレイヤー】
(あの後、いったいどうなったんだ…)