シナリオクエスト

女神の居所

メヌエット
【プレイヤー】…、おかえりなさい。
【プレイヤー】
メヌエット、大丈夫ですか?
メヌエット
はい、わたしは大丈夫です。この場所は少しずつ綺麗になって、だんだん元気になっているようです。
【プレイヤー】
よかった。そうしたら、私の手を握ってみてくれませんか?
メヌエット
手を…ですか?
【プレイヤー】
アドキーナという方がメヌエットの記憶を取り戻す方法を教えてくださったんですけど、手を握ればいいみたいで……。
【プレイヤー】
信じられませんかもしれませんが、やってみましょう。
メヌエット
(メヌエットが頷きながら【プレイヤー】の手を握る。すると、どこからか清らかな風が吹き、二人を手を包む。)
【プレイヤー】
(心地いい風だ…はっ、メヌエット!?)
【プレイヤー】
(その後鋭い風が吹き、思わずメヌエットの手を放してしまった。)
【プレイヤー】
メヌエット、大丈夫ですか?
メヌエット
……。
メヌエット
……。
メヌエット
わたしは大丈夫です、【プレイヤー】……。おかげで記憶を取り戻せました。
【プレイヤー】
よかった。
では私が近くの村に案内しますね。
メヌエット
もう大丈夫です。そして、わたしの紹介を改めてさせてください。わたしは……。
メヌエット
(メヌエットの前に幻影の大地アドリカでは見れなかった神秘な光が広がり始める。)
【プレイヤー】
なんだ、この光は…?
【プレイヤー】
(強い光に目が眩みそうだ。急いで腕で目を覆う。)
【プレイヤー】
これはまるで……。
メヌエット
【プレイヤー】……、私を見てください。
【プレイヤー】
(メヌエットの声が少し変わったようだ。顔を上げて前を見るとメヌエットと似ている、全く存在が立っている。)
【プレイヤー】
…あなたは?
メヌエット
ありがとうございます。おかげで記憶を取り戻せました。私の名前はガイア…この世界を愛した妹、セレスのため共に大地を作った……。
メヌエット
(急に頭の中にガイアの存在を感じる。光と共に彼女の名前が刻み込まれたようだ。)
【プレイヤー】
大地の女神ガイア…ガイア様?
ガイア
ごめんなさい。あなたとこんなふうに会いたくなかったのですが…はるか昔大陸を守るため力使い果たした私は、永い眠りを繰り返しました。
ガイア
力の消耗を防ぐため、起きている間は人間の姿になって少しずつ歩き回りました。今のメヌエットは私が人間となった姿です。
ガイア
今回目覚めて幻影の大地を歩き回っている間、深くて邪悪な闇に出会うこととなりました。それでアドキーナの所に向かっている間に記憶が……。
ガイア
……。
ガイア
弱い神と言っていただいて構いません。全てが私のせい……。
【プレイヤー】
人間の姿をした神が記憶を失うくらいということは、物凄く危険だということですね。
ガイア
ごめんなさい。
記憶の一部は戻りましたが、以前のような力はまだ……。
【プレイヤー】
謝る必要はありません。
ガイア
記憶を失って彷徨う中、幻影の大地が闇を扱う存在により浸食され、アドキーナも閉じ込めてしまうことになってしまいました。
ガイア
ごめんなさい。【プレイヤー】…。
【プレイヤー】
私は大丈夫です、ガイア様。では、私は何をすればいいですか?
ガイア
私の居所、「ラピア」の中を確認していただけませんか?今の私では確認することができません。
【プレイヤー】
はい、行って来ます。
ガイア
どうか気をつけて……。

???
……。
???
(神の木ラピアの最深部。一人の男がある不吉な存在と共にいる。一瞬目が合う。)
【プレイヤー】
(この聖なる場所、女神の居所に入り込んだ不吉な力を持つ存在……。)
【プレイヤー】
(きっと敵だ。ここまで入り込んだしたということは普通の人間ではないだろう……。)
???
……。
???
……面倒だな。
???
消してしまえ……。
???
(怪しい男の話が終わると、側にいた不吉な存在が前に出る。)
???
神を手伝う者よ、お前の死に相応しい鎮魂歌―レクイエムだ。喜んで受け取るがいい。

???
ほう…レクイエムがこんな終わり方をするとは。
実に面白い。
【プレイヤー】
(ハッ、ハッ…ハァァァ。……危ないところだった。)
???
残念だが、お前の死は次に会うときに見届けるとしよう。
【プレイヤー】
待て!どこに行くんだ!
一体何を企んでいる!?
???
(怪しい男を追いかけるが、謎の障壁に防がれ近づけない。逆に謎の力が押し寄せてきて、全身を捩じろうとする。)
【プレイヤー】
!?
う、うう…うああああ!!
???
面白いな。何の代価もなく神を手伝うなんて…お前はこの世界が続くものだと信じているようだな。
【プレイヤー】
ど、どういうことだ!
ああああ!ぐあああ……!
???
(怪しい男が手を動かすたび、全身を物凄い激痛が駆け巡る。)
???
お前が信じる神に伝えろ。弱き神が愛する世界はもうすぐ消えるんだと。この「束縛」の力で……。
???
……。
【プレイヤー】
この力が「束縛」…?
【プレイヤー】
う…うああああああああ!
???
この位にしておくか……。
???
(怪しい男が手の動きを止めると、苦痛が消えた。)
【プレイヤー】
はあ…はあ…う…ううっ……!
???
苦痛に耐えた代価として教えてやろう。
俺の名前はバイス。この地の命が呪ってやまない存在……。
バイス
そして罪を犯すしかない存在……。
バイス
(尾を引く苦痛に耐える【プレイヤー】の姿を見て、バイスが微笑む。)
バイス
ハハハハ………。
バイス
(もうバイスの姿は見えない)
【プレイヤー】
……。
【プレイヤー】
行ってしまった…一体どういうことだ?世界が消えるなんて…。
ううっ…まずはガイア様に知らせないと…。

メヌエット
お帰りなさい……。
ガイア
(メヌエットがゆっくりガイアの姿に変わる。記憶を失ったままアドリカを彷徨っていた少女はどこにもいない。)
ガイア
おかげでラピアにあった闇は消えました。アドリカにも闇は感じられません。
ガイア
ありがとうございます。もうラピアに戻ることができそうです。それより【プレイヤー】、顔色が悪いですね。何が起きたのか教えてくれませんか?
【プレイヤー】
(神の木ラピアであったことをガイアに話す。)
ガイア
待ってください。バイスですって……?
ガイア
バイスがいたのですか?
ガイア
邪悪な闇を呼び込んだのは、彼だったのですね。
ガイア
それに、これは他の世界のもの……。
【プレイヤー】
他の世界の、もの……?
【プレイヤー】
(急に変な気分に包まれる。)
【プレイヤー】
この感じはバイスに会った時…そうだ、恐怖…恐怖だ。今まで恐怖なんかは感じたことがあまりないけど…一体どうして……?
【プレイヤー】
ガ、ガイア様…バイス…あいつは何者なんですか?どうしてこんなことをするんですか?
ガイア
可哀想な【プレイヤー】。これは全て……。
【プレイヤー】
えっ?
ガイア
(急にガイアの声が聞こえない。視野が曇り、ガイアの姿さえも見えなくなる。)
【プレイヤー】
な、なんだ…?
【プレイヤー】
……。

ガイア
……。
【プレイヤー】
暗い…ここはどこだ?
何も見えない……。
ガイア
……。
ガイア
ここに私たちを呼ぶだなんて…やはりあなたが……。
【プレイヤー】
ここに誰かいるんですか、ガイア様…?
ガイア
……。
???
久しぶりじゃないか。君の名前は確か…ガイアだったな。
???
(どこかから聞こえて来る老人の静かな声。単語ひとつひとつに物凄い圧を感じる。)
【プレイヤー】
ううっ……。
【プレイヤー】
(足に力が入らず立つことさえできない。ガイアは瞬きひとつせず、じっと誰かを見ているようだ。)
ガイア
……。
老人
やはりガイアは俺を歓迎しないのだな。だが、大丈夫だ……。
老人
混沌と闇の力に襲われ、神さえも見捨てたこの世界……。
老人
滅亡も遠くなかったはずだが、未だに耐えているのだな。そんな世界のため…昔、俺はプレゼントを贈ったんだ。
老人
自滅してしまった鳥を覚えているか?
闇に支配されるしかないあの奴隷を。
【プレイヤー】
(それって…)
老人
一人の人間のために炎を消した…あの話は新たな神に従うあの人間も知っているだろう。
ガイア
……。
老人
君は眠っていて知らないようだな…そういうことがあったんだ。ではこの話はここまでにしよう。
老人
聞きたいことがある。
ガイア、君はどうなんだ?
老人
君の力を使い果たす程、人間達とこの世界に価値はあるのか?
老人
見るがいい。
君が眠った後、世界が君の希望通りになっているのかを……。
老人
魔王という存在さえどうにもできない惰弱な神が何もしないまま、助けを待っている姿は愉快じゃないか。
ガイア
……。
老人
どうせ君は答えないことを知っている。そもそも期待もしていないのさ。
老人
手を下すのが魔王でなくとも、いつかこの世界は消滅するだろう。それを望んでいる者達がいるから。俺もその一人だということを忘れないでおくれ。
老人
既に君自身と…君が愛する命、そして君が愛するこの世界を消滅させるためのものを送っておいた。
老人
それなりに悩んで選んだ、俺のプレゼントだ。
ガイア
やめて…やめてください!
老人
そう言われてもやめることはできない。最初から君と俺の役割はそう決まっているだろう?
老人
……。
老人
ここには君だけ呼ぶつもりだったが、なんとなくあの人間も一緒に呼び込んでしまったよ。セレスに代わり神となった少女と同化した人間……。
老人
本当はここには君だけ呼ぶつもりだったんだが…なんとなくあの人間も一緒に呼び込んでしまった。
ガイア
彼に触れないでください!髪の毛一本でも触れたら許しません!どうせあなたは脅かすことしかできないじゃないですか!
老人
……。
老人
面白いじゃないか、ガイア。何の力もなく眠っている君に何ができるんだ!?
老人
では今日はこの辺で終わらせてやろう。
ガイア
……。
老人
いつかセレスに会ったら挨拶を伝えてくれ。お前の気に入っていた世界は痕跡もなく消えたとな。はははははは……!
老人
(老人の声が消えた)
ガイア
……。
【プレイヤー】
この世界が消えるなんて…どういう……?
【プレイヤー】
(頭と肩を押し潰している圧倒的な力のせいで、何とかつないでいた意識が途切れそうだ。)
ガイア
ごめんね、セレス……。
ガイア
ごめんなさい、イリス。
ごめんなさい、【プレイヤー】……。
ガイア
(ガイアの声が徐々に小さくなり、それ以上聞こえなくなる。)