シナリオクエスト

悲劇の始まりへ

ギイ
お前は…誰だ?正体を明かせ。
ギイ
いや、それより私は…
ギイ
いったいどうして…死んだと思っていたのに…確か龍へと姿を変えた父上を止めるために我が一族に伝えられる奇跡の秘術…
ギイ
「止まった刻」を発動させて…
ギイ
私の時間も止まってしまったはず…。ああ、覚えている。
ギイ
しかし、どうして…くッ!
【プレイヤー】
(ギイが苦しみ出した。)
【プレイヤー】
あの、ギイさん?
【プレイヤー】
大丈夫ですか?気をしっかりもって、回復薬をあげましょうか?
ギイ
ありがたい申し出だが、あいにくとこの痛みは回復薬では治らない…。
ギイ
この苦痛は、魂と肉体が強制的に分離させられたせいで生じた、「反力」によって引き起こされるものだ。誰かこんなことを…
【プレイヤー】
もしかして…城の結界を破り、魔石をもたらした者に遭ったんですか?
【プレイヤー】
レイレイと、ジエンディア陛下はアガシュラ一族だとおっしゃっていました…。
ギイ
ジエンディア陛下?彼女は、皇位を継いだのか?
ギイ
…。
【プレイヤー】
龍帝城に結界を張って封印してから、400年の時が流れました。
ギイ
400年!?それでは…龍京帝国は?
【プレイヤー】
すでに滅び、今のジエンディア大陸はエリアス王国を始めいろんな勢力が統治しています。
【プレイヤー】
あの方が兵力を率いて目覚めた龍帝城の前を塞いでいます。龍帝城の中の存在達が外に出られないように…。
【プレイヤー】
(そういえば陛下は400歳を超えたのか…。)
ギイ
そうか…。それほど、多くの時が流れたのか…。私の時間は止まったけど、彼女の時間は流れていたんだ…。
ギイ
私の父上、暴君だった皇帝は息子である私が皇帝の座を奪うという妄想に囚われていた。軍事を起こし権力を貪っていると思っていたのだろう。
ギイ
どこかで魔界の王、ルクスに魂を売り渡して力を得て、堕落の龍となった…。
ギイ
結局それもルクスの計画通り…。ルクスの手先となった皇帝は、奴をこの地に降臨させるために、当時私の許嫁だったジエンディアを攫った。
ギイ
降臨の儀式を介して、おそらく彼女の体を乗っ取ろうと考えていたんだろう。
【プレイヤー】
陛下が神の血統という話ですか?
ギイ
正確には言えないが、神と人間の混血「デミゴッド」の系統だからだろう。
ギイ
半身と言え神の血をひく彼女だけが魔王の降臨に耐えることが出来る。
ギイ
私がその事実に気付いた時にはすでに彼女の体には魔王が降臨しつつあった。
ギイ
私が家族のように思っている護衛武士の助けを借りて彼女の体を取り戻したが…長い時間を耐えられる存在になるとは思わなかった。
ギイ
おそらくジエンディアは…、ジエンディアは…
ギイ
(無表情で話を続けていたギイの顔が沈んでいく。)
【プレイヤー】
それで、その後はいったいどうなったんですか?
ギイ
あ、すまない。私は力がなかった。力があるとしても魂を闇に飲み込まれた堕落した龍を止めるには力不足だった。
ギイ
帝国は皇帝の暴政のせいで正常ではなかっただろう。そんな中、堕落した龍が姿を表したら…
ギイ
私は見てはいられなかった。長い時間、民のために生きていたわれわれの地が終わる姿だけは…
ギイ
堕落した龍が私の前に現れた瞬間、選んだんだ。
ギイ
私の護衛が私に代わり、この困難な状況をきっと打破してくれるという期待もあったが。
【プレイヤー】
そんなことがあったんですね…。
ギイ
…ジエンディアに会いたい。
ギイ
あなたを信じよう。ジエンディアに伝えてくれ。あなたがそうしたように、私もどうにか持ちこたえて本来のからだに戻る方法を探してみると。
【プレイヤー】
かしこまりました。ですが、すぐにまたお会いできますよ。その時、直接陛下にお伝えください。
【プレイヤー】
ところで、結界を破って魔石をもたらしたのは誰かご存じですか?
ギイ
ジエンディアを思い出してその質問を忘れてしまったな。すまない。彼はアガシュラになって嬉しいと叫んでいた。あ、彼の鋭い目…一度見ると忘れることはできないだろう。
ギイ
私が覚えているのはこの程度だ。急いで彼女に伝えてくれ。役に立てればいいのだが…
【プレイヤー】
はい、わかりました。ですから…絶対に陛下に会ってください。