カズノの映像
アガシュラ…
アガシュラは、こことは別の世界から来た流刑者。大きな罪を犯して世界から追放され、ジエンディアへ流れ着いた…"化け物"として生きていかなければならない存在…
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つまり、俺たちが[悪]と断じていたものは、先天的なものではなく…この世界…俺たちが化け物として…[闇]として存在するように強制していたということだ
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デル族の血に流れる天性の力…それは、アガシュラを退けるようにデル族に与えられたものだ。だが、彼らの生まれつき善良な性格が仇となった。アガシュラの相手をするには荷が重すぎたんだ
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彼女の祖母と、…が死んで、最後にはイリス一人が取り残された…。デル族に与えられた運命が全てイリスに集まり始めた
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そんな重い運命を背負い旅に出て…喜びや悲しみ…多くのことを経験したが…イリスは歪んだりしなかった。本当にいいヤツだった
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泣き虫で、よく怒って、ワガママで、だけど残酷な運命を受け入れて世界を救うことを決心したコイツが…俺は嫌いじゃなかった
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俺は、故郷こそ違えども、卑劣な運命の糸で一つに結ばれた兄弟たちの一人…。アガシュラたちの仲間だ
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俺たちを拘束する運命の制御者である[魔王]を克服するために、ファームの計画に同乗して…イリスを裏切った！
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アガシュラのすべての行いの根底には「悪」が存在していなければいけない…それが出来ないヤツは、ひどい場合その存在を消滅させる罰が課される
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暗くて、不道徳で、最後には光の手によって滅ぼされることになる存在がアガシュラ…
だから、俺の裏切りはこの世界の道理に沿っているということだ
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だからこそイリスを裏切ることは…簡単だった。己の宿命から抜け出すために、皮肉にも宿命に便乗したなんて…笑わせてくれる
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目的を遂げた今こそ…真の闇と絶望が押し寄せてくる
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…イリスは生き残った。
別の世界から来た、サイアムという若造。
ヤツは俺の提案に一瞬も躊躇しなかった
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[アガシュラの契約]は結ばれ、アイツはイリスを死から救いだした
その時、俺も少しは慰められた気持ちになった
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だが、今、遠くユグドラシルの彼方から俺にまで伝わってくる、この激しくて、暗い感情…これは…イリスの絶望
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イリスに直接会う勇気がないから、勝ち目のない賭けをしようと思う
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…アスガルドから地上に降り注ぐ光の破片が目に見えるだろう
あれは『メモリウム』と呼ばれるものだ。『メモリウム』は、激しい感情、記憶、希望をその身に刻む石だ
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イリスの涙のように見えるのは俺の感情からくるものじゃない
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薄暗くてぼうっとしている希望が地上に降る…あまりにも微かな…希望
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この世界で、俺はもう自由だ…
これから、どこに行こうか