【プレイヤー】
(オーディンは槍を地に突き刺して、後ろへ退いた)
【プレイヤー】
(怒りに満ちていたオーディンの表情がいつしか虚しく変わっている…)
オーディン
僕を倒したとしても、この世界は消滅したりはしない
オーディン
僕も…、二人と戦って勝っても何の意味もない
オーディン
二つの世界の衝突を防ぐ方法のようなものは存在しない
【プレイヤー】
(オーディンは、しばらくニイを見つめていたが、こちらに振り返った)
オーディン
この世界が完全に覚醒めるためには、必要なことが一つだけあるんだ
オーディン
それは<時間>。そして時間は僕が支配する領域じゃない
オーディン
少しの間だけ、世界が今みたいに眠りに落ちるようにつかまえておく
オーディン
しばらくの間は、破滅を防ぐことができると思う
オーディン
その間に君には、この世界を作った張本人…イリスを探してきて欲しい
オーディン
ニイ、僕は君のように彼女と繋がったことがないから分からないが、それでも彼女が"母親"でないことだけは分かる
オーディン
すでに知っているだろうが、彼女はただの人間…。どういうわけか、この世界の秘密に関与してしまった哀れな存在だ
オーディン
彼女を見つけたからと言って全てが解決するとは思っていない
オーディン
けれども…彼女を消滅させて、彼女の夢をみんな無かったことにすることができるか、試してみる価値はあるだろう
オーディン
…どうせ、僕もニイも、この世界に縛り付けられている身…。選択は、君の役割だ
オーディン
さあ…この世界と一緒に眠りたくないだろう?君の世界に帰ってくれ
【プレイヤー】
(オーディンが手をあげると、周りの景色がぼやけて霧の中に消えていく…)
【プレイヤー】
(オーディンの声が遠くから聞こえてくる)
オーディン
…友達になれるって思っていたのに、こんなことになるなんて…
オーディン
君のせいじゃないのに怒って悪かったね…。君と共に幸運がありますように…
オーディン
…本当にびっくりするよな、ニイ。普通の人間が様々な世界を旅して、宇宙の運命に関与するなんてさ
オーディン
僕が作り出すつもりだった、僕たちの世界の人間も、そんな豊かな可能性をもった存在になったのかな…?
オーディン
ハハハハ、是非とも一度この目で見てみたいものだね
オーディン
万に一つの可能性にかけて、ユグドラシル…世界樹を燃やすこともできるだろう
オーディン
スルトの領域であるニブルヘイムを流れる火の川をユグドラシルに浴びせるなら可能な話だよ
オーディン
もしニイがそれを望むなら…手伝ってあげるよ
ニイ
いいえ、そんなことをしたって私たちの世界は消滅したりしないでしょう
ニイ
ただ、始まる前に死が支配するようになって廃墟となったこの世界が、他の世界と衝突するだけでしょう…
ニイ
本当は、あなたもそう思っているんじゃないの?
ニイ
あなたの側に…世界が終わる日まで…一緒にいたい
ニイ
…何も出来ず、どこにも行くことが出来ない私たちは一体どうして生まれて来たのかしら…
ニイ
虚しい…私たちの生には何の意味も…ないのかな…
オーディン
…お客さんが多い日だな。だけど、匂いが酷い野良犬はあんまり歓迎したくないね
ジェリル
ハハハッ、若い神様は手厳しいな。だけど、野良犬は酷いんじゃないか?こんな綺麗な狼をつかまえてさ
ジェリル
まぁ、そんなに怒んなよ。今日は別に戦いにきたわけじゃないんだからさ
ジェリル
これは…いくら俺だとしても難しいな。考えてもみろよ、アガシュラが異世界へ来るってありえると思うか?まったく…
ジェリル
早く元の世界へ帰らないと、一瞬で「還元」されるぞ
ジェリル
さぁ、話がすんだら帰るぞ。これ以上は、お前を守れるか約束出来ないからな
ジェリル
ちょっと、こいつの話を聞いてやってくれよ
ジェリル
運がないこいつが、全てをかけて賭けに挑んだんだ